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過去回想に映りこむモブ編
第51話 辺境伯事変―覚悟
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side:エドワード
僕は自分の無力さが悔しくて腹立たしい。
「くぅぅぅ、効くなぁ。」
聞こえてくるのはセーバスさんの声。
軽薄そうな声と胡散臭い笑顔から余裕そうに見えるが、表情には疲労と苦痛の影が差していた。
僕が罪悪感を負わないように振舞っている。
その配慮が伝わってきて、余計に心が痛む。
僕は今地獄を味わっている。
それは単なる苦痛を味わうような生易しいものではない。
味方であるセーバスさんを魔法で攻撃することを強制されるという精神的に抉ってくる地獄だ。
「あっはっは。まだまだ余裕そうじゃねーか。
じゃあもう一段階出力あげてみようぜ。」
嗤って追加の指示を出してくるのは悪魔インポリー。
彼の傍らには眠ったままのシドーさんが人質として取られている。
「…、これが限界ですよ。
これ以上出力を上げたら制御できません。」
精一杯の抵抗を試みるが、悪魔インポリーは当然聞き入れることはない。
「あん?出来るか出来ないかを聞いてるんじゃねーよ。
俺はもっと出力を上げろって言ってんだよ。
限界なんて思ってるから限界なんだよ。
気合いだ。気合いで限界を超えてみろよ。
それとも何か?こいつがどうなってもいいのか?」
悪魔インポリーはシドーさんの頭を無造作に掴んだ。
くそっ、やはりか。
僕は今すぐ殴りに行きたくなる衝動を奥歯をぐっと噛んで抑えた。
僕が発動している魔法は<雷撃>。
この魔法は相手の意識を奪う目的で開発した。
そのため、常人であれば1発でも浴びれば昏倒する威力を持つ。
当然、込める魔力量によっては死亡するレベルの威力にまでなる。
僕は悪魔インポリーの命令によって、8回魔法を発動させた。
しかも、じょじょに威力を上げて。
6回目からは僕が発動させたことのない魔力量となっている。
その上で、さらに魔力量をあげろと言う。
「エドワード君。あの悪魔の言う通りにするんだ。」
セーバスさんは大丈夫だと言わんばかりに頷いている。
「くぅぅぅ、ら…<雷撃>」
あまりに高出力の<雷撃>を練ろうとして、魔力が暴走しそうになる。
必死で魔力制御を行い何とか整えると、セーバスさんに魔法を放つ。
「ぐぅぅあああぁ」
<雷撃>を受けたセーバスさんからうめき声が漏れる。
9度目の、それも今までの最大出力の<雷撃>だ。
やはり限界なのだろう。
「ひゃははっ、ひでぇ奴だな。
仲間にあんな威力の魔法放つとか、どんだけ恨みがあんだよ。」
悪魔インポリーの下品な声が耳についた。
その不快な音は僕の心を抉っていく。
痛い。苦しい。しんどい。逃げ出してしまいたい。
負の感情が僕の心を支配していく。
きっとこんな窮地に陥っても主人公は跳ね返すんだろう。
だけど、僕はこの世界のモブだから。
いくら魔力を鍛えても主人公と同じ位置には立てない。
シドーさんが僕を庇って助けてくれた時は主人公になった気分だったよ。
だけど、僕はモブだから期待には応えられない。
『お前…、逃げ…んな…よ。全…力で……立ち向かえや。』
ふとシドーさんの言葉が蘇った。
あれはどういう意味なんだろ?
僕は7歳で前世の記憶を取り戻してから全力で生きてきた。
この世界がレインボーワールドというゲームの世界で、ヒロインの過去回想に出てくるモブキャラ。
このままでは3年後の魔人襲撃で死ぬことが確定している。
だから周囲を巻き込み必死に魔力を磨き全力で抗った。
全力で立ち向かったからこそ、ゲーム中では語られていない悪魔や黒龍との戦闘があっても死亡フラグを乗り越えることが出来た。
でも、それで終了になるわけじゃなかった。
村が救われたが、教会からの推薦という形でレインがレインボーワールドの舞台である魔法学院に通うことになった。
レインを本編に登場させるため、この世界の強制力が働いたのかもしれない。
幸いだったのは僕も誘われたことだ。
モブキャラである僕は、レインボーワールドの世界で役割を担っていない。
つまり本編が始まってもレインを助けることが出来る。
僕も舞台に上がる決意をした。
そして13歳となった今、僕は再びヒロイン達と邂逅することとなった。
彼女はレイドット=リコリア。
主人公アッシュを陰に日向にフォローしてくれる『苦労性のリコリア』
そして、彼女のメイドをしているマルライト=セルビー。
彼女はレインボーワールド本編では名前も登場しないモブキャラ。
しかも、15歳の時に突然原因不明の病に倒れやがて死亡してしまうというフラグを持っていた。
僕は彼女にシンパシーを持った。
だから物語に介入した。
天使と戦うことになったりアクシデントもあったが何とか死亡フラグは回避した。
ただ、悪魔インポリーには勝てなかった。
いや、僕は自分が出来ることを全力でやった。
「本当に?」
フイに頭に母さんの声が響いた。
「えっ。」
僕は戸惑った。母さんの姿はどこにも無い。
「本当に全力で頑張ったの?」
母さんは僕の戸惑いなどお構いなしに再び聞いてきた。生前母さんもそうだったなと思わず苦笑してしまう。
「僕は頑張ったんだ。
だけど、人間が反応出来ない速度で動かれたらどうしようもないよ。
バケモノに対抗できるのはバケモノだけだよ。普通の人間は諦めるしかないじゃない。
だから、二度目に天使と対峙した時はすぐに悪魔パルバフェットを呼んだんだ。
それが僕に出来る最善の手だった。」
「セーバスは対抗してたじゃない?」
「あれは凄かったけど、あの人の修練の賜物だと思う。
僕ではあんな風に身体に這わせるような障壁の展開はできないよ。」
「ふーん、やらない言い訳ばかりね。やっぱり逃げるんだ?」
「違うよ。戦いは正攻法だけじゃない。
搦手だって使えるものはなんでも使って最終的に勝つことが大事なんだ。それは逃げじゃない。」
「じゃあ、悪魔インポリーは正しいのね?」
「うっ。それは…。」
「悔しいんじゃないの?」
「悔しいさ。」
「じゃあ、逃げちゃだめじゃない?戦わなきゃ。」
「逃げてなんて…。」
「全部試した?」
「えっ。」
「出来る可能性のあることは?
チャレンジ出来ることはぜんぶ試したの?
シドーが言ってたのってそういう事でしょ?
手を抜くなって。」
「あっ」
『限界なんて思ってるから限界なんだ』
先ほど無茶ぶりをしてきた悪魔インポリーの言葉が思い浮かぶ。
まったく。
敵対している悪魔に気付かされるとは皮肉なもんだ。
「答えは出たようね。全く。
そろそろ親離れしてもらわないと困るわよ。頑張りなさい。」
そう言って母さんの笑う声が遠のいていく。
「つ、次で、ラストだ。
約束通りシドーは返してもらう。」
セーバスさんの言葉を聞いてハッとなった。
「お、頑張るねぇ。
もちろんだとも。悪魔は約束はしっかり守るからよ。
じゃあ最後だ。
今までの最大出力でいってみよーか。
分かってると思うけど、威力が落ちたらノーカンだからな。」
「言われなくても分かってる。」
僕は声を荒げた。
ふぅー、落ち着け。
シドーさんもセーバスさんも皆を救うんだ。
「これがラストです。準備はいいですか?」
僕はすぅっと息を吸ってセーバスさんを見た。
「大丈夫、心の準備は出来てるよ。
さ、エドワード君、ひと思いにやっちゃってよ。」
セーバスさんは力なく笑った。
「はぁぁぁぁぁ」
僕は気合いを入れて、先ほどまでよりさらに多くの魔力で<雷撃>を練り上げていく。
ちらりと悪魔インポリーを見ると、笑みを浮かべながらも眼は冷静だ。
先ほどよりもこめる魔力が少なくなってないかチェックしているのだろう。
暴れ出す魔力を無理やり抑え込むが制御がキツイ。
それでも僕は根性で制御を果たした。
「ら、<雷撃>ィィィィ」
最大火力の<雷撃>を放つ。
バリバリッ
耳を劈く雷鳴が轟いた。
<雷撃>が落ちた先には身体中が痙攣している悪魔インポリーの姿があった。
僕は自分の無力さが悔しくて腹立たしい。
「くぅぅぅ、効くなぁ。」
聞こえてくるのはセーバスさんの声。
軽薄そうな声と胡散臭い笑顔から余裕そうに見えるが、表情には疲労と苦痛の影が差していた。
僕が罪悪感を負わないように振舞っている。
その配慮が伝わってきて、余計に心が痛む。
僕は今地獄を味わっている。
それは単なる苦痛を味わうような生易しいものではない。
味方であるセーバスさんを魔法で攻撃することを強制されるという精神的に抉ってくる地獄だ。
「あっはっは。まだまだ余裕そうじゃねーか。
じゃあもう一段階出力あげてみようぜ。」
嗤って追加の指示を出してくるのは悪魔インポリー。
彼の傍らには眠ったままのシドーさんが人質として取られている。
「…、これが限界ですよ。
これ以上出力を上げたら制御できません。」
精一杯の抵抗を試みるが、悪魔インポリーは当然聞き入れることはない。
「あん?出来るか出来ないかを聞いてるんじゃねーよ。
俺はもっと出力を上げろって言ってんだよ。
限界なんて思ってるから限界なんだよ。
気合いだ。気合いで限界を超えてみろよ。
それとも何か?こいつがどうなってもいいのか?」
悪魔インポリーはシドーさんの頭を無造作に掴んだ。
くそっ、やはりか。
僕は今すぐ殴りに行きたくなる衝動を奥歯をぐっと噛んで抑えた。
僕が発動している魔法は<雷撃>。
この魔法は相手の意識を奪う目的で開発した。
そのため、常人であれば1発でも浴びれば昏倒する威力を持つ。
当然、込める魔力量によっては死亡するレベルの威力にまでなる。
僕は悪魔インポリーの命令によって、8回魔法を発動させた。
しかも、じょじょに威力を上げて。
6回目からは僕が発動させたことのない魔力量となっている。
その上で、さらに魔力量をあげろと言う。
「エドワード君。あの悪魔の言う通りにするんだ。」
セーバスさんは大丈夫だと言わんばかりに頷いている。
「くぅぅぅ、ら…<雷撃>」
あまりに高出力の<雷撃>を練ろうとして、魔力が暴走しそうになる。
必死で魔力制御を行い何とか整えると、セーバスさんに魔法を放つ。
「ぐぅぅあああぁ」
<雷撃>を受けたセーバスさんからうめき声が漏れる。
9度目の、それも今までの最大出力の<雷撃>だ。
やはり限界なのだろう。
「ひゃははっ、ひでぇ奴だな。
仲間にあんな威力の魔法放つとか、どんだけ恨みがあんだよ。」
悪魔インポリーの下品な声が耳についた。
その不快な音は僕の心を抉っていく。
痛い。苦しい。しんどい。逃げ出してしまいたい。
負の感情が僕の心を支配していく。
きっとこんな窮地に陥っても主人公は跳ね返すんだろう。
だけど、僕はこの世界のモブだから。
いくら魔力を鍛えても主人公と同じ位置には立てない。
シドーさんが僕を庇って助けてくれた時は主人公になった気分だったよ。
だけど、僕はモブだから期待には応えられない。
『お前…、逃げ…んな…よ。全…力で……立ち向かえや。』
ふとシドーさんの言葉が蘇った。
あれはどういう意味なんだろ?
