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番外編を集めてる^_^ ねこネコ(=^ェ^=)
その後……貴重なお話
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わたくしは、今日はパパと一緒にじいちゃまとおおじーじのおうちに行っています。
じいちゃまはママのお父さんで、騎士の館の教官をしています。
おおじーじはパパのお父さんのじいじとじいちゃまのお父さんです。
おおじーじはとっても多趣味で、いろいろなものを持っています。
「……おおじーじ。これはなぁに?」
おおじーじのお部屋は、不思議なものがいっぱい。
この棚にはゴツゴツした石が、たくさん飾ってあります。
飾ってある石が何かの形です。
『これは化石』
おおじーじの字はとっても綺麗です。
『昔の生き物の化石だよ』
『ヴィおじいちゃんと一緒に見つけたんだ』
「ぐるぐるね?」
『そうだね』
『とっても珍しいんだよ』
『こっちは昔の生き物の歯』
「歯なの? とんがってる!」
とっても不思議。
それだけじゃなくておおじーじの説明も楽しいし、面白いです。
《ちぃちゃん目線》
ごろごろしている石を、じい様と一つ一つ見ている可愛い長女の彩映。
千夏はルード伯父上のマガタ領の別荘に約一月滞在予定で、風深はレクとふぅちゃんの家に遊びに行っている。
そして現在妊娠中の日向夏は、妹である月歩姉のところに滞在中だ。
俺は彩映を連れて、日向夏の妊娠の報告も兼ねて、昨日から3日の予定で滞在している。
最大休暇は10日はもらっているので、後1日は伸ばしてもいいと思うけれど……じい様が彩映にベッタベタだ。
久しぶりに来た可愛い彩映にテンションが上がっているみたいで、自分のお宝を次々に出しては見せて、紙に書いて説明を繰り返している。
今日は朝は書物、昼食を取った後、お昼過ぎからは化石を見ている。
昨日は、水晶と翡翠の原石を見ていた。
そして勾玉という、グランディアの独特の宝飾品を渡して喜んでいた。
うん、もう一度いう。
じい様が喜んでいた。
彩映は興味津々だったが、今の化石の方が面白がっていた。
あぁ可愛い。
翡翠の勾玉を綺麗っていうのはわかるが、でも化石はそんなに面白いだろうか?
と思っていたら、久しぶりに会ったおばあさまが、
「ちぃ~? あ、これこれ! 持ってって」
と言いながら変な石を投げてきた。
うん、文字通り投げた。
でも、正確にはポンポンとかポイッていうのじゃない、ブンって豪速球だ。
俺はキャッチャーでもないので避けたが、絶対当たってたら、骨折か最悪穴が開く。
何で、こんなバケモノが俺の祖母なのか……あの温厚な父の実母には見えない。
「お、おばあさま! 何投げたんです?」
「昔、さーこと拳で語り合っていた時に、つい、そこら辺にあったものを手に掴んで投げつけてたんだけど、方向誤って家にむかっちゃったんだよね~で、家の屋根に穴が空いた時の石。窓の外にあるあっちのは、さーこが大黒柱を折っちゃった時の」
「そこまで説明せんでいいです!」
「何の石って聞いたの、ちぃじゃん!」
「石って言ってくださいよ! それに赤ん坊の頭サイズのもの、投げないでください!」
俺に向かってというか人に……しかも、地面がボコって陥没するものを、無造作に投げるな!
絶対死ぬ!
普通は死ぬ!
