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過去回想に映りこむモブ編
第35話 シスターマリア参戦(強制)
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side:シスターマリア
「お久しぶりです。シスターマリア」
シスターマリアが振り向いた先にいたのは、孤児院で暮らしていたエドワードだった。
シスターマリアは思わず顔を顰めた。厄介者が現れたからだ。
エドワードは2年前にこの村を出た。
司祭様に鑑定の儀で判明した規格外の魔力量から魔法の才能を見込まれて魔法学院の推薦を受けたからだ。
現在は、魔法学院入学後のトラブルを避けるため最低限の常識とマナーを事前教育で勉強中。
たしか今は帝国第5の都市ヤンデルシアに行儀見習いとして実地研修を受けているはずだ。
遠く離れた場所で暮らしている元孤児院の子が帰ってきた。
それだけ聞くと普通なら感動して涙するところだが、シスターマリアにそう言った感情は一切ない。
感情が無くて冷たいとかそういうことではない。
シスターマリアは喜怒哀楽がちゃんとある。むしろ常識的な感性を持っている。
だが、久しぶりではない再会にはいちいち感動しないだけだ。
エドワードはたまにこの村に帰ってきているからだ。
遠く離れたヤンデルシアからどうやって来ているのかは分からないが、シスターマリアはエドワードのことだからと割り切っている。
そしてエドワードは帰ってくると何かと厄介事を持ってくるのだ。
「…お帰りなさい。今度は何やらかしたの?」
エドワードは苦笑する。
「ひどいですね。僕は何もしてないんです。
ただ巻き込まれるだけなんです。」
嘘を吐け、巻き込まれてるのはこっちなのよ。
シスターマリアはそう言いたかったが、ユーリカが近くにいたのでぐっと堪えた。
シスターマリアが巻き込まれたのは魔人襲撃の時のダリウスの件だ。
聞けばダリウスは無茶をして死にかけたらしい。
一命は取り留めたが魔力がゼロになったとか。
それから治癒魔法が効かなくなった。
回復薬も試したがダメだったらしい。
なんでも魔力器官が機能していないことが原因だとか言っていたっけ。
過去に治癒や回復について色々と文献を探して研究したことがあったけど魔力器官が影響するなんて話は聞いたことが無かった。
エドワードは魔力がゼロであることが問題だと思ったらしい。
だから、シスターマリアの持つスキルを使って魔力を回復したいのだろうと彼女は考えた。
「ああ、なるほどね。
私のスキルで魔力を回復させるのは無理ね。あくまで偽装なの。
仮に魔力の数値をいじっても見た目はあるように見えても実際はゼロのままよ。」
シスターマリアの能力はステータス上の値を修正する能力だが実際に変化はしないものだ。
だから、ダリウスの件では力になれないだろうと思っていた。
だが、エドワードの見解は違った。
「いえ、それでいいんです。
魔力がゼロになって魔力器官が機能不全に陥った理由を考えました。
恐らく魔力器官は魔力の有無をステータス情報から判断しているはずです。
魔力器官を騙せれば、ダリウスは回復するはずです。」
エドワードが言うには、ステータス情報というのは僕達が見やすいためにあるわけじゃない。
身体がその情報を使っているからあるのだと。
つまり、シスターマリアの能力で魔力がゼロ出ないと誤認させればダリウスは助かると言っている。
これは教会の思想とは異なる考えであり、教会に睨まれる可能性がある。
シスターマリア、いやアリステン=フォードは迷った。
元々は教会から逃げるために名を捨て辺境でひっそりと暮らしてきたのだ。
ここで目立つことをしてバレることはなるべく避けたい。
しかし、ダリウスが助かる見込みがあるなら助けたいという気持ちもある。
最終的に彼女はエドワードに協力し、ダリウスのステータス偽装を行った。
結果は成功し、無事ダリウスに治癒魔法が効くようになった。
治癒魔法や回復薬が効果を発揮するためには「ステータス情報の魔力がゼロでは無いこと」という条件が判明した。
回復は神より祝福されたものだけの特権である、と説く教会の思想と反することになる。
「これが知られれば教会を敵に回すことになるわよ。どうするの?」
「教会に対抗できるように強くします。ここの村人全体を。」
改めてエドワードに問いかけると彼は悪い笑みを浮かべて言った。
そして、エドワードは本当にそれを実現させてしまった。
***
思えばこの数年、エドワードを中心としておかしなことばかりが起こっている。
始まりは今から6年前の日、エドワードが神託を受けた時からだ。
「3年後に魔人の襲撃があり村は全滅する」
それが神託の内容だった。
だが、そこで終わりではない。
エドワードはなんと、神託の言葉に従って独自の魔力トレーニング法なるものを作り上げてしまった。
魔法を教えていないエドワードが魔力トレーニングの方法を考案したと言ってきた時は大丈夫かと不安になったものだ。
しかしその不安は杞憂のものとなった。
エドワードとダリウスが孤児院の子ども達を巻き込んで魔力トレーニングの実践を開始したのだ。
すぐにその効果は証明された。子ども達の魔力量が飛躍的に向上したからだ。
その話を聞きつけた村の大人たちも面白がって魔力トレーニング法を取り入れていった。
すると、効果が如実に表れたのか一週間後には村を警備する大人達の鍛錬メニューに加わるようになっていくのだった。
今から3年前、エドワード10歳の時に神託の通り、イーレ村は魔人襲撃を受けた。
だが、イーレ村は守られ魔人たちを追い払うことに成功した。
エドワードが考案した魔力トレーニングを受けていなければその襲撃によって村は全滅する運命にあっただろう。
当時7歳だったエドワードの働きによって大きく運命が変えられ、今も村として存続している。
魔人襲撃を経験したことで、村全体の危機意識が高まったことで、村長は魔力トレーニングの取り組みを推進。
それを機にエドワードは魔力トレーニング法を発展させた。
具体的にはエドワード監修のもと魔力トレーニング法を4編に編纂し直した。
難易度に分けて編纂した基礎編・中級編・応用編と女性をターゲットにした美容編を作成。
美容編に関しては女性の美への執着をうまく利用した形で、それによって敬遠しがちだった女性層からの支持も得られ、魔力トレーニング普及に繋がった。
魔力トレーニングの中には〈身体強化〉をベースとしたもの―<身体強化>をなるべく低魔力でかつ長く持続させる―があり、<身体強化>を長時間続けると美肌や若返り(しわの改善)といった副次効果があることに気づいたエドワードは、これはいけると思ったらしい。
魔力トレーニングをすることでこのようなメリットがあると具体的にわかりやすく伝えるために美容編を作成したとエドワード自身は語っているが、女性の美しくなりたいという欲求を刺激した見事な策と言えよう。
その狙い通りの結果―女性達はこぞって美容編の魔力トレーニングをするようになった―を出すのだから驚くほかない。
こうして、魔力トレーニングが村全体に普及して3年。
下は7歳から上は最年長の90歳までがこの魔力トレーニングを日課として取り入れたことにより、村人達の魔力、身体能力ともには軒並み跳ね上がっていった。
エドワードの目論見通り、今では魔人が再び襲撃してきても教会と敵対することになっても対処できるだけの力があるだろう。
イーレ村の人々が魔獣や魔人の脅威に怯えなくてもいいように強くなったことは素直に素晴らしいことだと思う。
だけど、エドワードは分かっていない。
ここは辺境。他の街や村との交流が著しく少ない閉ざされた環境である。
強さの基準が魔獣や村人同士になるという事はどういうことか。
外の世界から見ればあり得ないほどに強くなっていることにイーレ村の人間は気づけていない。
先ほど、ユーリカから報告を受けたときに彼は魔人と戦ったと言っていた。
「魔人が勝負だって言ってきたから手刀に風魔法纏う<風手刀>使ったら1人はそれであっけなく死んだ。
もう1人はエドがやってた障壁を相手の近くに設置して魔法を跳ね返すやつやったら自爆したんでとどめ刺したら終わった。
魔人て好戦的でメッチャ強いって言ってたからどんなんだろうとワクワクしてたのになぁ。」
そう言って、思っていたほど魔人が強くなかったことにがっかりしていた。
それを聞いて私は苦笑するしかなかった。
魔人が弱いのではない。この村の人間が軒並み強くなり過ぎたのだ。
まぁ、私も他人事じゃないけど。
お肌のハリが良いのよね。シワも取れたし。
「…リア、シスターマリア」
エドワードに言われて私ははっとした。
いけない、話の途中で考え事をしていたわ。
コホンと咳払いをしてエドワードに向き直る。
「それで何の用かしら?
もしかして、またダリウス君のようなことじゃないでしょうね?」
「流石ですね。その通りですよ。
ちょっと説明が難しいので一緒に来てください。」
嫌な予感は当たっていた。
私は拒否しようとするが、エドワードはがっしりと私の左手を掴んでしまった。
「えっえっ?」
戸惑う私をよそにエドワードは魔法を唱える。
「<雷化>」
何やらバリバリと音がする。
自分が別の何かになったみたい。
「あ、エドじゃねーか。
帰ってきたばかりなのにもう行くのか?」
「そうなんです。ユーリカ兄さん。
ちょっとシスターマリア借りていきますね。
すぐに戻ってきますから。」
「ああ、気を付けてな。」
理解が追い付いていない私をよそにエドワードとユーリカが挨拶をしている。
「<転送>」
エドワードが魔法を唱えると途端に景色が変わる。
私の目の前には貴族の家と思われる大きなお屋敷があった。
「お久しぶりです。シスターマリア」
シスターマリアが振り向いた先にいたのは、孤児院で暮らしていたエドワードだった。
シスターマリアは思わず顔を顰めた。厄介者が現れたからだ。
エドワードは2年前にこの村を出た。
司祭様に鑑定の儀で判明した規格外の魔力量から魔法の才能を見込まれて魔法学院の推薦を受けたからだ。
現在は、魔法学院入学後のトラブルを避けるため最低限の常識とマナーを事前教育で勉強中。
たしか今は帝国第5の都市ヤンデルシアに行儀見習いとして実地研修を受けているはずだ。
遠く離れた場所で暮らしている元孤児院の子が帰ってきた。
それだけ聞くと普通なら感動して涙するところだが、シスターマリアにそう言った感情は一切ない。
感情が無くて冷たいとかそういうことではない。
シスターマリアは喜怒哀楽がちゃんとある。むしろ常識的な感性を持っている。
だが、久しぶりではない再会にはいちいち感動しないだけだ。
エドワードはたまにこの村に帰ってきているからだ。
遠く離れたヤンデルシアからどうやって来ているのかは分からないが、シスターマリアはエドワードのことだからと割り切っている。
そしてエドワードは帰ってくると何かと厄介事を持ってくるのだ。
「…お帰りなさい。今度は何やらかしたの?」
エドワードは苦笑する。
「ひどいですね。僕は何もしてないんです。
ただ巻き込まれるだけなんです。」
嘘を吐け、巻き込まれてるのはこっちなのよ。
シスターマリアはそう言いたかったが、ユーリカが近くにいたのでぐっと堪えた。
シスターマリアが巻き込まれたのは魔人襲撃の時のダリウスの件だ。
聞けばダリウスは無茶をして死にかけたらしい。
一命は取り留めたが魔力がゼロになったとか。
それから治癒魔法が効かなくなった。
回復薬も試したがダメだったらしい。
なんでも魔力器官が機能していないことが原因だとか言っていたっけ。
過去に治癒や回復について色々と文献を探して研究したことがあったけど魔力器官が影響するなんて話は聞いたことが無かった。
エドワードは魔力がゼロであることが問題だと思ったらしい。
だから、シスターマリアの持つスキルを使って魔力を回復したいのだろうと彼女は考えた。
「ああ、なるほどね。
私のスキルで魔力を回復させるのは無理ね。あくまで偽装なの。
仮に魔力の数値をいじっても見た目はあるように見えても実際はゼロのままよ。」
シスターマリアの能力はステータス上の値を修正する能力だが実際に変化はしないものだ。
だから、ダリウスの件では力になれないだろうと思っていた。
だが、エドワードの見解は違った。
「いえ、それでいいんです。
魔力がゼロになって魔力器官が機能不全に陥った理由を考えました。
恐らく魔力器官は魔力の有無をステータス情報から判断しているはずです。
魔力器官を騙せれば、ダリウスは回復するはずです。」
エドワードが言うには、ステータス情報というのは僕達が見やすいためにあるわけじゃない。
身体がその情報を使っているからあるのだと。
つまり、シスターマリアの能力で魔力がゼロ出ないと誤認させればダリウスは助かると言っている。
これは教会の思想とは異なる考えであり、教会に睨まれる可能性がある。
シスターマリア、いやアリステン=フォードは迷った。
元々は教会から逃げるために名を捨て辺境でひっそりと暮らしてきたのだ。
ここで目立つことをしてバレることはなるべく避けたい。
しかし、ダリウスが助かる見込みがあるなら助けたいという気持ちもある。
最終的に彼女はエドワードに協力し、ダリウスのステータス偽装を行った。
結果は成功し、無事ダリウスに治癒魔法が効くようになった。
治癒魔法や回復薬が効果を発揮するためには「ステータス情報の魔力がゼロでは無いこと」という条件が判明した。
回復は神より祝福されたものだけの特権である、と説く教会の思想と反することになる。
「これが知られれば教会を敵に回すことになるわよ。どうするの?」
「教会に対抗できるように強くします。ここの村人全体を。」
改めてエドワードに問いかけると彼は悪い笑みを浮かべて言った。
そして、エドワードは本当にそれを実現させてしまった。
***
思えばこの数年、エドワードを中心としておかしなことばかりが起こっている。
