6 / 62
第一部 星誕
第六話 誰がための刃
しおりを挟む
東雨は、自分だけが完全に除け者にされていることに、内心、不満を抱えていた。
玲陽が担ぎ込まれてきた夜からこちら、自分は、一度も主人の幼友達に会うことを許されていない。本当なら、真っ先に紹介してくれてもいいのに、と、不機嫌な顔で刀の手入れをしながら、軒下でため息を繰り返していた。
大怪我をしているらしく、犀陽と涼景以外は、部屋にも入れてくれない。その上、犀星は玲陽に付ききりで、全くというほど、顔を合わせることもない。涼景に至っては、犀星にすら近づくな、と言うほどである。
今まで、犀星の世話は全て自分がしてきたのに、犀家の使用人たちに全てとって代わられて、自分は居場所すらない気分だ。
夕暮れ近い空は美しく澄んでいたが、風は冷たく、秋の終わりを知らせている。
「どうした?」
気配もなく、後ろから声がかけられ、慌てて刀を取り落としそうになりながら、東雨は振り返った。
「ほう、よく手入れしてある」
声の主、犀遠は東雨から刀を受け取ると、日にかざした。
「これは、お前のか?」
「自分の刀は自分で整えるのが当然だと、若様が……」
「あいつ、生意気を言いおって……」
犀遠はニヤリと笑うと、東雨に耳打ちする。
「それは、わしの受け売りだ」
思わず、東雨の不機嫌顔が、呆れたような笑顔に変わる。
この屋敷に来てから、東雨と最も関係を持っていたのが、犀遠である。
まるで、父親のように東雨に話しかけ、からかい、笑顔にしてくれた。見知らぬ土地に来た少年の緊張をほぐすかのような心遣いを、東雨自身、ありがたく感じている。あの、無愛想で人嫌いな犀星を育てた父親とは思えない。
と、そこまで考えて、血は繋がっていなかったことを思いだす。
東雨と並んで庭に面した縁台に座り、呑気に大あくびをしているこの初老の男は、かつて、宮中で名を馳せた武術の名手であったという。だが、今の彼からはそんな過去の堅苦しい立場など、微塵も感じられない。陽気な酒場の主人のようですらある。
「あの…」
東雨は、興味本位で、犀遠に話しかけた。
「若様のご様子はいかがですか? 涼景様から、近づくと理不尽に怒鳴られるから、避けた方がいい、と言われていまして……」
「はは…… 確かに。腹の虫が治らないのだろう。わしもさっき廊下で声をかけたが、無視された」
何でもない、と笑い飛ばす犀遠に、東雨は親しみを覚えた。本当にこの人が、宮中で恐れられた将軍だったのだろうか。
「子が親を無視するなんて…… いつもの若様なら、逆に叱りつけるところなのに」
「いつものあいつは、そんなに真面目なのか?」
「ええ。真面目というか、融通が効かないというか、頑固というか、とにかく、言い出したら曲げないから、こっちが迷惑してます。滅多に笑わないし、冗談を言う時も真顔だし、本気なのかどうかもよくわかりません」
「変わらんなぁ」
「子供の時から、あんな感じなんですか?」
「そうだな。物心つくまでは、大人しい子供だったんだが、四、五歳頃からか……同年代の子供たちより、妙に大人びたところがあって、急に可愛げがなくなった」
犀遠の物言いに、東雨は思わず笑った。
「でも、時々、可愛いですよ」
すっかり、犀遠に気を許している東雨は、遠慮なく言う。
「草花がお好きで何刻も眺めていたり、路上の野良猫を構ったり……眠る時は、いつも体を丸めて寝るんです。子どもみたいに」
「そうか……お前は、本当に星によくしてくれているのだな」
「え?」
「都に送り出すとき、わしはあれに、何もしてやれなかった。宝順帝の勅命とあらば、逆らうことは領民の命に関わる」
「若様は、親王様として、都に歓迎されたのでは?」
「あいつは、人質だ」
「…………」
「わしを封じるためのな」
明るかった犀遠の表情に、やるせない思いが走る。
「お前は、星の出生を知っているのだろう?」
「はい、一通りは……」
「妻を先帝に召し上げられた時、私の命乞いをしてくれたのが、当時皇子だった宝順帝だ」
「まさか! あの帝が?」
今まで、さんざん、星や涼景から帝の悪評を聞かされてきた東雨が、思わず本音で叫んでしまう。
だが、犀遠はそれを、咎めることもなく、逆に何度か小さく頷いた。宝順の裏表の激しさを、この老獪も知っていると見える。
