48 / 68
番外編を集めてる^_^ ねこネコ(=^ェ^=)
番外編:ひな祭り
しおりを挟む
※地域あるあるネタです^ - ^
【ちぃちゃん目線】
「あれ? なんで、ひなかざり片付けてるの?」
ひなまつりの直後、必死に雛壇を片付けるレクに俺はのんびり訊ねる。
レクの娘のために、レクの父さんであるルードおじさんが俺のじいちゃんたちに頼み込んだという、古いものの品のいい逸品である。
「うちの子が行き遅れにならないためにだよ! 父さんに聞いたから! 彩映のは? 確か飾ったんでしょ?」
「うん、日向夏の方の義父さん……つまり、日向夏の姉妹のひなかざり。ほら、日向夏たち四姉妹なのに、その子供たちって男の子ばかりだからって残念がってたんだけど、孫のために~って送ってくれたよ。元々、那智も彩映のために飾ってほしいって言ってたし、この間一緒に飾り付けした」
「仕舞わないの?」
「うん、確か、地域によっては旧暦まで飾るんだって言ってたよ。グランディアでは桃の節句って言ってたらしいけど、その地域では、桃の後の桜の時期まで飾って、もう一度お花見と一緒にお祝いした後に、片付けて、入れ替わりに端午かざりを飾るんだって」
「えっ?」
困惑するレクに、俺は真顔で、
「それに、俺は、彩映が出来るだけそばに……手元に置いておくのが夢だ! 行き遅れ? 上等だ!」
と答えた。
親バカと言われようが!
これは100%……本心である!
それに! ひなかざりの一番大事なものというと、あれだ!
衣の模様とか、柄とかも俺の心をくすぐる!
雛人形も大事だが、小さく細かいお道具が素晴らしいと思う!
精巧に作られた小さな器類を、丁寧に片付けていたふぅちゃんが顔を上げた。
「ちぃちゃん! そこで親バカ発言しないのよ? 可愛いからって、あと数年したら、レクちゃんみたいに『お父さん! ちくちくするひげのままで近づかないで!』って言われるようになるよ?」
「えっ!」
「……段々大きくなると、反抗期にもなるし、そこまでベタベタすると、嫌がられるかも。それでなくても、ちぃちゃんって、ものすごく尽くすタイプだし……私とか、かぁ様とか、日向夏ちゃんはもう慣れたけど、子供って思春期ってあるよ?」
「……嫌だぁぁ!」
ショックだ!
ものすごくショックだ!
俺は……。
「パパ~?」
その声に振り返ると、彩映と風深が手を繋いでやってきた。
「パパ、レクパパ、ふぅちゃんママ。お片付けお手伝いに来たの」
ふぅちゃんが紙に包んでいる小さい漆塗りの器を見る。
「綺麗! 彩映のお部屋のと、ちょっと違うの。あ! 一番上のお内裏様たちの並んでるの違うのね?」
風深が持ってきていたスケッチブックを差し出す。
一応、3歳児には大きく重いので、マジックバッグに入れている。
『こっちは新しい方の置き方よ』
『お顔もこっちの方が面長ね』
とふぅちゃんは説明している。
一応聞いたのは、向かい合って男雛が右、女雛が左だった場合は昔からの習わし。
彩映のお内裏様は、そちらにならっている。
逆……この部屋のお内裏様の並びは近年からなのだそうだ。
これは、過去、グランディアの人間がすんでいた都では、左が地位が高いものと言われていたからだそうだ。その左というのは、北に座し、南面する王から左側のこと。
つまりそれは部下である人間から見ると、向かって右側が王となる……のだそうだ。
これも、じい様たちに教わった。
「このお人形さんの衣、綺麗なの。三人官女さんも一人一人お顔違うのね。すごい!」
ふぅちゃんの手にしている三人官女の顔を、じっと見ている。
そうだったかな?
