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いなきゃよかったのに
誘惑のバスタイム
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「服脱がせて、悠登…」
どこのお姫様だよお前は、と言いたくなる気持ちを抑え悠登は洗面所でめぐの着ているルームウェアを脱がせた。
薄手のパーカー、その下に着ているTシャツ、ショートパンツ。1枚ずつ脱がせていくにつれめぐの華奢な体が露わになっていく。パンツを脱がされて全裸になっためぐは、自分が脱がせてと言い出したくせにものすごく恥ずかしくなり胸元を手で隠した。
「何恥ずかしがってんだよ、お前が一緒に風呂入ろって言ったくせに」
悠登はそんなめぐを見ても動揺することなく、躊躇いもなく服を全て脱ぎバスルームに入っていった。
「くっつきすぎだろ」
「ひとりで心細かったんだもん…」
めぐは湯船で悠登の背中に抱きついて、久しぶりに触れ合う肌の感触に懐かしさと愛おしさをひしひしと感じていた。
…付き合ってた時のこと思い出すなぁ。お風呂でいっぱい、いちゃいちゃしたよね。今は彼氏彼女じゃないけどこう出来ること、ほんとに幸せ…ずっとこうしてたい。
このままずっとずっと悠登と一緒にいたい。ずっと一緒に暮らしたい。だから悠登、未央ちゃんのところに行ったりしないで…
「つかめぐ元気そうじゃん…俺先に上がっていい?髪洗うわ」
…悠登、超通常モードなんですけど。全然動揺しないし、勃ってもないし。別れたらこんなに全てが無反応になっちゃうの?
「…めぐも洗って」
「はぁ?自分で洗えよそんぐらい」
「悠登が体調崩した時はめぐがしてあげるから…」
「いや俺は体調崩しても自分で洗うし」
「うー…」
めぐが泣きそうな弱々しい声を出して、湯船から出させない様に悠登の体を後ろから強く抱きとめた。
「もー、めぐ勘弁してよ」
「今ぐらい甘えさせてよぉ…めぐ全然元気じゃないよ…」
今の状況嬉しいし幸せだけど、元気じゃないんだよ。今は体もだけど気持ちがずっと元気になれないの。未央ちゃんが初めてこの家に来てから、ずっと。
***
「…全部手で洗ってね」
「なんだよそれ」
「めぐ肌弱いもん…」
結局悠登はめぐに離してもらえず観念してめぐの髪を洗った。…のに、体を洗うことまで要求してきた。
めぐのこういうわがままなところが苦手なんだよな…付き合ってた時は可愛いと思ってたしそれが嫌いっていうわけじゃないんだけど。今は病人だから言うこと聞いてやるか…
悠登が指先からめぐの体を洗っていく。付き合っていた時は手を繋いだりして自然に触れ合ってきたはずなのに、今のめぐはものすごく緊張している。
「あっ…」
指先から腕、二の腕、肩…悠登の手が段々上がってきて鎖骨のあたりに来た時、めぐは喘ぎ声に似た小さな声を漏らした。
「変な声出すなよ。もう自分で洗え」
「やだぁ…お願い…」
ため息をつきながら悠登が再び手を動かし始めた。それはついにめぐの胸元に移動してきて…
「やん…」
「めぐ、怒るぞ」
「ごめんってばぁ…あっ…」
「めーぐー。話聞いてた?」
「だってっ…おっぱい触られたらドキドキしちゃうじゃん…」
「触ってるんじゃなくて洗ってるんだよ。しかもお前が体洗えって言ったんじゃん」
「ごめんね…大人しくしてるから…」
悠登は、めぐの体見ても触ってもなんにも思わないの?そんなに未央ちゃんのことしか見えないの?
悔しい。悠登はめぐのだったのに。
悠登とめぐが別れたのは悠登が仕事を始めてすぐの頃、つまり1年以上が経っている。未央と悠登が一夜を過ごした時よりずっと前の話なのだから未央に奪われたというわけではない。
別れていても同じ家に住んでいる以上、悠登は自分のものだと心のどこかで感じていたことを未央の存在によってめぐは気付いてしまった。
一緒にいたい。キスしたいし、気持ちいいところ触って欲しいし、触りたい。悠登とひとつになりたい…
最初から邪な気持ちで誘ったけれど、触れられれば触れられる程めぐの心はもう止まらなくなってきてしまっている。
「…っ」
どこに触れられても感じてしまう。ふわふわした泡の感触が邪魔をするのも興奮する。声を出せば悠登が怒るから我慢しているけれど、我慢すればするほどあの頃…悠登の家で声を潜めながら抱かれた初めての夜を思い出して余計に感じてしまって息が少しずつ荒いでくる。
「ここ、指入れてしっかり洗ってね…」
バスチェアに座っているめぐが足を開き、悠登は参ったな…と言わんばかりに視線を外した。
「そこは自分で洗って」
「やだ…」
「わがまま言うなよ」
「わがままで言ってるんじゃないよ?…誘ってるの…」
「だろうな」
悠登はとっくに気付いていた。こんな行動をとられれば悠登じゃなくても、誰でも気付く。
「もうむりなの、我慢できないの。…悠登、えっちしよ…」
「だからそういうのはやめよって約束しただろ。1回やったら絶対ズルズルいってセフレになるよ」
「それでもいい。めぐは悠登が好きだよ。やっぱり好きなの」
「いや、俺好きな子いるしめぐとはもうとっくに別れてるし」
「悠登は付き合ってなくてもえっち出来る人じゃん…」
「人聞き悪いな」
「だってそうじゃん。…めぐは悠登のこと好きだからどんな形でもそばにいたいの。セフレでいい。…悠登…」
めぐが泡だらけの体で悠登に抱きつき、上目遣いで悠登を見つめた。
他のところを洗われている間に肌から泡が滑り落ちてきているめぐの腕を掴んで、ただでさえ近かった悠登とめぐの距離がぐっと縮まった。どちらかが首を前に傾ければ唇と唇が触れ合うほどに。
…緊張と興奮で荒くなっていた息を整えながらめぐが目を閉じた。
本当はもう1回付き合いたい。でもそんなわがまま言わないよ…体だけでも悠登と繋がれるなら。
どこのお姫様だよお前は、と言いたくなる気持ちを抑え悠登は洗面所でめぐの着ているルームウェアを脱がせた。
薄手のパーカー、その下に着ているTシャツ、ショートパンツ。1枚ずつ脱がせていくにつれめぐの華奢な体が露わになっていく。パンツを脱がされて全裸になっためぐは、自分が脱がせてと言い出したくせにものすごく恥ずかしくなり胸元を手で隠した。
「何恥ずかしがってんだよ、お前が一緒に風呂入ろって言ったくせに」
悠登はそんなめぐを見ても動揺することなく、躊躇いもなく服を全て脱ぎバスルームに入っていった。
「くっつきすぎだろ」
「ひとりで心細かったんだもん…」
めぐは湯船で悠登の背中に抱きついて、久しぶりに触れ合う肌の感触に懐かしさと愛おしさをひしひしと感じていた。
…付き合ってた時のこと思い出すなぁ。お風呂でいっぱい、いちゃいちゃしたよね。今は彼氏彼女じゃないけどこう出来ること、ほんとに幸せ…ずっとこうしてたい。
このままずっとずっと悠登と一緒にいたい。ずっと一緒に暮らしたい。だから悠登、未央ちゃんのところに行ったりしないで…
「つかめぐ元気そうじゃん…俺先に上がっていい?髪洗うわ」
…悠登、超通常モードなんですけど。全然動揺しないし、勃ってもないし。別れたらこんなに全てが無反応になっちゃうの?
「…めぐも洗って」
「はぁ?自分で洗えよそんぐらい」
「悠登が体調崩した時はめぐがしてあげるから…」
「いや俺は体調崩しても自分で洗うし」
「うー…」
めぐが泣きそうな弱々しい声を出して、湯船から出させない様に悠登の体を後ろから強く抱きとめた。
「もー、めぐ勘弁してよ」
「今ぐらい甘えさせてよぉ…めぐ全然元気じゃないよ…」
今の状況嬉しいし幸せだけど、元気じゃないんだよ。今は体もだけど気持ちがずっと元気になれないの。未央ちゃんが初めてこの家に来てから、ずっと。
***
「…全部手で洗ってね」
「なんだよそれ」
「めぐ肌弱いもん…」
結局悠登はめぐに離してもらえず観念してめぐの髪を洗った。…のに、体を洗うことまで要求してきた。
めぐのこういうわがままなところが苦手なんだよな…付き合ってた時は可愛いと思ってたしそれが嫌いっていうわけじゃないんだけど。今は病人だから言うこと聞いてやるか…
悠登が指先からめぐの体を洗っていく。付き合っていた時は手を繋いだりして自然に触れ合ってきたはずなのに、今のめぐはものすごく緊張している。
「あっ…」
指先から腕、二の腕、肩…悠登の手が段々上がってきて鎖骨のあたりに来た時、めぐは喘ぎ声に似た小さな声を漏らした。
「変な声出すなよ。もう自分で洗え」
「やだぁ…お願い…」
ため息をつきながら悠登が再び手を動かし始めた。それはついにめぐの胸元に移動してきて…
「やん…」
「めぐ、怒るぞ」
「ごめんってばぁ…あっ…」
「めーぐー。話聞いてた?」
「だってっ…おっぱい触られたらドキドキしちゃうじゃん…」
「触ってるんじゃなくて洗ってるんだよ。しかもお前が体洗えって言ったんじゃん」
「ごめんね…大人しくしてるから…」
悠登は、めぐの体見ても触ってもなんにも思わないの?そんなに未央ちゃんのことしか見えないの?
悔しい。悠登はめぐのだったのに。
悠登とめぐが別れたのは悠登が仕事を始めてすぐの頃、つまり1年以上が経っている。未央と悠登が一夜を過ごした時よりずっと前の話なのだから未央に奪われたというわけではない。
別れていても同じ家に住んでいる以上、悠登は自分のものだと心のどこかで感じていたことを未央の存在によってめぐは気付いてしまった。
一緒にいたい。キスしたいし、気持ちいいところ触って欲しいし、触りたい。悠登とひとつになりたい…
最初から邪な気持ちで誘ったけれど、触れられれば触れられる程めぐの心はもう止まらなくなってきてしまっている。
「…っ」
どこに触れられても感じてしまう。ふわふわした泡の感触が邪魔をするのも興奮する。声を出せば悠登が怒るから我慢しているけれど、我慢すればするほどあの頃…悠登の家で声を潜めながら抱かれた初めての夜を思い出して余計に感じてしまって息が少しずつ荒いでくる。
「ここ、指入れてしっかり洗ってね…」
バスチェアに座っているめぐが足を開き、悠登は参ったな…と言わんばかりに視線を外した。
「そこは自分で洗って」
「やだ…」
「わがまま言うなよ」
「わがままで言ってるんじゃないよ?…誘ってるの…」
「だろうな」
悠登はとっくに気付いていた。こんな行動をとられれば悠登じゃなくても、誰でも気付く。
「もうむりなの、我慢できないの。…悠登、えっちしよ…」
「だからそういうのはやめよって約束しただろ。1回やったら絶対ズルズルいってセフレになるよ」
「それでもいい。めぐは悠登が好きだよ。やっぱり好きなの」
「いや、俺好きな子いるしめぐとはもうとっくに別れてるし」
「悠登は付き合ってなくてもえっち出来る人じゃん…」
「人聞き悪いな」
「だってそうじゃん。…めぐは悠登のこと好きだからどんな形でもそばにいたいの。セフレでいい。…悠登…」
めぐが泡だらけの体で悠登に抱きつき、上目遣いで悠登を見つめた。
他のところを洗われている間に肌から泡が滑り落ちてきているめぐの腕を掴んで、ただでさえ近かった悠登とめぐの距離がぐっと縮まった。どちらかが首を前に傾ければ唇と唇が触れ合うほどに。
…緊張と興奮で荒くなっていた息を整えながらめぐが目を閉じた。
本当はもう1回付き合いたい。でもそんなわがまま言わないよ…体だけでも悠登と繋がれるなら。
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