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(3)─入学式─君との日々〈出会い〉─
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始業式も終わり、皆が新しいクラスに少しずつ馴染んできた、そんな時。
俺は何だか落ち着かずにいた。
美由紀。同じクラスになって、可愛いって思って意思してた君が、斜め後ろの席にいるんだから。
少しでも、仲良くなれたら良いな。
なんて俺は考えて、俺はどきどきしてた。
そんな俺に君はまだ、気づいてはいなかったみたいだったけど。
だけど。入学式─。
俺たちは出会った。
出会った、で良いんだと思う。
それは、瞬間だった。
入学式。
体育館で、入学生への校長の長い話にそろそろ皆が飽きていて、俺が欠伸を噛み殺していた時─。
目の前の君がふらつき、パイプ椅子ごと倒れそうになった。
えっ?!危ない!!
俺は慌てて君を支えた。君は真っ青な顔をしてた。
「ごめんね─。貧血なの…。少し酷くて…。ごめん。…もう平気…。保健室いってくるから…。」
あの時の君は全然平気そうに見えなかった。
だから俺はすぐさま、
「俺、保健室連れてくわ。先生に言っといて。」
隣にいた友人の西村にそう言って、君を抱き寄せるようにすると─。
君は、驚いたのか、
「きゃぁ…っ。」
なんて可愛い声を出した。
やっぱり可愛いな…。
そんなことを考えてる俺に対して、
「やめて、やめて─。一人で行けるから─。」
そう抵抗する君に。俺は一言。
「おとなしくしないと、目立つよ。」
途端に静かになった君を連れて、俺はそのまま、保健室へ行ったんだ。
保健室に着いてから。
あいにく、保険医は留守で。
とりあえず、俺は君を椅子に座らせた。
しばらくは調子も悪そうだった君も、それからだいぶたって、調子も良くなったのか、
「助けてくれて、ありがとう。同じクラスの榊美由紀です。確か、斜め前の席の、喜多見くん、だよね?」
そう、俺に声をかけてくれた。
覚えてくれてた!!すごい!やったぁ!
俺は内心嬉しくて飛び上がりそうだったけれど、
「あ、うん。喜多見和人。よろしく。」
そう、冷静を装おってみせるのが、やっとだった。
君が声をかけてくれたのに、君の方を見ることも出来なかった。
でも、俺がそんな態度をとったからか、急にしょんぼりした君に、
まずかったかな…?冷たい奴って思われた…?
俺は一気に不安になった。空気を変えたくてそれで懸命に話しだした。
もう、冷静さなんていっぺんに忘れて。
「貧血、酷いって言ってたけど…。気にするなよ。…大丈夫だよ。」
「…どうして…?」
君は俯いたまま、怪訝そうに俺にたずねた。
「また学校だったら、今日みたいに俺が保健室まで運ぶし。俺が助けるよ。」
俺はその時必死だった。
しょんぼりした君に、嫌われたくなかったから。
だけど…。
何言ってんだろ…。俺…。ひかれるよな。
自分で思った時だった。
「あはは!うん。和人くん。…ありがとう。学校で一緒の時は助けてね。」
そう、君は俺に微笑んだ。
「まかせといて。」
俺は言って。
そして。俺も君に笑顔で、
「よろしく、榊。」
そう言って右手を差し出した。
君は少し躊躇いがちにその手を握ぎると、
「よろしく…和人くん。…美由紀って呼んで?仲良くしてね。」
そう言って微笑った。
その笑顔があんまりにも素敵で。
俺はしばらく胸の鼓動が高まって仕方なかった。
俺はその瞬間、君への本当の恋をしたんだ。
それは、春の、出会いだった。
保健室の窓からは風が桜の樹の花びらを舞い込んでいた。
俺は何だか落ち着かずにいた。
美由紀。同じクラスになって、可愛いって思って意思してた君が、斜め後ろの席にいるんだから。
少しでも、仲良くなれたら良いな。
なんて俺は考えて、俺はどきどきしてた。
そんな俺に君はまだ、気づいてはいなかったみたいだったけど。
だけど。入学式─。
俺たちは出会った。
出会った、で良いんだと思う。
それは、瞬間だった。
入学式。
体育館で、入学生への校長の長い話にそろそろ皆が飽きていて、俺が欠伸を噛み殺していた時─。
目の前の君がふらつき、パイプ椅子ごと倒れそうになった。
えっ?!危ない!!
俺は慌てて君を支えた。君は真っ青な顔をしてた。
「ごめんね─。貧血なの…。少し酷くて…。ごめん。…もう平気…。保健室いってくるから…。」
あの時の君は全然平気そうに見えなかった。
だから俺はすぐさま、
「俺、保健室連れてくわ。先生に言っといて。」
隣にいた友人の西村にそう言って、君を抱き寄せるようにすると─。
君は、驚いたのか、
「きゃぁ…っ。」
なんて可愛い声を出した。
やっぱり可愛いな…。
そんなことを考えてる俺に対して、
「やめて、やめて─。一人で行けるから─。」
そう抵抗する君に。俺は一言。
「おとなしくしないと、目立つよ。」
途端に静かになった君を連れて、俺はそのまま、保健室へ行ったんだ。
保健室に着いてから。
あいにく、保険医は留守で。
とりあえず、俺は君を椅子に座らせた。
しばらくは調子も悪そうだった君も、それからだいぶたって、調子も良くなったのか、
「助けてくれて、ありがとう。同じクラスの榊美由紀です。確か、斜め前の席の、喜多見くん、だよね?」
そう、俺に声をかけてくれた。
覚えてくれてた!!すごい!やったぁ!
俺は内心嬉しくて飛び上がりそうだったけれど、
「あ、うん。喜多見和人。よろしく。」
そう、冷静を装おってみせるのが、やっとだった。
君が声をかけてくれたのに、君の方を見ることも出来なかった。
でも、俺がそんな態度をとったからか、急にしょんぼりした君に、
まずかったかな…?冷たい奴って思われた…?
俺は一気に不安になった。空気を変えたくてそれで懸命に話しだした。
もう、冷静さなんていっぺんに忘れて。
「貧血、酷いって言ってたけど…。気にするなよ。…大丈夫だよ。」
「…どうして…?」
君は俯いたまま、怪訝そうに俺にたずねた。
「また学校だったら、今日みたいに俺が保健室まで運ぶし。俺が助けるよ。」
俺はその時必死だった。
しょんぼりした君に、嫌われたくなかったから。
だけど…。
何言ってんだろ…。俺…。ひかれるよな。
自分で思った時だった。
「あはは!うん。和人くん。…ありがとう。学校で一緒の時は助けてね。」
そう、君は俺に微笑んだ。
「まかせといて。」
俺は言って。
そして。俺も君に笑顔で、
「よろしく、榊。」
そう言って右手を差し出した。
君は少し躊躇いがちにその手を握ぎると、
「よろしく…和人くん。…美由紀って呼んで?仲良くしてね。」
そう言って微笑った。
その笑顔があんまりにも素敵で。
俺はしばらく胸の鼓動が高まって仕方なかった。
俺はその瞬間、君への本当の恋をしたんだ。
それは、春の、出会いだった。
保健室の窓からは風が桜の樹の花びらを舞い込んでいた。
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