「あの頃の宝順帝は、お優しい方だった。子どもながらに、妻を取り上げられたわしを不憫に思ったのだろう。本来であれば、謀反を案じて暗殺されてもおかしくないところを、都下がりで済ませてくれた」
「命を助ける代わりに、二度と都には立ち入れない、ということですか」
「ああ。しかも、犀家の領地もそのまま、残してくれた。後妻をとることも許されたが、一人でいるのはわしの意志だ」
「それで、侶香様は、ここに……」
「ああ。先帝は、玲家の血を引く姫が欲しかったのだ。だが、生まれたの皇子だった。都に頼る者もいない中、玲心は亡くなった。玲芳が星を連れ帰ってくれなければ、今頃、あいつは生きてはいまい」
「もしかして、侶香様は、そこまでお考えになって、ここに留まっていらっしゃったのですか?」
「少なくとも、玲心の行く末を見届けねば、死ぬに死ねない。夫婦とは、そういうものだ。血のつながりがないとはいえ、星は玲心の産んだ忘れ形見よ。我が子として育ててきた」
「なんとなく、わかります」
東雨は、都で犀星と過ごした日々を振り返った。
「若様は、決して愛想のいい人ではありませんけれど、とても誠実です。約束を違えたことはありませんし、返事のこない手紙を、毎日書いていらした……」
「陽に宛てたものだろう?」
「はい、従兄弟だと聞いていました」
「従兄弟、か」
「違うんですか?」
「形としては、従兄弟にあたる。母親同士が姉妹だからな。だが、それだけの関係ではない」
「とても仲が良かったと」
「仲が良い……それですめばよかったかもしれん。良い友となり、生涯の盟友となっただろう」
「侶香様?」
「あのふたりは……」
と、言いかけて、犀遠は不意に口をつぐんだ。深く息をついて、庭に降り、腰の太刀を抜く。柄を、ぎりと握りしめる。
東雨はその姿勢に、今までの犀遠と別人の気風を見る。まさに、見惚れるほどの剣士の構えである。
「東雨」
「え? あ、はい!」
「星からは、どの流派を習っている?」
「一沙(かずさ)流と、比翼です」
「一沙なら、あいつでも教えられよう。見よう見まねで覚えてしまったような奴だ」
「うわ……」
「だが、比翼はそうはいかない。あれは、一人では教えきれるものではない」
「講義は聞きました。誰かを庇いながら、戦う方法。確か、庇う相手との呼吸が合わなければ、本来の力は発揮できない、と」
「そうだ。だから、一人で教えるには限界がある」
ふっと、風を感じ、東雨はびくりとした。気配なく、自分の横にいつしか犀星が立っている。
そういえば、先ほど犀遠が声をかけてきた時も、自分はその気配に気づくことができなかった。
突然、犀遠が話題を変えて庭に降りたのは、近づいてきた犀星に勘付いてのことだったのか……
やはり、凄い人たちなんだ。
改めて、東雨は主人と、その義父を見比べた。
犀星からは、嗅いだことのない、薬らしい匂いがする。涼景を手伝って、玲陽の手当をしていたのだろう。
「星、裏に回れ」
犀遠が、比翼の表の構えをとる。
「東雨、しっかり見ておけ」
犀星はそう言うと、抜き身の刀を手に、犀遠の後ろに立つ。
東雨は思わず姿勢を正した。
どちらからともなく、二人が一瞬、目配せする。それをきっかけに、刀が空を切る音と、沓が土を踏み締める音が、まるで予定調和のごとく沈黙を破った。
犀遠の足運びに、犀星はぴたりと息を合わせて踏み込んでいく。二人とも、縦横に刀を振るっているにも関わらず、それがぶつかることはない。また、常に互いの死角を補って、視線を走らせる。
二人で舞う剣舞は、東雨の知る何よりも美しく、激しかった。一呼吸ずれたなら、互いの刀が互いを傷つけるだろう。しかし、そこには絶対の信頼があった。そして、遠慮のない、本気の刀捌きは、誰も寄せ付けはしない迫力と、間違いのない殺傷能力を確信させる。
「左位(さい)!」
犀遠の合図に、犀星が右へ大きく跳ねた。宙で身体を半回転させ、着地する時には、犀遠はすでに犀星の背中を守る位置に移動している。
「後位(こうい)!」
また、犀遠の指示と同時に、犀星が前方へ踏み出す。寸分違わぬ歩調で、犀遠が背後の犀星を振り返りることもせず、素早く後退する。ともすれば、両者がぶつかって体勢を崩すところだ。
比翼の極意は、互いの信頼関係にある、と、東雨は犀星に聞いていた。相手がどう動くか、僅かな合図と気配で察して、自分はその隙を補う。一人で戦う一沙流に比べ、隙はないが難易度は格段に高くなる。
「解(かい)!」
突然、今度は犀星が叫んだ。あまりに唐突で素早かったため、東雨には追えなかったが、自分の脇を走り抜けて、庭に飛び出した者がいる。
涼景だ。飛び込み様に、太刀を両手に構え、二人の間に大ぶりの一振りを入れる。本気で切り掛かった涼景の気迫に、東雨は思わず逃げ出しそうな恐怖に駆られた。犀星の合図で、二人が散っていなければ、両者とも、涼景の刀に打たれていただろう。暁将軍・燕涼景は、決して空虚な肩書きなどではない。
「涼景! 裏!」
犀星が続けて叫ぶ。
「おう!」
笑みすら浮かべて、涼景は犀星の背後に回った。
「やるじゃないか」
今度は、犀遠が二人に本気で切ってかかる。
立場が変わった、と東雨は真剣に三人の動きを見守った。
犀星が表、涼景が裏の動きを、息を合わせてこなしていく。だが、今度は戦いの型を踏めば良いわけではない。犀遠という、実際の敵がいる。
耳をつんざく金属音が響き渡り、犀星の刀がまともに犀遠の一撃を受け止めた。両腕から強烈な痺れが全身に走り、犀星が耐えきれず崩れる。その体を飛び越えて、涼景が犀星を守りに入る。回転の勢いをつけて繰り出された犀遠の一刀を、涼景が受け止め、押し返した。その間に、犀星がどうにか立ち上がる。
「共(きょう)!」
今度は、涼景の指示だ。
犀星は身を翻して涼景の前に躍り出ると、犀遠の背後をとった。涼景との鍔迫り合いで逃げ場をなくしていた犀遠が、両者に挟まれる形となる。涼景の刃が犀遠の喉元にせまり、犀星の刃が犀遠の首の後ろにぴたりとついた。
庭に響いていた、数々の音が止まり、風だけが、植え込みの橘の葉を揺らしていく。
数秒、三者は動かなかった。
ゆっくりと、犀遠が刀を下ろす。同時に、犀星と涼景が、犀遠の前に膝をついた。
「ご指南、感謝いたします」
示し合わせたように、二人の声が重なる。
犀遠は満足そうに頷くと、体を大きくのばし、首を回した。
「わしも歳をとったな」
「侶香様」
涼景が顔を上げる。いつもの無遠慮な彼には珍しく、まるで宮中にでもいるかのように、その態度はうやうやしかった。
「侶香様の太刀の重さ、しかと、刻みました」
「腕を上げたな、涼景」
「歌仙親王のお手合わせのおかげかと」
「うちの星が、おぬしの稽古相手になったか」
「はい」
「星、お前も少しは役に立ててよかったな」
一番息が乱れていた犀星は照れ臭そうにうつ向いた。
「あ……」
その主人の顔に、東雨はいつもの、穏やかな表情が戻っていることに気づく。
「久しぶりに振るった」
犀遠は刀を鞘に収めると、さっさと屋敷に戻る。
「東雨! 湯を使う。背中を流してくれ!」
廊下の奥から、犀遠の声が響いた。
「あ、はい!」
東雨は庭の二人に礼をすると、急いで犀遠の後を追った。
「気が晴れた」
負け惜しみではなく、犀星は言った。自分が、父や涼景より劣っていることは、誰よりも自分自身がわかっている。
「やはり、お前と組む方がいい」
犀星は涼景の方を見ずに、
「父上とでは、差がありすぎる」
涼景は苦笑いしながら、
「悪かったな、腕が下で」
「俺よりは上だ」
「珍しく殊勝だな」
「涼景」
「うん?」
「……感謝している」
突然、思ってもいなかった言葉を耳にして、涼景は愕然とする。まさか、ここまで素直に犀星が礼を言うなど、なかなかあることではない。
「今回のこと、お前がいなかったら、どうなっていたかわからない」
まともに顔を見るのは気まずいのか、犀星は庭の橘の木に話しかけた。
「俺は、どうかしているんだ」
犀星が静かに話すのを、涼景は黙って見つめていた。
「記憶にある頃から、俺は陽と一緒にいた。あいつは信じられないほど真っ直ぐで、純粋で、優しくて、そのくせ、弱々しくて……大人たちから、疎まれていた。その理由は、幼い頃にはわからなかったが、周囲にどう扱われても、必死に生きようとしている陽を守りたい。そう思って、剣術を学んだ」
橘の小さな果実が、午後の日の光を受けて金色に輝いている。
「なのに、あいつ、俺より飲み込みが早くて、必死に稽古をしても、どうしても勝てなかった。いや、常に互角だった。天才肌ってやつだな。筋がいいんだ。学問でも、詩歌でも、何でも競った。競い合いながら、互いに惹かれていった。あいつのいない世界なんて、あり得ないくらいに。ずっと、一緒だと思っていた」