『真ん中の官女だけ歯が黒いのよ』
「へぇ~本当。それに、こんなふうにお片づけするのね。彩映もお手伝いする!」
ふぅちゃんの隣に座り、身振り手振りで包み方を教えてもらいつつ、楽しげに紙に包み箱に収める。
そっか、片付けも楽しいのか……。
来年出す時は、手伝ってもらおう。
そういえば、三人官女の並びなんて気にしてなかった……後でちゃんと確認しなくては。
「あれ? そういえば、お転婆はどこにいったんだ?」
夫婦で片付けているけれど、二人の間の子供……長男は失踪中、末っ子次男は騎士見習いとして短期留学中で、真ん中の一人娘は……。
「……あの子、締切だって言って篭ってるんだよね……何してんだか……なんか薄っぺらい本を作って……」
「えっ? まだしてるの?」
「ブックマーケットに出品するの~! って、言ってるからさぁ……もう、言っても聞かないし、いいかなぁって……うん、もういいんだ、うん……パパの言うこと聞いてくれないから……ふふっ! ちぃもこうなっちゃえばいいんだ……」
「不吉なこと言うな~! うちの子はそんな子じゃない!」
「絶対なる! なっちゃえ!」
レクめ~!
絶対、絶対そんなふうにならない!
俺はというより、彩映は可愛くていい子なんだぞ!
と思いつつ、そんなことが起こらないことを祈るのだった。
ちなみに、三人官女は母さんと日向夏が父さんに頼み、ちゃんと並べておいてくれたので、抱っこした彩映に、
「三人官女さん、真ん中の人の歯が黒いし、眉の色も違うのね?」
と言われたのだった。
そして、親族をよんでお花見と節句のお祝いをした後、千夏と風深の端午の節句飾りに入れ替え、来年のために丁寧に片付けたのだった。
~*~~*~~*~
ちなみに一応、超豪華な七段飾りのイメージです。
江戸時代のものを見たことがあります。
最近になると丸くて童顔の雛人形が多いのですが、昔は面長ですね。
そして、わたしの田舎では4月までかざります(o^^o)
【ちぃちゃん目線】
「あれ? なんで、ひなかざり片付けてるの?」
ひなまつりの直後、必死に雛壇を片付けるレクに俺はのんびり訊ねる。
レクの娘のために、レクの父さんであるルードおじさんが俺のじいちゃんたちに頼み込んだという、古いものの品のいい逸品である。
「うちの子が行き遅れにならないためにだよ! 父さんに聞いたから! 彩映のは? 確か飾ったんでしょ?」
「うん、日向夏の方の義父さん……つまり、日向夏の姉妹のひなかざり。ほら、日向夏たち四姉妹なのに、その子供たちって男の子ばかりだからって残念がってたんだけど、孫のために~って送ってくれたよ。元々、那智も彩映のために飾ってほしいって言ってたし、この間一緒に飾り付けした」
「仕舞わないの?」
「うん、確か、地域によっては旧暦まで飾るんだって言ってたよ。グランディアでは桃の節句って言ってたらしいけど、その地域では、桃の後の桜の時期まで飾って、もう一度お花見と一緒にお祝いした後に、片付けて、入れ替わりに端午かざりを飾るんだって」
「えっ?」
困惑するレクに、俺は真顔で、
「それに、俺は、彩映が出来るだけそばに……手元に置いておくのが夢だ! 行き遅れ? 上等だ!」
と答えた。
親バカと言われようが!
これは100%……本心である!
それに! ひなかざりの一番大事なものというと、あれだ!
衣の模様とか、柄とかも俺の心をくすぐる!
雛人形も大事だが、小さく細かいお道具が素晴らしいと思う!
精巧に作られた小さな器類を、丁寧に片付けていたふぅちゃんが顔を上げた。
「ちぃちゃん! そこで親バカ発言しないのよ? 可愛いからって、あと数年したら、レクちゃんみたいに『お父さん! ちくちくするひげのままで近づかないで!』って言われるようになるよ?」
「えっ!」
「……段々大きくなると、反抗期にもなるし、そこまでベタベタすると、嫌がられるかも。それでなくても、ちぃちゃんって、ものすごく尽くすタイプだし……私とか、かぁ様とか、日向夏ちゃんはもう慣れたけど、子供って思春期ってあるよ?」
「……嫌だぁぁ!」
ショックだ!
ものすごくショックだ!
俺は……。
「パパ~?」
その声に振り返ると、彩映と風深が手を繋いでやってきた。
「パパ、レクパパ、ふぅちゃんママ。お片付けお手伝いに来たの」
ふぅちゃんが紙に包んでいる小さい漆塗りの器を見る。
「綺麗! 彩映のお部屋のと、ちょっと違うの。あ! 一番上のお内裏様たちの並んでるの違うのね?」
風深が持ってきていたスケッチブックを差し出す。
一応、3歳児には大きく重いので、マジックバッグに入れている。
『こっちは新しい方の置き方よ』
『お顔もこっちの方が面長ね』
とふぅちゃんは説明している。
一応聞いたのは、向かい合って男雛が右、女雛が左だった場合は昔からの習わし。
彩映のお内裏様は、そちらにならっている。
逆……この部屋のお内裏様の並びは近年からなのだそうだ。
これは、過去、グランディアの人間がすんでいた都では、左が地位が高いものと言われていたからだそうだ。その左というのは、北に座し、南面する王から左側のこと。
つまりそれは部下である人間から見ると、向かって右側が王となる……のだそうだ。
これも、じい様たちに教わった。
「このお人形さんの衣、綺麗なの。三人官女さんも一人一人お顔違うのね。すごい!」
ふぅちゃんの手にしている三人官女の顔を、じっと見ている。
そうだったかな?
『真ん中の官女だけ歯が黒いのよ』
「へぇ~本当。それに、こんなふうにお片づけするのね。彩映もお手伝いする!」
ふぅちゃんの隣に座り、身振り手振りで包み方を教えてもらいつつ、楽しげに紙に包み箱に収める。
そっか、片付けも楽しいのか……。
来年出す時は、手伝ってもらおう。
そういえば、三人官女の並びなんて気にしてなかった……後でちゃんと確認しなくては。
「あれ? そういえば、お転婆はどこにいったんだ?」
夫婦で片付けているけれど、二人の間の子供……長男は失踪中、末っ子次男は騎士見習いとして短期留学中で、真ん中の一人娘は……。
「……あの子、締切だって言って篭ってるんだよね……何してんだか……なんか薄っぺらい本を作って……」
「えっ? まだしてるの?」
「ブックマーケットに出品するの~! って、言ってるからさぁ……もう、言っても聞かないし、いいかなぁって……うん、もういいんだ、うん……パパの言うこと聞いてくれないから……ふふっ! ちぃもこうなっちゃえばいいんだ……」
「不吉なこと言うな~! うちの子はそんな子じゃない!」
「絶対なる! なっちゃえ!」
レクめ~!
絶対、絶対そんなふうにならない!
俺はというより、彩映は可愛くていい子なんだぞ!
と思いつつ、そんなことが起こらないことを祈るのだった。
ちなみに、三人官女は母さんと日向夏が父さんに頼み、ちゃんと並べておいてくれたので、抱っこした彩映に、
「三人官女さん、真ん中の人の歯が黒いし、眉の色も違うのね?」
と言われたのだった。
そして、親族をよんでお花見と節句のお祝いをした後、千夏と風深の端午の節句飾りに入れ替え、来年のために丁寧に片付けたのだった。
~*~~*~~*~
ちなみに一応、超豪華な七段飾りのイメージです。
江戸時代のものを見たことがあります。
最近になると丸くて童顔の雛人形が多いのですが、昔は面長ですね。
そして、わたしの田舎では4月までかざります(o^^o)
0
お気に入りに追加
179
あなたにおすすめの小説

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる