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逃げれない旅の始まり
どこまでも信用しない女勇者にうんざりする
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「おい、メイカ!いい加減にリリイさんに付けているロープを外せ!彼女は家畜じゃないんだぞ?」
ウィル様が抗議を続けるがメイカは相変わらず聞く耳持たずだった。
「そうよぉ、あたし達もう逃げたりなんかしないわよぉ!ていうかできないし…」
「アリアさんの言う通り僕等はもう逃げたりなんかしませんよ?この腕輪を見て下さい」
とシグルさんはウィル様とアリアさんにも付けられた腕輪を見せた。
「何その腕輪?単なるアクセサリー?」
「違う!これは俺達の誓いだ!誰か一人が逃げ出したら爆発する仕組みになっている!だから魔王を倒すまでは絶対に逃げたりしないからもうリリイさんを離してやれ!」
と聞いて私は青ざめた。
「み、皆さん!何て危険な物を付けているのですか!外せないのですか?」
「無理です…一度付けたら魔王を倒すまでは外せないんです…」
とシグルさんが説明するとメイカはこれ以上ないと言うくらい笑顔になった。
「あっはっはっはっ!あんた達本物のバカだね!じ、自分からつけるかね?ひっひっひっ!」
とバカ笑いしたメイカは
「仕方ないね、お風呂とトイレは自由にしてやるよ、女魔法使い!」
「は?おい!逃げないと言ってるのに何で!」
とウィル様はキレそうだ。
「何でって、女魔法使いの分の腕輪はないんでしょ?こいつが一人で逃げるかもしれんだろ?」
「わ、私はそんなことしません!皆さんを置いて逃げ出すなんてそんな卑怯なこと!」
本当に心外である。最初は一人で逃げようとも思ったけど、今となってはそんな薄情なこと出来ない。
「ふーん、どうだかね…」
とまだ疑うメイカにシグルさんは
「仕方がありません…これは使いたくなかったけど…リリイさんこの指輪を付けていただけますか?これは…ちょっとした呪いがかかっています…」
と可愛らしい花が付いた指輪をシグルさんが取り出した。
「逃げようとすると全身に毒が回る仕組みです。本来なら勇者さんにつけても良かったんですが…」
「ああ?なんて事計画してんだクソメガネが!」
あなたに言われたくないわよと私は思った。
「ふーん、シグル面白いじゃない、いいよぉあんたに免じてロープ外してあげるよ。ただし、あたしを騙したら許さないからね!」
「判りましたよ!あなたしつこいですよ!リリイさん手を…」
と言われ私は手をシグルさんに差し出すと指輪を嵌められ
「クロックチェーン」
とシグルさんが呪文を唱えると指輪は外れなくなった。これで私も逃げれなくなったのね…。
まぁ、こんなの無くても逃げようとは思わないけどね。メイカはニヤリとしてようやくロープを外した。
皆はひとまずホッとした。
その日の夕方に小さな村に着いた。
「やっとベッドで寝れるー!早く宿取ってきてー」
とメイカはその場にしゃがみ込んだ。
「こんな小さな村に宿なんかない!泊めてくれそうな家を探そう」
「そうですね、村長を訪ねましょう」
とメイカを置いて皆は移動する。仕方なくメイカも後を付いて来た。
村の人に訪ねて村長の家にたどり着きウィル様が代表して宿泊を頼むと気の良さそうな村長は私達を泊めてくれた。
久しぶりにメイカと別々の部屋を貸してくれて私は感動した。
荷物を置き夕食まで用意してくれた村長に私達はお礼を言うがメイカは疲れたと言って部屋から出てこず、旅の備蓄品の食料を漁っていた。
せっかくのご好意を無駄にして村長に謝ると良いんですよと笑って許してくれる。
「全くあのクズめが!善意を何だと思ってんだか!」
「それにしても何故勇者さんは食事を食べないのだろう?真っ先に飛びつきそうなのに…」
私もそれには疑問を抱いていたが特に気にせず夕食をしっかり取った。
部屋に戻り一息つくとノックがしてシグルさんが入ってきてドキッとする。
そういえば私達はどういう関係なのかしら。
「ちょっと失礼しますね」
「は、はい!」
なんだか緊張してきた。
「リリイさん…実は…」
といきなり手を取られ私はドキドキが止まらない。
「この指輪なんですが…」
「え?この呪いの指輪がどうかしました?」
「それね、呪いかかってませんよ」
え?呪いがかかってない?
「つまりリリイさんだけはこのPTからは今すぐ逃げれるってことです。勇者さんに一芝居打ったわけですよ」
「そんな…私は逃げません!呪いがかかって無くとも!シグルさん達を置いて行けるはずありません!私も旅に同行しますよ!」
シグルさんは
「そうですか…本当なら逃げて欲しかったのですが…仕方ありませんね。でもこれが普通の指輪だと気づかれないようにしてくださいね?」
「わかりました…」
「ああ、婚約指輪の代わりということで…」
「えっ!」
突然のことで驚くとシグルさんはメガネを外し
「僕は…リリイさんが好きです…これは冗談ではなくて本当ですよ?」
と微笑んだ。
ぎゃあ!イケメンの微笑みが突き刺さる!
真っ赤になっていると唇を指でなぞられる。
ひっ!イケメンがまた誘惑してきます。どうしたら!とバクバク破裂しそうな胸を押さえていると…シグルさんは急に頭を押さえて私の胸に倒れた。
えっ?ど、どうしたの?