犀星は、橘の果実を一つとると、そのままかじった。酸味が強く、食用にすることはあまりないが、子どもにとってはご馳走だったことを思い出す。
「俺が十五になる前の月、都から、使いが来た。俺と陽は、父上に呼ばれた。そして、父上は俺に、奥部屋の上座に座るように、と」
「…………」
「親王として」
いつかは、そんな日が来るのだろう、と、犀星も玲陽も知っていた。しかし、唐突な現実は、二人を混乱させると同時に、絶望にも似た心境に追い詰めた。
「行きたくない、と言った。だが、俺が拒めば、帝への叛逆の罪で父上も、領民も、皆、どうなるか…… 俺に選択の余地はなかった。それでも、ただ一つだけ、願いが叶うなら、陽を……一緒に連れて行きたかった」
「……無茶だ」
「ああ。わかっている。今なら、わかる。だが、あの時の俺は無我夢中だった……」
じっと、手の中の果実を見つめて、犀星は肩を震わせ、
「上座に座るよう、言われたとき、あいつは……陽は……俺の前にひざまづいたんだ。今まで、一緒になって転げ回って遊んでいたあいつが、突然、別人みたいに! あいつが言った言葉を、今でもはっきり覚えている。『親王殿下、戴冠の節、お喜び申し上げます』」
静かに、涼景は息を吐き出した。犀星が、自分の過去を語ることなど、今までになかったことだ。涼景も知らない犀星の本音が、滔々と紡がれていく。
「俺は、屋敷を飛び出した。陽が追ってきてくれることを祈った。あんな言葉、嘘だ。ただの悪い冗談だって! 本気にしたんですか?って笑いながら、あいつが……俺を……俺を……追ってくることはなかった」
「星」
「それが、最後だ。都に起つ前に、あいつの姿を見たのは、それきりだった」
犀星はまた、果実を一口、噛み締めた。その鋭い味と苦味は、今の自分にはふさわしい罰のようですらある。
「あの後、どうやって都まで行ったのか、覚えていない。まるで、悪夢の中を彷徨っていたようで。記憶がない。父上に先日聞かされるまで、俺は本当に何も知らなかった。俺は、狂ったように、陽を探して叫び続けていた、と」
「…………」
「狂ったように? いや、狂っているんだ。俺は…… お前も、見ただろ。俺が、あの夜、何をしたか」
「……ああ」
「十年前、陽をここに置き去りにしたことを、俺はずっと悔やんできた。あいつが、どんな目に遭っているのか、想像しただけで恐ろしかった。でも、もし、一緒に都に行っていたら、あいつは間違いなく、俺をめぐる陰謀に巻き込まれていただろう。そして、そのたびに俺は狂気に侵され、自我が崩壊していたに違いない」
「……おそらく、陽には、それがわかっていた。だから、あえてお前から離れたんだろう」
「なぜ、そう思う?」
「なぜ?」
驚いたように、涼景の方が問い返す。
「あいつは、お前より冷静だ。そして誰より、お前を知り、愛している」
涼景の言葉を背中に聞きながら、犀星は息を止めた。
「どうして……そう、言い切れる?」
「見ていればわかる」
きっぱりと、涼景は言い放った。
「お前の方こそ、なぜ認めようとしない? お前は狂っているわけじゃない。狂わされているんだ。自分の気持ちに。陽を愛する心が、お前を狂わせる。お前自身が、お前自身を崩壊させていく。認めろ。あいつを愛している自分を認めるんだ。そうすれば、お前はお前のままでいられる」
「……あ……い……? 馬鹿な! 陽は幼馴染だ。大切な人だ。だが、男だぞ。俺たちは、男同士だ」
「それがどうだって言うんだ? そんなことで、諦められるのか?」
「諦めるとか、そんなんじゃない…… ただ、誰より一番側にいて、ずっとあいつと一緒に生きていきたいだけだ……」
「それが、愛しているということなんだよ」
「……でも……」
「陽は、とっくに覚悟を決めている。だから、あれだけ冷静でいられるんだ」
「…………」
「自分の気持ちから逃げるな」
「…………俺は……陽を……本気で……あ……」
「もう、いいんだ、星」
涼景は背後から、静かに親友を抱きしめた。
「もう、楽になれ。自分の気持ちを抑え込む必要はない。これからは、俺がお前たちを守る。俺の命も刃も、お前たちのために尽くそう」
黄昏が、ゆっくりと降りてくる。
沈みゆく夕陽のそばに、一際明るく光る星が一つ、光芒を放っていた。
玲陽が担ぎ込まれてきた夜からこちら、自分は、一度も主人の幼友達に会うことを許されていない。本当なら、真っ先に紹介してくれてもいいのに、と、不機嫌な顔で刀の手入れをしながら、軒下でため息を繰り返していた。
大怪我をしているらしく、犀陽と涼景以外は、部屋にも入れてくれない。その上、犀星は玲陽に付ききりで、全くというほど、顔を合わせることもない。涼景に至っては、犀星にすら近づくな、と言うほどである。
今まで、犀星の世話は全て自分がしてきたのに、犀家の使用人たちに全てとって代わられて、自分は居場所すらない気分だ。
夕暮れ近い空は美しく澄んでいたが、風は冷たく、秋の終わりを知らせている。
「どうした?」
気配もなく、後ろから声がかけられ、慌てて刀を取り落としそうになりながら、東雨は振り返った。
「ほう、よく手入れしてある」
声の主、犀遠は東雨から刀を受け取ると、日にかざした。
「これは、お前のか?」
「自分の刀は自分で整えるのが当然だと、若様が……」
「あいつ、生意気を言いおって……」
犀遠はニヤリと笑うと、東雨に耳打ちする。
「それは、わしの受け売りだ」
思わず、東雨の不機嫌顔が、呆れたような笑顔に変わる。
この屋敷に来てから、東雨と最も関係を持っていたのが、犀遠である。
まるで、父親のように東雨に話しかけ、からかい、笑顔にしてくれた。見知らぬ土地に来た少年の緊張をほぐすかのような心遣いを、東雨自身、ありがたく感じている。あの、無愛想で人嫌いな犀星を育てた父親とは思えない。
と、そこまで考えて、血は繋がっていなかったことを思いだす。
東雨と並んで庭に面した縁台に座り、呑気に大あくびをしているこの初老の男は、かつて、宮中で名を馳せた武術の名手であったという。だが、今の彼からはそんな過去の堅苦しい立場など、微塵も感じられない。陽気な酒場の主人のようですらある。
「あの…」
東雨は、興味本位で、犀遠に話しかけた。
「若様のご様子はいかがですか? 涼景様から、近づくと理不尽に怒鳴られるから、避けた方がいい、と言われていまして……」
「はは…… 確かに。腹の虫が治らないのだろう。わしもさっき廊下で声をかけたが、無視された」
何でもない、と笑い飛ばす犀遠に、東雨は親しみを覚えた。本当にこの人が、宮中で恐れられた将軍だったのだろうか。
「子が親を無視するなんて…… いつもの若様なら、逆に叱りつけるところなのに」
「いつものあいつは、そんなに真面目なのか?」
「ええ。真面目というか、融通が効かないというか、頑固というか、とにかく、言い出したら曲げないから、こっちが迷惑してます。滅多に笑わないし、冗談を言う時も真顔だし、本気なのかどうかもよくわかりません」
「変わらんなぁ」
「子供の時から、あんな感じなんですか?」
「そうだな。物心つくまでは、大人しい子供だったんだが、四、五歳頃からか……同年代の子供たちより、妙に大人びたところがあって、急に可愛げがなくなった」
犀遠の物言いに、東雨は思わず笑った。
「でも、時々、可愛いですよ」
すっかり、犀遠に気を許している東雨は、遠慮なく言う。
「草花がお好きで何刻も眺めていたり、路上の野良猫を構ったり……眠る時は、いつも体を丸めて寝るんです。子どもみたいに」
「そうか……お前は、本当に星によくしてくれているのだな」
「え?」
「都に送り出すとき、わしはあれに、何もしてやれなかった。宝順帝の勅命とあらば、逆らうことは領民の命に関わる」
「若様は、親王様として、都に歓迎されたのでは?」
「あいつは、人質だ」
「…………」
「わしを封じるためのな」
明るかった犀遠の表情に、やるせない思いが走る。
「お前は、星の出生を知っているのだろう?」
「はい、一通りは……」
「妻を先帝に召し上げられた時、私の命乞いをしてくれたのが、当時皇子だった宝順帝だ」
「まさか! あの帝が?」
今まで、さんざん、星や涼景から帝の悪評を聞かされてきた東雨が、思わず本音で叫んでしまう。
だが、犀遠はそれを、咎めることもなく、逆に何度か小さく頷いた。宝順の裏表の激しさを、この老獪も知っていると見える。
「あの頃の宝順帝は、お優しい方だった。子どもながらに、妻を取り上げられたわしを不憫に思ったのだろう。本来であれば、謀反を案じて暗殺されてもおかしくないところを、都下がりで済ませてくれた」
