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33話『最初から』
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「うわぁぁぁぁ!」
「ガゥ!」
「ひぃ!く、来るなぁ!」
男たちは私に怯えるように逃げていく。
私は最後に脅しとばかりに吠えた。
「アォーーーン!」
男たちがいなくなり、獣化が解けると私は真っ先にエルシュ様に駆け寄った。
「エルシュ様、大丈夫ですか?」
顔を俯けたままエルシュ様は動かない。
「…さい」
「え…?」
思わず聞き返すとエルシュ様は顔を上げた。目の端に涙が溜まっている。
「ごめんなさい!」
「エルシュ様…?」
なんのことか私には分からなかったが、エルシュ様は謝り続ける。
「本当にごめんなさい。私、あなたに酷いことしたのに…なのに助けてくれるなんて」
「大丈夫ですよ」
「え?」
「最初から分かってました。エルシュ様が私のことが嫌いじゃないこと」
「なんで分かったの?」
「初めて顔を合わせた時、エルシュ様目を輝かせてましたから。まるで、同年代の友達を見つけたみたいな目で」
「!」
図星だったのかエルシュ様の顔が真っ赤になる。
「…し、仕方ないじゃない。キラがこんな可愛い女の子を屋敷に置いてるなんて、ずるいって思ったんですもの」
「え…、私可愛くなんてないです」
「可愛いの!」
「いいえ、違います!」
「可愛いったら可愛いの!」
エルシュ様は引かずに言い続ける。
「可愛くないです!」
▽▲▽
こんにちは。
次は少し真面目な話になります。
それでは、
「ガゥ!」
「ひぃ!く、来るなぁ!」
男たちは私に怯えるように逃げていく。
私は最後に脅しとばかりに吠えた。
「アォーーーン!」
男たちがいなくなり、獣化が解けると私は真っ先にエルシュ様に駆け寄った。
「エルシュ様、大丈夫ですか?」
顔を俯けたままエルシュ様は動かない。
「…さい」
「え…?」
思わず聞き返すとエルシュ様は顔を上げた。目の端に涙が溜まっている。
「ごめんなさい!」
「エルシュ様…?」
なんのことか私には分からなかったが、エルシュ様は謝り続ける。
「本当にごめんなさい。私、あなたに酷いことしたのに…なのに助けてくれるなんて」
「大丈夫ですよ」
「え?」
「最初から分かってました。エルシュ様が私のことが嫌いじゃないこと」
「なんで分かったの?」
「初めて顔を合わせた時、エルシュ様目を輝かせてましたから。まるで、同年代の友達を見つけたみたいな目で」
「!」
図星だったのかエルシュ様の顔が真っ赤になる。
「…し、仕方ないじゃない。キラがこんな可愛い女の子を屋敷に置いてるなんて、ずるいって思ったんですもの」
「え…、私可愛くなんてないです」
「可愛いの!」
「いいえ、違います!」
「可愛いったら可愛いの!」
エルシュ様は引かずに言い続ける。
「可愛くないです!」
▽▲▽
こんにちは。
次は少し真面目な話になります。
それでは、
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