わたくしは親も兄弟もおりません!自由にさせていただきます!……はぁぁ?今更何をおっしゃいますの?

刹那玻璃

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番外編を集めてる^_^ ねこネコ(=^ェ^=)

【番外編】新種の生き物です。

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 今日は、千夏ちゃんと風深ちゃんと一緒に、手話を勉強しています。
 手話の先生は、ママの妹の月歩ちゃんです。
 《はじめまして》と、《わたくしは彩映です》と習いました。

『上手だよ』
『これで挨拶ができるね?』

と、褒められました。

 眼鏡もよく見えます。
 長い時間はかけられませんが、結構遠くまで見えます。

『彩映。パパが帰ってくるって』

「そうなのですか? 《おかえりなさい》って言うのです」

『パパにぎゅっの方が喜ぶよ?』

 月歩ちゃんはニコニコ笑います。



 少しして帰ってきたパパは、一人ではありませんでした。
 幸矢パパと彗おじさまと一緒です。
 それに……?

 でも、まずはパパにおかえりなさいなのです!

「パパ、おかえりなさい!」

 膝をついて手を広げるパパに駆け寄って、ギュッとします。
 そして、習ったばかりの手話をします。

《はじめまして。わたくしは彩映です》

 するとパパが、ギュッとわたくしを抱きしめます。
 そして、

『はじめまして、嫌だぁぁ!』
『パパのこと嫌い?』

と、何故か乱れた文字で書かれたボードを見せられました。
 あら? パパのお目目、潤んでます。

「パパ、大好きですよ。月歩ちゃんに手話を習ったので、頑張ったのです」

『いろは、1日で覚えるなんてお利口!』
『天才! 可愛い!』

「パパ……嬉しいのですが、後ろにいる人が引いてますよ?」

 幸矢パパと彗おじさまの後ろに、誰かいます。
 彩映は目が悪いので、ぼやーっとした視界に、一人しかいない蒼い髪の人……ヴァーソロミュー団長やマレーネママは、青い色が少し違います……と、時々会いに来てくれる彗おじさまは見分けがつくのです。
 でも、その後ろは……。
 パパに抱っこされたまま近づくと、幸矢パパより頭二つくらい低い、黒髪の可愛い人です。

「お姉さまですか?」

 ウゴウゴと動きますが、見えません。
 慌てて、空間収納から眼鏡を取り出します。
 ちなみに空間収納のバンクルは、この間、彗おじさまが下さったものです。
 まだあまりよく見えませんが、ブンブンと三つ編みにした髪が左右に動いてます。

「……パパが小さいですね?」

 パパと同じ髪の色の、可愛いお姉さんです。
 えっと、月歩ちゃんより少し背が高いでしょうか?

「あ、星蘭ちゃんですか?」

 ママの2番めの妹の星蘭ちゃんは、騎士なのです。
 遠くの騎士団に入っているので、まだ会ったことはないのです。

 こちらをじっと見上げるお姉さんに顔を近づけます。

 うーん……焦点が合いません。
 でも、黒髪に黒い目に、白い肌をしていて、ブルーのマントを肩にかけています。

「ブルーのマント……青騎士団の人ですか? 確か、マガタ領に……あ、マガタのじーじのお孫さんにしては小さいです」

 マガタのじーじというのは、マガタ公爵スティファン様で、レクパパのお兄さんだそうです。
 じーじの親友だというので、マガタのじーじと呼んでます。
 マガタのじーじにはお孫さんがいるそうで、青騎士団長だって言っていました。

 幸矢パパがボードに書いて見せてくれました。

『この子、王宮騎士団長だよ』
『パパたちの従兄弟で、月歩の旦那の弟』

「……弟? お姉さんじゃないですか?」

 目の前で、身振り手振りをするお姉さんじゃないお兄さん? に、

「ごめんなさい、わたくし、聞こえないのです。えっと……あまり見えないので大きく書いて欲しいのです」

と頭を下げる。
 すると、もう一度幸矢パパが、

『フェリスタ公爵五男セリディアス』
『グランディアの名前が芹逢せりあ
『セリの母親が彩映のじーじの妹』

と書いてくれました。

「セリちゃんですか……髪真っ直ぐで綺麗です。パパやママの髪みたいです。彩映は、ふにゃふにゃです……」

 濡れ羽色の髪というのだそうです。
 ブラックドラゴンさんも、こんな綺麗な色をしています。
 じっと見ていると、セリちゃんは何かを書いて見せてくれました。

『重いよ? 首振ると鞭になる』

「攻撃するのですか?」

『しないよ~目が回るもん』
『彩映の髪は光色だね』
『二つに結んで可愛いよ』

 丁寧に書いてくれます。
 綺麗な文字です。

『よろしくね。僕はセリ』
『王宮騎士団だから時々来るよ』

 一応、前に教えてもらったのですが、王宮騎士団と言っても、昔名付けられた通称です。
 昔、この王都シェールディアにはニーリィードと言う正式名称の王宮しかなく、元々、その周囲を守る騎士団として発足したのだそうです。
 しかし、その後、人々が集まり街を作るにつれ、その範囲を街……王都まで広げたのですが、通称はそのままで、王宮内……特に王族を守る後宮騎士団とは別となっています。
 王宮騎士団は、白騎士団の次に生まれた騎士団なので、その団長は白騎士団長の次に実力があるのだそうです。

「……ラファパパの次に強い……騎士団長……? 騎士団長さんって、可愛くて美人さんじゃないとなれないのですか?」

 セリちゃんが、ボードを落としてしまいました。
 それに、パパが揺れて……笑ってるのですね?
 パパが笑うようなこと、わたくし言ってしまったのでしょうか?
 うーん、うーん……

考え込み、ぽんっと手を叩き、セリちゃんを見ます。

「あ、頭のいい、女装していろんなことのできる人って言ってませんでした!」

 あれ?
 両手と膝をついて、orzという格好になってしまいました!

「えっ? どうしてですか? 何か間違いましたか? 前に、月歩ちゃんが言っていたのです。『うちのバカ亭主にはそっくりな弟が増殖してるんだが、唯一似てない、可愛くて強くて賢い弟がいるんだ。あ、旦那の弟の下2人は顔だけで、いい子だぞ? で、その似てないのは、騎士になってから、色々と頑張ってて、最近戻ってきたんだ。今度連れてくるな?』って。『女装しても似合うんだこれが! 俺より可愛い!』とも言ってました。『頭が良くて可愛いのは正義だぞ! 顔だけよくってバカは天誅!』って、言ってましたよ?」

 あ、あれれ?
 セリちゃんが頭を抱えてます。
 何故ですか?
 月歩ちゃんは、とっても自慢してたのに……。

『彩映。月が褒めてたんだよね?』
『月の褒め方は、セリの心をえぐるから』
『かっこいいって言ってあげて』

 幸矢パパがボードを見せてくれます。
 そして、彗おじさまが、セリちゃんの肩をぽんぽん叩いてます。

「えっと……あ、それに那智ちゃんが、ラファパパの次にかっこいいって言ってました。幸矢パパと同じくらいって! あれれ? じゃぁ、パパと同じくらいかっこいいって言ってたのかな?」

 パパを見ると、ピシッと表情が固くなってますね?
 こちらを見る目がうるうるです。

「で、でも、わたくしは、パパが一番かっこいいのです! セリちゃんは千夏ちゃんと同じくらいかっこいいのです!」

『ちぃ兄さんを持ち上げるの上手いね~』

「? セリちゃん。わたくしはまだかけっこもできないので、パパを抱っこするの無理なのです」

 首を傾げると、セリちゃんはこう書きました。

『そのまま素直に大きくなってね』

「はい! わたくしは、ママみたいな女の子になりたいです。そして、パパを持ち上げるのです」

『それはいろんな意味でしなくていいよ。うん』

 だめなのでしょうか?
 難しいのです。
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