秘密

味方。

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拝啓君へ

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2021年4月26日。
「いきなりほんとに申し訳ございません」と今では想像できないくらい堅苦しい文面でバイトのシフトの質問をしてきたのがLINEの始まり。俺の何を感じ取りこうなったのかは本人のみぞ知るところだが、おそらく何かを感じた君はその翌日に「相談があります」と連絡してきた、記憶が正しければ俺はその日バイトもなく大学に行っていた、バイト先に行く用事もないにもかかわらず、ポッと出のなんかちょっとにぎやかな、俺の親友の苦手そうな後輩の相談を聞くためだけに大学終わりバイト先に向かった、ここから先は鮮明に覚えてる。個人的にはここが原点だ。
夕方18時頃、バイト先の外に呼び出して、駅の北口、柱にもたれかかって待ってる、学校をやめようと思ってると言い出す。
高校1年生、どう生きればいいか分からず血迷っていたあの頃の自分と重なる。でも俺とは違い相談しようとしている、この相談は経験してる俺から見たら助け舟を求めてるようだった。向こうからしても会って数日のただの大学生に過ぎない、俺の今この瞬間からの行動は全て自惚れかもしれない、おせっかいかもしれない、迷惑かもしれない、それでも見て見ぬふりして適当にあしらうなんてことは出来なかった。
この時はまだ、失礼だが相談してくれたのが君だから助け船を出したのではない、ただ過去の俺が重なったから助け船を出したに過ぎない。

もうすぐ出会って2年になるらしい。今ではなぜか同じ助け舟に2人で乗っている。そんな感じだ。

恋人じゃあるまいし記念日があるわけでもない、親友なんてたいそうなものでもないがただの友達なんて括りにされるとなんだか少し違う気もする、はたから見ればセフレなんだがただ都合の良い関係の一言で説明したくないってのが個人的な意見。これから語ること全て俺の個人的な考えというのをしっかりと踏まえてほしい。

俺は女友達はそこそこ居る、今まで遊んできた方だと思ってる。お互いが恋人いない時期はなかった、君もまぁモテる、癪だが可愛い。それもかなり可愛い。いつでもニコニコしていて愛想が良い、キラキラしたそんな存在。でもやっぱり俺には暗い部分が異様なほど目につく、いつからだろうかお互いの暗い部分を話せるようになったのは、もしかしたら最初からお互いそんな雰囲気を感じ取っていたからかもしれない。
彼氏だったらここはかっこよく君を照らしてあげるのだろうか、暗闇に手を差し伸べて連れ出すのだろうか。残念ながら俺にはできない、俺が君の彼氏という立場だとしても。でもその代わりその暗闇の中で絶対に独りにはさせないと思っていたし、今でも誓っている。ある意味もうすでに心中しているわけだ。

この日にこんなことしたなんて思い出はない、会うのは俺の家かバイト先、1回だけチャリ2ケツしたっけか、その程度だ、家に泊ったのもおそらくこの間が初めてだろう、ただ話して体重ねてタバコ吸ってぼーっと時間が過ぎるのを待つ、ホテルでやるだけしか脳のないセフレ関係よりも何百倍も有意義で居心地の良い関係だ、気に入っている、この1日、数時間、下手したら数分、確実に俺を生かしている。いつの間にか時々救われる側に俺は居る。
君の中の暗い心で住むはずが共存に変わる。

とある日の夜、悪いことがしたいですと言われた時のことはすごく覚えてる、怖かった、ひたすらに怖かった、君から手を引こうか、もう関わらないようにしようか考えた、分岐点としたら恐らくここだったと思う、気持ち的な問題だ、ここをなにか望み通りにしてあげたらきっと、いままで少し感じ取っていた君の暗い部分をもっと知ることになって離れられないと思った、でも都合が良かったのだろう、こんな怖いなんて気持ちはほんの一瞬だけ抱いたものだ。

これを書き綴ってる1ヶ月ほど前だろうか、夜中に電話をかけてきた、酔った君は俺に「お互いこれから先色んな人と付き合うかもしれないけど最後は一緒に居よう」「私をお世話できるのは他に居ない」と荒々しく言った、この電話の内容本人は全く覚えてないと言うが、ものすごく駄々をこねてずっと半泣きで俺が居なくならないようになにか必死だった、

いまでも死にたいと心の底から思う日もある、でも正直最近はうわ言だ、もちろんファッションではない、本当に辛いと思ってる。でも君とこんな関係になってからはやはり心の奥で君が死ぬまでは死んじゃいけないと思えるようになった。

安心して欲しい、守れない約束なんてしない。
最初の頃とは違い、君だからこそ。

重たい文章になってきた、当たり前だ、恋人でも友でもないそんな関係でさらには死ぬ時すらもだ、ちっちゃい子が将来〇〇くんと結婚するの!と言ってるのとは少し訳が違う。でもそれでも俺はそんな関係を存在を自分の為にも認めてしまう。

今の俺を作ってくれた元彼女、元セフレ、友達、親友、みんなのことは忘れられない存在である。でも歪でどこか不安定で、でも確かな気持ちで繋がってる特別な君は忘れたくない存在だと思ってる。絶妙なニュアンスの違い、分かるだろうか。忘れられないんじゃなくてずっと意識していて留めておきたいんだ、君とした約束の数々だったりを戒めのように、鎖のように繋いでおくために。
一緒に乗った船がバラバラにならないようにしっかりとその鎖を持っている限り離れることは無いし生きられるだろう。

夜中にこれ書いてるわけですけど、そろそろ終わりにしましょうか、明日、明後日と俺は2連休、君に休みを取れと言われた2連休、泊まるつもりなのかちょっと寄る予定なのかそもそも来れなさそうなのか、よく分からん。忙しそうですね、まぁのんびり返信待つとして、来れたら来れたで甘やかし、来れなかったらおっけ~それだけ。

まぁとりあえず待ってるわ、




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