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11、事情説明
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薬師様は、ゆっくりと話し始めました。
「事の起こりは、『城』から届いた手紙です」
『城』から届いた手紙はハルノ村のオルさんに預けられ、内密とのことで薬師様はオルさんの家で内容の確認をすることになります。
手紙には『第二王女がハルノ村の視察をする』という内容か記載されていました。
そしてその手紙を届けた配達人は、その足で森にある薬師様の家の地面に魔法具を埋めたそうです。
それには『転送』の魔法が込められていたとのこと。
シロさんの思念を受けた薬師様とオルさんは森に戻り、家のそばで起動していた魔法具を見つけます。
そこからどこに私がいるのか、薬師様はシロさんと思念でやり取りをして場所を特定できたそうです。
「薬師様は魔法具も詳しいのですか?」
「知り合いの魔法使いが魔法具マニアでしたから。知識を得るのは好きなので色々と教えてもらっていたのが功を奏しましたね」
「まぁ、今回は面倒になるって分かっていたんだ。第二王女はマールにご執心だったしな。ここまでとは思わなかったが…せいぜいミラに嫌味を言うとかくらいかと思っていた」
「会いたくはなかったのですが、これも仕事ですからね…視察の日は僕だけ村に行こうと思っていたんです」
その動きを読んでいたのか、王女一味は魔法具を使い私を拐う事に成功。
薬師様はシロさんとのやり取りで場所を特定すると、シロさんと精霊の力を使ってオルさんと一緒に『転移』したそうです。
「転移…転移ですか!?」
上級の魔法使いでも習得が難しいという、転移の魔法を薬師様が使えるなんて!
「正しくは転移ではなく、空間を渡るという精霊術なんですけどね。条件もあって、自然の多くないと失敗しますし、シロくらいの力のある精霊じゃないと使えません。今回は山の中で幸いでした」
薬師様はホッと息を吐き、私を痛ましげに見ます。
薄茶色の瞳は悲しげに揺れて、何だか私もつられて悲しい気持ちになります。
「私は大丈夫ですよ、薬師様。こうやって助かりましたから」
薬師様に悲しい顔を見ていると、何だか落ち着かなくなります。
どうにかしなきゃいけない気持ちになるというか、何だかお腹がキュッとするというか…
そうです。聞きたい事があったのです。
「そういえば薬師様、あの時『絶対外に出られなくなる結界』とかを、どうやって壊したのですか?」
「あぁ、あれですか?あれは…僕の武器で…」
「薬師様の武器?」
どことなく歯切れの悪い薬師様。
薬師様といえば、杖とか…短剣とかでしょうか?
「くくっ、こいつの武器は剣だよ。なんせ元騎士…」
「オル!」
慌ててオルさんの口をふさぐ薬師様、ちょっと遅かったですね。聞こえてしまいました。
「薬師様は騎士様だったのですか!」
ついつい声が大きくなってしまいます。
だって騎士様ですよ?
穏やかなローブ姿の薬師様も素敵ですが、キリッと騎士様の礼服を着た薬師様も見てみたいとか思ったり…
ああ、絶対似合いますよね…
恰好良いですよね…絶対…
「ミラさん、騎士って言っても下位でしたから…そんなに強くないですよ?」
「よく言うぜ。剣技大会じゃ…いや、言わねーよ。悪かったよ」
薬師様に睨まれたオルさんは、苦笑して話すのをやめてしまいました。
秘密なんでしょうか。
私、もっと聞きたいです。
薬師様の事を、もっと知りたいです。
「ミラさん?」
しょんぼり俯いていると、心配そうな薬師様の声。
いけないです。
薬師様が言いたくないなら聞いてはいけないのです。
お世話係なんですから、薬師様にはいつも笑顔でいてもらわないと。
「いえ、何でもないです。すごいですね薬師様」
「え?あ、はい、ありがとうございますミラさん」
頑張って笑顔で言うと、薬師様も笑顔で応えてくれました。
やっぱり薬師様の笑顔は素敵です。
心があたたかくなります。
「薬師様。助けていただき、ありがとうございました!」
今度は自然な笑顔で言えました。
薬師様は「どういたしまして」と、ふわっと甘く微笑むのでした。
……心臓強化薬って、王都で売ってますか?
