39 / 42
イヤメテの町
39「隣の部屋で『実の弟』のような少年が寝ているのに、無言のまま一人で激しい上下運動を繰り返してしまう、わたし…」の巻
しおりを挟む
宿屋の堅い木製の床の上で、片手の人差し指と親指だけで『指立て伏せ』をするカフェル。
本人の指立て伏せの動きに応じて一斉に嬉しい悲鳴を上げるカフェルの上半身の筋肉達と、それに嫉妬する下半身の筋肉達(本人同様、筋肉も変態)。
激し過ぎる運動を淡々と繰り返しながらも、自分に厳しいカフェルは心の中だけで独りごちた。
(まだまだ、だな。わたしは……)
カフェルは、冒険者だった父親譲りの『怪力』の特性を持っている。しかし、自分はまだまだそれを使いこなせてはいない…とカフェルは感じていた。
おそらく、カフェルが我流で鍛えているせいでもあるのだろう。だが、実際問題として、冒険者をやりながら誰かに剣を教わることは難しい──
──
……わぁ!ふかふかの宿屋のベッド!
宿屋の薄い壁一枚隔てて、隣の部屋に泊まるモビーの呑気な声が聞こえてきた。深刻に考えていたカフェルの頬に思わず笑みが溢れる。
(……まったく!
──あいつは子供の頃から変わらないな)
カフェルは心のなかでそう独りごちながら床の上に座り、額に浮かぶ玉のような汗をタオルで拭う。
幼なじみの『変わらなさ』にどこか安心しつつも、洞窟の中で自分の身体をタオルで拭った時の、意外と力強いモビーの指の感触をカフェルは思い出した。
無意識的に自分の胸の辺りに指先を這わせながら、モビーの指先の感触を再現しようとするカフェル。
最近、モビーは背も伸びて、少しずつ男性っぽくなってきたようにカフェルは感じている。
(……もうすぐ、背も追い抜かれる…かな?)
お互いに無邪気な子供だった頃。
「おねえちゃん、カフェルおねえちゃん!」と舌っ足らずなかわいい声で呼びながら、自分の後をよちよち追いかけてくる『ちっちゃなモビー』をカフェルは思い出す。
──あの頃は、自分が将来『モビーの部下』になるだなんて思いもしなかった。
自分が無意識的にモビーの部屋の方をじっ…と眺めていることに気付いたカフェルは、フッ…と軽く自嘲的な笑みを浮かべた。
(なにを考えているのか、わたしは!あんな年下相手に…)
カフェルのような、冒険者小隊の前衛戦士は小隊全体の『盾』でもある。それ故に小隊メンバーの誰か一人に対して、特別な想いを抱くことは赦されない。
少なくとも、カフェルはそう思っている。
(……いまのわたしは、あいつの小隊の『戦士』だ!しっかりしろ、カフェル!)
自分で自分を叱咤しながら、カフェルはスクワットを開始した。突然始まった激しい上下運動に思わず歓喜の乳酸菌を放出するカフェルの下半身の筋肉達(ド変態)。そして、それに嫉妬するカフェルの上半身の筋肉達(ド変態2)
ちなみに街にいる時のカフェルのトレーニングメニューは、『指立て伏せ(片手ずつ)×50回、スクワット×50回、V字腹筋×50回、骨密度を高める鉄球殴り(腕部と脚部)×50回、リアルシャドー3分』を、『10セット』繰り返す。
バカじゃなかろうか。
続く…
次回は〚ラッテの夜〛…
本人の指立て伏せの動きに応じて一斉に嬉しい悲鳴を上げるカフェルの上半身の筋肉達と、それに嫉妬する下半身の筋肉達(本人同様、筋肉も変態)。
激し過ぎる運動を淡々と繰り返しながらも、自分に厳しいカフェルは心の中だけで独りごちた。
(まだまだ、だな。わたしは……)
カフェルは、冒険者だった父親譲りの『怪力』の特性を持っている。しかし、自分はまだまだそれを使いこなせてはいない…とカフェルは感じていた。
おそらく、カフェルが我流で鍛えているせいでもあるのだろう。だが、実際問題として、冒険者をやりながら誰かに剣を教わることは難しい──
──
……わぁ!ふかふかの宿屋のベッド!
宿屋の薄い壁一枚隔てて、隣の部屋に泊まるモビーの呑気な声が聞こえてきた。深刻に考えていたカフェルの頬に思わず笑みが溢れる。
(……まったく!
──あいつは子供の頃から変わらないな)
カフェルは心のなかでそう独りごちながら床の上に座り、額に浮かぶ玉のような汗をタオルで拭う。
幼なじみの『変わらなさ』にどこか安心しつつも、洞窟の中で自分の身体をタオルで拭った時の、意外と力強いモビーの指の感触をカフェルは思い出した。
無意識的に自分の胸の辺りに指先を這わせながら、モビーの指先の感触を再現しようとするカフェル。
最近、モビーは背も伸びて、少しずつ男性っぽくなってきたようにカフェルは感じている。
(……もうすぐ、背も追い抜かれる…かな?)
お互いに無邪気な子供だった頃。
「おねえちゃん、カフェルおねえちゃん!」と舌っ足らずなかわいい声で呼びながら、自分の後をよちよち追いかけてくる『ちっちゃなモビー』をカフェルは思い出す。
──あの頃は、自分が将来『モビーの部下』になるだなんて思いもしなかった。
自分が無意識的にモビーの部屋の方をじっ…と眺めていることに気付いたカフェルは、フッ…と軽く自嘲的な笑みを浮かべた。
(なにを考えているのか、わたしは!あんな年下相手に…)
カフェルのような、冒険者小隊の前衛戦士は小隊全体の『盾』でもある。それ故に小隊メンバーの誰か一人に対して、特別な想いを抱くことは赦されない。
少なくとも、カフェルはそう思っている。
(……いまのわたしは、あいつの小隊の『戦士』だ!しっかりしろ、カフェル!)
自分で自分を叱咤しながら、カフェルはスクワットを開始した。突然始まった激しい上下運動に思わず歓喜の乳酸菌を放出するカフェルの下半身の筋肉達(ド変態)。そして、それに嫉妬するカフェルの上半身の筋肉達(ド変態2)
ちなみに街にいる時のカフェルのトレーニングメニューは、『指立て伏せ(片手ずつ)×50回、スクワット×50回、V字腹筋×50回、骨密度を高める鉄球殴り(腕部と脚部)×50回、リアルシャドー3分』を、『10セット』繰り返す。
バカじゃなかろうか。
続く…
次回は〚ラッテの夜〛…
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる