封印から目覚めると鬼娘の私は陰陽師のお嫁になっていました

白黒

文字の大きさ
上 下
21 / 39

ミッキーの使役鬼

しおりを挟む
 あれから優平くんが何故そこにいたのかという事とかあの怖い人は鬼神の1人だったり、金髪の男は聡明様のライバルの子孫であることが判明した。

「そう言えばあの金髪さんに触った時ビリってしました…ちょっとだけ痛かったです」
 と言うと優平くんは

「えっ!?大丈夫?」
 と手や指を見るがなんともない。

「まぁ、もう会わないように気を付けよう…」

「でも…あの人外国人なのに日本語を喋ってましたよ!?」
 と言うと優平くんは

「まぁ、ハーフか何かじゃないかな?芦谷堂満の先祖に異人…外国人がいたみたいだから」

「そうなんですね…あんな明るい金の髪に蒼い瞳を間近で見たのは初めてです。ドラマやアニメでも良く見ます」
 するとカップ麺にお湯を注いでいた優平くんの手が震えてバシャリとポットのお湯が手にかかった!!

「ぎゃっ!!あっっつつつつ!!」

「優平くん!!」
 大変だ!優平くんが火傷しちゃう!すぐに冷たいお水で冷やさないと!!

 私は優平くんを引っ張りキッチンに連れて行き蛇口をひねりしばらく流水をかけるように言った。

「もう!何してるんですか!優平くん!注意しないと!!」

「ご、ごめん…鈴さんが…あんなヤツを間近で見たとか言うから…」
 と優平くんは何か不満そうだ。

「間近と言ってもそんな近付いてないですよ?」

「でも…もう会わないでね…。もし外であいつを見つけても近寄っちゃダメ…。何か嫌だし」

「それは…ライバルだからですか?」

「うーん、ライバルって言っても先祖同士がでしょ?僕も初めて会ったし…向こうはなんかライバル視してたけど。…なんか絡むと疲れそうな気がしたしね」
 と言った。

「あの芦谷の人も陰陽師なんですよね?式神や鬼神の玄武さんも見抜いたのでしょう?向こうも鬼退治してるんですか?」

「さあ…判らないけど、そんなことどうでもいいよ…あんまりあいつの話しないで」
 と優平くんは膨れた。これ以上言わない方がいいのかな。

「火傷は…」

「うん、大丈夫かな…すぐに冷やしたから」

「良かった!私のかかさん…えと、お母さんが私が子供の頃、お鍋のお湯ひっくり返してすぐに川のお水に手を付けていたんです。だから私も跡は残らなかったんですよ」

「川の側に住んでいたんだね?」

「はい!で、でもお魚は漁師さんの許可ないと勝手に取っちゃダメって言われて…」
 と言うとぐうっとお腹がなる。

「ふふっ、鈴さん、カップ麺が伸びちゃうから食べようか」

「はい!!楽しみです!!」
 と優平くんは一応保冷剤も冷蔵庫から出して少し手に当てている。

 そして私は初めてカップ麺を食べた!!
 何これ、初めての味…。不思議な味だ。普通の麺ともまた違う気がする。

「中々独特ですけど、美味しいですね!!」
 と言うと優平くんは

「これはあんまり栄養もないんだからそんなに食べたらダメ」
 と言う。うーん、まぁ確かに民代さんが用意してくれるお料理の方が素材を生かしていて生きてるお料理って感じもする。

「判りました!たまになら食べます!」
 とにっこりするといい子いい子と頭を撫でられる。

「母さんと父さんが生きていてこんなの食べたらびっくりすると思います…」

「……鈴さん…」

「ごめんなさい…私…お墓も作ってあげられなか…った…から…」
 優平くんはソッと抱きしめてくれた。

「これからも僕はずっと鈴さんの側にいるからね?………あ、そう言えばご褒美何がいいかな?ちゃんと買い物出来たしインターネットで何か選ぶ?」
 と聞くから私は首を振り

「じゃあ…キスがいいです…」
 と言うと優平くんは赤くなるが、判ったとうなづき顔を近づけ私はドキドキしながら待っていると…
 ピクリと優平くんは真面目な顔になって止まった。
 ど、どうしたんだろ。いえ、カッコいいですけど。

「何だ!?この感じ…」

 すると庭の方からドォンと何かが落ちた音がして、民代さんに使用人達が集まっていた。

「何事ですか!!?」
 と優平くんが声をかけると、

「あ、優平様!!……あの…何か判らないですが、あれは鬼ですか?」
 と庭にいる白衣に黒いシャツと黒い短パンを履いた鬼の女の子がいた。髪はボブくらいで角が生えている。

「今晩わんこそば!」
 と右手をピッと優平くんに上げた。

「ダジャレ!?」
 と優平くんは言う。ダジャレさん??

「私、芦谷光邦様こと、ミッキーの使役鬼でございマンモス!」

「え?あいつの?何で…結界は?」

「はい、強力な結界を見つけましたので土御神家のものだとすぐに判りました。普通に入れそうに無かったので少々結界の薄い隙間からなんとか穴を開けさせていただきましたンゴ!」
 と上を指すと結界に1人分の穴が空いていた。
 この鬼…強いの??

