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【プロローグ】人類各種族の歯の特徴と話し方

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 人類種族別の形質的な特徴を考えた場合、【ゴブリン】ほど稀(まれ)な人類はいない。

 まず彼らは『一生伸び続ける上顎(うわあご)と下顎(したあご)の犬歯』を持っている。それ故に常に硬いものを齧(かじ)り続けていなければ、伸びすぎた歯によって自らの顎(あご)の骨が外れてしまう、という定めを生まれつき持っている。
 【ゴブリン】の、この種族的特徴は彼らが生来、自然界にあまねく存在する『魔素』への感受性が高く、肉体の許容量をはるかに超えて無意識的に体内に魔素を取り込んでしまう体質であるから、と考えられる。
 彼らはその出っ張った『犬歯』故に、会話の際に『歯擦音(しさつおん)』と『ギャギャ』という独特の発音を組み合わせてお互いの意思疎通を行う。この『話し方』は歴(れっき)とした彼ら固有の文化であり、他の種族からなんら避難されるべき筋合いのものでもない。
 しかし、歴史的にはこのゴブリンの歯の特徴からくる独特の話し方が他の人類種族の側から、ゴブリンをして『未開種族』のレッテルを貼(は)られることとなり、ゴブリンに対する数々の誤解を生む原因となっているようなのだ。
  オークの生物学者 ポルコ・マイアの論文
 『人類各種族の歯の特徴と話し方』より抜粋



 To Be Continued.⇒【1】
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