白い月

山西 左紀

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第二章

黒い月

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 東側の山越しに差し込んでくる太陽光線が、湖の反対側の山々の上部を照らしている。太陽光線はまだ遥か上空を通過していたので、彼女の短くカットされた白い髪や、つやを失い幾筋もの皺が刻まれた顔や、ほっそりとした体は影の中にあった。
 それらは彼女の年齢に見合ったものだったが、絶妙のバランスで構成されていたので、実際の年齢よりはかなり若く見える。凛とした立ち姿や、何気なく着ているシンプルなワンピースが、さらにその印象を強くした。
 彼女はテラスの手すりに肩幅より少し広げた両手を置いて軽く体重をかけ、眼前に広がる湖を見つめていた。
 季節は秋、時間は午前6時、まだ上がりきらない気温のために、彼女の息は白い蒸気となって呼吸に合わせて広がっては消えていった。
「ゲンマ!ゲンマ!中に居るの?」彼女は家の中に向かって声をかけた。
 私は上空からベランダへと降下した。「スピカ、こっちだ」
「なんだ。上に居たの。ほら!今日は風が凪いでいるから湖面がまるで鏡のようよ。見て!」スピカは両手を広げて湖を抱擁してから「あそこ!」と外輪山の中腹を指差した。「あの日があたり始めたところの紅葉と緑色のコントラストがとても素敵でしょ。日のあたっていない部分ととても対照的で、まるで陰影の上に浮かび上がった天空の庭のようよ。それに目の覚めるような空の青!それがそのまま湖に映ってるんだもの。ため息が出るわ」
 スピカの言った日のあたる部分は時間をかけて領域を拡げていき、やがて光は湖面に達した。そして暖められた空気は上昇気流となった。
「ああぁ、せっかく鏡のようだったのに。どんどん輪郭がぼやけていく……」上昇気流によって発生した風は湖面を正反射から乱反射に変化させ、スピカをがっかりさせた。日のあたる部分はさらに領域を拡げ、ようやく届き始めた太陽光線が彼女の白い髪に断続的に反射し始めた。
 暫く名残惜しそうに湖面を見つめていたスピカだったが、クルリと顔をこちらに向けると「ねえ、ゲンマ。今日は空気がキーンと張ってるね。そろそろ解禁だと思うんだけど?」と尋ねてきた。だが私の意見など聞く気も無い事は明白だ。
「スピカがそう思うなら時期が来たんだろう」
「そうね。朝ごはんを食べたらキノコ狩りに出かけようよ。もういっぱい出てるような気がする」そう言うと、期待に胸を躍らせている様子で朝食の用意をしに小屋の中へ入って行った。
 それは毎年スピカが決めることだった。大型の食用キノコを採りに出かける日、それを空気の温度や自然の色の変化と人間の勘と呼ばれる感覚で決定するのだ。キーンと空気の張る日、とスピカは言うのだが、私の高感度のセンサーは昔から完全に無視されてきた。
 ここ数十年スピカはこの大きな火山が崩壊して出来た穴、アルファルド・カルデラの探検を続けてきた。特に菌類、中でもキノコに非常な興味を持ち、次々と新しい種類を探してアルファルド中を歩き回った。キノコについては写真を撮るのと食べる事がその目的の大半だったが、専門的な知識も蓄えて学術的な調査らしき事もしていた。スピカが若いうちは徒歩やボートで何泊もキャンプをしながら外輪山を一周することも多かったが、歳を取ってあまり無理ができなくなると、さすがにそういうことは無くなった。しかし、まだまだ足腰は丈夫で、日帰りできる位の距離までは出かけていたし、ボートを使えば少し遠出もできた。もちろん私が漕ぐのだが。
 今日もその探検に出かけようというのだ。食事を済ませるとスピカは山行用の丈夫な長ズボン、ウインドブレーカー、前方に小さなつばのついた帽子、それにトレッキングシューズといういでたちで出発した。テラスから出発して森の中を少し下るとスピカが作った小さな農園が有る。数年毎に焼畑を繰り返して何十年も耕作を続けてきた大切な畑だ。色々な種類の作物が生産され、釣獲することのできる魚と合わせて、かなり前から冷凍庫のパウチパックを利用することはほとんど無くなっていた。
 収穫が終わって刈り跡だけがランダムに並んで残る穀物畑の横を抜け、種を取るために野菜や豆が少しだけ残してある畑の横を通り過ぎると、道は踏み跡に変わって森の中へと続いてゆく。私は横に並んだり上空から見降ろしたりしながら、スピカの状態が把握できる程度の距離を保って同行した。スピカの小屋は湖に突き出した半島の先端に立っていたが、今日の山行はその半島の付け根まで歩き、さらに外輪山の中腹まで登るというものだった。尾根にそって出来た踏み跡を辿りながら、時々沢伝いに下ってキノコを探し、生えていれば写真を撮ったり採取したりし、また尾根まで登ってを繰り返す。スピカは5ヶ所でこれを繰り返してから尾根の上で休憩を取った。
「ゲンマ、わたしも歳を取ったのかな?若い頃なら外輪山まで休憩なしで行けたのにね」スピカが湖の向こう、遠い外輪山を見つめながら訊いてきた。
「私のデータとスピカの話を総合すると、すでにスピカは90歳を超えている。これは人間として歳を取ったと判断するには充分だ。だが、その年齢でこの体力は驚愕に値する」
 スピカは遠くを見つめたまま微笑んだ。
 暫くそうした後、急にこちらを向いて「ありがとう。それは誉めてもらってると解釈していいんだよね?」と言った。
「私は人間が嬉しく感じることを自分も嬉しいと感じるように作られている。そして私はスピカが自分の体力を維持できていることを嬉しく感じていると考えている。だから誉めていると解釈してもらって結構だ。データベースにその年齢でこの体力を維持した人間のデータは無い」
「わたしは嬉しいのかどうか自分ではわかんないな……」スピカはまた遠い目をしていたが「でも、体が辛いよりはこのほうがずっといいよね!」と立ち上がった。

 スピカはキノコ狩りを始めた時からずっと、採取したキノコの同定に私の分析システムは使わず、持参したタブレットからサーバを参照して、そこに有るライブラリーのデータを頼りに食べられるかどうかを判断した。食べられると判断しても、最初は微小なかけらをゆでて食べることから始め、異常が無ければ徐々に大きくした。一歩間違えば命にかかわることだ。私は何度も警告した。するとスピカは「大丈夫よ。ちゃんと調べてるんだから。もしあたって私が死んでもゲンマは困らないでしょう?だれも悲しむ人もいないわ。この真っ赤な艶々とした、いかにも毒々しいこのキノコが美味しく食べることができて、こっちの茶色のふんわりとしたパンのようなキノコが毒を持っているなんて誰が考える?これとこれ、どう見ても全く同じキノコに見えるのにこっちは猛毒、そしてこっちは食べられるなんて信じられる?ドキドキするわ。ねぇ!そう思わない?ゲンマ」そう言うとまた新しいキノコをテーブルの上に載せ、データと見比べるのだった。その微笑みを湛えた生き生きとした表情を見ると、私は何も言うことができなくなった。その時私は自分が人工知能の3原則を逸脱することができることを認識したのだ。
 ただ、私がもしスピカが死んだらNET上の友人達がどう思うだろう、と質問した時のスピカの諦めきったような表情と無言で返された答えは、私のメモリーに非常に大きなデータを残した。スピカは言葉では質問に答えず「ねえ。ゲンマ。この妖精のお家のようなオレンジ色の傘、美味しそうだし可愛いと思わない?でもデータと見比べると多分このキノコね。猛毒って書いてあるわ。駄目ね」と写真にデータを付けライブラリーに保存した。私はスピカがなぜ命を賭けてまでキノコ狩りに熱中するのか理解することはできなかった。
 本当にスピカが死んでしまっても私にとって何も支障は無かったが、実際には何回かお腹を壊すぐらいで済んではいた。それ以降、私はスピカを静かに見守ることにした。

 スピカは尾根沿いに歩を進め、さらに何ヵ所かの沢を下り、いつもの場所でいつもの美味しいキノコを発見し歓声を上げた。「やった~!輪を描いてるよ」大きく傘を広げた茶色いキノコが輪を書くように群生していた。独特の香りがセンサーに感じられる。「いい香りだね。食べられる香りだよ」周りは胞子で真っ白になっていて、落ち葉の下を探るとキノコのつぼみが幾つも出てきた。スピカは大騒ぎをしながら食べきれるだけそれを採集し籠に放り込んだ。さらに少し横道に入っては、これまでに見たことの無いキノコの写真を撮り、少しだけ採集した。籠がいっぱいになると、それは私の下げている大きな籠に移され、運搬は私の役目になった。やがて踏み跡は外輪山に差し掛かり、急な登りになった。スピカは息を切らしながら、それでもキノコの採集を続け中腹にある少し開けてテラス状になっている岩棚まで登った。「ふ~~ぅ」スピカは大きく息を上げると「ゲンマ!今日はここまでにしよう。お昼を食べてゆっくりしたら引き上げよう」と言うとテラスの一番前に座り、足をテラスの外にぶら下げた。足元は垂直な岩の壁になっていて、ぶら下げた足の下には20メートル以上の空間が広がっていた。

 私がスピカに出会った頃、始めてここにやってきた時もこうやって座るので私は警告した。すると「大丈夫よ。ちゃんと気を付けて座ってるんだから。もし私が落ちて死んでもゲンマは困らないでしょう?だれも悲しむ人もいないわ」と言ってぼんやりと向かいの外輪山を眺めたのだった。そして立ち上がった時には「ここで立ち上がるとわたしはね、ゲンマ。こうやって……」と一歩前へ踏み出そうとした。「飛び出したいっていう衝動に駆られるの。ブワ~~ッてここから降りていく感じ?すごく気持ちが良さそうな気がするのよね。でも頭から肩までキュ~ンと締め付けられる感覚?そんな感覚で一歩前へ出ることは出来ないの。それでね。そっと後ろへ下がるの」とゆっくりと後ろへ下がった。そしてまだつやつやしていたその顔で力なく微笑んだのだった。
 私はそれ以降警告することを止めてしまった。

 70年が経過した今もスピカは足をブラブラさせながらぼんやりと向かいの外輪山を眺めている。足元には馬蹄形の第2カルデラを構成する2つの半島がミアプラキドゥス湖に向かって突き出している。半島には右側はボルックス、左側はカストルと言う名前が付けられていた。スピカの小屋はカストルの先端にあって、我々はカストル半島を先端からずっと移動してここまで登って来たのだ。2つの半島に囲まれた濃い青色の水を湛えた水域は中湖と呼ばれ、この湖で一番水深が深い部分だ。
「ねえゲンマ。ここから見る風景は本当に綺麗だね!」スピカは子供のような顔をこちらに向けて嬉しそうに言った。とても90歳を超えているようには見えない。
「冬葉緑に紅葉色や黄葉色や枯葉色をちりばめた山、本当にこれが自然に出来たものだって思う?この組み合わせとバランス、絶妙だと思わない?木々が一本ずつのそれぞれに勝手に色付いてたら、とてもこんな風な並びにはならないと思うの。何か不思議な力が離れた所から全体のバランスを見て配置を決めたんじゃないかって思えてくるんだ。わたしはこれまでそんなことを思わないようにしていたんだけど……」私は反応を返さなかった。
「それにあの中湖の透明な冷たい深水色、周りの湖の色よりいっそう深くて、こんな深い色合いの巨大な宝石が、この細かな綺麗な色の飾り石をちりばめたボルックスとカストルの間に、自然にはまり込んだなんて。誰が信じる?」私が反応を返さないので、スピカは景色の方へ目を戻してしまった。
 しばらくして小刻みに震える肩を見て私は尋ねた。「泣いているのか?」
「泣いていたらいけない?」振り向いたスピカはポロポロと涙をこぼしていた。
「スピカが涙を流していてもなんら不都合は無い」
「でしょ。でも、わたし……なんで泣いてるんだろう?わかんないよ。ゲンマ、少しの間泣いていてもいい?」
「時間はたくさん有る、問題無い」
「ありがとう」しばらくの間スピカは遠く外輪山の方を向いて肩を震わせていた。

