33 / 48
シュリンギの幻影
しおりを挟む
どうやら男性達はシュリンギの傘から出す胞子でそれぞれ幻影を見ているらしい。
「イサベル…一体どうした?…え?な、何してんだ?や、辞めろ!!」
と突然ニルス様が真っ赤になり叫び出した!
一体何の幻影を見ているのか?
ハンさんとマルクさんはサラの幻影を見せられて
「サラさんそんな!大胆な!」
とか言ってるし!、サラは横で
「あの人達を刺して正気に戻してやりますか?」
とナイフを構える。
「どうしよう、とにかく皆を正気に戻さないとキノコの養分になっちゃうわ」
と私は青ざめる。
「イサベル様、あの魔物の倒し方とかわからないのですか?」
「確か塩をかけると縮むはず…」
「えっ!?ナメクジですか!?」
「でも切った方が早いからニルス様達を正気に戻さないと!サラは塩をかけてみて!私はニルス様達を何とか正気にさせないと!」
「わかりました!」
とサラと私は行動することにする。サラと私は口に布を巻き、胞子が入らないよう気を付けた。
サラは塩を持ちシュリンギの後ろに周りパッと塩をかける。
『にゅが!!』
とシュリンギが怯む隙に私はニルス様の元へ行く。
「ニルス様!ニルス様!しっかりして!」
とユサユサと揺らすとニルス様はボーッとして目が半目で
「イサベル…そんな大胆なことをしては…ダメだ…まだ俺たち結婚前…ふあ」
と変な幻覚に襲われている。他の者も同様でブツブツと言いながら半目だ。仕方ない。
私は覚悟をして思い切りニルス様の頰をバチーンと叩く。
するとパチリと目が全開になり、ニルス様がポカンとする。
「あれ?イサベル!!?さっきまで…あれ?…」
状況が変な事に気付き辺りを見渡しキノコの魔物を見つけたニルス様は
「な、何だあれは!?いつからいた!?」
「あれはシュリンギというキノコの魔物です!ニルス様達はあの胞子で幻影を見させられていたんです!他の人もまだかかってます!
幻影を見せ油断して養分になるところでしたよ!」
と言うと
「な、なんてことだ!!」
と言うとニルス様はハンさんとマルクさんを蹴り飛ばし、アルトゥール様の頭をゴンと叩く。
すると皆は夢から覚めたようになり
「え?あれ?サラさんは?」
「くっ、もう少しで下着が…」
「バルバラ?どこへ??」
と何か悔しがっていたがキノコの魔物にようやく気付いた。
サラは
「塩が無くなりました!!!」
と言い、走ってきた。魔物は半分くらいの大きさだが、怒りで
『ヴォアアアア』
と言いながら頭から胞子を大量に吹き出した。皆は布で鼻と口を塞ぎ剣を構えてシュリンギに挑んだ。
「畜生!あんないい夢見せてくれてありがとう!」
マルクさんが足に斬りかかりズシンとシュリンギの片足が地面に落ちる。
「だが、いい夢見て死ぬ所だった!」
とハンさんがもう片方の足を切り落とす。
「ちっ!よく考えたらイサベルがあんなこと積極的にするわけない!」
とニルス様が右手を斬り落とした。
…いや、どんなのを見せられていたのかしら?
なんか怖い。
アルトゥール様は怒り、
「おのれぇ!バルバラがワシの筋肉に埋もれて眠りたいなんて言うわけが無い!ぬか喜びさせおって!!このキノコがあああ!」
と強烈な拳を叩き込みシュリンギの中央の胸を貫き核を破壊した。
シュウシュウとシュリンギは動かなくなり死んだ。
「……はぁ。虚しい。寂しい夢じゃ…イサベルちゃん…この爺を慰めてくれんかの?」
とチラリと見られて困る。
ニルス様が前に出て
「お祖父様…もうとっくに夢は終わりました!」
「ちっ!わかっとるわい!…しかし…そうやってイサベルちゃんとニルスが並んでおると本当に若い頃のワシとバルバラのようでのう…。
あいつ…レオポルトさえ居らんかったらバルバラちゃんと結婚していたのにのぅ…」
と寂しそうにアルトゥール様はしょぼくれたがニルス様は
「お祖父様!それは仕方有りませんし、亡くなられたお祖母様にも失礼かと!!」
と睨む。
「年寄りを虐めるなニルスよ。筋肉絞めするぞ」
「…遠慮します」
と言い合う二人。
私は
「あの、このシュリンギは食材になるので細かく切っていただきたいんですが」
と言うと男達はギョッとした!
