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第二部 落日
第五〇話 麗人対話
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「申し訳ありません」
玲陽は、居心地悪そうに、蓮章に頭を下げた。玲凛の傍若ぶりにあっけにとられていた蓮章は、そんな玲陽に笑いかけた。
「いや、お前が謝る必要はない。凛の言葉は確かに胸をえぐるが、残念ながら、すべて真実だ」
玲陽はそんな蓮章に少し驚いた様子だったが、申し訳ない気持ちが消えることはなかった。
確かに、玲凛の言葉はすべて理にかなっている。多分に私情を挟んではいるが、それとて、一貫していることに間違いない。とにかく、玲凛にとっては、玲陽がすべての基準なのだ。また、蓮章の腕前如何についても、的を得ていることは事実だった。おそらく、蓮章よりも玲凛の方が腕は立つだろう。
しかし、である。
いくら正論といえども、物事には伝えるべきことと伏せるべきことがある。
わざとなのか、それともわかっていないのか、その判断は難しいところではあるが、とにかく、玲凛が誰に対しても容赦なく言葉を浴びせかけるという現実は、どうにかしなければならない、と、玲陽も頭を悩ませている。
玲凛には、相手を蔑む意図はなく、ただひたすらに淡々と事実を並べているに過ぎない。しかし、残酷なまでの言いようは、多くの場合、相手を傷つけるか怒らせるか、のどちらかだ。
玲凛は決して、人の心を察することができないわけではないが、ある意味、怖いもの知らずな面が災いしていることは間違いないようである。
「どうして、あれほど気が強くなってしまったのか……」
玲陽は、蓮章と二人で夕餉の卓につきながら、何度目かのため息を漏らした。いつもなら、一緒に食事をする玲凛だが、よほど蓮章のことが気に入らないのか、忙しいから、と理由をつけて席を外している。蓮章も、嫌われていることについては、すでに諦めていた。
「根は、悪い子ではないのです」
言い訳っぽく、玲陽はつぶやいたが、その声には力がない。
「陽、気にするな。あれくらい気丈でなければ、お前や親王の世話はできないだろう?」
「……どういう意味です?」
「平穏な毎日ではないだろうからな」
「それは……そうかもしれませんけれど……」
玲陽は否定しようとして、説得力がないと諦めたのか、言い淀んだ。
玲陽たちの日常は、言われた通り、平穏無事なものではなかった。
日夜、周囲を動き回る傀儡の気配を感じ、かなりの頻度で傀儡憑きと遭遇し、その度に玲陽は浄化に苦しめられ、玲凛の力を借りることも多い。
または、犀星が送り主のわからない刺客に狙われることもあり、これも、玲凛の武術のおかげで安眠が保たれることもしばしばだ。
家の仕事に加えて、ほとんどの女性には無縁の役割を、玲凛は文句一つ言わずに淡々とこなしている。今まで東雨が勤めていた夜間の寝ずの番も、玲凛が代わりに引き受けていた。だからこそ、犀星も玲陽も、政治に打ち込むことができるし、東雨も屋敷を留守にする余裕が得られる。
玲凛の働きは、彼らに時間と体力、気持ちのゆとりを与えてくれていることは、紛れもない事実である。
「凛どのは、しっかりなさっていますから、私たちも本当に助けられています。けれど、誰にでも、欠点はあるものですから……」
「まぁ、これくらいの欠点は、大目に見ていいんじゃないか?」
蓮章は、以前に来た時に、涼景が残していった酒を勝手に飲みながら、
「暁隊には、凛より扱いに困る連中が山といる。まだ、可愛い方だ」
「ハァ……」
荒くれ者、乱暴者、厄介者……そんなくくり方をされる暁隊の兵士たちと比較されて褒められても、玲陽は兄として複雑な思いだ。第一、そんな泣く子も黙る豪傑揃いの暁隊が、玲凛の警護に恐れをなしていたというのだから、蓮章の慰めも信用ならない。
結局、凛どのは、暁隊より凶暴で恐ろしい存在……
玲陽は干し魚の半身を粥に沈めながら、食べることも忘れていつまでも箸先でつついていた。
「そういえば、今回の都北の視察、どうして一緒に行かなかった?」
蓮章は、これ以上、玲凛について論じても不毛だと思ったのか、話題を変えた。
「お前が親王と離れて行動するなど、不自然極まりないのだが?」
「ああ、それは……」
玲陽は顔を上げると、
「先ほど、凛どのも言っていた通りです。私は同行したい、と言ったのですが、兄様が傀儡の多さを心配して、連れて行きたくない、と」