「っ!一体何の用だ!?」

「はい…ミッキー様が何度やっても電話番号繋がんねぇ!どうなってやがる!!?あ?出鱈目かこれ?畜生!あの野郎!許さん!おい、イドミ(イドミとは私のことです)土御神の陰陽師見つけ出して果し状渡して来い!!…との事です」
 となんか可愛らしい模様の封筒を何故かボインバインの胸から出して渡された。

「何この封筒…」

「あ、家に地味な封筒が無くて離れて住む妹さん用に買っておいたレターセットを使ったんでスナメリ!」

「は、はあ…」
 ガサガサとその場で封筒を広げて中を読むと

「明日の夕方17時に烏丸トンネルの前で待つ!」

「何で僕が行かないといけないんですか?因縁つけるのもいい加減にしてほしいです。先祖同士がライバルだったからって…」
 しかしイドミさんは

「はい、そうでマントヒヒ。ですが、ミッキー様はとりあえず今の貴方と会えて興奮しているんです。あれです、強えヤツと会ってオラ、ワクワクすっぞ!早く戦ってみてえ!!!って言う心境デスティニー」

「えええー…っ…」
 そしてチラリと私を見るとまた豊満な胸からゴソゴソ何かを出し、それを放った!!
 なんと幾つかの紙束に鼠花火と書いておりそれを投げるとシュルシュルと回る火花が現れ、それをそこら中に投げられる!

「わっ!!」
 優平くんが驚いて飛び退くと座布団が燃える」

「きゃあああ!」

「早く火を消すのです!!」
 とワタワタしだした使用人達を潜り抜け一瞬の隙で私はイドミさんに捕まってしまった!!

「ひゃあ!!」
 と叫ぶと優平くんが

「鈴さん!!な、何するんだ!!」
 と木札を出そうとするがぴっと私の首に長い爪を突きつけて

「ということで、動くと頸動脈を切り裂きまスシ。そういう事なので明日は指定の場所に来てくだサイン!」
 と私を抱えてあっという間に高く飛び上がり入ってきた結界の穴から抜けていく。

「鈴さん!!!」
 小さくなり、青くなる優平くんが見えて消えて、イドミさんはピュイっと指笛を吹くと真っ黒な大きな犬が現れた。額には六芒星が描かれていた。

「よちよち、さぁ土御神の鬼娘さん捕まりなさい。鬼門が出てくる前に移動しますヨッシー」
 と私が犬にイドミさんと捕まると瞬きする間に知らないオンボロアパートに連れてこられた。ここにも結界があるが、イドミさんは結界に手を翳すと結界がグニョンと開いて私は犬に捕まりつつも潜り抜けた。

 そしてカンカンとなんか今にも壊れそうな綻びた階段を上がり一部屋の前まで来たらバンとドアが空いた後、仁王立ちで金髪のミッキーくんが不適な笑みで立っていた。

「はーはっはっはっ!!土御神の使役鬼だな!?おまえを人質…いや鬼質にして明日の夕方奴とどちらが先に鬼門の鬼を退治できるか勝負してやる!!御先祖様!見ていてください!敵はこの子孫の光邦が打ちます!!」
 はーっはっはっはっ!とミッキーくんは笑った。

 *
 その頃、鼠花火の火を消してひと段落した土倉家で僕は震えていた。
 怒りで!

「ゆ、優平様…」

「…………鈴さん…鈴さんを拐うなんて……ど、どうしよう…ああ、あいつ…あの野郎…あああ」
 と暴走しかける僕にスパンとスリッパで叩かれた。

「落ち着きなさい!優平!」

「か、母さん…」

「何やら本家が騒がしいから来てみたの。勝手に入ってごめんなさいね?」

「い、いいよ…」

「そんなことより結界は塞いだの?」
 と言われる。唇を噛みしめて血が出たが、庭に出て結界の穴をとりあえず閉めた。

【複!】
 ブヨンと結界は塞いでいき、強固にしておく。

 鈴さん…!待ってて!!

「あら、出掛けるの?これから?勝負は明日なんでしょう?」

「明日まで悠長に待てないよ…」
 母さんと民代さんはため息をつくと

「優平…変態もほどほどにね?」
 と背中を押されて僕は駆け出した。

 木札から天空と朱雀を呼び出して白い大きな梟の式神に乗って移動した。



しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あやかし嫁取り婚~龍神の契約妻になりました~

椿蛍
キャラ文芸
出会って間もない相手と結婚した――人ではないと知りながら。 あやかしたちは、それぞれの一族の血を残すため、人により近づくため。 特異な力を持った人間の娘を必要としていた。 彼らは、私が持つ『文様を盗み、身に宿す』能力に目をつけた。 『これは、あやかしの嫁取り戦』 身を守るため、私は形だけの結婚を選ぶ―― ※二章までで、いったん完結します。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

真夜中の仕出し屋さん~料理上手な狛犬様と暮らすことになりました~

椿蛍
キャラ文芸
「結婚するか、化け物屋敷を管理するか」 仕事を辞めた私に、父は二つの選択肢を迫った。 料亭『吉浪』に働いて六年。 挫折し、料理を作れなくなってしまった―― 結婚を断り、私が選んだのは、化け物屋敷と父が呼ぶ、亡くなった祖父の家へ行くことだった。 祖父が亡くなって、店は閉まっているはずだったけれど、なぜか店は開いていて―― 初出:2024.5.10~ ※他サイト様に投稿したものを大幅改稿しております。

椿の国の後宮のはなし

犬噛 クロ
キャラ文芸
※毎日18時更新予定です。 架空の国の後宮物語。 若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。 有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。 しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。 幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……? あまり暗くなり過ぎない後宮物語。 雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。 ※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...