「ええ!?魔物ですよ!?イサベル様!?」
とマルクさんが言う。
「はい、でも図鑑には美味しいと書かれていていたので」
「それ…その図鑑を作ったやつの舌がどうかしてるとかじゃないだろうな?魔物だぞ?」
とニルス様も引くがサラは
「まぁ、お嬢様の知識なのでとやかく言わず少しだけでも料理してみましょうか?明日の朝食に」
と言うとハンさんが
「俺手伝います!!」
とシュリンギを切り分け始め、マルクさんもやれやれと手伝った。
*
朝になると私とサラは朝食の準備をした。
「お嬢様…塩が無いです。昨日使いきりました。こいつの身体に振りかけて…」
「なら丁度塩味ついてるんじゃない?」
しょうがないかと食材と共にシュリンギとヤギミルクのパン粥にして皆に振る舞ってみる。
皆昨日の魔物だと思うとジッとして動かない。
「ニルス…お前が先に食べなさい」
とアルトゥール様が言うとニルス様は
「えっ!?俺ですか!?何故だ!?こういうのは従者から食べるのでは無いか?」
と言う。
「では、私が先に」
と私がスプーンで救うとニルス様に止められ、それをそのままパクリとニルス様に食べられた!!
「あ、ニルス様、自分のを食べてくださいよ…」
と言うと
「お前が腹を壊したらどうする!!?」
と言われる。
「で?味は?異変は?」
とアルトゥール様達はニルス様を観察する。
いや、毒はないし美味しいとあったし…。
ニルス様はもぐもぐと飲み込んだ。そして…
「……美味いな…」
とボソリと言った。
ハンさんがギョッとした。
「うわぁ!!ニルス様が美味しいと言った!!余程美味しいのか!…ゴクリ」
とハンさんはシュリンギミルク粥を食べるとカッと目を見開き
「美味しい!!!!なんてことだ!!」
と言い、マルクさんとアルトゥール様も同様に食べては感嘆していた。
サラと私はクスクスと笑いながら私達も食事についた。物凄く美味しかった!
「イサベル…一体どうした?…え?な、何してんだ?や、辞めろ!!」
と突然ニルス様が真っ赤になり叫び出した!
一体何の幻影を見ているのか?
ハンさんとマルクさんはサラの幻影を見せられて
「サラさんそんな!大胆な!」
とか言ってるし!、サラは横で
「あの人達を刺して正気に戻してやりますか?」
とナイフを構える。
「どうしよう、とにかく皆を正気に戻さないとキノコの養分になっちゃうわ」
と私は青ざめる。
「イサベル様、あの魔物の倒し方とかわからないのですか?」
「確か塩をかけると縮むはず…」
「えっ!?ナメクジですか!?」
「でも切った方が早いからニルス様達を正気に戻さないと!サラは塩をかけてみて!私はニルス様達を何とか正気にさせないと!」
「わかりました!」
とサラと私は行動することにする。サラと私は口に布を巻き、胞子が入らないよう気を付けた。
サラは塩を持ちシュリンギの後ろに周りパッと塩をかける。
『にゅが!!』
とシュリンギが怯む隙に私はニルス様の元へ行く。
「ニルス様!ニルス様!しっかりして!」
とユサユサと揺らすとニルス様はボーッとして目が半目で
「イサベル…そんな大胆なことをしては…ダメだ…まだ俺たち結婚前…ふあ」
と変な幻覚に襲われている。他の者も同様でブツブツと言いながら半目だ。仕方ない。
私は覚悟をして思い切りニルス様の頰をバチーンと叩く。
するとパチリと目が全開になり、ニルス様がポカンとする。
「あれ?イサベル!!?さっきまで…あれ?…」
状況が変な事に気付き辺りを見渡しキノコの魔物を見つけたニルス様は
「な、何だあれは!?いつからいた!?」
「あれはシュリンギというキノコの魔物です!ニルス様達はあの胞子で幻影を見させられていたんです!他の人もまだかかってます!
幻影を見せ油断して養分になるところでしたよ!」
と言うと
「な、なんてことだ!!」
と言うとニルス様はハンさんとマルクさんを蹴り飛ばし、アルトゥール様の頭をゴンと叩く。
すると皆は夢から覚めたようになり
「え?あれ?サラさんは?」
「くっ、もう少しで下着が…」
「バルバラ?どこへ??」
と何か悔しがっていたがキノコの魔物にようやく気付いた。
サラは
「塩が無くなりました!!!」
と言い、走ってきた。魔物は半分くらいの大きさだが、怒りで
『ヴォアアアア』
と言いながら頭から胞子を大量に吹き出した。皆は布で鼻と口を塞ぎ剣を構えてシュリンギに挑んだ。
「畜生!あんないい夢見せてくれてありがとう!」
マルクさんが足に斬りかかりズシンとシュリンギの片足が地面に落ちる。
「だが、いい夢見て死ぬ所だった!」
とハンさんがもう片方の足を切り落とす。
「ちっ!よく考えたらイサベルがあんなこと積極的にするわけない!」
とニルス様が右手を斬り落とした。
…いや、どんなのを見せられていたのかしら?
