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離婚することにしました
報告と告白?
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「いらっしゃいませ。一ノ瀬様ですね、ようこそお越しくださいました。お席へご案内致します」
店内に入るまでの壁際に携帯電話にバツのマークがついた「通話禁止」を表す小さなプレートが下がっていた。静かなお店なんだろうな…と思いつつ重厚感のある黒い革張りの扉を開けると、ブラックのスーツに真っ白なYシャツ、蝶ネクタイを付けたダンディなウエイターがお辞儀をしてあたしの歩くペースに合わせながら店内の奥の方に進んでいった。
あんなプレートが下がっていただけあり、店内は案の定静かで落ち着いたジャズ音楽が程よい音量で流れている。床全体を覆う高級感のある薄いグレーの絨毯が歩く度にあたしの履いているピンヒールを軽く沈める。
通りすがりに見えるバーカウンターはオレンジ色の照明に照らされており、暗めの照明の中で自然と目が行く。ありとあらゆる種類のリキュールが置いてあり、壁際の下の方にはクリアな扉の中にグラスが沢山入っており上の方にはブランデーやウイスキーのキープボトルがずらりと並んでいる。カウンターには椅子がなく当然誰も座っていないところを見ると、厨房からの料理を出す為やお酒を出すためだけのカウンターだということがうかがえる。
一席一席が余裕を持って配置されており、ベロア調の濃いグレーの肘置き付きの一人用ソファと同素材の2、3人が座ってもまだまだ余裕のありそうなソファがマットなブラックのローテーブルを囲んでいてその上には全席にキャンドルが置かれ、空席にさえもそれが灯っている。
シャンパンを片手に食事を楽しんでいる人、お酒だけを楽しんでいる人。グラスが空になる前にウエイターがテーブル横に置いてあるスタンド付きのワインクーラーからワインを取り出し、お客さんに注いでいる。
バカ笑いをするようなお客さんは一人もおらず、談笑する上品な声がところどころから聞こえる。
…さすが高級ホテルの中の地下にあるダイニングバーだけあって、上品で高そうなお店。デニム履いてる日じゃなくてよかった…
本城さん、いつもこんなところに来ているのかな。さすがモテる人は違うな…
「こちらでございます」
案内されたのは半個室。個室用に作られたと思われるダイニングテーブルに足が付いたソファは他の席と同じ素材のものが使われている。バーカウンターと同様のオレンジ色の照明が天井からスポットで室内を照らしており、高級感に溢れている。
「未央ちゃん」
本城さんが片手を胸のあたりまで上げ、にこりと笑った。
「お疲れ様です。お待たせしました…」
「大丈夫だよ、どうぞ。ワインは飲めたっけ?」
コートを脱ぎ席に座ろうとすると“お預かり致します”と言われあたしはウエイターにそれを渡してから席に座った。
「あ、はい…」
「ボトル下ろそうか。赤?白?」
「いえ、そんなに沢山飲めないので…グラスでいいですっ…白で…」
「じゃあ飲みやすいやつにしてもらおっか。お願いします」
「かしこまりました」
ウエイターが一礼をして去っていった。
「けっこう飲めなかったっけ、未央ちゃん」
「えっと…飲めるんですけど、酔っ払ってちゃんと話せなくなると困るので…」
「そっか。俺的には酔って欲しいけどね。この上に取ってある部屋にも連れ込みやすいし」
「えっ?!」
「あはは、冗談だよ。部屋なんか取ってないから安心して。初めてのデートでそんな野獣みたいな真似はしないよ、特に未央ちゃんは人妻だから慎重にいかないとね」
「だからデートじゃないですって…」
早速セクハラ発言。ほんとに調子狂うなぁ…
「何か食べたいものある?ここはダイニングバーって謳ってるけど料理も本格的で美味しいんだよ」
本城さんがあたしにメニューを開いて渡す。
スープ・ドゥ・ポワソン、テリーヌ・ドゥ・フォアグラ、ブフ・ブルギニョン…何がなんだか全くわからない。
前菜、メイン、ドルチェ…とか区切られていてもなんとか・ドゥ・なんとか、みたいなのばっかりだし違いもわからないし…それから値段も書いてないし…なんなのここ?うちの会社の上層部の人ってどれだけお給料貰ってるの…?
「…本城さん選んで下さい…」
「あれ、フレンチ嫌い?」
「じゃなくて…おすすめでお願いします、何でも食べれますので…」
何が何かわからないので選べません…と言うのが恥ずかしかった。
本城さんは“遠慮深いね”と言いながら笑い、近くのウエイターを呼びつけなんとか・ドゥ・なんとかをスラスラと何品かオーダーしていた。
本城さんがオーダーし終えた後、グラスワインが運ばれてきて二人で乾杯をした。
「なんかすみません、あたしがお話したいって言っただけでこんな高級なお店…本城さんってすごいですね、いつもこんなところでお食事されてるんですか…?」
「そんなわけないじゃん、俺立ち飲みとかラーメン屋大好きだもん。たまにはこういうところも、ね」
さっきの振る舞いとかを見るとたまには、って感じでは全然なさそうなんですけど…。
「静かで人が少ないところの方がいいんだろうなって思ったから」
「さすがですね…」
二人っきりで食事に行くところを見られたら誤解を招くって考えてあえて人の出入りが多いホテルを選んで、その中のお店で待ち合わせにしてくれたんだろうな。本当に完璧な人だな…
「…で、未央ちゃんが話したいことって何かな」
とりあえず食べよう、と言われあたしと本城さんは運ばれてきた食事を一通り頂いた。どれも、ものすっごく美味しかった…話をしに来たのに普通に食事を楽しんでしまった。
「実は…」
優斗と離婚したこと、保険証の名前の変更や源泉徴収についてなどの手続きをお願いしたいけれど誰にもバレないようにしたい。等の旨を伝えた。
「そっかぁ…いつそうなったの?」
「えっと…2、ヶ月前ぐらいです…もっと早く言わないといけなかったのに年末調整とかで大変な時期に本当にすみません…!」
「ほんとだよ、困ったな…なんですぐ言わなかったの?」
「ごめんなさい!」
「…冗談冗談、まだ色々間に合うから。まぁ大変だったんでしょ。住所も変わってるよね、その辺も変更手続きしないと」
「…はい、すみません…ちなみに住所は変わってません…」
「旦那さんが出ていったってこと?」
「いえ、まだ一緒に住んでまして…」
「ええ?そうなの?」
「はい…」
「…なんか訳ありっぽいね」
「えっと…」
「うん。了解。じゃ早速明日動くね。周りにバレないように、けど確実にやるから安心して」
余裕ですよと言わんばかりの自信に満ち溢れた表情の本城さんを見るとやっぱりこの人頼もしいな、と安心した。
苦手なタイプだけどこの人が上司で良かった…
「ありがとうございます…!」
「じゃあさ」
本城さんが頬杖をつきながらあたしの方に身を乗り出した。急に距離が近付いてついドキッとしてしまう。
…本当に整った顔だよな…確かにこの目で見つめられると全てを見抜かれている気がする。
「たまにはこうやってご飯付き合ってよ」
「えぇ…」
「俺独身だから待ってる人もいないし家に帰っても寂しくてね。未央ちゃんが嫌なら仕方ないけど…」
含みのある言い方。脅迫ですか…?
