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嫌がるニルス様を救ってやる
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それから私は休みの日になると公爵家に呼ばれてニルス様含めてお祖父様とお茶会を楽しむと言う地獄を体験させられた。
なので私の透明になる薬の開発は平日の夜にしかできなくなったが、なんとか…30分から1時間程に引き延ばせるくらいになった。
「まぁここまでできたのも良かった。目指すは一日中消えていられるくらいの長さだけどね」
休み前になるとニルス様が靴箱に現れるだろうからと早速試しに薬を飲み消えてみる。
しかし折角飲んだのにニルス様は今日は靴箱にいなかった。うーん、これじゃあ馬車にも乗れないなと困りとりあえず学園内をうろうろしていたら空き教室から悲鳴みたいなものがした。
事件か!?
と思い中へ入ると…なんとニルス様が椅子に縛りつけられアンナ先輩がニコニコと笑っていたのだ!
「アンナ!どう言うつもりだ!?ここにイサベルがいると言うからわざわざ見に来たのに!いないし!お前…後ろから俺を殴って気絶した隙にこんな椅子に縛りつけやがって!!」
と言う。
どうもアンナ先輩に騙されて連れて来られた間抜けなニルス様だった。よく見たら頭を怪我して耳の下を伝い血が少し出ていた。アンナ先輩も結構酷いな。前々からこの人はニルス様に粘着してるようだけど他の男性とも関係を持ち、あの従兄弟の王子ともたぶん関係を持っていると言うのに。
しかも私なんかニルス様の婚約者というだけで虐められているのに。まだ足りないとかどんだけなんだろう?
ニルス様は縄を解こうと椅子をガタガタさせたがアンナ先輩はニルス様の膝の上に腰掛けて顎をグイッと上向かせた。
「あら、抵抗しちゃ駄目よ…ニルス様?他の人は直ぐに私の虜になるのに貴方はどうしてあんな小娘を気にかけるのかしら??」
「は?アンナ…お前勘違いしてるが俺はお前に興味ない!お前に取られた生徒会の連中が真面目に仕事しないから俺にばかり仕事が回って大変なんだよ!クソ女!!」
「あら、口が悪いニルス様も素敵ね!やはり攻略キャラだわ!落としがいありそう!」
と言う。
「一体なんの話だ!それより早く退いてもらおうか!!」
とニルス様が睨むが
「うふふ、退いて欲しいなら…私と情熱的なキスをしてくれたらいいわよ?ねっ!?直ぐに気持ち良くなってどうでも良くなるはずよ?」
とさわさわとニルス様の頰を撫でニルス様は睨み付ける。
「誰が!お前なんかと!!誰かいないのか!!おおい!」
と大声を出したらアンナ先輩が手を口に当ててバシンとニルス様を殴った。
ひえええ!
「もごもご!!」
ニルス様が何か言ったが
「ふふ!キスする気になった?」
と妖艶に微笑むアンナ先輩。うーん、これは助けてやるべきかな?
時間までまだあるしな。
透明だし声を出したりしなきゃバレないか。
と私はとりあえず箒を持って音を立てないよう近づいた。ニルス様は箒が浮いてるように見えてるのか驚きで目を見開いた!
「むごっ!」
「うるさいわね!まだ叫ぼうっていうの?貴方は私のものにするんだからね?」
と言うアンナ先輩に私は渾身の力でバシっと箒で彼女のお尻を叩いた!!
「ぎゃん!!」
急に尻を叩かれて振り返ると浮いた箒があるのに驚いたアンナ先輩は
「や、やだあ!な、何!?ゆゆゆゆ、幽霊!!?やだあ!あたしそういうの駄目なんだからっ!!」
と青ざめたので私は更に落ちていた雑巾を彼女の顔に投げつけた。
「ぎゃーーー!!!」
勝手に雑巾が飛んできたからアンナ先輩はもう正気じゃなくなりバタバタとニルス様を置いて出て行く!!
「おい!解いてけよ!」
と叫んだがニルス様は置き去り。
私は仕方なく足音を立てないよう後ろに回り縄を解いて上げた。
「な、なんなんだ?幽霊か?」
とニルス様はキョロキョロしだしたので私は箒を再び持ち少し傾けてうなづく仕草をした。
それにニルス様は
「そうか…助けてくれたのか。ありがとう…」
この人でもお礼を言えるのかと驚いたが
「もう少しであのクソ女の手に落ちる所だった。危なかったな。皆あの女に陥落されて行くから俺は気を付けていたんだ。普段から怪しまれないように様子を見ていた。今回は油断したが」
私は幽霊のフリをして小さな黒板を持ち寄り
『怪我は大丈夫?』
と書いた。
ハッとしてニルス様は後頭部を触ると血が指についた。
「あの女…許せねえ…」
『医務室に行って帰った方がいいよ』
と書いてやるとニルス様はふっと微笑んだ。見たこともない初めて見た微笑みにドキっとしたが
「どうも…お前のテリトリーで嫌なとこを見せて悪かったな!お前は名前はあるのか?」
と聞かれた。え!?どうしよ…。
『マリア』
ととりあえず書いていた。私のミドルネームだけど大丈夫だろう。マリアなんてどこにでもいるし。
「ふうーん。マリアか。俺の婚約者もミドルネームはマリアと言うんだ」
と言われやはり別の名前にしとけば良かったと後悔した。
しかし…
「マリア!お前はいつもここにいるんだな?」
と聞かれ
『だ、大体…』
と仕方なく書くと
「そうか…なら暫くここに放課後来ようかな。もうアンナは怖がってここに近寄らないしここで生徒会の仕事をした方が捗るしいい隠れ蓑になる。俺は幽霊は怖くないし少し貸してくれないか?」
と言うので私は仕方なく
『いいよ』
と書いておく。はぁー。どうしよ、暫く幽霊のフリ続けた方がいいの?
めんどくさいことになったわ。
なので私の透明になる薬の開発は平日の夜にしかできなくなったが、なんとか…30分から1時間程に引き延ばせるくらいになった。
「まぁここまでできたのも良かった。目指すは一日中消えていられるくらいの長さだけどね」
休み前になるとニルス様が靴箱に現れるだろうからと早速試しに薬を飲み消えてみる。
しかし折角飲んだのにニルス様は今日は靴箱にいなかった。うーん、これじゃあ馬車にも乗れないなと困りとりあえず学園内をうろうろしていたら空き教室から悲鳴みたいなものがした。
事件か!?
と思い中へ入ると…なんとニルス様が椅子に縛りつけられアンナ先輩がニコニコと笑っていたのだ!
「アンナ!どう言うつもりだ!?ここにイサベルがいると言うからわざわざ見に来たのに!いないし!お前…後ろから俺を殴って気絶した隙にこんな椅子に縛りつけやがって!!」
と言う。
どうもアンナ先輩に騙されて連れて来られた間抜けなニルス様だった。よく見たら頭を怪我して耳の下を伝い血が少し出ていた。アンナ先輩も結構酷いな。前々からこの人はニルス様に粘着してるようだけど他の男性とも関係を持ち、あの従兄弟の王子ともたぶん関係を持っていると言うのに。
しかも私なんかニルス様の婚約者というだけで虐められているのに。まだ足りないとかどんだけなんだろう?
ニルス様は縄を解こうと椅子をガタガタさせたがアンナ先輩はニルス様の膝の上に腰掛けて顎をグイッと上向かせた。
「あら、抵抗しちゃ駄目よ…ニルス様?他の人は直ぐに私の虜になるのに貴方はどうしてあんな小娘を気にかけるのかしら??」
「は?アンナ…お前勘違いしてるが俺はお前に興味ない!お前に取られた生徒会の連中が真面目に仕事しないから俺にばかり仕事が回って大変なんだよ!クソ女!!」
「あら、口が悪いニルス様も素敵ね!やはり攻略キャラだわ!落としがいありそう!」
と言う。
「一体なんの話だ!それより早く退いてもらおうか!!」
とニルス様が睨むが
「うふふ、退いて欲しいなら…私と情熱的なキスをしてくれたらいいわよ?ねっ!?直ぐに気持ち良くなってどうでも良くなるはずよ?」
とさわさわとニルス様の頰を撫でニルス様は睨み付ける。
「誰が!お前なんかと!!誰かいないのか!!おおい!」
と大声を出したらアンナ先輩が手を口に当ててバシンとニルス様を殴った。
ひえええ!
「もごもご!!」
ニルス様が何か言ったが
「ふふ!キスする気になった?」
と妖艶に微笑むアンナ先輩。うーん、これは助けてやるべきかな?
時間までまだあるしな。
透明だし声を出したりしなきゃバレないか。
と私はとりあえず箒を持って音を立てないよう近づいた。ニルス様は箒が浮いてるように見えてるのか驚きで目を見開いた!
「むごっ!」
「うるさいわね!まだ叫ぼうっていうの?貴方は私のものにするんだからね?」
と言うアンナ先輩に私は渾身の力でバシっと箒で彼女のお尻を叩いた!!
「ぎゃん!!」
急に尻を叩かれて振り返ると浮いた箒があるのに驚いたアンナ先輩は
「や、やだあ!な、何!?ゆゆゆゆ、幽霊!!?やだあ!あたしそういうの駄目なんだからっ!!」
と青ざめたので私は更に落ちていた雑巾を彼女の顔に投げつけた。
「ぎゃーーー!!!」
勝手に雑巾が飛んできたからアンナ先輩はもう正気じゃなくなりバタバタとニルス様を置いて出て行く!!
「おい!解いてけよ!」
と叫んだがニルス様は置き去り。
私は仕方なく足音を立てないよう後ろに回り縄を解いて上げた。
「な、なんなんだ?幽霊か?」
とニルス様はキョロキョロしだしたので私は箒を再び持ち少し傾けてうなづく仕草をした。
それにニルス様は
「そうか…助けてくれたのか。ありがとう…」
この人でもお礼を言えるのかと驚いたが
「もう少しであのクソ女の手に落ちる所だった。危なかったな。皆あの女に陥落されて行くから俺は気を付けていたんだ。普段から怪しまれないように様子を見ていた。今回は油断したが」
私は幽霊のフリをして小さな黒板を持ち寄り
『怪我は大丈夫?』
と書いた。
ハッとしてニルス様は後頭部を触ると血が指についた。
「あの女…許せねえ…」
『医務室に行って帰った方がいいよ』
と書いてやるとニルス様はふっと微笑んだ。見たこともない初めて見た微笑みにドキっとしたが
「どうも…お前のテリトリーで嫌なとこを見せて悪かったな!お前は名前はあるのか?」
と聞かれた。え!?どうしよ…。
『マリア』
ととりあえず書いていた。私のミドルネームだけど大丈夫だろう。マリアなんてどこにでもいるし。
「ふうーん。マリアか。俺の婚約者もミドルネームはマリアと言うんだ」
と言われやはり別の名前にしとけば良かったと後悔した。
しかし…
「マリア!お前はいつもここにいるんだな?」
と聞かれ
『だ、大体…』
と仕方なく書くと
「そうか…なら暫くここに放課後来ようかな。もうアンナは怖がってここに近寄らないしここで生徒会の仕事をした方が捗るしいい隠れ蓑になる。俺は幽霊は怖くないし少し貸してくれないか?」
と言うので私は仕方なく
『いいよ』
と書いておく。はぁー。どうしよ、暫く幽霊のフリ続けた方がいいの?
めんどくさいことになったわ。
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