「傀儡溜まり、とか言っていたな?」
「はい。戦場跡とか、よく、そうなるんです」
「そこに行くと、お前はどうなるんだ?」
「その時々によりますが、とにかく、嫌なものをたくさん見ます」
玲陽は、また、箸で魚をつつき始めた。
「それから、私が見えていることに気づけば、傀儡たちは寄ってきます。そして、騒ぎ始めます」
「騒ぎ始める? それはどういう……?」
「簡単に言いますと、物を動かして人々を驚かせたり、無関係な人たちに取り憑いて、私を襲ってきたり……」
「お前が、そこに行くだけで、そうなるのか?」
「はい」
「迷惑だな」
「我ながら、そう、思います」
「いや、お前ではなく、傀儡ってやつが、迷惑な存在だと……」
「どっちもどっちです」
玲陽はなぜか、拗ねたように口を尖らせた。
「私がいると、迷惑なんです」
「お前なぁ」
よほど、置いて行かれたことが不服と見える。いじけた子供のように俯いている玲陽を、蓮章は苦笑して見守った。
あの妹にして、この兄あり、だな。
一見、相反しているように思われるが、実際には二人とも、素直なのだ。出生からその半生まで、過酷な運命を背負っていながら、兄妹そろって、よくもここまでまっすぐに育ったものだ、と、感心すらしてしまう。
「心配だろ? 親王のこと」
「当たり前です」
玲陽は、ぐっと目元に力を入れて、泣きそうになるのをこらえているかのようだ。
「兄様には傀儡の姿は見えませんけれど、声は聞こえます。何を聞かされるかと思うと、それだけで不安です。せめてそばにいられたら、一緒に耐えることもできるのに…… お一人では孤独すぎます」
「東雨では、傀儡の存在は認識できないものな。共感してはやれないわけか」
「はい。物理的な怪我とかより、精神面の方が気がかりで……」
玲陽の椀には、まだ半分以上の粥が残っていたが、すっかり食欲は失せてしまったようだ。
「兄様が、私を心配してくれているのはわかります。けれど、置いて行かれる方が嫌」
「親王に、その気持ちをちゃんと言わなかったのか?」
「言いましたよ。けれど、兄様は一度言い出したら強情ですから」
「お前の頼みでも、か?」
「……たぶん、強く押せば聞いてくれたと思いますけれど……」
玲陽は箸と椀を持って固まったまま、
「今回は、治水に関する調査が目的です。私が一緒では、余計な揉め事が起こって、肝心の調査の妨げになる可能性が高すぎます。ですから……」
「強気には出られなかった、か……」
「はい」
蓮章は涼景の酒を遠慮なく飲み続けながら、
「お前の判断は正しいと思うぞ。何を優先すべきか、だ。親王だって、自分がどんな目にあうかはわかっていたはずだ。それでも、お前を連れていく方が危険性が高いと考えたのだろう。お前を連れて行って、傀儡のために苦しめて、その上、調査も出来ない、などということになれば、お前が苦しむことさえ無駄になる。あいつは物事を客観的に考えて、論理的に進める男だ」
こくん、と頷いたが、玲陽の表情は晴れない。不安そうな顔で、玲陽は蓮章を見つめた。
「あの、蓮章様?」
「うん?」
「三年前、都北で争乱があった時、停戦協定を結ぶ交渉の中心になったのが、兄様だと聞いたのですが」
「ああ、そうだ」
「詳しく教えていただけませんか? 兄様にお尋ねしようと思ったのですが、機会を掴み損ねてしまって」
蓮章は当時のことを思い出しながら、
「あの年は、酷い水害が起こって、都北は作物が壊滅したんだ。その上、二年近くに及ぶ国境の小競り合いが収まらず、膠着状態が続いていた。帝は徹底抗戦を唱えたが、持久戦の中で兵の士気は下がり続けていた。自分たちの土地が戦禍に巻き込まれた民衆の不満も募り、確実に飢餓に苦しむであろう冬も近かった。その時、涼景と親王が一計を案じて、帝には内密で国境へ赴き、敵方の大将と直接話をつけた。こちらから、一年に一度、一定量の穀物と繊維を贈る代わりに、国境の不可侵を約束させた。不毛な争いを続けて疲弊していくより、そっちの方が得策だと踏んだんだ」
「帝は、お怒りになったでしょうね?」
「最初はな」
蓮章は揺らしていた盃の酒を、一気に飲み干した。
「だが、師匠が動いて、古参の文官たちに手を回した」
「お師匠様? あ、仲草様ですね」
「そうだ。年かさの連中を結託させ、揃って協定成立に賛同させた。帝が親王に命じて交渉させ、英断に導いた、と吹聴したんだ」
「嘘……ですよね」
「ああ、師匠は、そういう小細工がうまいからな。帝も引くに引けなくなって、認めざるをえなかった。それに、すぐに厳しい冬を迎えて、それどころではなくなったしな。春が来る頃には、すっかり忘れていたさ」
犀星が気に入って登用した慈圓は、宮廷に太い人脈を持つ大御所である。度胸と肝の座り具合に定評がある文官だ。官位こそ高くはないものの、その発言力は大きい。彼を頼って、五亨庵まで相談に来る者がいるほどである。そんな慈圓は、涼景と蓮章の学問の師匠でもある。
「仲草様の、いたずらっぽい笑顔が、目に浮かびます」
玲陽は、ようやく少し心が落ち着いたのか、ゆっくりと息を吐いた。
「帝まで騙して手玉にとる兄様なんだから、私が翻弄されても、仕方がないですよね」
「ん?」
蓮章は、ふっと玲陽の雰囲気が緩むのを感じて、目を瞬いた。
「私、きっと、とっても子供っぽい嫉妬やわがままを抱いてしまっていると思います。でも、仕方がないんです。私、あの人に夢中なんです」
「ふっ……」
思わず、蓮章が吹き出した。玲陽は、微笑して、蓮章を見た。
「参ったな、いきなり惚気られるとは思わなかったぞ」
玲陽につられて、蓮章も微笑む。
息を呑むほどに美しい両者が、月明かりと灯篭の揺れる光の中、二人きりで語り合う光景は、まさに絵画のごとく洗練された一幕である。惜しむらくは、それを見ることができたのは、中庭で警備に立つ玲凛のみ、と言う点であろう。
「なぁ、陽?」
スッと、蓮章は目を細めた、流麗な眼差しを玲陽に注ぎながら、
「お前と親王はさ、情を交わす仲になれたのか?」
「え?」
玲陽は、思わず食器を取り落としそうになり、慌てて卓の上に置いた。
「そ、その……どういう意味でしょう?」
瞬く間に頬を染めて、玲陽は再び、箸で魚をつつき始める。どうやらこれは、考え込んだり困ったりした時の、彼の現実逃避の癖らしい。
蓮章は、にんまりと唇を横に引いて笑った。
「そのままの意味だ。愛し合っているんだろ?」
「はっ……」
あからさまに動揺して、玲陽は息を飲んだ。
「あ……愛……って……」
「なんだ? 違うのか? 俺はてっきり、恋人としてやることをやっていると……」
「こ……恋……って……」
玲陽は一心不乱に干し魚の身を粥の中でほぐしながら、面白いほどにうろたえている。
「わ、私と兄様は、従兄弟で、幼馴染で……」
「ああ」
「で、ですから、お互いに大切に思っていますし、ずっと一緒にいたいと思っていますし……」
「ああ」
「ですけれど、その……」
「確か、お前と親王とは、寝室が一緒だったな?」
蓮章は、煮え切らない玲陽を促すように、
「部屋だけではなく、一つの寝台で眠っている、と聞いたが、本当か?」
「それは、本当です……」
言葉に迷うものの、隠す気は無いらしい玲陽が、赤面したまま頷いた。
「一緒に寝ているんだろう?」
「はい」
「相手の体に触れることはあるんだろう?」
「はい」
「どこに?」
「え? ええっ?」
玲陽は、視界がちらちらと霞む思いがした。まっすぐに蓮章を見られない。
「どこに、って言われましても……」
「全身、どこでも、か?」
「え?」
「親王の身体で、お前が触れていない場所はあるか?」
「……え、ええと……」
玲陽は救いを求めるように、ふやけて柔らかく食べごろになった干し魚を見つめた。当然ながら、椀の中の魚は助けてはくれない。
「……ないと、思います」
細い声で、玲陽はかろうじて答えた。蓮章が、ニヤリとする。
「そういう関係は、単なる幼馴染とは言わないな」
「……そう、かも」
「では、どういう仲なんだ?」
「……ですから、どういう、と言われても、当てはまる言葉がわかりません」
「愛し合っている仲、ではないのか?」
玲陽は何を思ったか、一気に粥をかっ込んで、ほとんど噛まずに飲みくだした。まるで、やけ酒をあおるような勢いである。椀を空にすると、長く息を吐いて、玲陽は呼吸を整えた。
「そうです」
何かを吹っ切ったように、きっぱりと玲陽は言った。
「少なくとも、私は兄様を愛しています。いえ、これが愛というのか、それはわかりませんけれど、とにかく、あの人のことが好きで好きでたまらないんです。子供の頃から、ずっと、ずっと、大好きです。大人になって、こうして一緒に過ごして、二度と離れたくない、と思いました。あの人を見つめていたいし、話をしていたいし、触れていたい。あの人のすべてが、愛しくてたまらない。もう、狂ってしまいそうなほど、どうしようもなく惹かれてしまっているんです」
