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私のせいですよね
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ニルス様が気を失い、ヘルベルト様が近寄り回復魔法を発動させた。私はハッとして授業で少し習った程度の回復魔法をかけて手伝う。
すると血は止まったのか表情が少し和らいだ。ヘルベルト様はニルス様のお腹の傷を見る為服をめくると
「ん?何かあるな」
と血のついたものを引き抜く。見えない血のついたナイフ!!?そんな物まで消えてるの?凶器らしき物をヘルベルト様が床に置き、またニルス様の傷を癒す為回復魔法をかけ始めた。傷口が塞がっていく!!
私はボロボロと泣いていた。
「大丈夫だよ?偶然通りかかって良かった。…この事態はわからないが…」
「ヘルベルト様!この者は一体!確かに女性のようですが姿が消えています!」
と護衛の者が喋る。
「んん?」
とヘルベルト様もそちらに向かう。ベタベタと消えたアンナ先輩を確かめるように触り…
「ん?これは…アンナか?この身体はそうだろう!?この胸の感触とか!たぶんそうだ!」
と空中でもにもにしている!どこ触ってるの!
「んー?どう言うことだろうかな?」
とりあえずヘルベルト様は消えたアンナ先輩をカーテンごと抱えて護衛の方はニルス様を担いだ。
そのまま医務室へ向かう。
ベッドに横たえると透明化した身体が元に戻り始めた。カーテンに包まれたアンナ先輩の姿が見えてくる。これ…私が作った透明薬?でも管理はちゃんとニルス様がしているし…。どうやって?
と思って思い当たったのが前にクリストフ王子が消えていた時に
『アンナはね、鑑定魔法が使えるんだ!…』
と言っていた事を思い出した。
「鑑定魔法で薬の成分を分析していたの!?そんな……」
「なんの話かな??」
とヘルベルト様が興味深そうに言う。
しまった!薬の事が!
「前にもクリストフ王子が透明薬がどうのと言っていたね…?」
と探るような目つきをされた。
するとパチリと目を覚ますニルス様…!
「ニルス様!!」
「イサベル…なんだ?医務室?」
「ニルス…刺されたようだけど血を止め傷は塞いだよ」
とヘルベルト様が言う。
「……ああ…すまん…」
「これはどう言う事だ?」
とヘルベルト様がアンナ先輩の胸に手を突っ込み薬の瓶を取り出した!!どこに仕込んでるの!?
「説明をしてくれるかな?」
とヘルベルト様はにこりとした。
アンナ先輩を医務室に縛りつけ護衛を頼み、生徒会室へと移動して私とニルス様にヘルベルト様だけになり話をした。
結局透明薬のことはヘルベルト様にも知られてしまった。
「イサベルに危険が及ばないよう、俺が作ったことにしてほしい…。だが、アンナが持っていたのは知らない。俺が管理をしているし盗まれた形跡もない」
「前に使ったのなら鑑定魔法を使ったんだろう。さっきイサベルちゃんも言ってたよね?」
「う……」
とたじろぐとニルス様が安心させるように手を握る。
「ニルス…これはアンナの復讐だ。アンナはたぶんイサベルちゃんを殺そうとあの薬を作ったのだろう…謹慎処分中だけど透明になり抜け出すのなんて簡単で便利だからね…」
「イサベルは悪くない。イサベルは…犯罪の為に開発したわけじゃないんだ!」
「…わかっているよ。イサベルちゃんの性格からしてそんな事をするように見えないからね。でも結果として君は刺されてしまったわけだ。一歩間違えていればイサベルちゃんが刺されていた。俺が通らなければ死んでいたかもな」
「!!…」
私のせいだ。
「ごめんなさい、私…私のせいで!ニルス様が庇って刺されて!一歩間違うと命を無くしていたのです!ヘルベルト様!私に謹慎処分を!」
と頭をさげた。
「…イサベル…」
「私が私欲のために作った物をこうして犯罪に使われてしまいました」
「まぁ、今回のは真似て作ったアンナだからね。それに明確な殺意を持ち計画的に実行へと移した。アンナにもまた取り調べをするが今度は謹慎だけじゃすまない。殺人未遂だ」
「……アンナ先輩に恨みを抱かせたのも私ですから。私のせいで皆…」
と震えるとニルス様は怒る。
「イサベルのせいじゃない!!」
「そうそう、まぁ薬の事は事情があって使っていたみたいだしね。だが実用化すれば…俺も女の子たちにいたずらできちゃうのか…」
「おい、クリストフ王子みたいな事を言うな!」
「いやいや、ニルス…男のロマンじゃないか…お風呂とかも覗き放題だよ?イサベルちゃんの…」
と言いかけた所でヘルベルト様は殴られた。次期王太子様を何の躊躇もなく。
「いやらしい想像をすんな!従兄弟でも王子でも許せんな!人の婚約者を!」
「わかったよ…。…まぁニルスもしぶとく無事だったし大丈夫たよ?イサベルちゃん。この薬のこと…俺も護衛のアッシュにも言わないようにさせとくからさ…元気だしなって!
俺とデートでもする?」
と言うからニルス様は睨みつけた。
「冗談だよ。とにかくアンナのことは任せてくれ」
とヘルベルト様は出て行った。
「大丈夫か?気にするな…。アンナにも罰が与えられるだろう」
と言うニルス様に私はフルフルと首を振る。
「いえ、私が悪いんです。誰かの恨みをかったり…もしニルス様が刺されて死んだら…あの場にヘルベルト様が来なければ!私の回復魔法では間に合わなくて!ニルス様が死んじゃったらどうしようと!!」
と言うとニルス様が
「ぐう…」
と声をだす。
「?まだどこか痛みが?回復を!」
と手を差し出すと引き寄せられキスをされる。
「こちらの方が余程回復する…」
と綺麗な碧の目で見つめられる。
「心配したのに…」
「俺はイサベルが無事であれば死んだっていいかな…」
「そ、そんな!ダメです!私はニルス様が死んだら…」
「死んだら?」
と揶揄われて髪を弄られる。
「……ニルス様の部屋に置いてある研究道具達をどうやって回収しようかと…悩みます!」
「いや…そこは生きていけないとかだろ!!」
と言われまたキスされたのだった。
すると血は止まったのか表情が少し和らいだ。ヘルベルト様はニルス様のお腹の傷を見る為服をめくると
「ん?何かあるな」
と血のついたものを引き抜く。見えない血のついたナイフ!!?そんな物まで消えてるの?凶器らしき物をヘルベルト様が床に置き、またニルス様の傷を癒す為回復魔法をかけ始めた。傷口が塞がっていく!!
私はボロボロと泣いていた。
「大丈夫だよ?偶然通りかかって良かった。…この事態はわからないが…」
「ヘルベルト様!この者は一体!確かに女性のようですが姿が消えています!」
と護衛の者が喋る。
「んん?」
とヘルベルト様もそちらに向かう。ベタベタと消えたアンナ先輩を確かめるように触り…
「ん?これは…アンナか?この身体はそうだろう!?この胸の感触とか!たぶんそうだ!」
と空中でもにもにしている!どこ触ってるの!
「んー?どう言うことだろうかな?」
とりあえずヘルベルト様は消えたアンナ先輩をカーテンごと抱えて護衛の方はニルス様を担いだ。
そのまま医務室へ向かう。
ベッドに横たえると透明化した身体が元に戻り始めた。カーテンに包まれたアンナ先輩の姿が見えてくる。これ…私が作った透明薬?でも管理はちゃんとニルス様がしているし…。どうやって?
と思って思い当たったのが前にクリストフ王子が消えていた時に
『アンナはね、鑑定魔法が使えるんだ!…』
と言っていた事を思い出した。
「鑑定魔法で薬の成分を分析していたの!?そんな……」
「なんの話かな??」
とヘルベルト様が興味深そうに言う。
しまった!薬の事が!
「前にもクリストフ王子が透明薬がどうのと言っていたね…?」
と探るような目つきをされた。
するとパチリと目を覚ますニルス様…!
「ニルス様!!」
「イサベル…なんだ?医務室?」
「ニルス…刺されたようだけど血を止め傷は塞いだよ」
とヘルベルト様が言う。
「……ああ…すまん…」
「これはどう言う事だ?」
とヘルベルト様がアンナ先輩の胸に手を突っ込み薬の瓶を取り出した!!どこに仕込んでるの!?
「説明をしてくれるかな?」
とヘルベルト様はにこりとした。
アンナ先輩を医務室に縛りつけ護衛を頼み、生徒会室へと移動して私とニルス様にヘルベルト様だけになり話をした。
結局透明薬のことはヘルベルト様にも知られてしまった。
「イサベルに危険が及ばないよう、俺が作ったことにしてほしい…。だが、アンナが持っていたのは知らない。俺が管理をしているし盗まれた形跡もない」
「前に使ったのなら鑑定魔法を使ったんだろう。さっきイサベルちゃんも言ってたよね?」
「う……」
とたじろぐとニルス様が安心させるように手を握る。
「ニルス…これはアンナの復讐だ。アンナはたぶんイサベルちゃんを殺そうとあの薬を作ったのだろう…謹慎処分中だけど透明になり抜け出すのなんて簡単で便利だからね…」
「イサベルは悪くない。イサベルは…犯罪の為に開発したわけじゃないんだ!」
「…わかっているよ。イサベルちゃんの性格からしてそんな事をするように見えないからね。でも結果として君は刺されてしまったわけだ。一歩間違えていればイサベルちゃんが刺されていた。俺が通らなければ死んでいたかもな」
「!!…」
私のせいだ。
「ごめんなさい、私…私のせいで!ニルス様が庇って刺されて!一歩間違うと命を無くしていたのです!ヘルベルト様!私に謹慎処分を!」
と頭をさげた。
「…イサベル…」
「私が私欲のために作った物をこうして犯罪に使われてしまいました」
「まぁ、今回のは真似て作ったアンナだからね。それに明確な殺意を持ち計画的に実行へと移した。アンナにもまた取り調べをするが今度は謹慎だけじゃすまない。殺人未遂だ」
「……アンナ先輩に恨みを抱かせたのも私ですから。私のせいで皆…」
と震えるとニルス様は怒る。
「イサベルのせいじゃない!!」
「そうそう、まぁ薬の事は事情があって使っていたみたいだしね。だが実用化すれば…俺も女の子たちにいたずらできちゃうのか…」
「おい、クリストフ王子みたいな事を言うな!」
「いやいや、ニルス…男のロマンじゃないか…お風呂とかも覗き放題だよ?イサベルちゃんの…」
と言いかけた所でヘルベルト様は殴られた。次期王太子様を何の躊躇もなく。
「いやらしい想像をすんな!従兄弟でも王子でも許せんな!人の婚約者を!」
「わかったよ…。…まぁニルスもしぶとく無事だったし大丈夫たよ?イサベルちゃん。この薬のこと…俺も護衛のアッシュにも言わないようにさせとくからさ…元気だしなって!
俺とデートでもする?」
と言うからニルス様は睨みつけた。
「冗談だよ。とにかくアンナのことは任せてくれ」
とヘルベルト様は出て行った。
「大丈夫か?気にするな…。アンナにも罰が与えられるだろう」
と言うニルス様に私はフルフルと首を振る。
「いえ、私が悪いんです。誰かの恨みをかったり…もしニルス様が刺されて死んだら…あの場にヘルベルト様が来なければ!私の回復魔法では間に合わなくて!ニルス様が死んじゃったらどうしようと!!」
と言うとニルス様が
「ぐう…」
と声をだす。
「?まだどこか痛みが?回復を!」
と手を差し出すと引き寄せられキスをされる。
「こちらの方が余程回復する…」
と綺麗な碧の目で見つめられる。
「心配したのに…」
「俺はイサベルが無事であれば死んだっていいかな…」
「そ、そんな!ダメです!私はニルス様が死んだら…」
「死んだら?」
と揶揄われて髪を弄られる。
「……ニルス様の部屋に置いてある研究道具達をどうやって回収しようかと…悩みます!」
「いや…そこは生きていけないとかだろ!!」
と言われまたキスされたのだった。
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