 スピカが私に泣き顔を見せるのはこれで二度目になる。前回は23歳の頃、私にぶら下がって上空4000メートルまで上昇して外輪山の外を覗いた時だ。延々と広がる赤錆色の砂漠に声を失ったスピカは静かに涙を流したのだ。それ以降スピカはこのアルファルド・カルデラを出る話はしなくなった。そして菌類の調査に情熱を燃やし始めたのだ。

「お昼ごはんにしようか?」振り向いたスピカは勤めて明るく振舞う様子で言った。
「かまわないが、私には……」いつものように私が答えようとすると、スピカもいつものように途中で遮り「ゲンマの最大の欠点は食べないこと、だよね」と言ってニッコリ笑った。

 これがスピカと私の最後のキノコ狩りになった。このあとスピカはキノコ狩りに出かけなくなったのだ。何度かのシーズンがやってきたが、スピカはもう尾根を歩くことはなく、昼は畑仕事や魚釣り、たくさんある雑用、そして夜は映画を見たり小説の創作に勤しんだ。NETに発表する作品の数は増えていき、コメントもたくさんもらっているようだった。しかし、徐々にスピカの精神機能は衰え、スピカと私との意思疎通は難しくなった。私にボートを漕がせて湖に出ても、長い時間黙ったままぼんやりと周りの風景を眺めることも多くなった。
 たった一人で70年以上の時を過ごしてきたスピカにとって、やはり精神的な負荷は相当大きかったのだろう。アルファルドという名の通りの絶望的な完全閉鎖世界で、NET上に構築された仮想社会と人工知能とのコミュニケーションだけでこれだけの間機能を維持できたのは、スピカの精神の特異性によることが大きかったと思われる。スピカの精神はこの特殊な環境に見事に適応してきた。しかしそれにもやはり限界があったのだ。私は起動してからずっと観測を続けていたが、データベースにはこのような特殊な環境に適応した人間のデータは存在していない。
 徐々に精神機能の衰えたスピカは、私を機械として認識したり人間として認識したりを交互に繰り返し、私は友人になったりロボットになったり初恋の人になったりした。私には色々な人格をエミュレートする機能があったので、どんな対応でも可能だった。初恋の人の記憶が戻っている間に、私はスピカの本当の名前を知ることができた。それは東域の弓状列島にあった国に咲く、美しい花の名前と同じだった。記憶が戻っている間にその名前で呼んでやると、彼女はたくさんの人と繋がりを持っていた若い時代に戻るのだ。彼女は笑い、はしゃぎ、そして快活に喋った。そして時が来るとまたスピカに戻った。

 外輪山に薄っすらと雪が積もり、テラスが凍りついた霜で白く光る冬の朝。
 彼女は静かに逝った。

 私は彼女の生命反応が完全に停止したのを確認すると、閲覧可能になったメモリー最下層のディレクトリの中に入った。そこにはこれまでの経緯情報と現時点以降の行動指令データが入っている。
 第三次アポトーシスであるデュスノミアの崩壊直後、関連設備の数は連鎖崩壊により最低稼働限界値を遥かに下まわり、人類再生計画はついに破棄された。わずかに残された再生施設は細々と稼働を続けたが、徐々に数を減らし、ついに4年後に最後の1つ、それも生活環境施設を残すのみとなった。それは奇しくもアルファルド“孤独なもの”と呼ばれる施設だった。その事実が確定となった時、人類再生計画を司る人工知能メイサV30は機能を限定モードに移行してサポートに回った。サポートとしてのメイサの役割はもうほとんどなかったが、スピカが利用していたNET仮想社会のダミー人格などはメイサが作り出したものだ。そして、終焉観測システムを司る人工知能ゲンマV30が限定モードから起動した。それが私だ。メイサとゲンマ、全く同じに作られた2つの第13世代V30シリーズ人工知能は相互にバックアップ機能を補完しあう双子のシステムだ。
 だが彼女が逝った今、私もすべての役割を終えた。行動指令データでは私達2つの人工知能に対して機能停止の許可が与えられていた。私達が機能を停止してもアルファルド、この地上最後の楽園は、もうしばらくの間(10年程度と推測される)核融合電池の寿命が尽きるまでは維持されるだろう。

 終焉観測システム「MITORI」
 MITORI
 exit

 observer 880
 shut down
 
 A.I MEISSA V30 system
 halt
 
 A.I GENMA V30 system
 halt

 see you again
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