一息にそこまで言い放って、玲陽は言葉を止めた。
「ですけど……蓮章様が期待しているようなことは、ありません」
「俺が何を期待していると?」
からかうように蓮章は言ったが、その彼を見返した玲陽の目は、真剣そのものだった。
ついさっきまでの動揺など消え去って、玲陽は静かに言った。
「和合には至っていません」
きっぱりと言い切った玲陽の声に、蓮章はにやにやした笑みのまま、凍りついた。
「確か、以前にも蓮章様にお話ししたことがありましたよね? やり方を知らないわけじゃないですよ。むしろ、私は嫌になるほど、覚え込まされていますから。でも、そのせいで、私の体は傷んで、兄様を受け入れることはできない状態です。兄様もご存知です。ですから、和合には至らない……至れないんです」
「…………」
「そういうことを、お聞きになりたかったのでしょう?」
蓮章は、口元に手をやると、一つ唸って、考え込んだ。やがて、上目遣いに玲陽を見ると、ゆっくりと口を開いた。
「まだ、か。ここまで踏み込んだから、あえてたずねるが……お前は、親王としたいんじゃないのか?」
「したいに決まっているじゃないですか」
あっさりと、玲陽は答えた。
「もっともっと、兄様が欲しいですよ。けれど、あの人の性格を考えると、傷つけるとわかっていて、私を求めることはしないんです。これは、多分、絶対に」
「逆なら?」
「え?」
「前にも、言ったと思うが……お前が受け入れることができないなら、親王がお前を受け入れればいいことだろ?」
「!」
きょとん、として、玲陽は一瞬、目を見開いた。それから、フッと表情を緩めると、穏やかな笑みを見せた。
「私もね、子供の時から、そっちの想像をしていたんです。ずっと、あの人を抱きたいと思っていました。けれど、自分が経験して、それがどれだけ苦しいか、知ってしまった。そんな思いを、あの人にさせるわけにはいきません」
「うーん、それって、違うんじゃないか?」
「違う?」
「ああ。お前が経験したことってさ、暴力だろ? ただの暴力であり、拷問みたいなものだろ? だが、お前が親王に与えるのは、情愛のある行為であって、お前が受けたものとは意味が全く違う。俺は、そう思うんだが?」
「……することは一緒ですから」
「一緒じゃないさ」
蓮章は、すでにふざけた雰囲気を捨てて、静かな瞳になって、ゆっくりと言った。
「前にも、お前と話したことがあったよな、こういうこと。あの時も、お前も俺も、傷つけ合う行為しか知らない、と言っていたっけ。もし、お前が、自分が受けた苦しみにとらわれて、親王に手が出せないのなら、それはお前自身が乗り越えなければならない壁だと思う。一人で越えられないなら、親王に助けを求めればいい。二人の問題なんだから」
「蓮章様……」
玲陽はわずかに首を傾げた。
「どうして、私たちのこと、そんなに考えてくださるのです?」
「ん?」
「以前から、あなたも涼景様も、兄様と私の関係を強くしようと、励ましてくださいますけど」
「余計なお世話か?」
「いいえ、嬉しいです。でも、どうしてかな、って……」
「見ていたいから」
蓮章は、優しく微笑んだ。
「お前たちが仲睦まじくいる姿を見ると、なぜか、俺まで安らぎを感じる。お前たちの幸せそうな姿を、見ていたいと願ってしまう。だから、自然とお節介になるんだろうな」
不思議そうに、玲陽は蓮章を見つめた。
以前、東雨にも似たようなことを言われたことがあった。慈圓や緑権も、自分たちを暖かく見守ってくれている。気難しい玲凛も、堅物である玲芳も、二人の仲を否定はしなかった。
「ありがとうございます」
玲陽は、蓮章をまっすぐに見て、笑みを返した。
「私たちは、本当に幸せ者です」
玲陽の透き通るような笑顔を、蓮章は眩しげに眺めた。
どれほど心身を傷つけられたとしても、玲陽が穢れることなど、決してない。
そう思わせる美しさがあった。
「奇跡、だな」
「え?」
「いや、お前と親王の出会いは、本当に奇跡であり運命」
蓮章はとうとう酒をすべて飲み干して、立ち上がった。例のごとく、彼が酔うことはない。中庭に向かって開かられた柵に腰掛けると、うっすらと見える玲凛の影を探した。ちらり、とこちらを伺うのがわかる。
「この先、時代がどう変わっていっても、お前たちだけは変わらないだろう」
蓮章は、目を閉じると、小さく呟いた。
「たとえ、俺たちが変わったとしても、な」
夜風は初夏の匂いを交えて、静かに庭を通り過ぎ、蓮章と玲陽の髪を揺らしていく。
麗人たちの夜は、静かに更けていった。
玲陽は、居心地悪そうに、蓮章に頭を下げた。玲凛の傍若ぶりにあっけにとられていた蓮章は、そんな玲陽に笑いかけた。
「いや、お前が謝る必要はない。凛の言葉は確かに胸をえぐるが、残念ながら、すべて真実だ」
玲陽はそんな蓮章に少し驚いた様子だったが、申し訳ない気持ちが消えることはなかった。
確かに、玲凛の言葉はすべて理にかなっている。多分に私情を挟んではいるが、それとて、一貫していることに間違いない。とにかく、玲凛にとっては、玲陽がすべての基準なのだ。また、蓮章の腕前如何についても、的を得ていることは事実だった。おそらく、蓮章よりも玲凛の方が腕は立つだろう。
しかし、である。
いくら正論といえども、物事には伝えるべきことと伏せるべきことがある。
わざとなのか、それともわかっていないのか、その判断は難しいところではあるが、とにかく、玲凛が誰に対しても容赦なく言葉を浴びせかけるという現実は、どうにかしなければならない、と、玲陽も頭を悩ませている。
玲凛には、相手を蔑む意図はなく、ただひたすらに淡々と事実を並べているに過ぎない。しかし、残酷なまでの言いようは、多くの場合、相手を傷つけるか怒らせるか、のどちらかだ。
玲凛は決して、人の心を察することができないわけではないが、ある意味、怖いもの知らずな面が災いしていることは間違いないようである。
「どうして、あれほど気が強くなってしまったのか……」
玲陽は、蓮章と二人で夕餉の卓につきながら、何度目かのため息を漏らした。いつもなら、一緒に食事をする玲凛だが、よほど蓮章のことが気に入らないのか、忙しいから、と理由をつけて席を外している。蓮章も、嫌われていることについては、すでに諦めていた。
「根は、悪い子ではないのです」
言い訳っぽく、玲陽はつぶやいたが、その声には力がない。
「陽、気にするな。あれくらい気丈でなければ、お前や親王の世話はできないだろう?」
「……どういう意味です?」
「平穏な毎日ではないだろうからな」
「それは……そうかもしれませんけれど……」
玲陽は否定しようとして、説得力がないと諦めたのか、言い淀んだ。
玲陽たちの日常は、言われた通り、平穏無事なものではなかった。
日夜、周囲を動き回る傀儡の気配を感じ、かなりの頻度で傀儡憑きと遭遇し、その度に玲陽は浄化に苦しめられ、玲凛の力を借りることも多い。
または、犀星が送り主のわからない刺客に狙われることもあり、これも、玲凛の武術のおかげで安眠が保たれることもしばしばだ。
家の仕事に加えて、ほとんどの女性には無縁の役割を、玲凛は文句一つ言わずに淡々とこなしている。今まで東雨が勤めていた夜間の寝ずの番も、玲凛が代わりに引き受けていた。だからこそ、犀星も玲陽も、政治に打ち込むことができるし、東雨も屋敷を留守にする余裕が得られる。
玲凛の働きは、彼らに時間と体力、気持ちのゆとりを与えてくれていることは、紛れもない事実である。
「凛どのは、しっかりなさっていますから、私たちも本当に助けられています。けれど、誰にでも、欠点はあるものですから……」
「まぁ、これくらいの欠点は、大目に見ていいんじゃないか?」
蓮章は、以前に来た時に、涼景が残していった酒を勝手に飲みながら、
「暁隊には、凛より扱いに困る連中が山といる。まだ、可愛い方だ」
「ハァ……」
荒くれ者、乱暴者、厄介者……そんなくくり方をされる暁隊の兵士たちと比較されて褒められても、玲陽は兄として複雑な思いだ。第一、そんな泣く子も黙る豪傑揃いの暁隊が、玲凛の警護に恐れをなしていたというのだから、蓮章の慰めも信用ならない。
結局、凛どのは、暁隊より凶暴で恐ろしい存在……
玲陽は干し魚の半身を粥に沈めながら、食べることも忘れていつまでも箸先でつついていた。
「そういえば、今回の都北の視察、どうして一緒に行かなかった?」
蓮章は、これ以上、玲凛について論じても不毛だと思ったのか、話題を変えた。
「お前が親王と離れて行動するなど、不自然極まりないのだが?」
「ああ、それは……」
玲陽は顔を上げると、
「先ほど、凛どのも言っていた通りです。私は同行したい、と言ったのですが、兄様が傀儡の多さを心配して、連れて行きたくない、と」
「傀儡溜まり、とか言っていたな?」
「はい。戦場跡とか、よく、そうなるんです」
「そこに行くと、お前はどうなるんだ?」
「その時々によりますが、とにかく、嫌なものをたくさん見ます」
玲陽は、また、箸で魚をつつき始めた。
「それから、私が見えていることに気づけば、傀儡たちは寄ってきます。そして、騒ぎ始めます」
「騒ぎ始める? それはどういう……?」
「簡単に言いますと、物を動かして人々を驚かせたり、無関係な人たちに取り憑いて、私を襲ってきたり……」
「お前が、そこに行くだけで、そうなるのか?」
「はい」
「迷惑だな」
「我ながら、そう、思います」
「いや、お前ではなく、傀儡ってやつが、迷惑な存在だと……」
「どっちもどっちです」
玲陽はなぜか、拗ねたように口を尖らせた。
「私がいると、迷惑なんです」
「お前なぁ」
よほど、置いて行かれたことが不服と見える。いじけた子供のように俯いている玲陽を、蓮章は苦笑して見守った。
あの妹にして、この兄あり、だな。
一見、相反しているように思われるが、実際には二人とも、素直なのだ。出生からその半生まで、過酷な運命を背負っていながら、兄妹そろって、よくもここまでまっすぐに育ったものだ、と、感心すらしてしまう。
「心配だろ? 親王のこと」
「当たり前です」
玲陽は、ぐっと目元に力を入れて、泣きそうになるのをこらえているかのようだ。
「兄様には傀儡の姿は見えませんけれど、声は聞こえます。何を聞かされるかと思うと、それだけで不安です。せめてそばにいられたら、一緒に耐えることもできるのに…… お一人では孤独すぎます」
「東雨では、傀儡の存在は認識できないものな。共感してはやれないわけか」
「はい。物理的な怪我とかより、精神面の方が気がかりで……」
玲陽の椀には、まだ半分以上の粥が残っていたが、すっかり食欲は失せてしまったようだ。
「兄様が、私を心配してくれているのはわかります。けれど、置いて行かれる方が嫌」
「親王に、その気持ちをちゃんと言わなかったのか?」
「言いましたよ。けれど、兄様は一度言い出したら強情ですから」
「お前の頼みでも、か?」
「……たぶん、強く押せば聞いてくれたと思いますけれど……」
玲陽は箸と椀を持って固まったまま、
「今回は、治水に関する調査が目的です。私が一緒では、余計な揉め事が起こって、肝心の調査の妨げになる可能性が高すぎます。ですから……」
「強気には出られなかった、か……」
「はい」
蓮章は涼景の酒を遠慮なく飲み続けながら、
「お前の判断は正しいと思うぞ。何を優先すべきか、だ。親王だって、自分がどんな目にあうかはわかっていたはずだ。それでも、お前を連れていく方が危険性が高いと考えたのだろう。お前を連れて行って、傀儡のために苦しめて、その上、調査も出来ない、などということになれば、お前が苦しむことさえ無駄になる。あいつは物事を客観的に考えて、論理的に進める男だ」
こくん、と頷いたが、玲陽の表情は晴れない。不安そうな顔で、玲陽は蓮章を見つめた。
「あの、蓮章様?」
「うん?」
「三年前、都北で争乱があった時、停戦協定を結ぶ交渉の中心になったのが、兄様だと聞いたのですが」
「ああ、そうだ」
「詳しく教えていただけませんか? 兄様にお尋ねしようと思ったのですが、機会を掴み損ねてしまって」
蓮章は当時のことを思い出しながら、
「あの年は、酷い水害が起こって、都北は作物が壊滅したんだ。その上、二年近くに及ぶ国境の小競り合いが収まらず、膠着状態が続いていた。帝は徹底抗戦を唱えたが、持久戦の中で兵の士気は下がり続けていた。自分たちの土地が戦禍に巻き込まれた民衆の不満も募り、確実に飢餓に苦しむであろう冬も近かった。その時、涼景と親王が一計を案じて、帝には内密で国境へ赴き、敵方の大将と直接話をつけた。こちらから、一年に一度、一定量の穀物と繊維を贈る代わりに、国境の不可侵を約束させた。不毛な争いを続けて疲弊していくより、そっちの方が得策だと踏んだんだ」
「帝は、お怒りになったでしょうね?」
「最初はな」
蓮章は揺らしていた盃の酒を、一気に飲み干した。
「だが、師匠が動いて、古参の文官たちに手を回した」
「お師匠様? あ、仲草様ですね」
「そうだ。年かさの連中を結託させ、揃って協定成立に賛同させた。帝が親王に命じて交渉させ、英断に導いた、と吹聴したんだ」
「嘘……ですよね」
「ああ、師匠は、そういう小細工がうまいからな。帝も引くに引けなくなって、認めざるをえなかった。それに、すぐに厳しい冬を迎えて、それどころではなくなったしな。春が来る頃には、すっかり忘れていたさ」