なんか怖い。
アルトゥール様は怒り、
「おのれぇ!バルバラがワシの筋肉に埋もれて眠りたいなんて言うわけが無い!ぬか喜びさせおって!!このキノコがあああ!」
と強烈な拳を叩き込みシュリンギの中央の胸を貫き核を破壊した。
シュウシュウとシュリンギは動かなくなり死んだ。
「……はぁ。虚しい。寂しい夢じゃ…イサベルちゃん…この爺を慰めてくれんかの?」
とチラリと見られて困る。
ニルス様が前に出て
「お祖父様…もうとっくに夢は終わりました!」
「ちっ!わかっとるわい!…しかし…そうやってイサベルちゃんとニルスが並んでおると本当に若い頃のワシとバルバラのようでのう…。
あいつ…レオポルトさえ居らんかったらバルバラちゃんと結婚していたのにのぅ…」
と寂しそうにアルトゥール様はしょぼくれたがニルス様は
「お祖父様!それは仕方有りませんし、亡くなられたお祖母様にも失礼かと!!」
と睨む。
「年寄りを虐めるなニルスよ。筋肉絞めするぞ」
「…遠慮します」
と言い合う二人。
私は
「あの、このシュリンギは食材になるので細かく切っていただきたいんですが」
と言うと男達はギョッとした!
「ええ!?魔物ですよ!?イサベル様!?」
とマルクさんが言う。
「はい、でも図鑑には美味しいと書かれていていたので」
「それ…その図鑑を作ったやつの舌がどうかしてるとかじゃないだろうな?魔物だぞ?」
とニルス様も引くがサラは
「まぁ、お嬢様の知識なのでとやかく言わず少しだけでも料理してみましょうか?明日の朝食に」
と言うとハンさんが
「俺手伝います!!」
とシュリンギを切り分け始め、マルクさんもやれやれと手伝った。
*
朝になると私とサラは朝食の準備をした。
「お嬢様…塩が無いです。昨日使いきりました。こいつの身体に振りかけて…」
「なら丁度塩味ついてるんじゃない?」
しょうがないかと食材と共にシュリンギとヤギミルクのパン粥にして皆に振る舞ってみる。
皆昨日の魔物だと思うとジッとして動かない。
「ニルス…お前が先に食べなさい」
とアルトゥール様が言うとニルス様は
「えっ!?俺ですか!?何故だ!?こういうのは従者から食べるのでは無いか?」
と言う。
「では、私が先に」
と私がスプーンで救うとニルス様に止められ、それをそのままパクリとニルス様に食べられた!!
「あ、ニルス様、自分のを食べてくださいよ…」
と言うと
「お前が腹を壊したらどうする!!?」
と言われる。
「で?味は?異変は?」
とアルトゥール様達はニルス様を観察する。
いや、毒はないし美味しいとあったし…。
ニルス様はもぐもぐと飲み込んだ。そして…
「……美味いな…」
とボソリと言った。
ハンさんがギョッとした。
「うわぁ!!ニルス様が美味しいと言った!!余程美味しいのか!…ゴクリ」
とハンさんはシュリンギミルク粥を食べるとカッと目を見開き
「美味しい!!!!なんてことだ!!」
と言い、マルクさんとアルトゥール様も同様に食べては感嘆していた。
サラと私はクスクスと笑いながら私達も食事についた。物凄く美味しかった!
0
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

はずれのわたしで、ごめんなさい。
ふまさ
恋愛
姉のベティは、学園でも有名になるほど綺麗で聡明な当たりのマイヤー伯爵令嬢。妹のアリシアは、ガリで陰気なはずれのマイヤー伯爵令嬢。そう学園のみなが陰であだ名していることは、アリシアも承知していた。傷付きはするが、もう慣れた。いちいち泣いてもいられない。
婚約者のマイクも、アリシアのことを幽霊のようだの暗いだのと陰口をたたいている。マイクは伯爵家の令息だが、家は没落の危機だと聞く。嫁の貰い手がないと家の名に傷がつくという理由で、アリシアの父親は持参金を多めに出すという条件でマイクとの婚約を成立させた。いわば政略結婚だ。
こんなわたしと結婚なんて、気の毒に。と、逆にマイクに同情するアリシア。
そんな諦めにも似たアリシアの日常を壊し、救ってくれたのは──。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

愛せないですか。それなら別れましょう
黒木 楓
恋愛
「俺はお前を愛せないが、王妃にはしてやろう」
婚約者バラド王子の発言に、 侯爵令嬢フロンは唖然としてしまう。
バラド王子は、フロンよりも平民のラミカを愛している。
そしてフロンはこれから王妃となり、側妃となるラミカに従わなければならない。
王子の命令を聞き、フロンは我慢の限界がきた。
「愛せないですか。それなら別れましょう」
この時バラド王子は、ラミカの本性を知らなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる