冒険者パーティーにサキュバスは必要ですか?

アマノヤワラ

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クッコロ洞窟の冒険者

4「ヤベェ奴に関わったッス!」の巻

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「…いや、もうほんとにヤメて頂けませんかね。マジで」

 思わずオレは声に出して言ってしまった。

 目の前の光景に呆れ果てて、今まで声を出すのさえ忘れてしまっていた。

「シャラップ、ユー!」

 『敵』は背中を向けたまま、オレに異様に爪の長い人差し指を向けて知らない言葉で罵ってきた。
 よく手入れの行き届いた健康そうな爪だ。

「…いやこれ何なんすか、マジで」

 オレは呆れ果てて『敵』に質問する。

 『敵』は興ざめしたようにフーッ…と息をつき、見えない鎖で壁に括り付けられているオレの方をゆっくりと振り返った。
 振り向いた『敵』は、さっきまでの熱狂が嘘のように冷めた目をしている。

「…なんで、ノッてくれないかな。キミは。
 『自分の目の前で凌辱される幼なじみ達を見せつけられつつも、何もできないオレ!』
 っていう最高のシチュエーションにしてあげてるじゃない!」

 なぜか、不満げにオレに文句を言ってきた。なにを言っとるんだこいつは。

「………ッ!?」

 縛られたままのオレは、無言で『敵』を見る。
 オレの目を見返す『敵』の目には曇りひとつなく、“本当に意味が分からない”と言いたげだ。

「まったく、ほんとに近頃の若者は情熱がないって話は本当ね。少しはキミの仲間達を見習いなさいッ!」

 ビシッ!と、褐色の肌をした『敵』はオレの仲間達を、血色のいい長い爪の人差し指で指さした。

「ぅうお…うおぉぉあう…ッ…!」
「嫌ァ…。そんなッ、ら…、らめ~んっ…!」

 【幻覚】を見せられているらしいオレの幼なじみ二人|(バカ)は、女戦士っぽい吠えるような野太い声と、なんだかよく分からない矯声で、それぞれ喘いでいる。

 ………どうやら、このダンジョン内にはマトモな人間はオレだけしか残っていないようだ。



 続く…
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