犀星が気に入って登用した慈圓は、宮廷に太い人脈を持つ大御所である。度胸と肝の座り具合に定評がある文官だ。官位こそ高くはないものの、その発言力は大きい。彼を頼って、五亨庵まで相談に来る者がいるほどである。そんな慈圓は、涼景と蓮章の学問の師匠でもある。
「仲草様の、いたずらっぽい笑顔が、目に浮かびます」
玲陽は、ようやく少し心が落ち着いたのか、ゆっくりと息を吐いた。
「帝まで騙して手玉にとる兄様なんだから、私が翻弄されても、仕方がないですよね」
「ん?」
蓮章は、ふっと玲陽の雰囲気が緩むのを感じて、目を瞬いた。
「私、きっと、とっても子供っぽい嫉妬やわがままを抱いてしまっていると思います。でも、仕方がないんです。私、あの人に夢中なんです」
「ふっ……」
思わず、蓮章が吹き出した。玲陽は、微笑して、蓮章を見た。
「参ったな、いきなり惚気られるとは思わなかったぞ」
玲陽につられて、蓮章も微笑む。
息を呑むほどに美しい両者が、月明かりと灯篭の揺れる光の中、二人きりで語り合う光景は、まさに絵画のごとく洗練された一幕である。惜しむらくは、それを見ることができたのは、中庭で警備に立つ玲凛のみ、と言う点であろう。
「なぁ、陽?」
スッと、蓮章は目を細めた、流麗な眼差しを玲陽に注ぎながら、
「お前と親王はさ、情を交わす仲になれたのか?」
「え?」
玲陽は、思わず食器を取り落としそうになり、慌てて卓の上に置いた。
「そ、その……どういう意味でしょう?」
瞬く間に頬を染めて、玲陽は再び、箸で魚をつつき始める。どうやらこれは、考え込んだり困ったりした時の、彼の現実逃避の癖らしい。
蓮章は、にんまりと唇を横に引いて笑った。
「そのままの意味だ。愛し合っているんだろ?」
「はっ……」
あからさまに動揺して、玲陽は息を飲んだ。
「あ……愛……って……」
「なんだ? 違うのか? 俺はてっきり、恋人としてやることをやっていると……」
「こ……恋……って……」
玲陽は一心不乱に干し魚の身を粥の中でほぐしながら、面白いほどにうろたえている。
「わ、私と兄様は、従兄弟で、幼馴染で……」
「ああ」
「で、ですから、お互いに大切に思っていますし、ずっと一緒にいたいと思っていますし……」
「ああ」
「ですけれど、その……」
「確か、お前と親王とは、寝室が一緒だったな?」
蓮章は、煮え切らない玲陽を促すように、
「部屋だけではなく、一つの寝台で眠っている、と聞いたが、本当か?」
「それは、本当です……」
言葉に迷うものの、隠す気は無いらしい玲陽が、赤面したまま頷いた。
「一緒に寝ているんだろう?」
「はい」
「相手の体に触れることはあるんだろう?」
「はい」
「どこに?」
「え? ええっ?」
玲陽は、視界がちらちらと霞む思いがした。まっすぐに蓮章を見られない。
「どこに、って言われましても……」
「全身、どこでも、か?」
「え?」
「親王の身体で、お前が触れていない場所はあるか?」
「……え、ええと……」
玲陽は救いを求めるように、ふやけて柔らかく食べごろになった干し魚を見つめた。当然ながら、椀の中の魚は助けてはくれない。
「……ないと、思います」
細い声で、玲陽はかろうじて答えた。蓮章が、ニヤリとする。
「そういう関係は、単なる幼馴染とは言わないな」
「……そう、かも」
「では、どういう仲なんだ?」
「……ですから、どういう、と言われても、当てはまる言葉がわかりません」
「愛し合っている仲、ではないのか?」
玲陽は何を思ったか、一気に粥をかっ込んで、ほとんど噛まずに飲みくだした。まるで、やけ酒をあおるような勢いである。椀を空にすると、長く息を吐いて、玲陽は呼吸を整えた。
「そうです」
何かを吹っ切ったように、きっぱりと玲陽は言った。
「少なくとも、私は兄様を愛しています。いえ、これが愛というのか、それはわかりませんけれど、とにかく、あの人のことが好きで好きでたまらないんです。子供の頃から、ずっと、ずっと、大好きです。大人になって、こうして一緒に過ごして、二度と離れたくない、と思いました。あの人を見つめていたいし、話をしていたいし、触れていたい。あの人のすべてが、愛しくてたまらない。もう、狂ってしまいそうなほど、どうしようもなく惹かれてしまっているんです」
一息にそこまで言い放って、玲陽は言葉を止めた。
「ですけど……蓮章様が期待しているようなことは、ありません」
「俺が何を期待していると?」
からかうように蓮章は言ったが、その彼を見返した玲陽の目は、真剣そのものだった。
ついさっきまでの動揺など消え去って、玲陽は静かに言った。
「和合には至っていません」
きっぱりと言い切った玲陽の声に、蓮章はにやにやした笑みのまま、凍りついた。
「確か、以前にも蓮章様にお話ししたことがありましたよね? やり方を知らないわけじゃないですよ。むしろ、私は嫌になるほど、覚え込まされていますから。でも、そのせいで、私の体は傷んで、兄様を受け入れることはできない状態です。兄様もご存知です。ですから、和合には至らない……至れないんです」
「…………」
「そういうことを、お聞きになりたかったのでしょう?」
蓮章は、口元に手をやると、一つ唸って、考え込んだ。やがて、上目遣いに玲陽を見ると、ゆっくりと口を開いた。
「まだ、か。ここまで踏み込んだから、あえてたずねるが……お前は、親王としたいんじゃないのか?」
「したいに決まっているじゃないですか」
あっさりと、玲陽は答えた。
「もっともっと、兄様が欲しいですよ。けれど、あの人の性格を考えると、傷つけるとわかっていて、私を求めることはしないんです。これは、多分、絶対に」
「逆なら?」
「え?」
「前にも、言ったと思うが……お前が受け入れることができないなら、親王がお前を受け入れればいいことだろ?」
「!」
きょとん、として、玲陽は一瞬、目を見開いた。それから、フッと表情を緩めると、穏やかな笑みを見せた。
「私もね、子供の時から、そっちの想像をしていたんです。ずっと、あの人を抱きたいと思っていました。けれど、自分が経験して、それがどれだけ苦しいか、知ってしまった。そんな思いを、あの人にさせるわけにはいきません」
「うーん、それって、違うんじゃないか?」
「違う?」
「ああ。お前が経験したことってさ、暴力だろ? ただの暴力であり、拷問みたいなものだろ? だが、お前が親王に与えるのは、情愛のある行為であって、お前が受けたものとは意味が全く違う。俺は、そう思うんだが?」
「……することは一緒ですから」
「一緒じゃないさ」
蓮章は、すでにふざけた雰囲気を捨てて、静かな瞳になって、ゆっくりと言った。
「前にも、お前と話したことがあったよな、こういうこと。あの時も、お前も俺も、傷つけ合う行為しか知らない、と言っていたっけ。もし、お前が、自分が受けた苦しみにとらわれて、親王に手が出せないのなら、それはお前自身が乗り越えなければならない壁だと思う。一人で越えられないなら、親王に助けを求めればいい。二人の問題なんだから」
「蓮章様……」
玲陽はわずかに首を傾げた。
「どうして、私たちのこと、そんなに考えてくださるのです?」
「ん?」
「以前から、あなたも涼景様も、兄様と私の関係を強くしようと、励ましてくださいますけど」
「余計なお世話か?」
「いいえ、嬉しいです。でも、どうしてかな、って……」
「見ていたいから」
蓮章は、優しく微笑んだ。
「お前たちが仲睦まじくいる姿を見ると、なぜか、俺まで安らぎを感じる。お前たちの幸せそうな姿を、見ていたいと願ってしまう。だから、自然とお節介になるんだろうな」
不思議そうに、玲陽は蓮章を見つめた。
以前、東雨にも似たようなことを言われたことがあった。慈圓や緑権も、自分たちを暖かく見守ってくれている。気難しい玲凛も、堅物である玲芳も、二人の仲を否定はしなかった。
「ありがとうございます」
玲陽は、蓮章をまっすぐに見て、笑みを返した。
「私たちは、本当に幸せ者です」
玲陽の透き通るような笑顔を、蓮章は眩しげに眺めた。
どれほど心身を傷つけられたとしても、玲陽が穢れることなど、決してない。
そう思わせる美しさがあった。
「奇跡、だな」
「え?」
「いや、お前と親王の出会いは、本当に奇跡であり運命」
蓮章はとうとう酒をすべて飲み干して、立ち上がった。例のごとく、彼が酔うことはない。中庭に向かって開かられた柵に腰掛けると、うっすらと見える玲凛の影を探した。ちらり、とこちらを伺うのがわかる。
「この先、時代がどう変わっていっても、お前たちだけは変わらないだろう」
蓮章は、目を閉じると、小さく呟いた。
「たとえ、俺たちが変わったとしても、な」
夜風は初夏の匂いを交えて、静かに庭を通り過ぎ、蓮章と玲陽の髪を揺らしていく。
麗人たちの夜は、静かに更けていった。
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