僕は7歳で前世の記憶を取り戻してから全力で生きてきた。
この世界がレインボーワールドというゲームの世界で、ヒロインの過去回想に出てくるモブキャラ。
このままでは3年後の魔人襲撃で死ぬことが確定している。
だから周囲を巻き込み必死に魔力を磨き全力で抗った。
全力で立ち向かったからこそ、ゲーム中では語られていない悪魔や黒龍との戦闘があっても死亡フラグを乗り越えることが出来た。
でも、それで終了になるわけじゃなかった。
村が救われたが、教会からの推薦という形でレインがレインボーワールドの舞台である魔法学院に通うことになった。
レインを本編に登場させるため、この世界の強制力が働いたのかもしれない。
幸いだったのは僕も誘われたことだ。
モブキャラである僕は、レインボーワールドの世界で役割を担っていない。
つまり本編が始まってもレインを助けることが出来る。
僕も舞台に上がる決意をした。
そして13歳となった今、僕は再びヒロイン達と邂逅することとなった。
彼女はレイドット=リコリア。
主人公アッシュを陰に日向にフォローしてくれる『苦労性のリコリア』
そして、彼女のメイドをしているマルライト=セルビー。
彼女はレインボーワールド本編では名前も登場しないモブキャラ。
しかも、15歳の時に突然原因不明の病に倒れやがて死亡してしまうというフラグを持っていた。
僕は彼女にシンパシーを持った。
だから物語に介入した。
天使と戦うことになったりアクシデントもあったが何とか死亡フラグは回避した。
ただ、悪魔インポリーには勝てなかった。
いや、僕は自分が出来ることを全力でやった。
「本当に?」
フイに頭に母さんの声が響いた。
「えっ。」
僕は戸惑った。母さんの姿はどこにも無い。
「本当に全力で頑張ったの?」
母さんは僕の戸惑いなどお構いなしに再び聞いてきた。生前母さんもそうだったなと思わず苦笑してしまう。
「僕は頑張ったんだ。
だけど、人間が反応出来ない速度で動かれたらどうしようもないよ。
バケモノに対抗できるのはバケモノだけだよ。普通の人間は諦めるしかないじゃない。
だから、二度目に天使と対峙した時はすぐに悪魔パルバフェットを呼んだんだ。
それが僕に出来る最善の手だった。」
「セーバスは対抗してたじゃない?」
「あれは凄かったけど、あの人の修練の賜物だと思う。
僕ではあんな風に身体に這わせるような障壁の展開はできないよ。」
「ふーん、やらない言い訳ばかりね。やっぱり逃げるんだ?」
「違うよ。戦いは正攻法だけじゃない。
搦手だって使えるものはなんでも使って最終的に勝つことが大事なんだ。それは逃げじゃない。」
「じゃあ、悪魔インポリーは正しいのね?」
「うっ。それは…。」
「悔しいんじゃないの?」
「悔しいさ。」
「じゃあ、逃げちゃだめじゃない?戦わなきゃ。」
「逃げてなんて…。」
「全部試した?」
「えっ。」
「出来る可能性のあることは?
チャレンジ出来ることはぜんぶ試したの?
シドーが言ってたのってそういう事でしょ?
手を抜くなって。」
「あっ」
『限界なんて思ってるから限界なんだ』
先ほど無茶ぶりをしてきた悪魔インポリーの言葉が思い浮かぶ。
まったく。
敵対している悪魔に気付かされるとは皮肉なもんだ。
「答えは出たようね。全く。
そろそろ親離れしてもらわないと困るわよ。頑張りなさい。」
そう言って母さんの笑う声が遠のいていく。
「つ、次で、ラストだ。
約束通りシドーは返してもらう。」
セーバスさんの言葉を聞いてハッとなった。
「お、頑張るねぇ。
もちろんだとも。悪魔は約束はしっかり守るからよ。
じゃあ最後だ。
今までの最大出力でいってみよーか。
分かってると思うけど、威力が落ちたらノーカンだからな。」
「言われなくても分かってる。」
僕は声を荒げた。
ふぅー、落ち着け。
シドーさんもセーバスさんも皆を救うんだ。
「これがラストです。準備はいいですか?」
僕はすぅっと息を吸ってセーバスさんを見た。
「大丈夫、心の準備は出来てるよ。
さ、エドワード君、ひと思いにやっちゃってよ。」
セーバスさんは力なく笑った。
「はぁぁぁぁぁ」
僕は気合いを入れて、先ほどまでよりさらに多くの魔力で<雷撃>を練り上げていく。
ちらりと悪魔インポリーを見ると、笑みを浮かべながらも眼は冷静だ。
先ほどよりもこめる魔力が少なくなってないかチェックしているのだろう。
暴れ出す魔力を無理やり抑え込むが制御がキツイ。
それでも僕は根性で制御を果たした。
「ら、<雷撃>ィィィィ」
最大火力の<雷撃>を放つ。
バリバリッ
耳を劈く雷鳴が轟いた。
<雷撃>が落ちた先には身体中が痙攣している悪魔インポリーの姿があった。
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