「いえ、あたしは…。嫌、とかじゃないですよ…」
「じゃあ決まりね。…っと…もう閉店だな。お手洗い行ってくるから待っててね」
本城さんが腕時計をちらっと見て立ち上がった。
***
「すみません…ご馳走になってしまって」
「いいよいいよ。俺が未央ちゃんに出させるわけないじゃん」
「ご馳走様でした…」
「あ、もう来てるよ」
本城さんが戻ってきて、店を出る時にはお会計が終わっていた上食事をしていた店と同じ階の地下の車止めにタクシーの手配までしてくれていた。
「ありがとうございました…」
「気を付けて帰ってね。あ、あと」
「はい」
「未央ちゃんが独身になったってことは俺にもチャンスがあるってことだよね?」
「え?」
「じゃあ運転手さん、この子をお願いします」
あたしの目を見つめてふっ、と笑ったと思いきや本城さんはタクシーの方へ歩いていき、運転手さんに挨拶をした後あたしを乗せた。
「じゃあね、未央ちゃん。また明日」
「お疲れ…様です」
タクシーの窓から外で本城さんが笑顔で手を振っているのが見え、タクシーが走り出した。
何、あの言葉…まぁ冗談だよね。
なんか弱み握られた感じになっちゃった…まぁなんにせよ今日は伝えられて良かった。
帰ったら、人事部に話を通したってことを一応優斗に報告しよう。
店内に入るまでの壁際に携帯電話にバツのマークがついた「通話禁止」を表す小さなプレートが下がっていた。静かなお店なんだろうな…と思いつつ重厚感のある黒い革張りの扉を開けると、ブラックのスーツに真っ白なYシャツ、蝶ネクタイを付けたダンディなウエイターがお辞儀をしてあたしの歩くペースに合わせながら店内の奥の方に進んでいった。
あんなプレートが下がっていただけあり、店内は案の定静かで落ち着いたジャズ音楽が程よい音量で流れている。床全体を覆う高級感のある薄いグレーの絨毯が歩く度にあたしの履いているピンヒールを軽く沈める。
通りすがりに見えるバーカウンターはオレンジ色の照明に照らされており、暗めの照明の中で自然と目が行く。ありとあらゆる種類のリキュールが置いてあり、壁際の下の方にはクリアな扉の中にグラスが沢山入っており上の方にはブランデーやウイスキーのキープボトルがずらりと並んでいる。カウンターには椅子がなく当然誰も座っていないところを見ると、厨房からの料理を出す為やお酒を出すためだけのカウンターだということがうかがえる。
一席一席が余裕を持って配置されており、ベロア調の濃いグレーの肘置き付きの一人用ソファと同素材の2、3人が座ってもまだまだ余裕のありそうなソファがマットなブラックのローテーブルを囲んでいてその上には全席にキャンドルが置かれ、空席にさえもそれが灯っている。
シャンパンを片手に食事を楽しんでいる人、お酒だけを楽しんでいる人。グラスが空になる前にウエイターがテーブル横に置いてあるスタンド付きのワインクーラーからワインを取り出し、お客さんに注いでいる。
バカ笑いをするようなお客さんは一人もおらず、談笑する上品な声がところどころから聞こえる。
…さすが高級ホテルの中の地下にあるダイニングバーだけあって、上品で高そうなお店。デニム履いてる日じゃなくてよかった…
本城さん、いつもこんなところに来ているのかな。さすがモテる人は違うな…
「こちらでございます」
案内されたのは半個室。個室用に作られたと思われるダイニングテーブルに足が付いたソファは他の席と同じ素材のものが使われている。バーカウンターと同様のオレンジ色の照明が天井からスポットで室内を照らしており、高級感に溢れている。
「未央ちゃん」
本城さんが片手を胸のあたりまで上げ、にこりと笑った。
「お疲れ様です。お待たせしました…」
「大丈夫だよ、どうぞ。ワインは飲めたっけ?」
コートを脱ぎ席に座ろうとすると“お預かり致します”と言われあたしはウエイターにそれを渡してから席に座った。
「あ、はい…」
「ボトル下ろそうか。赤?白?」
「いえ、そんなに沢山飲めないので…グラスでいいですっ…白で…」
「じゃあ飲みやすいやつにしてもらおっか。お願いします」
「かしこまりました」
ウエイターが一礼をして去っていった。
「けっこう飲めなかったっけ、未央ちゃん」
「えっと…飲めるんですけど、酔っ払ってちゃんと話せなくなると困るので…」
「そっか。俺的には酔って欲しいけどね。この上に取ってある部屋にも連れ込みやすいし」
「えっ?!」
「あはは、冗談だよ。部屋なんか取ってないから安心して。初めてのデートでそんな野獣みたいな真似はしないよ、特に未央ちゃんは人妻だから慎重にいかないとね」
「だからデートじゃないですって…」
早速セクハラ発言。ほんとに調子狂うなぁ…
「何か食べたいものある?ここはダイニングバーって謳ってるけど料理も本格的で美味しいんだよ」
本城さんがあたしにメニューを開いて渡す。
スープ・ドゥ・ポワソン、テリーヌ・ドゥ・フォアグラ、ブフ・ブルギニョン…何がなんだか全くわからない。
前菜、メイン、ドルチェ…とか区切られていてもなんとか・ドゥ・なんとか、みたいなのばっかりだし違いもわからないし…それから値段も書いてないし…なんなのここ?うちの会社の上層部の人ってどれだけお給料貰ってるの…?
「…本城さん選んで下さい…」
「あれ、フレンチ嫌い?」
「じゃなくて…おすすめでお願いします、何でも食べれますので…」
何が何かわからないので選べません…と言うのが恥ずかしかった。
本城さんは“遠慮深いね”と言いながら笑い、近くのウエイターを呼びつけなんとか・ドゥ・なんとかをスラスラと何品かオーダーしていた。
本城さんがオーダーし終えた後、グラスワインが運ばれてきて二人で乾杯をした。
「なんかすみません、あたしがお話したいって言っただけでこんな高級なお店…本城さんってすごいですね、いつもこんなところでお食事されてるんですか…?」
「そんなわけないじゃん、俺立ち飲みとかラーメン屋大好きだもん。たまにはこういうところも、ね」
さっきの振る舞いとかを見るとたまには、って感じでは全然なさそうなんですけど…。
「静かで人が少ないところの方がいいんだろうなって思ったから」
「さすがですね…」
二人っきりで食事に行くところを見られたら誤解を招くって考えてあえて人の出入りが多いホテルを選んで、その中のお店で待ち合わせにしてくれたんだろうな。本当に完璧な人だな…
「…で、未央ちゃんが話したいことって何かな」
とりあえず食べよう、と言われあたしと本城さんは運ばれてきた食事を一通り頂いた。どれも、ものすっごく美味しかった…話をしに来たのに普通に食事を楽しんでしまった。
「実は…」
優斗と離婚したこと、保険証の名前の変更や源泉徴収についてなどの手続きをお願いしたいけれど誰にもバレないようにしたい。等の旨を伝えた。
「そっかぁ…いつそうなったの?」
「えっと…2、ヶ月前ぐらいです…もっと早く言わないといけなかったのに年末調整とかで大変な時期に本当にすみません…!」
「ほんとだよ、困ったな…なんですぐ言わなかったの?」
「ごめんなさい!」
「…冗談冗談、まだ色々間に合うから。まぁ大変だったんでしょ。住所も変わってるよね、その辺も変更手続きしないと」
「…はい、すみません…ちなみに住所は変わってません…」
「旦那さんが出ていったってこと?」
「いえ、まだ一緒に住んでまして…」
「ええ?そうなの?」
「はい…」
「…なんか訳ありっぽいね」
「えっと…」
「うん。了解。じゃ早速明日動くね。周りにバレないように、けど確実にやるから安心して」
余裕ですよと言わんばかりの自信に満ち溢れた表情の本城さんを見るとやっぱりこの人頼もしいな、と安心した。
苦手なタイプだけどこの人が上司で良かった…
「ありがとうございます…!」
「じゃあさ」
本城さんが頬杖をつきながらあたしの方に身を乗り出した。急に距離が近付いてついドキッとしてしまう。
…本当に整った顔だよな…確かにこの目で見つめられると全てを見抜かれている気がする。
「たまにはこうやってご飯付き合ってよ」
「えぇ…」
「俺独身だから待ってる人もいないし家に帰っても寂しくてね。未央ちゃんが嫌なら仕方ないけど…」
含みのある言い方。脅迫ですか…?
「いえ、あたしは…。嫌、とかじゃないですよ…」
「じゃあ決まりね。…っと…もう閉店だな。お手洗い行ってくるから待っててね」
本城さんが腕時計をちらっと見て立ち上がった。
***
「すみません…ご馳走になってしまって」
「いいよいいよ。俺が未央ちゃんに出させるわけないじゃん」
「ご馳走様でした…」
「あ、もう来てるよ」
本城さんが戻ってきて、店を出る時にはお会計が終わっていた上食事をしていた店と同じ階の地下の車止めにタクシーの手配までしてくれていた。
「ありがとうございました…」
「気を付けて帰ってね。あ、あと」
「はい」
「未央ちゃんが独身になったってことは俺にもチャンスがあるってことだよね?」
「え?」
「じゃあ運転手さん、この子をお願いします」
あたしの目を見つめてふっ、と笑ったと思いきや本城さんはタクシーの方へ歩いていき、運転手さんに挨拶をした後あたしを乗せた。
「じゃあね、未央ちゃん。また明日」
「お疲れ…様です」
タクシーの窓から外で本城さんが笑顔で手を振っているのが見え、タクシーが走り出した。
何、あの言葉…まぁ冗談だよね。
なんか弱み握られた感じになっちゃった…まぁなんにせよ今日は伝えられて良かった。
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