始まりは今から6年前の日、エドワードが神託を受けた時からだ。
「3年後に魔人の襲撃があり村は全滅する」
それが神託の内容だった。
だが、そこで終わりではない。
エドワードはなんと、神託の言葉に従って独自の魔力トレーニング法なるものを作り上げてしまった。
魔法を教えていないエドワードが魔力トレーニングの方法を考案したと言ってきた時は大丈夫かと不安になったものだ。
しかしその不安は杞憂のものとなった。
エドワードとダリウスが孤児院の子ども達を巻き込んで魔力トレーニングの実践を開始したのだ。
すぐにその効果は証明された。子ども達の魔力量が飛躍的に向上したからだ。
その話を聞きつけた村の大人たちも面白がって魔力トレーニング法を取り入れていった。
すると、効果が如実に表れたのか一週間後には村を警備する大人達の鍛錬メニューに加わるようになっていくのだった。
今から3年前、エドワード10歳の時に神託の通り、イーレ村は魔人襲撃を受けた。
だが、イーレ村は守られ魔人たちを追い払うことに成功した。
エドワードが考案した魔力トレーニングを受けていなければその襲撃によって村は全滅する運命にあっただろう。
当時7歳だったエドワードの働きによって大きく運命が変えられ、今も村として存続している。
魔人襲撃を経験したことで、村全体の危機意識が高まったことで、村長は魔力トレーニングの取り組みを推進。
それを機にエドワードは魔力トレーニング法を発展させた。
具体的にはエドワード監修のもと魔力トレーニング法を4編に編纂し直した。
難易度に分けて編纂した基礎編・中級編・応用編と女性をターゲットにした美容編を作成。
美容編に関しては女性の美への執着をうまく利用した形で、それによって敬遠しがちだった女性層からの支持も得られ、魔力トレーニング普及に繋がった。
魔力トレーニングの中には〈身体強化〉をベースとしたもの―<身体強化>をなるべく低魔力でかつ長く持続させる―があり、<身体強化>を長時間続けると美肌や若返り(しわの改善)といった副次効果があることに気づいたエドワードは、これはいけると思ったらしい。
魔力トレーニングをすることでこのようなメリットがあると具体的にわかりやすく伝えるために美容編を作成したとエドワード自身は語っているが、女性の美しくなりたいという欲求を刺激した見事な策と言えよう。
その狙い通りの結果―女性達はこぞって美容編の魔力トレーニングをするようになった―を出すのだから驚くほかない。
こうして、魔力トレーニングが村全体に普及して3年。
下は7歳から上は最年長の90歳までがこの魔力トレーニングを日課として取り入れたことにより、村人達の魔力、身体能力ともには軒並み跳ね上がっていった。
エドワードの目論見通り、今では魔人が再び襲撃してきても教会と敵対することになっても対処できるだけの力があるだろう。
イーレ村の人々が魔獣や魔人の脅威に怯えなくてもいいように強くなったことは素直に素晴らしいことだと思う。
だけど、エドワードは分かっていない。
ここは辺境。他の街や村との交流が著しく少ない閉ざされた環境である。
強さの基準が魔獣や村人同士になるという事はどういうことか。
外の世界から見ればあり得ないほどに強くなっていることにイーレ村の人間は気づけていない。
先ほど、ユーリカから報告を受けたときに彼は魔人と戦ったと言っていた。
「魔人が勝負だって言ってきたから手刀に風魔法纏う<風手刀>使ったら1人はそれであっけなく死んだ。
もう1人はエドがやってた障壁を相手の近くに設置して魔法を跳ね返すやつやったら自爆したんでとどめ刺したら終わった。
魔人て好戦的でメッチャ強いって言ってたからどんなんだろうとワクワクしてたのになぁ。」
そう言って、思っていたほど魔人が強くなかったことにがっかりしていた。
それを聞いて私は苦笑するしかなかった。
魔人が弱いのではない。この村の人間が軒並み強くなり過ぎたのだ。
まぁ、私も他人事じゃないけど。
お肌のハリが良いのよね。シワも取れたし。
「…リア、シスターマリア」
エドワードに言われて私ははっとした。
いけない、話の途中で考え事をしていたわ。
コホンと咳払いをしてエドワードに向き直る。
「それで何の用かしら?
もしかして、またダリウス君のようなことじゃないでしょうね?」
「流石ですね。その通りですよ。
ちょっと説明が難しいので一緒に来てください。」
嫌な予感は当たっていた。
私は拒否しようとするが、エドワードはがっしりと私の左手を掴んでしまった。
「えっえっ?」
戸惑う私をよそにエドワードは魔法を唱える。
「<雷化>」
何やらバリバリと音がする。
自分が別の何かになったみたい。
「あ、エドじゃねーか。
帰ってきたばかりなのにもう行くのか?」
「そうなんです。ユーリカ兄さん。
ちょっとシスターマリア借りていきますね。
すぐに戻ってきますから。」
「ああ、気を付けてな。」
理解が追い付いていない私をよそにエドワードとユーリカが挨拶をしている。
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