「だって、場所取るし~」
「だから、投げないでください! 部屋に置きたくないなら、庭に置いてくださいよ。それに加工とかしなかったんですか?」
「うーん……硬くて素手では壊せなかった。父さまが、何かの鉱石だと思うって言ってた。あげるよ。加工して貰えば?」
と言われた俺は、一応確認のためにじい様と義父に聞くと、
「置いておくとボールのように投げるから、困る」
「いくらでもあるから、持っていっていいよ?」
とはっきり言われた。
二人にとって、この石は粗大ゴミ以下のゴミらしい。
「じゃぁ、一つ持っていきますね」
「いや、いくらでも持っていきなさい。漬物石にも使えない凶器は一つでも減らしたいからね!」
「そうだ。ちぃ。もっと持っていっていいからね? なんなら今度まとめて送るから!」
「そうだね! 向こうのみんなに、ゴミが増えて申し訳ないと伝えておくから! 本当にもらってほしい」
と拝むように必死に頼まれた。
そんなにいらないなら捨てちゃったらいいのに……と思ったのだが、けれど、安易に捨ててはいけないと思い直し、一応、確認のために数個受け取り従兄弟経由で、専門家であるルーズリアの鉱物学者に鑑定に出すことにした。
すると、後日……
「な、なんなの? これ! 私も知らない鉱石だよ? 色も珍しい! 売って!」
と連絡が来たらしい。
それを受けて、騎士の勤務の間に呼び出された俺。
「あるんだったら、譲ってあげて~? ところで、どこで見つけたの?」
主君であり、従兄の国王陛下と王弟殿下たちに言われた。
「えっと……祖母と、陛下の母上であらせられる先代王妃殿下が……喧嘩の最中に投げた石だそうです。祖父がボールのように投げつけるから、怖いし、必要ないゴミだから持っていって欲しいと……」
と、妙に誤魔化しても仕方ないので答えたら、
「あぁ、あの危険物……えっ? あの何にも使えなさそうなゴミの中から希少鉱物でたの?」(→王弟蒼記兄)
「あれ、ゴミというより殺傷武器になるから、全部回収してリー兄さんとこに持っていこうよ」(→国王陛下)
と困った顔でため息をつく横で、首を傾げるのは、俺の一つ下の従兄弟になる王弟。
アルトゥール・クラウス王子というのが、公式に通達されている名称だけれど、グランディア名が望という。
兄弟の中でも吊り目でがっしりとした体躯なのだが、末っ子らしく性格はおっとり、マイペース、温厚というか見た目詐欺……。
ミィより蒼記兄の方が苛烈だし、結構毒舌辛辣。
まぁ、両親は破天荒、爆弾夫婦で、子育てできなかったらしく、物心ついた頃には実母の実家や縁戚になる五爵が連携して育てていたくらいだ。
まぁ……俺とは兄弟同然に育ったことは間違いない。
未だにちぃ、もしくはちぃ兄と言われる。
「なぁなぁ、ちぃ兄。危険物って何?」(→王弟望)
「騎士の館の庭に置かれていた奇岩、奇石。置くところないから、処分してくれってじい様と義父上に頼まれた」
「うん、そうだね! 沢山あるからじい様も喜ぶだろうね!」
「リー兄さんですら見たことないって。鑑定スキル持ってる兄さんですら、よくわからない構成してるってすごいよね。最近、つまんないっていってるから、ミュー兄さんも困ってるらしいし、おもちゃがわりになりそうだね?」
「はぁぁ……でも、おばあさまとセイラさんも破壊的な人だからね……変なものを投げるとか、蹴るとかして周囲……特にじい様とか、彩映をはじめとする子供たちとか、妊娠中の日向夏に危害が及んじゃったら困るから、早急に全部回収して進呈しよっか? お礼いらない、タダでいいって」
と後日じい様の家の庭のいらないものを全部回収して、送り届けたらしい。
うん、化石は前に贈ったらしく、今回は一つもなかった。
代わりに、大小色々な形の石を送っておいたそうだ。
後日、向こうの宰相閣下である王弟閣下からお礼状が届いた。
なにしろ、向こうの国王陛下は幼い頃から風来坊というか、王位につくより発掘作業がしたいというような人。
まだ俺たちと同年代の王太子はまだ結婚していないし、王弟殿下の第一子のデュアン殿下も同年代。
国のために脱走だけはしてほしくないのだろう……一度半年ほど脱走していたこともあったし、餌になるものが欲しいとぼやいていたっけ……ガンバ! ミューゼリック閣下。
《これでしばらく兄貴が大人しい!
本気でありがとう!
でも、こんな兄貴が大喜びする宝物を、こんな大量にもらっていいのだろうか?
お返しに何かを贈りたいが、何が欲しいか教えて欲しい》
と丁寧な書状が送られて来たので、従兄の幸矢兄は、
「じい様が好きそうな書物と、彩映の昔の創作物の特許の名義人を書き換えるつもりだから、リー兄さんとミュー兄さんの名前貸してくださいって言っといた。彩映は記憶ないし、過去の知識に名前を残しておくと、もしあの頃を思い出したら辛いでしょ? リー兄さんがサポートしたってことにして、名義書換えをお願いしたんだ。でも、特許料とかは全部彩映の物にするから安心してだって」
「……なんか俺より娘の方が稼いでますね」
「それは昔からでしょ? あ、君の義姉さんがまた新しいイベントするって言ってたみたい……シュウ父さんは、面白そうだしいいんじゃないかって言ってたけど、セイがこれ以上イベント増やすのは辞めてくれって言われたみたいなんだけど……あんまり却下し続けると拗ねるよってセイに言ってあげて。この間空に飛ばす簡易の風船は却下させたし、ダンスイベントもダメ。竜河に環境配慮した紙の人形を流すのもって……提灯行列くらいいいと思うんだけどね……それでなくても、カズールにコスプレカーニバルを成功させたり、着ぐるみグッズを流行させたりって実績あるんだから」
「はぁ……多分、兄さん、忙しい姉様と一緒に居られないから拗ねてるんだと思います。それでなくても姉様はカズールの工房に篭ってるし……」
……はぁぁ……兄さんも王都で忙しいし、義姉さんもマルチに活動してるからなぁ……。
「思うけど、二葉は趣味で織物したり、染色もしてるらしいじゃない? ちぃはちぃでデザイナー。セイは仕事……あの負の遺産ってあの慢心がなかったら、きっと大成できたとおもうんだよね……シュウ父さんと瑞波さんの子供だもん……もったいない」
「あー俺、兄ちゃんたちの弟じゃなかったら、シュウ父さんとこの子供がよかった!」
ミィよ……そんなこと言うけど、うちの父様と母様はミィを実の子だと思ってるとも……。
「あ、ミィ。母様が遊びにこいだって。孫たちにも会いたいしって。ミィ、前に約束したんだって? マルムスティーン領の花畑に連れて行ってくれるって言ってくれてたの~って楽しみにしてた」
「約束は忘れてないぞ! ついでに母様の好きなお菓子も用意するとも!」
「蒼記……うちの弟たち可愛すぎるんだけど……」
「うん、いい子に育ったよ」
横で感極まる兄さんたち……子供扱いしない! どこのオカンだよ!
と思いつつ黙っておいた。
この二人は昔っからだ。
後日、彩映の元に、カラーの美しい大きな文字の図鑑が何冊も届いた。
ルーズリアからだ。
一緒に届いた手紙には、先日届いた鉱石を、《クリンストーン》と《レインストーン》と仮につけたらしい。
~*~~*~~*~
一応、騎士の館の館長こと、清影じい様のお宝にはアンモナイトもあって、珍品のアンモナイト・ニッポニテスという、異常巻と分類されるものも偶然ある設定(笑)
これは、ルーズリアの国王陛下も目を輝かせていて、昔、共通の趣味を持ち意気投合したのでどうぞとプレゼントされ、ルーズリアの宝物庫の奥の奥に収められていたり(^^)
今回贈られた、じい様たちにとってはゴミは後で、この世界上にない石……ということで研究材料になる、かもしれません。
じいちゃまはママのお父さんで、騎士の館の教官をしています。
おおじーじはパパのお父さんのじいじとじいちゃまのお父さんです。
おおじーじはとっても多趣味で、いろいろなものを持っています。
「……おおじーじ。これはなぁに?」
おおじーじのお部屋は、不思議なものがいっぱい。
この棚にはゴツゴツした石が、たくさん飾ってあります。
飾ってある石が何かの形です。
『これは化石』
おおじーじの字はとっても綺麗です。
『昔の生き物の化石だよ』
『ヴィおじいちゃんと一緒に見つけたんだ』
「ぐるぐるね?」
『そうだね』
『とっても珍しいんだよ』
『こっちは昔の生き物の歯』
「歯なの? とんがってる!」
とっても不思議。
それだけじゃなくておおじーじの説明も楽しいし、面白いです。
《ちぃちゃん目線》
ごろごろしている石を、じい様と一つ一つ見ている可愛い長女の彩映。
千夏はルード伯父上のマガタ領の別荘に約一月滞在予定で、風深はレクとふぅちゃんの家に遊びに行っている。
そして現在妊娠中の日向夏は、妹である月歩姉のところに滞在中だ。
俺は彩映を連れて、日向夏の妊娠の報告も兼ねて、昨日から3日の予定で滞在している。
最大休暇は10日はもらっているので、後1日は伸ばしてもいいと思うけれど……じい様が彩映にベッタベタだ。
久しぶりに来た可愛い彩映にテンションが上がっているみたいで、自分のお宝を次々に出しては見せて、紙に書いて説明を繰り返している。
今日は朝は書物、昼食を取った後、お昼過ぎからは化石を見ている。
昨日は、水晶と翡翠の原石を見ていた。
そして勾玉という、グランディアの独特の宝飾品を渡して喜んでいた。
うん、もう一度いう。
じい様が喜んでいた。
彩映は興味津々だったが、今の化石の方が面白がっていた。
あぁ可愛い。
翡翠の勾玉を綺麗っていうのはわかるが、でも化石はそんなに面白いだろうか?
と思っていたら、久しぶりに会ったおばあさまが、
「ちぃ~? あ、これこれ! 持ってって」
と言いながら変な石を投げてきた。
うん、文字通り投げた。
でも、正確にはポンポンとかポイッていうのじゃない、ブンって豪速球だ。
俺はキャッチャーでもないので避けたが、絶対当たってたら、骨折か最悪穴が開く。
何で、こんなバケモノが俺の祖母なのか……あの温厚な父の実母には見えない。
「お、おばあさま! 何投げたんです?」
「昔、さーこと拳で語り合っていた時に、つい、そこら辺にあったものを手に掴んで投げつけてたんだけど、方向誤って家にむかっちゃったんだよね~で、家の屋根に穴が空いた時の石。窓の外にあるあっちのは、さーこが大黒柱を折っちゃった時の」
「そこまで説明せんでいいです!」
「何の石って聞いたの、ちぃじゃん!」
「石って言ってくださいよ! それに赤ん坊の頭サイズのもの、投げないでください!」
俺に向かってというか人に……しかも、地面がボコって陥没するものを、無造作に投げるな!
絶対死ぬ!
普通は死ぬ!
「だって、場所取るし~」
「だから、投げないでください! 部屋に置きたくないなら、庭に置いてくださいよ。それに加工とかしなかったんですか?」
「うーん……硬くて素手では壊せなかった。父さまが、何かの鉱石だと思うって言ってた。あげるよ。加工して貰えば?」
と言われた俺は、一応確認のためにじい様と義父に聞くと、
「置いておくとボールのように投げるから、困る」
「いくらでもあるから、持っていっていいよ?」
とはっきり言われた。
二人にとって、この石は粗大ゴミ以下のゴミらしい。
「じゃぁ、一つ持っていきますね」
「いや、いくらでも持っていきなさい。漬物石にも使えない凶器は一つでも減らしたいからね!」
「そうだ。ちぃ。もっと持っていっていいからね? なんなら今度まとめて送るから!」
「そうだね! 向こうのみんなに、ゴミが増えて申し訳ないと伝えておくから! 本当にもらってほしい」
と拝むように必死に頼まれた。
そんなにいらないなら捨てちゃったらいいのに……と思ったのだが、けれど、安易に捨ててはいけないと思い直し、一応、確認のために数個受け取り従兄弟経由で、専門家であるルーズリアの鉱物学者に鑑定に出すことにした。
すると、後日……
「な、なんなの? これ! 私も知らない鉱石だよ? 色も珍しい! 売って!」
と連絡が来たらしい。
それを受けて、騎士の勤務の間に呼び出された俺。
「あるんだったら、譲ってあげて~? ところで、どこで見つけたの?」
主君であり、従兄の国王陛下と王弟殿下たちに言われた。
「えっと……祖母と、陛下の母上であらせられる先代王妃殿下が……喧嘩の最中に投げた石だそうです。祖父がボールのように投げつけるから、怖いし、必要ないゴミだから持っていって欲しいと……」
と、妙に誤魔化しても仕方ないので答えたら、
「あぁ、あの危険物……えっ? あの何にも使えなさそうなゴミの中から希少鉱物でたの?」(→王弟蒼記兄)
「あれ、ゴミというより殺傷武器になるから、全部回収してリー兄さんとこに持っていこうよ」(→国王陛下)
と困った顔でため息をつく横で、首を傾げるのは、俺の一つ下の従兄弟になる王弟。
アルトゥール・クラウス王子というのが、公式に通達されている名称だけれど、グランディア名が望という。
兄弟の中でも吊り目でがっしりとした体躯なのだが、末っ子らしく性格はおっとり、マイペース、温厚というか見た目詐欺……。
ミィより蒼記兄の方が苛烈だし、結構毒舌辛辣。
まぁ、両親は破天荒、爆弾夫婦で、子育てできなかったらしく、物心ついた頃には実母の実家や縁戚になる五爵が連携して育てていたくらいだ。
まぁ……俺とは兄弟同然に育ったことは間違いない。
未だにちぃ、もしくはちぃ兄と言われる。
「なぁなぁ、ちぃ兄。危険物って何?」(→王弟望)
「騎士の館の庭に置かれていた奇岩、奇石。置くところないから、処分してくれってじい様と義父上に頼まれた」
「うん、そうだね! 沢山あるからじい様も喜ぶだろうね!」
「リー兄さんですら見たことないって。鑑定スキル持ってる兄さんですら、よくわからない構成してるってすごいよね。最近、つまんないっていってるから、ミュー兄さんも困ってるらしいし、おもちゃがわりになりそうだね?」
「はぁぁ……でも、おばあさまとセイラさんも破壊的な人だからね……変なものを投げるとか、蹴るとかして周囲……特にじい様とか、彩映をはじめとする子供たちとか、妊娠中の日向夏に危害が及んじゃったら困るから、早急に全部回収して進呈しよっか? お礼いらない、タダでいいって」
と後日じい様の家の庭のいらないものを全部回収して、送り届けたらしい。
うん、化石は前に贈ったらしく、今回は一つもなかった。
代わりに、大小色々な形の石を送っておいたそうだ。
後日、向こうの宰相閣下である王弟閣下からお礼状が届いた。
なにしろ、向こうの国王陛下は幼い頃から風来坊というか、王位につくより発掘作業がしたいというような人。
まだ俺たちと同年代の王太子はまだ結婚していないし、王弟殿下の第一子のデュアン殿下も同年代。
国のために脱走だけはしてほしくないのだろう……一度半年ほど脱走していたこともあったし、餌になるものが欲しいとぼやいていたっけ……ガンバ! ミューゼリック閣下。
《これでしばらく兄貴が大人しい!
本気でありがとう!
でも、こんな兄貴が大喜びする宝物を、こんな大量にもらっていいのだろうか?
お返しに何かを贈りたいが、何が欲しいか教えて欲しい》
と丁寧な書状が送られて来たので、従兄の幸矢兄は、
「じい様が好きそうな書物と、彩映の昔の創作物の特許の名義人を書き換えるつもりだから、リー兄さんとミュー兄さんの名前貸してくださいって言っといた。彩映は記憶ないし、過去の知識に名前を残しておくと、もしあの頃を思い出したら辛いでしょ? リー兄さんがサポートしたってことにして、名義書換えをお願いしたんだ。でも、特許料とかは全部彩映の物にするから安心してだって」
「……なんか俺より娘の方が稼いでますね」
「それは昔からでしょ? あ、君の義姉さんがまた新しいイベントするって言ってたみたい……シュウ父さんは、面白そうだしいいんじゃないかって言ってたけど、セイがこれ以上イベント増やすのは辞めてくれって言われたみたいなんだけど……あんまり却下し続けると拗ねるよってセイに言ってあげて。この間空に飛ばす簡易の風船は却下させたし、ダンスイベントもダメ。竜河に環境配慮した紙の人形を流すのもって……提灯行列くらいいいと思うんだけどね……それでなくても、カズールにコスプレカーニバルを成功させたり、着ぐるみグッズを流行させたりって実績あるんだから」
「はぁ……多分、兄さん、忙しい姉様と一緒に居られないから拗ねてるんだと思います。それでなくても姉様はカズールの工房に篭ってるし……」
……はぁぁ……兄さんも王都で忙しいし、義姉さんもマルチに活動してるからなぁ……。
「思うけど、二葉は趣味で織物したり、染色もしてるらしいじゃない? ちぃはちぃでデザイナー。セイは仕事……あの負の遺産ってあの慢心がなかったら、きっと大成できたとおもうんだよね……シュウ父さんと瑞波さんの子供だもん……もったいない」
「あー俺、兄ちゃんたちの弟じゃなかったら、シュウ父さんとこの子供がよかった!」
ミィよ……そんなこと言うけど、うちの父様と母様はミィを実の子だと思ってるとも……。
「あ、ミィ。母様が遊びにこいだって。孫たちにも会いたいしって。ミィ、前に約束したんだって? マルムスティーン領の花畑に連れて行ってくれるって言ってくれてたの~って楽しみにしてた」
「約束は忘れてないぞ! ついでに母様の好きなお菓子も用意するとも!」
「蒼記……うちの弟たち可愛すぎるんだけど……」
「うん、いい子に育ったよ」
横で感極まる兄さんたち……子供扱いしない! どこのオカンだよ!
と思いつつ黙っておいた。
この二人は昔っからだ。
後日、彩映の元に、カラーの美しい大きな文字の図鑑が何冊も届いた。
ルーズリアからだ。
一緒に届いた手紙には、先日届いた鉱石を、《クリンストーン》と《レインストーン》と仮につけたらしい。
~*~~*~~*~
一応、騎士の館の館長こと、清影じい様のお宝にはアンモナイトもあって、珍品のアンモナイト・ニッポニテスという、異常巻と分類されるものも偶然ある設定(笑)
これは、ルーズリアの国王陛下も目を輝かせていて、昔、共通の趣味を持ち意気投合したのでどうぞとプレゼントされ、ルーズリアの宝物庫の奥の奥に収められていたり(^^)
今回贈られた、じい様たちにとってはゴミは後で、この世界上にない石……ということで研究材料になる、かもしれません。
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