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第6話 ペンダントの力と小さな少年
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まわりに誰もいないことを確認してから、そっと取り出してみました。するとなんと、ペンダントが昨日と同じように光っているではありませんか。
「また光ってる……」
華奈がペンダントを見つめていると、その光が一瞬だけ強くなり、するとその直後、ザーザー降っていた雨がおさまりはじめました。
「もしかして、わたしの願いを叶えてくれているの……?」
あっという間に雨がやんだので空を見上げてみると、あつい雲で暗かった空が明るくなっていました。雲に切れ間もできていて、間から青い空も見えています。
(こんな不思議なことってあるんだろうか……もしこのペンダントにそんな力があるのなら、本当に早く返さないと……!)
そう思った華奈は、まだほんわりと光るペンダントを見ます。すると、まるで何かにとりつかれたかのように目が離せなくなり──
『自分の物にしてしまいたい』
そんな言葉が華奈の頭にうかんできました。
それは昨日『ほしい』と思ってしまった時よりもずっと強く、良くない感じがして……。自分の中にとつぜん現れたその言葉に華奈は驚き、怖くなりました。
(コレは拾った物! だから早く持ち主に返さなきゃ……!)
目をつむってそう強く自分に言い聞かせた華奈は、ペンダントを急いでポケットに戻しました。
やっぱり元あった場所に戻してこよう。そう決めて、急いでそこへと向かいます。
青い空がどんどん広がっていき、残った白い雲が少し赤みを帯びてきた頃、華奈はその場所に着きました。公園で遊んでいた子供たちは、もうほとんど帰ったらしく、奥の砂場で小さな子が二人遊んでいるのが見えます。
華奈は辺りを見回し、誰もいないことを確認してから、公園入り口の茂みに少しだけ近寄りました。
「この茂みの前で見つけたのよね……」
朝、ガサガサと不自然に動いた茂みを、おそるおそる見つめてみますが、今は風で葉が少しゆれているだけのようでした。
「朝は何か動物でもいたのかな……」
そう言いながら、ペンダントを元の場所に置くためにしゃがむと――
「おい! お前!」
突然、どこからか怒っているような小さな声が聞こえてきました。
華奈は驚いて、慌てて辺りを見回し、声の主を探します。ですが、周りには誰もいません。
「ここだ、ここ! 目の前にいるじゃないか、ちゃんと見ろ!」
再び聞こえたその声に、華奈はまさかと思いながら、目の前の草を両手でよけてみました。
するとそこには、とてもキレイな顔をした、金色にかがやく小さな少年が、両手を腰にあてて立っていました。
「見えたか⁈」
「手のひらサイズの……小人さん……?」
よく見ると、金色にかがやいているのは彼の髪で、長くやわらかそうな三つ編みが、その右肩からたれています。
服は白地に金の刺繍、金色のボタンがついていて、足首まである赤いマントはそよ風でなびいていて。まるで物語に出てくる王子様みたい、と華奈は思いました。
「小人じゃねぇ! 力が足りなくなって小さくなっちまっただけだ!」
何やらものすごい怒った顔とその乱暴な物言いに、ちょっと驚いたけれど。なにせサイズが小さいので、怖くはありませんでした。
「小さくなっちゃっただけの……人……?
私は華奈、あなたの名前は?」
華奈は興味津々、自己紹介をして小さい少年に名前を聞きました。
「俺の名前はシオン!」
少年はプリプリと怒りながらも教えてくれます。
「そんなことより、お前! 勝手に使っただろう、俺の力の結晶を!」
「また光ってる……」
華奈がペンダントを見つめていると、その光が一瞬だけ強くなり、するとその直後、ザーザー降っていた雨がおさまりはじめました。
「もしかして、わたしの願いを叶えてくれているの……?」
あっという間に雨がやんだので空を見上げてみると、あつい雲で暗かった空が明るくなっていました。雲に切れ間もできていて、間から青い空も見えています。
(こんな不思議なことってあるんだろうか……もしこのペンダントにそんな力があるのなら、本当に早く返さないと……!)
そう思った華奈は、まだほんわりと光るペンダントを見ます。すると、まるで何かにとりつかれたかのように目が離せなくなり──
『自分の物にしてしまいたい』
そんな言葉が華奈の頭にうかんできました。
それは昨日『ほしい』と思ってしまった時よりもずっと強く、良くない感じがして……。自分の中にとつぜん現れたその言葉に華奈は驚き、怖くなりました。
(コレは拾った物! だから早く持ち主に返さなきゃ……!)
目をつむってそう強く自分に言い聞かせた華奈は、ペンダントを急いでポケットに戻しました。
やっぱり元あった場所に戻してこよう。そう決めて、急いでそこへと向かいます。
青い空がどんどん広がっていき、残った白い雲が少し赤みを帯びてきた頃、華奈はその場所に着きました。公園で遊んでいた子供たちは、もうほとんど帰ったらしく、奥の砂場で小さな子が二人遊んでいるのが見えます。
華奈は辺りを見回し、誰もいないことを確認してから、公園入り口の茂みに少しだけ近寄りました。
「この茂みの前で見つけたのよね……」
朝、ガサガサと不自然に動いた茂みを、おそるおそる見つめてみますが、今は風で葉が少しゆれているだけのようでした。
「朝は何か動物でもいたのかな……」
そう言いながら、ペンダントを元の場所に置くためにしゃがむと――
「おい! お前!」
突然、どこからか怒っているような小さな声が聞こえてきました。
華奈は驚いて、慌てて辺りを見回し、声の主を探します。ですが、周りには誰もいません。
「ここだ、ここ! 目の前にいるじゃないか、ちゃんと見ろ!」
再び聞こえたその声に、華奈はまさかと思いながら、目の前の草を両手でよけてみました。
するとそこには、とてもキレイな顔をした、金色にかがやく小さな少年が、両手を腰にあてて立っていました。
「見えたか⁈」
「手のひらサイズの……小人さん……?」
よく見ると、金色にかがやいているのは彼の髪で、長くやわらかそうな三つ編みが、その右肩からたれています。
服は白地に金の刺繍、金色のボタンがついていて、足首まである赤いマントはそよ風でなびいていて。まるで物語に出てくる王子様みたい、と華奈は思いました。
「小人じゃねぇ! 力が足りなくなって小さくなっちまっただけだ!」
何やらものすごい怒った顔とその乱暴な物言いに、ちょっと驚いたけれど。なにせサイズが小さいので、怖くはありませんでした。
「小さくなっちゃっただけの……人……?
私は華奈、あなたの名前は?」
華奈は興味津々、自己紹介をして小さい少年に名前を聞きました。
「俺の名前はシオン!」
少年はプリプリと怒りながらも教えてくれます。
「そんなことより、お前! 勝手に使っただろう、俺の力の結晶を!」
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