「命を助ける代わりに、二度と都には立ち入れない、ということですか」
「ああ。しかも、犀家の領地もそのまま、残してくれた。後妻をとることも許されたが、一人でいるのはわしの意志だ」
「それで、侶香様は、ここに……」
「ああ。先帝は、玲家の血を引く姫が欲しかったのだ。だが、生まれたの皇子だった。都に頼る者もいない中、玲心は亡くなった。玲芳が星を連れ帰ってくれなければ、今頃、あいつは生きてはいまい」
「もしかして、侶香様は、そこまでお考えになって、ここに留まっていらっしゃったのですか?」
「少なくとも、玲心の行く末を見届けねば、死ぬに死ねない。夫婦とは、そういうものだ。血のつながりがないとはいえ、星は玲心の産んだ忘れ形見よ。我が子として育ててきた」
「なんとなく、わかります」
東雨は、都で犀星と過ごした日々を振り返った。
「若様は、決して愛想のいい人ではありませんけれど、とても誠実です。約束を違えたことはありませんし、返事のこない手紙を、毎日書いていらした……」
「陽に宛てたものだろう?」
「はい、従兄弟だと聞いていました」
「従兄弟、か」
「違うんですか?」
「形としては、従兄弟にあたる。母親同士が姉妹だからな。だが、それだけの関係ではない」
「とても仲が良かったと」
「仲が良い……それですめばよかったかもしれん。良い友となり、生涯の盟友となっただろう」
「侶香様?」
「あのふたりは……」
と、言いかけて、犀遠は不意に口をつぐんだ。深く息をついて、庭に降り、腰の太刀を抜く。柄を、ぎりと握りしめる。
東雨はその姿勢に、今までの犀遠と別人の気風を見る。まさに、見惚れるほどの剣士の構えである。
「東雨」
「え? あ、はい!」
「星からは、どの流派を習っている?」
「一沙(かずさ)流と、比翼です」
「一沙なら、あいつでも教えられよう。見よう見まねで覚えてしまったような奴だ」
「うわ……」
「だが、比翼はそうはいかない。あれは、一人では教えきれるものではない」
「講義は聞きました。誰かを庇いながら、戦う方法。確か、庇う相手との呼吸が合わなければ、本来の力は発揮できない、と」
「そうだ。だから、一人で教えるには限界がある」
ふっと、風を感じ、東雨はびくりとした。気配なく、自分の横にいつしか犀星が立っている。
そういえば、先ほど犀遠が声をかけてきた時も、自分はその気配に気づくことができなかった。
突然、犀遠が話題を変えて庭に降りたのは、近づいてきた犀星に勘付いてのことだったのか……
やはり、凄い人たちなんだ。
改めて、東雨は主人と、その義父を見比べた。
犀星からは、嗅いだことのない、薬らしい匂いがする。涼景を手伝って、玲陽の手当をしていたのだろう。
「星、裏に回れ」
犀遠が、比翼の表の構えをとる。
「東雨、しっかり見ておけ」
犀星はそう言うと、抜き身の刀を手に、犀遠の後ろに立つ。
東雨は思わず姿勢を正した。
どちらからともなく、二人が一瞬、目配せする。それをきっかけに、刀が空を切る音と、沓が土を踏み締める音が、まるで予定調和のごとく沈黙を破った。
犀遠の足運びに、犀星はぴたりと息を合わせて踏み込んでいく。二人とも、縦横に刀を振るっているにも関わらず、それがぶつかることはない。また、常に互いの死角を補って、視線を走らせる。
二人で舞う剣舞は、東雨の知る何よりも美しく、激しかった。一呼吸ずれたなら、互いの刀が互いを傷つけるだろう。しかし、そこには絶対の信頼があった。そして、遠慮のない、本気の刀捌きは、誰も寄せ付けはしない迫力と、間違いのない殺傷能力を確信させる。
「左位(さい)!」
犀遠の合図に、犀星が右へ大きく跳ねた。宙で身体を半回転させ、着地する時には、犀遠はすでに犀星の背中を守る位置に移動している。
「後位(こうい)!」
また、犀遠の指示と同時に、犀星が前方へ踏み出す。寸分違わぬ歩調で、犀遠が背後の犀星を振り返りることもせず、素早く後退する。ともすれば、両者がぶつかって体勢を崩すところだ。
比翼の極意は、互いの信頼関係にある、と、東雨は犀星に聞いていた。相手がどう動くか、僅かな合図と気配で察して、自分はその隙を補う。一人で戦う一沙流に比べ、隙はないが難易度は格段に高くなる。
「解(かい)!」
突然、今度は犀星が叫んだ。あまりに唐突で素早かったため、東雨には追えなかったが、自分の脇を走り抜けて、庭に飛び出した者がいる。
涼景だ。飛び込み様に、太刀を両手に構え、二人の間に大ぶりの一振りを入れる。本気で切り掛かった涼景の気迫に、東雨は思わず逃げ出しそうな恐怖に駆られた。犀星の合図で、二人が散っていなければ、両者とも、涼景の刀に打たれていただろう。暁将軍・燕涼景は、決して空虚な肩書きなどではない。
「涼景! 裏!」
犀星が続けて叫ぶ。
「おう!」
笑みすら浮かべて、涼景は犀星の背後に回った。
「やるじゃないか」
今度は、犀遠が二人に本気で切ってかかる。
立場が変わった、と東雨は真剣に三人の動きを見守った。
犀星が表、涼景が裏の動きを、息を合わせてこなしていく。だが、今度は戦いの型を踏めば良いわけではない。犀遠という、実際の敵がいる。
耳をつんざく金属音が響き渡り、犀星の刀がまともに犀遠の一撃を受け止めた。両腕から強烈な痺れが全身に走り、犀星が耐えきれず崩れる。その体を飛び越えて、涼景が犀星を守りに入る。回転の勢いをつけて繰り出された犀遠の一刀を、涼景が受け止め、押し返した。その間に、犀星がどうにか立ち上がる。
「共(きょう)!」
今度は、涼景の指示だ。
犀星は身を翻して涼景の前に躍り出ると、犀遠の背後をとった。涼景との鍔迫り合いで逃げ場をなくしていた犀遠が、両者に挟まれる形となる。涼景の刃が犀遠の喉元にせまり、犀星の刃が犀遠の首の後ろにぴたりとついた。
庭に響いていた、数々の音が止まり、風だけが、植え込みの橘の葉を揺らしていく。
数秒、三者は動かなかった。
ゆっくりと、犀遠が刀を下ろす。同時に、犀星と涼景が、犀遠の前に膝をついた。
「ご指南、感謝いたします」
示し合わせたように、二人の声が重なる。
犀遠は満足そうに頷くと、体を大きくのばし、首を回した。
「わしも歳をとったな」
「侶香様」
涼景が顔を上げる。いつもの無遠慮な彼には珍しく、まるで宮中にでもいるかのように、その態度はうやうやしかった。
「侶香様の太刀の重さ、しかと、刻みました」
「腕を上げたな、涼景」
「歌仙親王のお手合わせのおかげかと」
「うちの星が、おぬしの稽古相手になったか」
「はい」
「星、お前も少しは役に立ててよかったな」
一番息が乱れていた犀星は照れ臭そうにうつ向いた。
「あ……」
その主人の顔に、東雨はいつもの、穏やかな表情が戻っていることに気づく。
「久しぶりに振るった」
犀遠は刀を鞘に収めると、さっさと屋敷に戻る。
「東雨! 湯を使う。背中を流してくれ!」
廊下の奥から、犀遠の声が響いた。
「あ、はい!」
東雨は庭の二人に礼をすると、急いで犀遠の後を追った。
「気が晴れた」
負け惜しみではなく、犀星は言った。自分が、父や涼景より劣っていることは、誰よりも自分自身がわかっている。
「やはり、お前と組む方がいい」
犀星は涼景の方を見ずに、
「父上とでは、差がありすぎる」
涼景は苦笑いしながら、
「悪かったな、腕が下で」
「俺よりは上だ」
「珍しく殊勝だな」
「涼景」
「うん?」
「……感謝している」
突然、思ってもいなかった言葉を耳にして、涼景は愕然とする。まさか、ここまで素直に犀星が礼を言うなど、なかなかあることではない。
「今回のこと、お前がいなかったら、どうなっていたかわからない」
まともに顔を見るのは気まずいのか、犀星は庭の橘の木に話しかけた。
「俺は、どうかしているんだ」
犀星が静かに話すのを、涼景は黙って見つめていた。
「記憶にある頃から、俺は陽と一緒にいた。あいつは信じられないほど真っ直ぐで、純粋で、優しくて、そのくせ、弱々しくて……大人たちから、疎まれていた。その理由は、幼い頃にはわからなかったが、周囲にどう扱われても、必死に生きようとしている陽を守りたい。そう思って、剣術を学んだ」
橘の小さな果実が、午後の日の光を受けて金色に輝いている。
「なのに、あいつ、俺より飲み込みが早くて、必死に稽古をしても、どうしても勝てなかった。いや、常に互角だった。天才肌ってやつだな。筋がいいんだ。学問でも、詩歌でも、何でも競った。競い合いながら、互いに惹かれていった。あいつのいない世界なんて、あり得ないくらいに。ずっと、一緒だと思っていた」