「事の起こりは、『城』から届いた手紙です」
『城』から届いた手紙はハルノ村のオルさんに預けられ、内密とのことで薬師様はオルさんの家で内容の確認をすることになります。
手紙には『第二王女がハルノ村の視察をする』という内容か記載されていました。
そしてその手紙を届けた配達人は、その足で森にある薬師様の家の地面に魔法具を埋めたそうです。
それには『転送』の魔法が込められていたとのこと。
シロさんの思念を受けた薬師様とオルさんは森に戻り、家のそばで起動していた魔法具を見つけます。
そこからどこに私がいるのか、薬師様はシロさんと思念でやり取りをして場所を特定できたそうです。
「薬師様は魔法具も詳しいのですか?」
「知り合いの魔法使いが魔法具マニアでしたから。知識を得るのは好きなので色々と教えてもらっていたのが功を奏しましたね」
「まぁ、今回は面倒になるって分かっていたんだ。第二王女はマールにご執心だったしな。ここまでとは思わなかったが…せいぜいミラに嫌味を言うとかくらいかと思っていた」
「会いたくはなかったのですが、これも仕事ですからね…視察の日は僕だけ村に行こうと思っていたんです」
その動きを読んでいたのか、王女一味は魔法具を使い私を拐う事に成功。
薬師様はシロさんとのやり取りで場所を特定すると、シロさんと精霊の力を使ってオルさんと一緒に『転移』したそうです。
「転移…転移ですか!?」
上級の魔法使いでも習得が難しいという、転移の魔法を薬師様が使えるなんて!
「正しくは転移ではなく、空間を渡るという精霊術なんですけどね。条件もあって、自然の多くないと失敗しますし、シロくらいの力のある精霊じゃないと使えません。今回は山の中で幸いでした」
薬師様はホッと息を吐き、私を痛ましげに見ます。
薄茶色の瞳は悲しげに揺れて、何だか私もつられて悲しい気持ちになります。
「私は大丈夫ですよ、薬師様。こうやって助かりましたから」
薬師様に悲しい顔を見ていると、何だか落ち着かなくなります。
どうにかしなきゃいけない気持ちになるというか、何だかお腹がキュッとするというか…
そうです。聞きたい事があったのです。
「そういえば薬師様、あの時『絶対外に出られなくなる結界』とかを、どうやって壊したのですか?」
「あぁ、あれですか?あれは…僕の武器で…」
「薬師様の武器?」
どことなく歯切れの悪い薬師様。
薬師様といえば、杖とか…短剣とかでしょうか?
「くくっ、こいつの武器は剣だよ。なんせ元騎士…」
「オル!」
慌ててオルさんの口をふさぐ薬師様、ちょっと遅かったですね。聞こえてしまいました。
「薬師様は騎士様だったのですか!」
ついつい声が大きくなってしまいます。
だって騎士様ですよ?
穏やかなローブ姿の薬師様も素敵ですが、キリッと騎士様の礼服を着た薬師様も見てみたいとか思ったり…
ああ、絶対似合いますよね…
恰好良いですよね…絶対…
「ミラさん、騎士って言っても下位でしたから…そんなに強くないですよ?」
「よく言うぜ。剣技大会じゃ…いや、言わねーよ。悪かったよ」
薬師様に睨まれたオルさんは、苦笑して話すのをやめてしまいました。
秘密なんでしょうか。
私、もっと聞きたいです。
薬師様の事を、もっと知りたいです。
「ミラさん?」
しょんぼり俯いていると、心配そうな薬師様の声。
いけないです。
薬師様が言いたくないなら聞いてはいけないのです。
お世話係なんですから、薬師様にはいつも笑顔でいてもらわないと。
「いえ、何でもないです。すごいですね薬師様」
「え?あ、はい、ありがとうございますミラさん」
頑張って笑顔で言うと、薬師様も笑顔で応えてくれました。
やっぱり薬師様の笑顔は素敵です。
心があたたかくなります。
「薬師様。助けていただき、ありがとうございました!」
今度は自然な笑顔で言えました。
薬師様は「どういたしまして」と、ふわっと甘く微笑むのでした。
……心臓強化薬って、王都で売ってますか?
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