婚約破棄予定と言われたので透明になって見たら婚約者の本性を知り悩んでいます

白黒

文字の大きさ
上 下
20 / 48

マリア再び相談に乗る

しおりを挟む
決闘が終わるとニルス様は生徒会を休んでいた分の仕事が溜まり必死に片付けていた。

でも生徒会室はアンナ先輩が出入りしてるからやはりあの空き教室を使っているようだった。私は久しぶりに透明になって幽霊のマリアのフリをしてみることにした。

ニルス様は箒が浮いているのを見て歓喜した!

「おお!マリアか!?お前どこいってたんだよ!!」
私は黒板に

『里帰り…いえ、墓帰りを少し…』
といい加減な事を書いておく。

「よくわからんがまた毎日ここに来てくれるのか?」
と期待されたが

『毎日は無理。私にも友達ができてそっちに行く時あるから』
とまた適当書いて誤魔化す。

「そうか。ならたまにでいい。話を聞いてくれると嬉しい」
マリアにはいつもこんなに素直なのにな。私にはいつも天邪鬼なんだから。

しかし…ニルス様は悩んでいた。

「マリア……そ、その…この前一年のクソ王子と決闘をしたんだ。俺がもちろんギリギリで幸運で勝てたんだが!…そそ、その後……いろいろあって…その…イサベルに頰にキスされたんだ!!」
と言うから私は何であんなことをしたのか後悔した。嬉しくてつい?して欲しそうに見えたから?

「そそ、それでどう思う?あいつ!イサベルは俺のことを少しは好きだと思うか!?今までは嫌々付き合わせてたから嫌われているのだと思っているんだが…イサベルから頰にキスをくれた!

これは…脈ありという奴なんじゃないか?俺はこれからどうしたらいいのか…」
と悩んでいた。

『さあ?その場のノリかもしれませんから落ち着いた方がいいかと』
と書くと

「その場の…ノリ…まあ決闘が終わったし、あいつとのキスより俺の方がマシだとは言っていたしな…そうか…ノリなのか……」
とわかりやすくシュンとした。

『ノリですね』
と書くと…

「もういいよ。わかった。俺なんかをイサベルが好きなはずないしな。でも危なかった。クソ王子が体勢を崩さなかったら俺は負けて目の前でクソ王子とイサベルの熱いキスを見せられるところだったんだ!」
確かにそれは嫌だな。良かった勝ってくれて。

『怪我は?』
と包帯の手を見る。

「ん?これか?これならちゃんと薬を塗ってある。ペンを持つと少し痛むが大丈夫だ。さて終わらせないとな!」
と再び仕事に取り掛かった。

「ああ、…でも…イサベルも俺のことを好きになって欲しいのだがどうしたらいいだろうか?マリア…」
そんなこと言われても困る。

「だ、抱きしめたらとてもいい匂いがした。柔らかいし…細い。どうしたらイサベルは俺のことを少しはい、意識してくれるかな?

この気持ちを伝えたい!でも、恥ずかしくてついまた反対の意地が出てしまう!」
とグダグダ悩んでいた。
意識って…最近の私もどうにかしているわ。抱きついたりしてはしたない。

私には研究がある。この世から消える夢も。消えて1人のんびり暮らすのだ。

「マリア!俺はイサベルが好きだ!何とか告白したい!!あいつは綺麗なんだ!またクソ王子みたいのが現れると困る!クソ王子も諦めてない!油断してたらまた掻っ攫われる!それはダメだ!」
と言う。相変わらずマリアには素直なんだから。後、そんなに好き好き言われると恥ずかしい!

「そうだ、マリア!俺の告白の練習に付き合ってくれ!」
えっ!!?私本人なんですけど!!

『わ、わかりました…』
でも断れなくそう書くと

「よし!じゃあマリア聞いてくれるか?変な所は直すから!よし!」
と息を吸い箒に向かいニルス様が

「イサベル!俺は…お前が好きだ!心から愛している!どうか他の男を見ないで俺だけ見ていて欲しい!ずっと側にいてほしい!…でもお前を束縛とかそんなことはしない。お前にもお前の時間は必要だろ?好きな研究もあるから。
何を作っているかは知らないけど完成を願う。

もし俺の気持ちが伝わるならこの花を受け取ってくれ!」
と言う。あ、花を持っている設定だったのか。
というか普通に恥ずかしい。素直なニルス様程かっこいい人はない。

『それで充分だと思いますよ!』
と書くと

「そうか?良かった!よし!頑張って告白をする!あ……待て」

『どうしました?』

「告白をする場所だ!思いつかない!ど、何処がいいんだ!2人きりになれるところがいい!でもそこへ誘うと怪しまれないか?」
と言う。確かにいきなり2人きりになりたいとかニルス様が私に言えるかどうかが怪しい。

…というか私も言われたら受けちゃう?……うあ、恥ずかしいけどでもやっぱり…私も告白…されたいのかな?あれ?

私もニルス様のこと好きでいいのかな?迷惑じゃないよね?ニルス様は私が好きなんだし。アンナ先輩から意地悪されそうだけど…。

『手紙で呼び出せばいいです』
と書くとおおっとニルス様が言う。やはり単純なとこがある。

「その手があったか!それならイサベルも来てくれるだろう…ありがとうマリア!!」

『はい、お幸せを願っております…では私はこれにて』

「また何かあったら相談に乗ってくれよ!?」
と言うニルス様にコクリと箒を傾けた。

どうしよう!これからニルス様に手紙で呼び出されて私は告白されるんだわ!!は、恥ずかしい!ていうかさっき練習でされたけど!…マリアにだけど!!マリアも私だし!

柄にもなく私はドキドキしていて透明化が解けたことに気付くのが少し遅れた。ホワホワと消えてるとまだ思い込み歩いてうちの馬車の方へ向かう途中…何者かが後ろから私のことを捕まえて縛り上げ口にハンカチを当てた!!

薬が染みていたのか私はクラリとして気絶してしまった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

はずれのわたしで、ごめんなさい。

ふまさ
恋愛
 姉のベティは、学園でも有名になるほど綺麗で聡明な当たりのマイヤー伯爵令嬢。妹のアリシアは、ガリで陰気なはずれのマイヤー伯爵令嬢。そう学園のみなが陰であだ名していることは、アリシアも承知していた。傷付きはするが、もう慣れた。いちいち泣いてもいられない。  婚約者のマイクも、アリシアのことを幽霊のようだの暗いだのと陰口をたたいている。マイクは伯爵家の令息だが、家は没落の危機だと聞く。嫁の貰い手がないと家の名に傷がつくという理由で、アリシアの父親は持参金を多めに出すという条件でマイクとの婚約を成立させた。いわば政略結婚だ。  こんなわたしと結婚なんて、気の毒に。と、逆にマイクに同情するアリシア。  そんな諦めにも似たアリシアの日常を壊し、救ってくれたのは──。

あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。

ふまさ
恋愛
 楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。  でも。  愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

婚約者は王女殿下のほうがお好きなようなので、私はお手紙を書くことにしました。

豆狸
恋愛
「リュドミーラ嬢、お前との婚約解消するってよ」 なろう様でも公開中です。

愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。

石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。 ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。 それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。 愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*

音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。 塩対応より下があるなんて……。 この婚約は間違っている? *2021年7月完結

処理中です...