冥界の日記帳

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【 第二章 】

 そこ儚と無く。

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  ミニカとギルは、まず鍛冶屋に寄った。
 鍛冶屋では比較的高値の高性能な武器や防具が並んで、初心者には買えない様な物が一列渋滞の様に所狭しと並ぶ。
 案外品物は良い物が多岐に渡る感じであった。
 此処でミニカから腕に絡み付きながら店の中色々と散策。
「私、此の片手剣が欲しいかも。」
 ギルが片手剣のステータスを見ている、普通に何気なく片手剣を覗き込む感じで有る。
 見た目平凡としか言えない片手剣で在った。
 その他をギルは丁寧に見比べても在る武器はどれも何か紛い物が紛れていた。
「辞めて置きましょう。
 そして此処とは違う鍛冶屋が在れば良いのですが…。」
 普通なら何かしら、輝く一品などあっても遜色無い鍛冶屋で、これ程普通の武器しか置いて無い鍛冶屋も稀で在ろう事が覗える。
 鍛冶屋の主人もしたたかで、何食わぬ顔で。
「金が無い人は出て行ってください、此処は良い品しか無いですよ。」
 この様な言い草で、二人を追い払うので在る。
 仕方無いと言う感じで店を出た二人は、アクセサリー店に向かう事となった。
 処がアクセサリー店も同様に追い払らわれてしまった。
 その後同様に防具屋、雑貨屋さんと毎々追い払われた。
 どのお店でもカップルの人達には同じ事をしてるそうで在る。
 ミニカはるんるん気分だったのだが、徐々に表情が曇りだし、何故か苛立ちが出ていた。
 
 その頃から遡る事、異界の魔王と呼ばれたギルの兄上に当たる闇の眷族当主【ラッーザウィン】と言う者が、人間界を悪魔鏡で眺めて居た。
「此奴、我の次元を超えて人間界なぞ行きおって、とことん我から逃げ延びるつもりか。」
 魔王の配下で【ビッツ】参謀補佐と云う肩書。
「魔王様が余りしつこく構うから人間界逃げ出てしまったのです。」
 魔王は眷族配下のゴージャスナイトに、命令をする。
「王命だ、ゴージャスナイト、我が異界にアヤツを連れて来い、生死は問わぬ故に、肉体亡きでも構わぬ、此処に連れ帰るのだ。」
 やれやれと云う感じで、ゴージャスナイトは渋々命令に対して。
「演るだけやってみますが、我1人ではもと内、誰か補佐役を付けても良いでしょうか。」
「補佐役とな、ならお主も行け。」
 と隣に居た【ディバーデッド】漆黒の鎧武者を指名した。
 ゴージャスナイトはディバーデッドを従え、異界から姿を消した。
 補佐役で在るビッツがぼそっと1言。
(大丈夫だろうかあの様な者を連れ立って。)
 何か曰く有りげに言い残すので在る。
 
 此処は異界に在る魔王城廊下、先程の二人の魔物が会話をしていた。
 ゴージャスナイトから話を切り出す。
「全く、何なのだアノラッーザゥィンは、我の方が………イヤ何でもない。
 此処では話も筒抜けだ、取り敢えず更衣室で着替えながら話そう。
 二人は話そこそこで、更衣室に入って行った。
 白い壁に覆われた、ベンチのみ在る風景にディバーデッドはベンチに座ると、呪文を唱えた。
「デース(解)。」
 棺の様なロッカーが突如出現した。
 ロッカーの中には様々な衣装が入って要るのであった。
 そして同じ様にゴージャスナイトも。
「アポート(開)」
 と言うと、黒い円が次第に四角い衣装ケースに成っていた。
 ゴージャスナイトは其処から地味な衣装を取り出し着替え出す。
 デイバーデッドは衣装を脱ぐ也ドワーフの様な感じに様変わり何処かで見た風貌のドワーフになってました。
「さて、このまま人間界に遊輪に行くか。」
「そうだね、ラツーザゥィン寄り弟のギルの方がまだ頼り甲斐が在る、我わらを人間界呼んで、遊び歩いて居たのは、人間の事を理解出来るからだなぁ。」
 そうして二人は人間界に遊びに向かったのであった。
 
 話は戻って、2人はほぼ統べなく各店舗を巡り歩くが、ジュエリーショップなどでは、大した物が無く目新しい物など無かった為に、中央通りに戻って来ていた。
「もう昼食時間、食事でもして其れから露天商ででも覗いて、行きましょう。」
 と言うギルの右腕にしがみつき、胸を押し当てるこの者。
 繁華街の屋根上から異様な殺意を感じつつ、ギルは食事処に向かう。
  ギル達は昼食を摂るため、反訴な中華街の一郭、極めて平民が営む安価な料理屋に入る。
 他の人達も、軽食を楽しむ人達が複数の席で昼食中であるが、至って無関心で、単体毎に色々な話題で賑わっている。
 その中奥まった場所が空き席であった為に、ギル達は座る。
「取り敢えず注文しましょう。」
 とギルがテーブル席に置かれたメニューを見る、価格は全て安価では有るが、量が分からず。
 ギルは他のテーブル席を見回す様にして、メニューと見比べる。
 ミニカはテーブル席を立ち、カウンターから2個のグラスを手にウオーターボトルを持って戻って来た。
「水、飲むでしょう。」
 解りきった様にボトルの水を、グラスにミニカは注ぐ。
 そのままテーブルにボトル取り敢えずグラスを置いて、もう一度話す。
「で、決まった。」
 ギルは無言でウエートレスを探すが、見当たら無い。
 店内に有る張り紙に。
【店内セルフサービスにて、お客様ご自身で、注意など書いた紙半券をお届けください。】
 と云う張り紙が有った。
 ギルにしたら始めての体験、ほぼ此の様な事は、周囲の仲間が普段は率先してくれたので、ギルにしたら要領が得ない。
 他の店では、ウエートレスがその他給餌をするので、其処も今一要領が得ない。
 その為にギルがミニカに聞く。
「セルフサービスとはどの様な事なんだ。」
 ミニカは苦笑いしながら言う。
「何処のボンボンなのよ、今時分セルフサービスを知らないって、なら何故此処に入ったんだ。」
 と周囲を気にぜす、笑いだした。
「ワッハハハ。」
 女性にしてははしたない程の、笑いであったと思われる。
 ギルは苦笑いしながら。
 (後でとっっちめてやる。)
 と心底に思ってました。
 ギル達は、注文をミニカがして、昼食を忌憚なく夢中(会話無く)済ませた。
 半端ない量の食材がテーブルを埋め、其れ等を2人して平らげる。
 中々(カップルとは思えない。)光景で有ったと思う。
 食後要約話出しギルが言う‥。
「この後、何処に向かいます。」
 そう言ってギルはミニカを見ていたのだが。
 ギルは、何も予定を思い浮かべる事が無かった。
 方やミニカは、そんなギルを置き去りに、わくわく感が原動力となっているのだ。
(此の様な人と、他愛のない会話やそれに至る行動にわくわくする自身がたまらなく刹那さがでるのは何故だろう。)
 などミニカは自己陶酔していた。
 平穏無事な詰まらない1日を過ごすギルとなりそうで有る。
 と、城壁で騒ぎ立てる人々が集まり何か揉め事を起こして居た。
 兵士数名が集まり一般市民と揉め事である事が、離れたギルに見て取れる。
(余り関わり合いには、成りたくない物だが。)
 とギルは考えていたが、方やミニカは今までのわくわくから、新たなわくわくに変わっていた。
 間違い無く厄介事が降りかかるとギルから離れた人影は思ったのだった。
 
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