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第5章

お茶会をしよう

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 ペーシェがバラばあさんと出会って二週間、スノウがバラばあさんのところに来て五日経った。今ではペーシェと一緒にバラばあさんのベッドに入り、朝のバラの手入れにもついて行く。
「バラさん、今日もきれいに咲いたね」
 ペーシェはバラの花を優しくなでた。
「そうねえ」
 バラばあさんは枯れたバラを摘みながら頷いた。そんなとき、スノウが疑問を口にした。
「ねえ、バラばあさん。お庭すっごくきれいなのに、だれもこないの? みんなきたらいいのに」
「そうだよね」
「昔はよくお茶会やホームパーティーをしたんだけどねえ。もう友人も亡くなったり、遠くに行ってしまって、そういうことをするころもなくなったわねえ」
 そのとき、ペーシェはあることを思いついた。
「ねえ、バラばあさん。またお茶会しようよ。ぼく、人を呼んでくるよ」
「だったらバラを使ったおかしとかがあったらいいなあ」
 スノウが言った。するとバラばあさんが提案した。
「お菓子じゃないけれど、バラのジャムはどうかしら?」
「ジャムつくりたい!」
「ぼくもっ」
 ペーシェとスノウは手を挙げた。バラばあさんは枯れたバラの花をまとめながら二人に頼んだ。
「それじゃあ、あそこのバラの花を摘んでくれる? あそこのバラ、実は食べられるのよ」
「そうなんだっ」
「つもうつもう」
 ペーシェとスノウは袋を預かり、バラの花びらを摘み始めた。満開になる前のものを摘んだ。袋いっぱいに花びらを集めると、家の中で準備を初めてバラばあさんの元に戻った。
「バラばあさん、花びら集めてきたよー」
「はい、ありがとう」
 バラばあさんは花びらを受け取るときれいに洗い、ジャムを作り始めた。
「ぼく、ジャム作ってるの見たい」
「あたしもー」
 ペーシェとスノウはバラばあさんにせがんだ。バラばあさんはキッチンの作業台の上に二人を置いた。
「火には近づかないでね」
『はーい』
バラばあさんは、花びらを柔らかくなるまで煮始めた。
「バラばあさん、なにかすることない?」
 スノウが尋ねるとバラばあさんはペーシェとスノウの背後を指差した。
「量りとお砂糖をとってくれる?」
 ペーシェとスノウは銀色の量りと、白い砂糖を運んできた。そしてバラばあさんが指示した量を用意していたボウルに入れる。
「はい、どうぞ」
「どうぞ」
「ありがとう」
 バラばあさんは砂糖を鍋の中に入れた。しばらく煮詰める。ぽこぽこと表面に泡が現れると、バラばあさんはレモンの果汁を加えた。
「はい、ジャムの完成よ。冷めるのを待ちましょうか」
 ジャムが冷めるのを待ちながら、ペーシェたちはお茶会について話し始めた。
「どんなおかし出すの?」
「ぼく、ブラウニーがいいな」
「ブラウニーも素敵ねえ。せっかくジャムがあるから、スコーンも焼きましょうか」
「紅茶にジャム入れる飲み方もあるんだよ」
 ペーシェは旅で得た知識を披露した。スノウとバラばあさんは「へえ」と感心していた。
「お茶会はいつするの? 今日?」
「そうねえ……今日だと急だから明日にしましょうか」
「じゃあぼく、今から人を集めてくるよ」
 ペーシェが行こうとすると、スノウが「待って」と引き留めた。
「招待状をつくったらすてきだと思うの」
「いいね。とってもすてきだよ」
「じゃあ三人で招待状を作りましょうか」
 文章はバラばあさんが、招待状やそれを入れる封筒の飾りをペーシェが、封筒をスノウが作ることになった。招待状は全部で三通。