犀星は、橘の果実を一つとると、そのままかじった。酸味が強く、食用にすることはあまりないが、子どもにとってはご馳走だったことを思い出す。
「俺が十五になる前の月、都から、使いが来た。俺と陽は、父上に呼ばれた。そして、父上は俺に、奥部屋の上座に座るように、と」
「…………」
「親王として」
いつかは、そんな日が来るのだろう、と、犀星も玲陽も知っていた。しかし、唐突な現実は、二人を混乱させると同時に、絶望にも似た心境に追い詰めた。
「行きたくない、と言った。だが、俺が拒めば、帝への叛逆の罪で父上も、領民も、皆、どうなるか…… 俺に選択の余地はなかった。それでも、ただ一つだけ、願いが叶うなら、陽を……一緒に連れて行きたかった」
「……無茶だ」
「ああ。わかっている。今なら、わかる。だが、あの時の俺は無我夢中だった……」
じっと、手の中の果実を見つめて、犀星は肩を震わせ、
「上座に座るよう、言われたとき、あいつは……陽は……俺の前にひざまづいたんだ。今まで、一緒になって転げ回って遊んでいたあいつが、突然、別人みたいに! あいつが言った言葉を、今でもはっきり覚えている。『親王殿下、戴冠の節、お喜び申し上げます』」
静かに、涼景は息を吐き出した。犀星が、自分の過去を語ることなど、今までになかったことだ。涼景も知らない犀星の本音が、滔々と紡がれていく。
「俺は、屋敷を飛び出した。陽が追ってきてくれることを祈った。あんな言葉、嘘だ。ただの悪い冗談だって! 本気にしたんですか?って笑いながら、あいつが……俺を……俺を……追ってくることはなかった」
「星」
「それが、最後だ。都に起つ前に、あいつの姿を見たのは、それきりだった」
犀星はまた、果実を一口、噛み締めた。その鋭い味と苦味は、今の自分にはふさわしい罰のようですらある。
「あの後、どうやって都まで行ったのか、覚えていない。まるで、悪夢の中を彷徨っていたようで。記憶がない。父上に先日聞かされるまで、俺は本当に何も知らなかった。俺は、狂ったように、陽を探して叫び続けていた、と」
「…………」
「狂ったように? いや、狂っているんだ。俺は…… お前も、見ただろ。俺が、あの夜、何をしたか」
「……ああ」
「十年前、陽をここに置き去りにしたことを、俺はずっと悔やんできた。あいつが、どんな目に遭っているのか、想像しただけで恐ろしかった。でも、もし、一緒に都に行っていたら、あいつは間違いなく、俺をめぐる陰謀に巻き込まれていただろう。そして、そのたびに俺は狂気に侵され、自我が崩壊していたに違いない」
「……おそらく、陽には、それがわかっていた。だから、あえてお前から離れたんだろう」
「なぜ、そう思う?」
「なぜ?」
驚いたように、涼景の方が問い返す。
「あいつは、お前より冷静だ。そして誰より、お前を知り、愛している」
涼景の言葉を背中に聞きながら、犀星は息を止めた。
「どうして……そう、言い切れる?」
「見ていればわかる」
きっぱりと、涼景は言い放った。
「お前の方こそ、なぜ認めようとしない? お前は狂っているわけじゃない。狂わされているんだ。自分の気持ちに。陽を愛する心が、お前を狂わせる。お前自身が、お前自身を崩壊させていく。認めろ。あいつを愛している自分を認めるんだ。そうすれば、お前はお前のままでいられる」
「……あ……い……? 馬鹿な! 陽は幼馴染だ。大切な人だ。だが、男だぞ。俺たちは、男同士だ」
「それがどうだって言うんだ? そんなことで、諦められるのか?」
「諦めるとか、そんなんじゃない…… ただ、誰より一番側にいて、ずっとあいつと一緒に生きていきたいだけだ……」
「それが、愛しているということなんだよ」
「……でも……」
「陽は、とっくに覚悟を決めている。だから、あれだけ冷静でいられるんだ」
「…………」
「自分の気持ちから逃げるな」
「…………俺は……陽を……本気で……あ……」
「もう、いいんだ、星」
涼景は背後から、静かに親友を抱きしめた。
「もう、楽になれ。自分の気持ちを抑え込む必要はない。これからは、俺がお前たちを守る。俺の命も刃も、お前たちのために尽くそう」
黄昏が、ゆっくりと降りてくる。
沈みゆく夕陽のそばに、一際明るく光る星が一つ、光芒を放っていた。
10
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる