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遠征に行きます。
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夏休みに入り、俺は避暑地として有名なマフユ町に来ている。
イメージとしては北海道という感じかな。
父様からは、「そうだよな、夏の王都は暑いよな、行っておいで……(サウス殺す)」と、最後に何か物騒な言葉が聞こえたような気がするけど、まぁ何とか許してもらえた。
母様はついて行きたそうだったが、公務があるとのことで泣く泣く断念していた。
親孝行が出来なくて申し訳ないけど、魔王をどうにかするまで待っててほしい……なんて、俺は勝手な人間なのかもしれないな。
「クラウス様、お茶が入りました」
「ありがとうセシリア」
セシリアは休みの間にギュンターにメイドの仕事を学ぶのと、サウス司祭から神力の強化を行うらしい。かなりのスパルタみたいで、目の下の隈が痛々しい。
そう、今回の遠征にはサウス司祭が同行してくれている。だからこそ俺たちが王都から離れる手順がスムーズに行えたんだけど……あの人の先読みすごいな。
マフユ町には王家の別荘がある。
管理してくれている人達は皆さん良い人で、俺を見ると「この芋っこさ食ってけ!」「乳さ飲めねと大きくなれねぞ!」と言われて、大量に食料をもらってしまってる。田舎の人達って温かいよね。
そんな屋敷は住み心地良いように準備されていて、規模の小さい旅館程度の広さだから、前世庶民の俺はすごく落ち着ける感じで嬉しい。
まったりしていると、マフユ町の冒険者ギルドに行ってたオルが戻ってきた。さすがに全員は目立つと思い動きやすいオルにお願いしたのだ。
「ご苦労様オル、どうだった?」
「情報だ。町の北にある山にワイバーンがいるそうだが、最近数が増えてきたそうだ。山の中腹から煙のようなものを見た人間もいるらしい。今はまだ山で食料を調達できているが……」
「無くなったら町に来る……か」
「足場の悪い山の中で、小型とはいえドラゴンだ。方法を考えねぇと……」
「足場は何とかなると思うよ。僕とマイコで土魔法使うから。マイコは大地の神の加護もあるしね」
「加護持ちかよ!そうか、お前の相手だもんなぁ」
「クラウス様の助けとなるべく、神様にいただきました」
いつの間にやら俺の後ろに立つマイコ。そうじゃないんだ、そうじゃないんだよなぁ。伝わらないなぁ。
オルは俺に不憫な子を見るような視線を送り、話を進めていく。
「ギュンターの風で飛行不能にさせるとして、セシリアは行けそうなのか?神力の補助魔法があると助かるだろ?」
「……うーん」
「行きます!私だってやれます!」
オルとマイコにお茶を淹れるセシリアが、絶対についていくアピールをする。ふむ。
「じゃ、サウス司祭が許してくれるなら……かな」
「ええ!?それは……」
「僕らのやってる事は危険だ。オルはともかく僕とギュンターはまだ成人していない。だからこそサウス司祭はついて来てくれた。そして僕を信頼してくれている。娘の君を預けるくらいにね」
「……」
「そこら辺にいる弱い魔獣ではないんだよ。それなりに高ランクの魔獣に僕やオルは勝てるし、ギュンターやマイコは回避出来る。セシリア、まだ修行を始めたばかりの君に怪我をさせたくはないんだ」
セシリアは真っ赤な顔で俯いた。言いすぎたかな……でも、今回は守りきれる自信がない。
「申し訳ないです。クラウス様にそこまで言わせるなんて、セシリアは自分が恥ずかしいです」
顔を上げたセシリアは、いつものフワッとした雰囲気を感じさせない強い光を空色の瞳に宿し、俺をしっかりと見て言った。
「今回はお父様に聞いて、離れていても支援できる方法を考えます。必ずお力になれるよう努力します!」
「ありがとう。セシリア」
笑みを浮かべて礼を言うと、途端にほにゃっと顔が崩れて「天使様…」とつぶやく始末。