「こんなに少なくていいの?」
 ペーシェはバラばあさんに尋ねた。するとバラばあさんはにっこり笑った。
「だって、あなたたち二人もいるから五人よ。十分」
「ぼくたちもお茶会参加していいの?」
「いいの? わたしたちぬいぐるみだから、食べ物食べられないよ?」
「でも香りを楽しむことはできるでしょう? いっしょにいろんなことをおしゃべりしましょ」
 ペーシェとスノウは嬉しくて、バラばあさんに抱きついた。
 招待状が完成すると、ペーシェはカバンに招待状を入れた。
「じゃあ、行ってくるね」
「はい、おねがいね」
 ペーシェは敷地の外に出て、さっそく立ち止まった。
「うーん、だれにわたそうかな。ぼくが知っている人……そうだっ」
 ペーシェは森を抜けずに西に向かった。
 花畑の花たちは今日も美しく咲いていた。ペーシェは歩きながら一人の少年の名を呼んだ。
「オサムー、オサムー。いるー?」
 そのとき、まるでオコジョのようにオサムが花畑から顔を出した。
「その声……ペーシェ?」
「オサムー。よかった、会えて」
 ペーシェは花をかき分けて、オサムの元に近づいた。しかしそれよりも先にオサムがやってきて、ペーシェを抱き上げた。
「どうしたの?」
「ねえねえ、オサム。明日ってなにか用事ある?」
「明日? 特になにもないよ」
「じゃあ……はい」
 ペーシェはカバンから招待状をとり出し、オサムに渡した。オサムはその場で招待状の封筒を開けた。
「わあ、これ紙? いろんな花が貼ってる。かわいいね」
「でしょ。みんなでつくったんだ」
「ええっと……お茶会?」
 ペーシェは頷いた。
「バラばあさんの家のバラがとってもきれいなんだ。だから、お茶会を開いてお庭に来てもらおうってなったんだ」
「バラ……。いいなあ、ぼくバラってちゃんと観察したことないんだ。だから行っていい?」
「もちろんっ。待ってるからね」
 ペーシェはオサムの腕から抜け出すと、手を振りながら立ち去った。
 花畑から森に向かう途中、ペーシェはあと二人の招待客を選んだ。森を抜けて公園に向かった。そこに目的の人物がいた。
「あ、いた。マコトー」
 サッカーをしていたマコトはペーシェのほうを振り返った。
「ペーシェ!」
 マコトはペーシェに駆け寄ってきて屈んだ。
「久しぶりっ。元気だった?」
「うん、毎日げんきだよ。マコトは? ジュンヤとなかよくしてる?」
「うん。周りにはいろいろ聞かれたりするけど、もうどーでもいいんだ」
「よかったー」
 ペーシェは心の底から安心した。マコトがペーシェのカバンを指差して尋ねた。
「なんか紙出てるけど、それなんなんだ?」
「あ、忘れそうになっちゃってた。あのね、マコト。明日ってなにか用事ある?」
「明日? 特にないけど」
「じゃあ、はい」
 ペーシェは招待状をマコトに渡した。マコトは「招待状?」と言いながら、封筒をいろんな角度で見ていた。
「今ね、バラばあさんのお庭のバラがとってもきれいなんだ。だからバラ見ながら、お茶会しようよ」
 するとマコトの表情が暗くなった。そしてペーシェに招待状を返した。
「あたし、お茶会が似合うような女子じゃないよ……」
「そんなことないよ」
「だ、だってお茶会って、フリルのいっぱいついた服着て、かわいい子しか行っちゃいけないんでしょ? だからあたしじゃなくって、もっと大人しい女の子誘いなよ」
「そんなことないよ。ぼく、そんなの聞いたことないもん。あのね、いろんなお菓子があるんだよ。スコーンにバラジャム、ブラウニーだってあるんだよ」
 ブラウニーの甘い香りを想像したペーシェは、うっとりとした表情を浮かべた。そのとき、ジュンヤがやってきた。
「あ、あのときの、えーっと……そう、ペーシェだっ」
「あたりー。そうだ、ジュンヤもきなよ」
 ペーシェはジュンヤに招待状を渡した。
「へー、お茶会か。おれ、行っていいの?」
「うん。マコトもさそったんだけど、フリルのついた服をきたかわいい女の子じゃないから行かないっていうんだ」
「ちょ、ペーシェ」
 マコトはペーシェの口を押えた。ペーシェはなぜ自分が口を押えられているのか、まったくわからなかった。するとジュンヤが言った。
「いいじゃねえか、フリフリな服着てても、着てなくっても、マコトはマコトじゃん。ペーシェはマコト『に』招待状を渡したんだろ?」
「そうだよ」
「じゃあ、行きゃあいいじゃん。なあ、お菓子もあるんだよな?」
「うん。スコーンとね、バラジャムとね、ブラウニー!」
「バラジャム? バラの花で作ったジャムってことか?」
「そうだよ。今日バラばあさんがつくったんだ」
 ジュンヤがマコトの肩に乱暴に腕を回した。
「おい、行こうぜマコト。うまーいお菓子が食えるんだぜ。それでいいじゃん」
 マコトは少し考えてから、小さな声で「まあ、ジュンヤが行くんだったら……」と言った。
「決まりだなっ」
「じゃあ、二人とも、また明日ね」
 ペーシェはバラばあさんの家に帰ろうとした。しかしすぐに立ち止まり、ペーシェはマコトに言った。
「あのね、マコトー。マコトはじゅうぶんかわいい女の子だからねー」
 ペーシェがそう言うと、マコトは頬を赤くした。

 招待状を配り終えて帰ってきたペーシェは、バラばあさんやスノウに招待した三人のことを話した。
「まあ、あの子たちね。とっても楽しみだわ」
「ねえねえ、あたし、その子たち知らない。どんな子たちなの?」
 スノウがペーシェとバラばあさんに尋ねた。
「あのね、マコトはサッカーが上手な女の子。ジュンヤはマコトのともだち。オサムはお花をかんさつするのが好きな男の子だよ」
 ペーシェが答えた。
「私も初めて会ったきりだから、ちゃんとお話しできるのが楽しみだわ」
 バラばあさんも微笑んだ。ペーシェは突然立ち上がった。
「ぼく、あしたのお茶会、とってもたのしみ!」
「あたしも!」
 スノウも立ち上がった。そんな様子を見ているバラばあさんは、にこにこしていた。

 次の日、バラばあさんは庭の手入れを終えてから忙しそうにしていた。朝からブラウニーを焼き始めていた。オーブンからは花とはまた違う、チョコレートの甘い香りが満ちていた。
「ああ、なんていいにおいなんだ、ブラウニー。ぼく、一度でいいからブラウニーの中にうもれて、ずっとにおいをかいでおきたいよ」
 ペーシェは大きなブラウニーの中で体を沈め、めいいっぱい匂いを嗅いでいるのをイメージした。それだけでとても幸せな気分になった。
「なんでこんなに早い時間に焼くの? お茶会は二時からでしょ? エリカちゃんは『なんでも焼きたて、できたてが一番』って言ってたよ」
 スノウはバラばあさんに尋ねた。バラばあさんは作業の手をとめずに答えた。
「ブラウニーはね、焼きたてよりも少し冷めてからのほうがおいしいの。焼きたてだと甘さを感じにくいから」
「へー」
 スノウはバラばあさんの側にずっといた。ペーシェはブラウニーの香りにうっとりしていた。
 バラばあさんがお昼ごはんを食べおわると、ペーシェたちも準備に加わった。庭に出されたテーブルにクロスをかけ、レースに似せたペーパーナプキンを置いていく。バラばあさんはスコーンを焼きながら紅茶やジュースの準備をしていた。
 そんな風にしていると、あっという間に二時になった。バラばあさんとペーシェとスノウは先に席についていた。一番に来たのはオサムだった。
「こ、こんにちは」
「あ、オサムだー」
「いらっしゃい。好きなところに座ってちょうだい」
「そ、それじゃあ……」
 オサムはバラの花に一番近い席に座った。オサムは庭をきょろきょろと見回していた。
「もしよかったら見て回ってちょうだい」
「い、いいんですか? じ、じゃあ……」
 オサムは庭のバラを見て回った。
 オサムが来て五分もしない内に、マコトとジュンヤがやってきた。
「おじゃましまーす」
「おじゃまします」
「マコトー、ジュンヤー、こっちだよー」
 ペーシェは手を振った。
「いらっしゃい。来てくれてありがとう。さあさあ、空いてるところに座ってちょうだい」
「あ、そこの席はオサムが座ってるから、そこ以外ならだいじょうぶだよ」
 ペーシェはバラばあさんの言葉を補足した。マコトがペーシェに尋ねた。
「オサムってだれ?」
「オサムはオサムだよ。お花をかんさつするのがすきなんだ。いま、バラを見てるよ。呼んでくるね」
 ペーシェはバラの中からオサムを呼びに行った。オサムはバラの花をいろんな角度からじいっと見つめていた。
「オサムー、みんなきたよー。お茶会はじめよー」
「……ああ、ごめん。すぐ行くよ」
 オサムはペーシェを抱き上げた。二人はお茶会の席に戻った。
 オサムが席につき、ペーシェがくつをぬいでテーブルに座ると、バラばあさんが焼きたてのスコーンとブラウニー、バラジャムとクロテッドクリーム、紅茶とジュースを持ってきた。
「わあっ」
「めちゃくちゃおいしそうっ」
「おれ、バラのジャム気になる」
 招待した三人ともそれぞれの反応を示した。バラばあさんは嬉しそうにニコニコしていた。
「スコーンは好きなようにとってね。ブラウニー、食べる人」
『はいっ』
 オサム、マコト、ジュンヤの三人は元気よく手を挙げた。バラばあさんは自分の分も含めて切り分けた。
「飲みものはどうする? 紅茶もジュースもあるわよ」
「ぼく、紅茶にします」
「あたしも」
「おれはジュースがいい」
 バラばあさんは、オサム、マコト、ジュンヤの希望通りに飲み物を用意した。
「お砂糖、ミルク、好きなように入れてね」
「ジャムを入れる飲み方もあるんだよ」
 ペーシェの言葉に招待された三人は「へー」とバラばあさんとスノウと同じ反応をした。そしてオサムはミルクティー、マコトは紅茶にバラジャムを入れた。
「皆、今日は楽しんでね」
『はーい』
 こうしてお茶会は始まった。
「ねえねえ、あたしみんなのこと知らないの。自己紹介していかない?」
 スノウが言った。
「じゃあぼくからする! ぼくの名前はペーシェ。いろんなところを旅してるんだ。今はバラばあさんのところでお世話になってるよ」
 ペーシェはまっ先に自己紹介をした。
「ペーシェ、旅してるんだ。どんなところ行ったの?」
 マコトが尋ねた。
「いろんなところに行ったよ。あったかいところも、寒いところも」
「あとで教えてくれよ」
 そう言ったのはジュンヤだった。次に自己紹介したのはマコトだった。
「あたしはマコト。よくサッカーしてます」
「おれはジュンヤ。マコトの友達で、サッカー選手になるのが夢です」
「ぼ、ぼくはオサムです。植物の観察が好き、です」
 オサムはちらりとマコトとジュンヤを見た。それに気がついた二人はにっこり笑った。それをペーシェは見ていた。
「次はあたし。あたしはスノウ。うさぎのぬいぐるみよ。今はバラばあさんといっしょにいるの。あたしもお花すきー」
 自己紹介の最後を飾るのは、バラばあさんだった。
「私の名前はアキノ。でもバラばあさんって言われるほうが多いから、そう呼んでちょうだい。今日はお茶会もバラも楽しんでくれると嬉しいわ」
 自己紹介が終わると、ペーシェの旅の話が始まった。ペーシェは動きを交えて熱弁をふるった。その場にいた全員が夢中になって聴いていた。
 ペーシェの話が一段落すると、それぞれがお茶やお菓子を楽しんだ。オサムはちらちらとマコトとジュンヤのほうを見ていた。マコトとジュンヤは気がついていないようだったが、ペーシェは気づいていた。
「ねえ、オサ……」
 バラばあさんはペーシェの肩をトントンと叩いて、自身の唇に人差し指を当てた。
「きっとオサム君は今、勇気貯金を使ってお友達を作ろうとしているのよ。そっと応援しましょう」
「そっか。そうしよう」
 ペーシェは静かにフレッフレッと両手を挙げたり下ろしたりしていた。スノウやマコト、ジュンヤは首を傾げていた。けれどオサムには伝わったようだった。オサムの表情がキリっとする。
「あ、あの」
 オサムがマコトとジュンヤに声をかけた。
「ぼ、ぼく友達いなくて……。だから、その、友達になってくれ、ま、せんか?」
 マコトとジュンヤは互いに顔を合わせていた。ペーシェの耳からオサムの心臓の音が聞こえるような気がした。マコトとジュンヤはニッと笑い、頷いた。
「もちろんじゃん。なあ、マコト」
「うんうん。ねえ、オサム君ってサッカー得意?」
「さ、サッカーとか運動は得意じゃなくて……ごめん」
「謝ることなんてないよ。そうだっ。
 あの、バラばあさん。あとでここでかくれんぼしてもいいですか?」
 マコトの問いにバラばあさんは「もちろんよ」と答えた。
「ねえねえ、ぼくもいっしょにかくれんぼしていい?」
 ペーシェが尋ねた。
「もちろんだぜ」
 ジュンヤが言った。ペーシェは喜んだ。
 お菓子やお茶を楽しんでから、ペーシェたちは庭でかくれんぼをしたり、絵を描いたりした。絵のモデルはペーシェが自ら志願した。そんな様子をバラばあさんはにこにこと笑みを浮かべながら見ていた。
「なあなあ、色おにごっこしようぜ」
 絵を描くのに飽きたのか、ジュンヤが提案した。
「色おにごっこってなに?」
 ペーシェは尋ねた。するとオサムが教えてくれた。
「制限時間内におにが言った色のものに触っておくんだ。それで触れなかった人にタッチをすると、鬼が変わる」
「おもしろそうっ」
「でもここだと走り回ったら、バラの花折っちゃいそうだよ」
 マコトの言うことも、もっともだった。そのとき、ペーシェはひらめいた。
「じゃあすわったまましようよ。テーブルやその近くにある色以外言っちゃだめってどう?」
 全員が賛成した。じゃんけんをした結果、ペーシェとスノウ以外の皆はチョキを出した。スノウとのじゃんけんではペーシェがグー、スノウがパーを出した。結果ペーシェがおにになった。ペーシェは心の中でチョキが出来ないことを少し悔しく思った。
「じゃあねー……青色っ。いーち、にーい、さーん、しー、ごっ」
 ペーシェは青色のものを見つけられなかったマコトにタッチをした。座ったままの色おにごっこはマコト、オサム、ジュンヤの門限まで続いた。
 招待客三人が帰るとき、バラばあさんは余ったブラウニーとスコーンを包んで、プレゼントしていた。三人は嬉しそうだった。
「またいつでも来てね」
『はーい』
 ペーシェたちは三人の背中が見えなくなるまで見送った。
「さて、それじゃあもうひと頑張りしようかしら」
 そう言ってバラばあさんは片付けを始めた。ペーシェとスノウも片付けを手伝った。その日のペーシェはバラの花畑で色おにごっこをする夢を見た。
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