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スライムの沼

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 朝早くに私は支度をした。服はラルフきゅんにズボンを借りた。シャツは胸がデカすぎてボタンは3つ無視する事になった。ギャルみたいに胸の谷間が丸見えになった。

 ラルフきゅんが流石に赤くなり布を渡してマフラーみたいに巻いて見えなくなった。

 ラルフきゅんはかつげるカゴを持ち私にはリュックを背負わせた。バスケットも持ち、お昼も持った!

「いざ!スライム沼!!」
 と私は気合を入れたが

「あのさ、沼についたら喋らないでよ?大きな声を出すと沼の主の魔物が襲ってくるよ」

「ひえっ!」
 と脅され黙る事にした。

 しばらく森を歩いていくと少し開けた先に生い茂った沼地を発見した。

「あった。沼」

「意外と近くにあるんだね」

 近づくとかなり臭い匂いがした。

「うっ!く、クッサ!!」
 思わず鼻をつまむ。

「…こういうのスライムが好んでいるから住み着くんだよ」
 な、なるほど。スライム達にとっては最高の場所か。

 ラルフきゅんはカゴから網を持ち、棒に結んで渡した。

「じゃあさっさと捕まえよう。静かにね」

「捕まえるってどうやって?どこにいるの?」
 と聞くと

「ほら、よく見て。あそこ、草の近くポコポコと空気があるでしょ?」

「んー?」
 ラルフきゅんの刺した方を見ると確かにポコポコと空気みたいなのがあり、そこだけ少し泥が薄くなっている。

「たぶんあの下にいるよ」
 と網を入れて掬ってみるラルフきゅん。

 ビシャっと服に泥がつくけど気にせずにいるラルフきゅん。

 泥だらけになり何か捕まえてきた。しかし泥まみれでこれがスライムなのか判別できない。

「ちょっと触ってみたら?」
 と言うのでちょんちょんと指先で触ると

 ヌメっとした気持ち悪い感触がしてビリビリと悪寒がした。

「うぎゃっ!!!気色悪いっっ!!」

 と手を引っ込めるとラルフきゅんにクスクス笑われた。

「クククク!そりゃお嬢様はこんなもの触ったりしないからね…」
 カゴにドロドロのそれを入れてラルフきゅんは2匹目を探した。
 このままじゃダメだ。ラルフきゅんにばかり汚れ仕事をさせてしまう!
 年上として情けない!

 私は腕をまくり探した。
 すると少し遠くの方でぷくぷくと空気の塊を発見する!

 お!あれは沢山いそう!
 気持ち悪いけど我慢して頑張って取ってやる!

 と私は泥の中に片足だけ入りそばの木に片手で捕まり網を出して掬おうとした。

 しかし泥の中から何か赤いものが光る。

「お姉さん!!」
 ラルフきゅんが気付いてこちらに来て急いで私の腰を掴み引き寄せた!!
 泥で滑り後ろに倒れた。

「な、何!?」

 するとドバッと赤い光が泥の中から出てきたと思うと巨大なカエルが現れ

「グエエエエエエコ」
 と鳴いて私は気持ち悪さに吐きそうになった!!

「いやあああ!!」

 長い舌がこちらに迫ってきたので私は

「こっちくんな!!」
 と火魔法を放つ!!

 しかし…カエルが泥で火を消して

「ゲコゲコゲエエエコ!」
 と嘲笑った!!

「あいつには聞かないよ!火は!」

 そうしている間にもカエルはこちらにやって来る!!

「うひいいいいいい!!!」
 私とラルフきゅんは逃げ出して湿地を駆け回るが泥に足を取られる!!

 ラルフきゅんがこけて泥だらけになってもがく!このままじゃカエルに美少年が食われてしまう!!

「それだけは嫌あああ!あっちいけええええ!!」


 バチーーーーン!!
 ボカン!ボン!ドカン!!

 私はありったけの魔力でカエルめがけて放った炎魔法は炎の手になり、巨大カエルを平手打ちしてカエルは爆発しながら吹っ飛んだ!!

 いや、正確に言えばバラバラになり吹っ飛んだ。

 ……。

 そして私は全身から力が抜けた。

 うっ!気持ち悪い。

「お姉さん!!ちょっと!?大丈夫!?」

 ラルフきゅんが生きてる。良かった。
 そのまま目の前は暗くなった。

 *

 目が覚めた時、私は家にいた。

「あれ?」

 するとベッド脇のソファーに美少年が寝ていた。

 はっ!!
 う、美しい!!

 サラサラな黒髪を撫でていると目が開いて

「お姉さん…」

「ラルフくん…」
 と名前を呼び合い見つめ合う私達。

「……生きてたんだ」

「うん。ラルフきゅんが家まで運んでくれたの?」

「チッ」
 何故か舌打ちされバッと起き上がる。

「まあ、魔力枯渇で死ぬかと思っていたけど生きてたなら良かったね。スライムも無駄にならなくて済むよ」
 と言う。
 聞けば私は3日程目を覚まさなかったらしい。

「うう、ありがとうラルフくん!!」
 と喜んでいると臭い匂いがした。

「ん?」

「…お姉さん…。早くお風呂に行ってきたら?3日間ずっとあのまま寝ていたから泥とかついてて汚いよ」
 と言う。見ると倒れた時な服の泥だらけのままだ。

「あの…。ほら…着替えさせるとか…ねぇ?ほら」
 と言うとラルフきゅんは首を振り、

「無理…」
 とプイと布や着替えを渡して奥へ行った。

「ええー…」

 とりあえず私は風呂場で泥を流して綺麗にした。

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