封印から目覚めると鬼娘の私は陰陽師のお嫁になっていました

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鈴の制服とお友達

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「鈴様ー!頼んでおいた制服が届きましたよー!」
 と民代さんが紙袋を持ち、テレビを見ていた私と優平くんの所に置いた。

「わあ!制服!!嬉しい!!」
 私は紙袋に入っていた箱から女子の制服を取り出して眺めた!!

 つ、ついに制服である!!
 ドラマでも女子高生達が着ている可愛らしい制服を羨ましいと思っていた。

 しかし優平くんは憂鬱にため息を吐いた。

「優平くん、来週から私も学校に行けるのに何でそんなに残念な顔をするのですか?」
 と言うと…優平くんは

「だって…鈴さん…。うちは共学なんだよ?男女同じなのに…男が…僕以外の男がたっくさんいるんだよ?」

「学校だし当たり前じゃないですか…」
 と言うと

「うううう…鈴さんは解ってないいいいい!!」
 と泣いた。
 民代さんは呆れて

「鈴さんがあんまり可愛くて綺麗だから優平様は嫉妬してるんですよ?芦谷さんを見たでしょう?御学友を殺しまくってはダメですよ?優平様」

「流石にそんなことしないけど…」

「それに九条さんもいるではないですか。彼女になら鈴さんの事情を話してるのでしょう?女同士お友達になってくれて何かあってもサポートしてくれるでしょう」
 と民代さんが言う。

「ええー?あいつはダメだよ!!」

「九条さん?女の子?優平くん何ですか?私会ったことありません!!浮気ですか?不倫ですか?」
 と言うと優平くんは

「いやいや、九条さんは聡明様のご友人の大貴族の藤原家の子孫の一つで今は一般人と同じくらいだけど土倉とも昔から仲も悪くないし、それにその子は見た目だけは男の子みたいな感じだし普通にクラスメイトだよ。先祖が仲良かったらしいってやたら話しかけてくるけど女の子として見ることなんかないよ!向こうも同じだし…なんか女子の方が好きらしい変な子だから、鈴さん見たらヤバイよ!!」

「えええ!?」

「ああ、でも安心して?一応好きな男の子はいるって聞いたことあるから。誰かは知らないけど」
 と優平くんはにこりと笑うが、私と民代さんは半目になった。アイコンタクトで

 (絶対その好きな人は優平くんだと思う)
 と。

「ちょっと!まさか九条頼子が僕のこと好きなんじゃないかって思ってる?絶対にないからね?向こうもお前みたいな太腿フェチのど変態とか冗談じゃない、お前なんか絶対好きにならないから安心しろって言われてる!!」

「あらあらまぁ、優平様のことよく判ってますねぇ」

「うん…まぁ…。頼さんは鬼や幽霊は視えないけど、気配だけは感じるらしくて、昔僕が鬼退治してる時に変態モード見られて正気に戻ると「気持ち悪い近寄るな!」と言われるくらいだよ!」

「…………」

「あ、視えないけど、僕が術式をかけて作った特殊な鬼とかが視えるメガネをかけたら頼さんも視ることができるんだ。鬼退治見せろって煩くてさ、鬼とか見たいって言う変な奴だよ」

「…………」
 民代さんと私は目を合わせてうなづいた。

 (絶対に優平くんが好きだその子!!)
 と思った。
 私は、はあっとため息を吐いて

「制服のサイズが合っているか着替えて来ますね」
 と居間を出た。
 優平くんがモテるのはなんとなくわかるけど。
 私はまだ学校に行ったことがないから優平くんがどんな学友に囲まれているのかすら判らない…。楽しみにしている学校だけど何だか憂鬱だ。

 私はふとイドミさんを思い出した。私と同じ鬼の女の子だし…。彼女ならお友達になれそうな気が少しした。鼠花火でお部屋を焦がしたことはあるけど…。

 そうだ!優平くんに彼女が学校に行けないか頼んでみようか!?

 私はとりあえず制服を着てみた。姿見で中々ぴったりのサイズだし直さなくてもいいみたい!
 やった!私…女子高生だ!JKだ!!
 くるくると姿見の前で周る。

 優平くん達の前に出て見せると優平くんは

「そ、そんな…!予想を通り越して可愛い過ぎる…!ヤバイよヤバイよ…!男子生徒に男性教諭に鈴さんが視姦されてしまうううう!!」
 とガクリと沈んでいる。
 可愛いと言われて気を良くした私はイドミさんのことを伝えてみたら

「ええっ!?何であの子まで…。鈴さんを拐った鬼なのに。しかもそれじゃミッキーくんもセットでついてくるじゃないか!」

「やっぱりダメですか…」
 と我儘を言っては優平くんを困らせるだけだと私は落ち込んだ。
 しかし民代さんは

「いいじゃないですか優平様。どうせもう芦谷さんは鈴さんに手を出すなんて真似しませんよ!変態モードの優平様に脅されたんですから。それに…酒呑童子の生まれ変わりといずれ闘うならあんなのでもいないよりはマシだと思いますよ?」
 と説得され、優平くんはついに折れた。
 その後、ミッキーくんとイドミさんは土倉家に呼ばれた。
 前に鼠の呪いをかけた時の謝罪に来た時は優平くんは玄関先で応対して中には入れなかったから正面から初めて入って来たミッキーくんは金持ちのこの家にビクビクキョロキョロしていたが、優平くんと私の前に出ると

「はーっはっはっはっ!!土倉優平!!貴様の下僕、参上してやったでございますぞ!!もっ…もしかして10万円を前借りできまするのかっ!?」
 ともはや変な言葉遣いになっている!

「振り込みは月末に決まってるよ。とりあえず上がりなよ」
 と居間に案内して途中で高そうな壺とか見てイドミちゃんにボソボソ言っている。

「あ、あれ幾らすんだ?」

「あれは高いやつです。間違っても割ったらもうミッキー様は臓器を売らないといけなくなりまシンデレラ」
 と言うとミッキーくんは青くなって黙った。めちゃくちゃそろりそろりと慎重に歩き始めた。

「あの壺は500万だよ。そんなにしないよ」
 と優平くんは言ったが、

「ぎえええっ!!ごっごっ500万!?半額弁当33万個くらいはあるじゃないかっ!ふざけんなバカ!!」
 と言った。
 えっ!?何その計算能力!

「あれええ?凄いね。バカだって思ってたけど、ごめんね?」
 と優平くんも驚いた。

「うるせえええ!貧乏人舐めんなこの野郎!!」
 と言うとイドミさんは

「…ミッキー様はお医者さんを目指していたのですから当然で寿司」

「わっ!!イドミ!!やめろ!!」
 とミッキーくんは焦ってよろけて壺にヒジが当たりグラグラした所をギリギリでシュババっと抑えて直した。それに優平くんは可笑しそうに

「くく…。やっぱりバカなのかな?術を使えば割れても元に戻せるのに…」
 と言うとミッキーくんはあっ!と言う顔になり

「は、はーはっはっはっ!!そそそそんなこと解り切っているわ!俺は芦谷堂満の子孫だからなっ!お、お前らをヒヤヒヤさせてやろうと思っただけだ!!」
 と踏ん反り返り、壺を掴み思い切りガシャーンと割った!!

「ふん!こんなもの!俺の力があれば容易い!!」
 と印をきり

【修繕!!】
 と言ったが壺がピクリともしない。

 優平くんはやれやれと言う顔をして、

「確かに術を使えば戻せるけど…。その壺に使われた土は特別な霊力をもっているからね…。

 君の力では戻せないんじゃないのかなぁ?まぁ僕なら戻せるけど……?どうしよう?割ったの君だし…。しかも当主である僕の目の前で…。言い逃れできないよね?弁償…500万ね?」
 と優平くんはにこりと笑い、ミッキーくんは卒倒しそうなくらい顔が真っ青になり手がガクガク震え出した。

「500万…弁償…500万……ぞ、臓器売買…」
 とブツブツ言い出した。

「はっ!!ミッキー様が高いもの壊した時の発作が!!」

「ええー、何それ!あはは」
 と優平くんは笑いながら印を切り壺を元に戻した。

「冗談だよ!ごめんねミッキーくん!君が術をかけた時に僕が元に戻らないようにこっそり術の上掛けをしたんだ。ちょっとした手品と同じだよ!弁償しなくていいよ」
 と言うとミッキーくんはドサリと床に倒れた。ビクビクと心臓を抑えた。

「あっ!!ドッキリし過ぎた発作が!!」
 とイドミさんが言った。

「ゆ、優平くん…。もうからかうのはやめてあげたら?」
 と流石に可哀想になり言うと

「うん、そうだね。もうやめるよ」
 とイドミさんに担がれてミッキーくんはやっと居間に連れてこられた。
 そして学校の話をすると

「お、俺が学校って…費用は…」

「うちが出すよ、10万円とは別にさ…。君が医者になったら出世払いでいいよ?」
 と言われてミッキーくんは蒼い瞳を潤ませて真剣に頭を下げた。

「すみません…。優平様…!今は御恩に着ります…」
 すると優平くんも

「今は…だね…。君は本当に面白いね。まぁきちんと僕の言うこと聞いてくれたら悪いようにはしないから…。酒呑童子のことも知りたいし」

「酒呑童子…の生まれ変わりですか…。あの鬼は最強の鬼と言われています…」

「そう…。君に接触してくるかは判らないし、その時君が先祖の因縁で裏切るのかも判らないけど…ね」

「……………俺は裏切らない…」

「……そうだといいね…」
 と優平くんは微笑みミッキーくんに手を差し出した。ミッキーくんはその手を取り握手した。
 そして優平くんは言った。

「しょうがないから下僕から友達に昇格してあげるよ…。よろしくね?」
 とにこりと言い、嫌そうな顔をしたミッキーくんは

「ドウモ…。アリガトウゴザイマース……」
 とカタコトになった。
 しかし出された綺麗な和菓子を見て犬みたいに喜んでいたのだった。
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