安定の残念美少女だな。
後に『エルトーデの癒し姫』と呼ばれるセシリアの成長は、ここから始まる。
イメージとしては北海道という感じかな。
父様からは、「そうだよな、夏の王都は暑いよな、行っておいで……(サウス殺す)」と、最後に何か物騒な言葉が聞こえたような気がするけど、まぁ何とか許してもらえた。
母様はついて行きたそうだったが、公務があるとのことで泣く泣く断念していた。
親孝行が出来なくて申し訳ないけど、魔王をどうにかするまで待っててほしい……なんて、俺は勝手な人間なのかもしれないな。
「クラウス様、お茶が入りました」
「ありがとうセシリア」
セシリアは休みの間にギュンターにメイドの仕事を学ぶのと、サウス司祭から神力の強化を行うらしい。かなりのスパルタみたいで、目の下の隈が痛々しい。
そう、今回の遠征にはサウス司祭が同行してくれている。だからこそ俺たちが王都から離れる手順がスムーズに行えたんだけど……あの人の先読みすごいな。
マフユ町には王家の別荘がある。
管理してくれている人達は皆さん良い人で、俺を見ると「この芋っこさ食ってけ!」「乳さ飲めねと大きくなれねぞ!」と言われて、大量に食料をもらってしまってる。田舎の人達って温かいよね。
そんな屋敷は住み心地良いように準備されていて、規模の小さい旅館程度の広さだから、前世庶民の俺はすごく落ち着ける感じで嬉しい。
まったりしていると、マフユ町の冒険者ギルドに行ってたオルが戻ってきた。さすがに全員は目立つと思い動きやすいオルにお願いしたのだ。
「ご苦労様オル、どうだった?」
「情報だ。町の北にある山にワイバーンがいるそうだが、最近数が増えてきたそうだ。山の中腹から煙のようなものを見た人間もいるらしい。今はまだ山で食料を調達できているが……」
「無くなったら町に来る……か」
「足場の悪い山の中で、小型とはいえドラゴンだ。方法を考えねぇと……」
「足場は何とかなると思うよ。僕とマイコで土魔法使うから。マイコは大地の神の加護もあるしね」
「加護持ちかよ!そうか、お前の相手だもんなぁ」
「クラウス様の助けとなるべく、神様にいただきました」
いつの間にやら俺の後ろに立つマイコ。そうじゃないんだ、そうじゃないんだよなぁ。伝わらないなぁ。
オルは俺に不憫な子を見るような視線を送り、話を進めていく。
「ギュンターの風で飛行不能にさせるとして、セシリアは行けそうなのか?神力の補助魔法があると助かるだろ?」
「……うーん」
「行きます!私だってやれます!」
オルとマイコにお茶を淹れるセシリアが、絶対についていくアピールをする。ふむ。
「じゃ、サウス司祭が許してくれるなら……かな」
「ええ!?それは……」
「僕らのやってる事は危険だ。オルはともかく僕とギュンターはまだ成人していない。だからこそサウス司祭はついて来てくれた。そして僕を信頼してくれている。娘の君を預けるくらいにね」
「……」
「そこら辺にいる弱い魔獣ではないんだよ。それなりに高ランクの魔獣に僕やオルは勝てるし、ギュンターやマイコは回避出来る。セシリア、まだ修行を始めたばかりの君に怪我をさせたくはないんだ」
セシリアは真っ赤な顔で俯いた。言いすぎたかな……でも、今回は守りきれる自信がない。
「申し訳ないです。クラウス様にそこまで言わせるなんて、セシリアは自分が恥ずかしいです」
顔を上げたセシリアは、いつものフワッとした雰囲気を感じさせない強い光を空色の瞳に宿し、俺をしっかりと見て言った。
「今回はお父様に聞いて、離れていても支援できる方法を考えます。必ずお力になれるよう努力します!」
「ありがとう。セシリア」
笑みを浮かべて礼を言うと、途端にほにゃっと顔が崩れて「天使様…」とつぶやく始末。
安定の残念美少女だな。
後に『エルトーデの癒し姫』と呼ばれるセシリアの成長は、ここから始まる。
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