「あれ?す、すみません…何か力が抜けて…」
「ええっ?シグルさんしっかり!しっか…」
と言った所で私も急に力が抜けて倒れてしまった。
ウィル様が抗議を続けるがメイカは相変わらず聞く耳持たずだった。
「そうよぉ、あたし達もう逃げたりなんかしないわよぉ!ていうかできないし…」
「アリアさんの言う通り僕等はもう逃げたりなんかしませんよ?この腕輪を見て下さい」
とシグルさんはウィル様とアリアさんにも付けられた腕輪を見せた。
「何その腕輪?単なるアクセサリー?」
「違う!これは俺達の誓いだ!誰か一人が逃げ出したら爆発する仕組みになっている!だから魔王を倒すまでは絶対に逃げたりしないからもうリリイさんを離してやれ!」
と聞いて私は青ざめた。
「み、皆さん!何て危険な物を付けているのですか!外せないのですか?」
「無理です…一度付けたら魔王を倒すまでは外せないんです…」
とシグルさんが説明するとメイカはこれ以上ないと言うくらい笑顔になった。
「あっはっはっはっ!あんた達本物のバカだね!じ、自分からつけるかね?ひっひっひっ!」
とバカ笑いしたメイカは
「仕方ないね、お風呂とトイレは自由にしてやるよ、女魔法使い!」
「は?おい!逃げないと言ってるのに何で!」
とウィル様はキレそうだ。
「何でって、女魔法使いの分の腕輪はないんでしょ?こいつが一人で逃げるかもしれんだろ?」
「わ、私はそんなことしません!皆さんを置いて逃げ出すなんてそんな卑怯なこと!」
本当に心外である。最初は一人で逃げようとも思ったけど、今となってはそんな薄情なこと出来ない。
「ふーん、どうだかね…」
とまだ疑うメイカにシグルさんは
「仕方がありません…これは使いたくなかったけど…リリイさんこの指輪を付けていただけますか?これは…ちょっとした呪いがかかっています…」
と可愛らしい花が付いた指輪をシグルさんが取り出した。
「逃げようとすると全身に毒が回る仕組みです。本来なら勇者さんにつけても良かったんですが…」
「ああ?なんて事計画してんだクソメガネが!」
あなたに言われたくないわよと私は思った。
「ふーん、シグル面白いじゃない、いいよぉあんたに免じてロープ外してあげるよ。ただし、あたしを騙したら許さないからね!」
「判りましたよ!あなたしつこいですよ!リリイさん手を…」
と言われ私は手をシグルさんに差し出すと指輪を嵌められ
「クロックチェーン」
とシグルさんが呪文を唱えると指輪は外れなくなった。これで私も逃げれなくなったのね…。
まぁ、こんなの無くても逃げようとは思わないけどね。メイカはニヤリとしてようやくロープを外した。
皆はひとまずホッとした。
その日の夕方に小さな村に着いた。
「やっとベッドで寝れるー!早く宿取ってきてー」
とメイカはその場にしゃがみ込んだ。
「こんな小さな村に宿なんかない!泊めてくれそうな家を探そう」
「そうですね、村長を訪ねましょう」
とメイカを置いて皆は移動する。仕方なくメイカも後を付いて来た。
村の人に訪ねて村長の家にたどり着きウィル様が代表して宿泊を頼むと気の良さそうな村長は私達を泊めてくれた。
久しぶりにメイカと別々の部屋を貸してくれて私は感動した。
荷物を置き夕食まで用意してくれた村長に私達はお礼を言うがメイカは疲れたと言って部屋から出てこず、旅の備蓄品の食料を漁っていた。
せっかくのご好意を無駄にして村長に謝ると良いんですよと笑って許してくれる。
「全くあのクズめが!善意を何だと思ってんだか!」
「それにしても何故勇者さんは食事を食べないのだろう?真っ先に飛びつきそうなのに…」
私もそれには疑問を抱いていたが特に気にせず夕食をしっかり取った。
部屋に戻り一息つくとノックがしてシグルさんが入ってきてドキッとする。
そういえば私達はどういう関係なのかしら。
「ちょっと失礼しますね」
「は、はい!」
なんだか緊張してきた。
「リリイさん…実は…」
といきなり手を取られ私はドキドキが止まらない。
「この指輪なんですが…」
「え?この呪いの指輪がどうかしました?」
「それね、呪いかかってませんよ」
え?呪いがかかってない?
「つまりリリイさんだけはこのPTからは今すぐ逃げれるってことです。勇者さんに一芝居打ったわけですよ」
「そんな…私は逃げません!呪いがかかって無くとも!シグルさん達を置いて行けるはずありません!私も旅に同行しますよ!」
シグルさんは
「そうですか…本当なら逃げて欲しかったのですが…仕方ありませんね。でもこれが普通の指輪だと気づかれないようにしてくださいね?」
「わかりました…」
「ああ、婚約指輪の代わりということで…」
「えっ!」
突然のことで驚くとシグルさんはメガネを外し
「僕は…リリイさんが好きです…これは冗談ではなくて本当ですよ?」
と微笑んだ。
ぎゃあ!イケメンの微笑みが突き刺さる!
真っ赤になっていると唇を指でなぞられる。
ひっ!イケメンがまた誘惑してきます。どうしたら!とバクバク破裂しそうな胸を押さえていると…シグルさんは急に頭を押さえて私の胸に倒れた。
えっ?ど、どうしたの?
「あれ?す、すみません…何か力が抜けて…」
「ええっ?シグルさんしっかり!しっか…」
と言った所で私も急に力が抜けて倒れてしまった。
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