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番外編を集めてる^_^ ねこネコ(=^ェ^=)
番外編:千夏の初めてのお使い
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《ママ(日向夏)目線》
ちぃちゃん……こほんっ、千夜と色々子供達の教育について、生まれてからもその前も話し合ってきた。
特に長男で、好奇心旺盛だけど少々頑固で、千夜に似た性格の千夏は、これがしたい、あれがしたいと自分から言い出すことも多かった。
3歳児には難しいだろうというのに、最初のおつかいは自分から、
「ルナに誕生日プレゼントを買いに行きたいの! 一人で行くよ!」
と言い張った。
お金はそんなに持たせられないと夫婦で話し合い、一度その前に見に行ったお店で、予約してお金を払っておいた所にもう一回行って、品物を受け取るということにした。
すると、お義父さま……ちぃのお父さまのことよ? が、
「持って歩いていたら、変なのにつきまとわれたらだめだろう。そうだ! マジックバッグを初めてのお使いのお祝いに、千夏にプレゼントしよう!」
と言い、騎士が普段使いにするサイズ収納できるという……それなりの高価な品をポンとプレゼントしてくださった。
「子供なので、こんな高いものは……貸してくださるだけでいいです」
と私は伝えたのだが……ちぃはこういうところは疎い……。
「いいんじゃない? 千夏が大きくなって、騎士見習いになった頃に貸し出されるものは、すでに古いタイプだし、父さんが誕生日プレゼントに渡すつもりだったらしいから」
なんて言い出した。
私の実家は騎士の館の職員宿舎で生活していた一般家庭で、そんなに贅沢をしなかったから、父の数ヶ月分の給料に相当する高価な品を、3歳の息子に持たせることは躊躇った。
でも、お義母さまは笑うだけ……。
「あまり気にしなくていいと思うわ。千夏は賢い子だから、大事なものよって言い聞かせたら、分かってくれると思うのよ」
心配だわ……と思っていたら、千夏は、
「ママ。僕、ルナにプレゼントあげたいの。内緒に持って帰るの」
「危ないところに行っちゃダメよ? 知らない人について行ったり……」
「うん! 絶対しない!」
って言いながら元気よく出て行った。
玄関まで送って行ったものの、不安でウロウロしていたら、くすくす笑いながらお義母さまが手招きする。
「日向夏ちゃん。こっちこっち」
「えっ?」
近づくと、お母さまの細い指の先を見た。
すると、一人の男の子が千夏に話しかけていた。
そしてしばらく話していると、にっこり笑って手を繋いで歩いて行った。
あの、ふわふわの金色の髪は……、
「……あの男の子、マルセルくんですか?」
「えぇ。シュウさまがやっぱり心配なのですって」
微笑む。
マルセルくんは、ふぅちゃん……千夜の姉で、マルセルくんはその長男。
マルセルくんと千夏は従兄弟。
「セイくんはシュウさまに似ているし、セイくんの子供たちは、もう大きいでしょう? 可愛くて仕方ないのよ。でも、本当に危険がないか心配だから、最善策ね」
しばらくして戻ってきた2人。
半泣きでベソをかいてる千夏の手を引いて、ちょっとくしゃくしゃになった袋を持ったマルセルくん。
「ちょっとつまづいちゃって……でも、泣かずに帰ってきました」
「……うっ、うえぇぇ~! 壊れちゃったぁぁ! ママ! ルナのプレゼント~!」
マルセルくんの手を離した千夏が、駆け寄ってきた。
腰をかがめて抱きしめる。
わんわん泣きじゃくる千夏。
「あ、大丈夫です。ちょっと振ってみましたが、壊れてる様子はありません。一度お店に戻ったら、頑丈に包装してますって。代わりにもう一枚袋をもらってます」
マルセルくんは、こんなに泣くとは思わなかったのか、オロオロしている。
「わぁぁん!」
「千夏。よく頑張ったね? おかえりなさい」
「ママぁぁ!」
ひとしきり泣き、落ち着いた後、傷を確認する。
膝を擦りむいているけれど、思ったほどひどくない。
多分、転んでしまったこと以上に、プレゼントの袋が汚れたことがショックだったようだ。
「お薬塗ろうね。そのあと袋を変えましょう」
「うぅっ……ルナのプレゼントなのに……」
「大丈夫よ。明後日のバースデーパーティが楽しみね?」
頭を撫でて、手当しようと傷のない手を繋いでソファに移動した。
ルナちゃんのパーティは、親族が集まってワイワイしていた。
プレゼントにびっくりしていたルナちゃん。
最初に喜んだのは、なぜか難しそうな研究書。
「えぇぇ……」
残念がっていた千夏だけど、溟海の向こうのルーズリアの書物で、限定サイン付きだからだと思うわ。
二番目に喜んだのは、千夏のプレゼント。
でも、その日のうちに全部のプレゼントが、ルナちゃんの祖父になる彗兄さまたちの執務室や私室に置かれ、飾られた。
後日……ルナちゃんの母親が取り上げようとしたと教えられた時に、子供のプレゼントを奪うなんて……呪い祈願するべきだったかしら? と思ったのは、千夜には内緒。
ちぃちゃん……こほんっ、千夜と色々子供達の教育について、生まれてからもその前も話し合ってきた。
特に長男で、好奇心旺盛だけど少々頑固で、千夜に似た性格の千夏は、これがしたい、あれがしたいと自分から言い出すことも多かった。
3歳児には難しいだろうというのに、最初のおつかいは自分から、
「ルナに誕生日プレゼントを買いに行きたいの! 一人で行くよ!」
と言い張った。
お金はそんなに持たせられないと夫婦で話し合い、一度その前に見に行ったお店で、予約してお金を払っておいた所にもう一回行って、品物を受け取るということにした。
すると、お義父さま……ちぃのお父さまのことよ? が、
「持って歩いていたら、変なのにつきまとわれたらだめだろう。そうだ! マジックバッグを初めてのお使いのお祝いに、千夏にプレゼントしよう!」
と言い、騎士が普段使いにするサイズ収納できるという……それなりの高価な品をポンとプレゼントしてくださった。
「子供なので、こんな高いものは……貸してくださるだけでいいです」
と私は伝えたのだが……ちぃはこういうところは疎い……。
「いいんじゃない? 千夏が大きくなって、騎士見習いになった頃に貸し出されるものは、すでに古いタイプだし、父さんが誕生日プレゼントに渡すつもりだったらしいから」
なんて言い出した。
私の実家は騎士の館の職員宿舎で生活していた一般家庭で、そんなに贅沢をしなかったから、父の数ヶ月分の給料に相当する高価な品を、3歳の息子に持たせることは躊躇った。
でも、お義母さまは笑うだけ……。
「あまり気にしなくていいと思うわ。千夏は賢い子だから、大事なものよって言い聞かせたら、分かってくれると思うのよ」
心配だわ……と思っていたら、千夏は、
「ママ。僕、ルナにプレゼントあげたいの。内緒に持って帰るの」
「危ないところに行っちゃダメよ? 知らない人について行ったり……」
「うん! 絶対しない!」
って言いながら元気よく出て行った。
玄関まで送って行ったものの、不安でウロウロしていたら、くすくす笑いながらお義母さまが手招きする。
「日向夏ちゃん。こっちこっち」
「えっ?」
近づくと、お母さまの細い指の先を見た。
すると、一人の男の子が千夏に話しかけていた。
そしてしばらく話していると、にっこり笑って手を繋いで歩いて行った。
あの、ふわふわの金色の髪は……、
「……あの男の子、マルセルくんですか?」
「えぇ。シュウさまがやっぱり心配なのですって」
微笑む。
マルセルくんは、ふぅちゃん……千夜の姉で、マルセルくんはその長男。
マルセルくんと千夏は従兄弟。
「セイくんはシュウさまに似ているし、セイくんの子供たちは、もう大きいでしょう? 可愛くて仕方ないのよ。でも、本当に危険がないか心配だから、最善策ね」
しばらくして戻ってきた2人。
半泣きでベソをかいてる千夏の手を引いて、ちょっとくしゃくしゃになった袋を持ったマルセルくん。
「ちょっとつまづいちゃって……でも、泣かずに帰ってきました」
「……うっ、うえぇぇ~! 壊れちゃったぁぁ! ママ! ルナのプレゼント~!」
マルセルくんの手を離した千夏が、駆け寄ってきた。
腰をかがめて抱きしめる。
わんわん泣きじゃくる千夏。
「あ、大丈夫です。ちょっと振ってみましたが、壊れてる様子はありません。一度お店に戻ったら、頑丈に包装してますって。代わりにもう一枚袋をもらってます」
マルセルくんは、こんなに泣くとは思わなかったのか、オロオロしている。
「わぁぁん!」
「千夏。よく頑張ったね? おかえりなさい」
「ママぁぁ!」
ひとしきり泣き、落ち着いた後、傷を確認する。
膝を擦りむいているけれど、思ったほどひどくない。
多分、転んでしまったこと以上に、プレゼントの袋が汚れたことがショックだったようだ。
「お薬塗ろうね。そのあと袋を変えましょう」
「うぅっ……ルナのプレゼントなのに……」
「大丈夫よ。明後日のバースデーパーティが楽しみね?」
頭を撫でて、手当しようと傷のない手を繋いでソファに移動した。
ルナちゃんのパーティは、親族が集まってワイワイしていた。
プレゼントにびっくりしていたルナちゃん。
最初に喜んだのは、なぜか難しそうな研究書。
「えぇぇ……」
残念がっていた千夏だけど、溟海の向こうのルーズリアの書物で、限定サイン付きだからだと思うわ。
二番目に喜んだのは、千夏のプレゼント。
でも、その日のうちに全部のプレゼントが、ルナちゃんの祖父になる彗兄さまたちの執務室や私室に置かれ、飾られた。
後日……ルナちゃんの母親が取り上げようとしたと教えられた時に、子供のプレゼントを奪うなんて……呪い祈願するべきだったかしら? と思ったのは、千夜には内緒。
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