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プロローグ 終わりと始まり。
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夏は嫌いだ。半袖でで歩くのが嫌いな私にとって、夏の日差しと熱は天敵でしかない。長袖だと汗ばんで腕に袖が引っ付く、妥協して半袖にすれば容赦なく肌を焼かれる。
そんな真夏の昼下がり、私は夏休みの課題を中断して冷たいものを買いに近くのコンビニに来ていた。
「らっしゃっせー。」
アルバイトの男の子がやる気のなさそうな声を出している。
汗ばみながら熱を溜め込んでいる体を、クーラーの吹き出し口の前に晒して全身に冷気を浴びる。それだけで、生き返るように心地よかった。
冷蔵コーナーで何か甘いものでも買って帰ろうと、クーラーの前から離れて歩き出す。すると、レジの付近が慌ただしいことに気がついた。陳列棚から顔を覗かせてみると、目出し帽を被った二人組の男が、店員にナイフを突きつけてお金を要求していた。
「静かにしろ!痛い目に遭いてぇのか!」
近くでパニックを起こして泣きじゃくっていた子供に、男の一人が手に持ったナイフを突きつける。しかし、それが裏目に出て、子供はさらに大きな鳴き声をあげた。
「あー!!うるせぇな!!」
怒鳴りながら子供に向かってナイフを振り上げる男。流石に刺したりはしないだろう。このままじっと、静かにしていれば何も問題は起きない。お金を受け取った犯人は、そのまま立ち去っていくに違いない。そう思っていた。
「危ない!」
しかし、私の体はその意思とは反した動きをし、無意識のうちに子供に駆け寄って、上から覆い被さった。
ザクッ!
背中に今まで経験した事のない激痛が走る。思わず私は覆い被さっている子供を力一杯抱きしめた。この激痛に耐えるために、気がおかしくならないように、子供の弱い体を力一杯抱きしめてしまった。
「こ、こいつ・・・。」
「構うな!逃げるぞ!」
お金を奪った犯人たちは、急いで店から出て行った。
無造作にナイフが引き抜かれた傷からは、大量の血が流れ出しているようで、背中全体が生暖かい。
痛みのせいかうまく呼吸も出来ないでいると、周りに居た大人たちがゾロゾロと集まってきて、私の状態を確認し始めた。
「君!しっかりしろ!今救急車を呼んでいるからな!」
力が抜け切った私から子供が引き離される。寂しさを感じつつも、下がっていく体温に体を小さく痙攣させながら、ゆっくりと頬が床につく。私の血で真っ赤に染まった床は非情なまでに冷たく、私から体温をどんどん奪っていく。
あれ?誰かいる?
掠れていく視界。遠くなる音。寂しさと孤独感を感じながら、私の体はその短い生命活動を終えた。
そんな真夏の昼下がり、私は夏休みの課題を中断して冷たいものを買いに近くのコンビニに来ていた。
「らっしゃっせー。」
アルバイトの男の子がやる気のなさそうな声を出している。
汗ばみながら熱を溜め込んでいる体を、クーラーの吹き出し口の前に晒して全身に冷気を浴びる。それだけで、生き返るように心地よかった。
冷蔵コーナーで何か甘いものでも買って帰ろうと、クーラーの前から離れて歩き出す。すると、レジの付近が慌ただしいことに気がついた。陳列棚から顔を覗かせてみると、目出し帽を被った二人組の男が、店員にナイフを突きつけてお金を要求していた。
「静かにしろ!痛い目に遭いてぇのか!」
近くでパニックを起こして泣きじゃくっていた子供に、男の一人が手に持ったナイフを突きつける。しかし、それが裏目に出て、子供はさらに大きな鳴き声をあげた。
「あー!!うるせぇな!!」
怒鳴りながら子供に向かってナイフを振り上げる男。流石に刺したりはしないだろう。このままじっと、静かにしていれば何も問題は起きない。お金を受け取った犯人は、そのまま立ち去っていくに違いない。そう思っていた。
「危ない!」
しかし、私の体はその意思とは反した動きをし、無意識のうちに子供に駆け寄って、上から覆い被さった。
ザクッ!
背中に今まで経験した事のない激痛が走る。思わず私は覆い被さっている子供を力一杯抱きしめた。この激痛に耐えるために、気がおかしくならないように、子供の弱い体を力一杯抱きしめてしまった。
「こ、こいつ・・・。」
「構うな!逃げるぞ!」
お金を奪った犯人たちは、急いで店から出て行った。
無造作にナイフが引き抜かれた傷からは、大量の血が流れ出しているようで、背中全体が生暖かい。
痛みのせいかうまく呼吸も出来ないでいると、周りに居た大人たちがゾロゾロと集まってきて、私の状態を確認し始めた。
「君!しっかりしろ!今救急車を呼んでいるからな!」
力が抜け切った私から子供が引き離される。寂しさを感じつつも、下がっていく体温に体を小さく痙攣させながら、ゆっくりと頬が床につく。私の血で真っ赤に染まった床は非情なまでに冷たく、私から体温をどんどん奪っていく。
あれ?誰かいる?
掠れていく視界。遠くなる音。寂しさと孤独感を感じながら、私の体はその短い生命活動を終えた。
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