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番外編を集めてる^_^ ねこネコ(=^ェ^=)
ちぃは優しすぎるんだよな……ラファ目線
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元々、俺……ラファエルの勤務地はここ王都ではなく、ここから西に乗獣で半日向かった先にあるカズール領。
俺はカズール領騎士団……通称白騎士団の団長である。
カズール領は、カズール伯爵の領地であり、領内には騎士の館という、騎士の卵が2年から5年勉強とマナー、訓練をこなして、卒業後、マガタ領、マルムスティーン領、ファルト領、ヴェンナード領と、カズール領の五つの騎士団の団長、もしくは幹部クラスの騎士について数年見習いとして過ごす。
もしくは、カズール伯爵直属の部隊に入り、潜入、情報収集、参謀役となり、マルムスティーン侯爵家が収集した情報を精査し、不法薬物密売組織、暗殺者集団、人身売買組織などを取り締まっている。
ちぃやレーヴェ兄上、俺の実父は違うが、今現在国王陛下の側近として後宮騎士団として詰める騎士の大半は、そう言ったカズール伯爵の直属部隊出身者が多い。
それだけ優秀者揃いだったことと、逆にいくつかの組織を壊滅させたため、裏組織で賞金首となり、さまざまなところから命を狙われている者もいる。
その一人が俺の父さんであったり、現在は次期カズール伯爵のリュシオン・フィルティリーア卿で、父さんもそこそこの額らしいが、フィア兄はかなり狙われているらしく、5回は死にかかったらしい。
余りにも危険だから部隊を抜けろ、やめろと、周囲は手を尽くしたらしいが、
「若かったんだよね~あの頃は。今じゃ出来ないことだよ。ほんと、若気の至りって恐ろしいねぇ……」
と、今は笑っているらしい。
だが、父さん曰く、情報収集を中心に直属として動いていた部隊を出し抜き突撃し、獣のように犯罪の匂いを嗅ぎつけ、次々と大小幾つもの組織を潰していったらしく、『蜂蜜の竜』が、フィア兄の通り名だという。
ちなみに『黄金の薔薇』というのが、父さんの裏組織での通り名だ。
父さんが女装した時に、名乗る名前がローズだからなのだが、父さんの女装は完璧すぎる……。
そして『黄金』や『蜂蜜』は髪の毛の色らしいが、やたらキラキラした通り名だと父さんの悪友のルー叔父が笑っていたらしいが、ルー叔父は『破壊姫の子』と呼ばれているのだと知っているのだろうか……。
俺は小さい頃から、今のカズール伯爵シエラシール卿に師事していたので、騎士の館を出た後はすぐ、師匠の側で色々学ばせてもらった。
あぁ……騎士だけでなく、領主、術師、参謀、宰相、外交官としても、ある程度やっていけるくらいにはなった。
そこまで学ぶつもりはなかったんだが……必死になると何でもできるんだなと今更だが思う。
それと共に小さい頃から弟妹の面倒も見ていたし、父さんに国内のいろいろな地域、他国の状況なんかも教わっていたから、お小遣いを貯めてはファルト領やスティアナ公国領にボランティアに行ったり、物資、水を送ったりしていた。
焼け石に水とはわかっていても、孤児院や病院、幼児施設にも……。
バイト先は保育園とか学童保育の保育士見習い、病院の介護士見習い、荷物運び、大工とかもした。
保育園のバイトの時に、那智と星蘭に会ったのはいい思い出である……俺は潜入捜査はしていないのに、『子守竜』の通り名がついているのは何故だろうか?
「メオ~?」
今日、メオは俺たち夫婦の部屋に、お泊まりの日だ。
この間、彩映にもらったくまさんを抱っこしている。
くまさんの服の胸ポケットには、《ちはや》と言う名札が付いている。
自分のグランディアの名前を、くまさんにつけたらしい。
くまさんのことをそれほど気に入ったようだ。
「パパ~! ちはや、おしょろい!」
「本当だな、似合う似合う」
ちはやと同じ格好がしたいと珍しく言い、那智がそっくりな服を用意して着替えをさせたらしい。
メオはセーラーカラーのシャツにショートパンツ、子供用の革靴。
パタパタ走ってきたメオは、俺の腕に飛び込んでくる。
「パパ、あのね、あのね?」
「なんだ? メオ」
「あのね? メオ、きしににゃる。ちなちゃんとおとこのやくしょくしたの。騎士ににゃって、パパとママまもるの」
「そうなのか……嬉しいな。じゃぁ、もう少し元気になってから、パパが剣の持ち方教えてあげるからね」
「うん!」
抱き上げて、高い高いをし、抱きしめる。
俺はちぃほど長身ではないが、メオを抱き上げるくらい苦じゃない。
それに、那智と俺の息子だ。
溺愛しないでどうする。
「高い高い~!」
「もっかいするか?」
「ううん! 抱っこがいい」
あぁ、最近ちゃんと自分のことを言えるようになって、可愛すぎる。
「ラファパパ、デレデレだね~」
その声にあれっと振り返った。
「フィア兄? どうしてここに? 久しぶりですね?」
那智に案内され姿を見せたのは、俺の兄弟子の一人……俺の師匠は、俺の父さんを始めとして10人ほど弟子にしている。
その中でも最も強いのが、目の前にいるフィア兄。
騎士にしては俺よりも小柄という点が不利と言われているが、その点を瞬発力、判断力に優れ、舞台上でまさしく飛び回る。
ハニードラゴンというだけあり、強さは段違いである。
すると、
「うーん。僕は来るの億劫だったんだよ? でも、うちの孫がね~? 彩映に会いたいって」
「じーじ? きたくないって、言っちゃダメでしゅよ? ちゅぎのかじゅーる伯爵なんでしゅ、当主としてちゃんとしゅるのでしゅ!」
「うえーん。凛音に言われちゃった。じゃぁ、凛音が伯爵になる?」
「いやでしゅよ。しょれに、おとうしゃまでしゅ。戻ってきたら、じーじが教育でしゅ!」
「うーん。じーじはマルセルの教育は嫌です。六槻と凛音と遊びます!」
孫にデレデレの顔で、宣言するフィア兄……。
オイオイ、昔の面影ないぞ。
「……パパ?」
「あ、そうだ。メオは初めてだった。紹介……ご挨拶だな。このお兄さんが、メオのおじいさまの幼なじみのリュシオン・フィルティリーア様。次のカズール伯爵。そして、お孫さんの凛音。えっと……歳は幾つだっけ?」
「しゃんしゃいでしゅ!」
小さな指を三本出す。
おぉ……賢い。
「しょれと、凛音はグランディアのおにゃまえで、しぇいしきにはラインハルトでしゅ!」
「違う違う! ラインローズです! リンネ・ラインローズ!」
「いやでしゅ! ママとおにゃじ~! ラインは、カッコいいおにゃまえがいいのでしゅ!」
「カッコよくなくていいんです! もうこのまま可愛く育ってください!」
フィア兄は、最愛の六槻姉様そっくりな孫を溺愛している。
あ、腕の中の凛音にほおずりしている。
あんたはマジで子育て中の竜か?
「えっと……フィア兄。こっちも紹介したいんだけど。息子のメオ……メテオール。歳は4歳。メオ、はじめましてって言えるかな?」
「は、はじめまして……メオでしゅ。この子は、ちはやでしゅ」
くまさんも見せてる……うん、うちの子は……。
「可愛い~。昔のラファそっくり!」
「もっと生意気でしたよ? 俺」
「いや、似てる似てる。それに、ウェイト兄様は、ラファをいつもそんなふうに抱っこしてた。休暇中だけじゃなく、忙しいウィン姉様のところから短期で預かって、いつも連れ歩いてたもん。そっくりそっくり」
ニコニコ笑う。
「よろしくね? メオ」
「フィアしゃま、リン……リン……リンちゃん! よりょしくおにぇがいでしゅ!」
メオが、真っ赤な顔で一所懸命挨拶をした後、べそをかき、俺の服にしがみついた。
まだしたったらずで、凛音の《ネ》が言えなかったのが、恥ずかしかったらしい。
いや、俺は、人見知りのメオが、よくぞここまで頑張ったと褒めたいぞ、パパは!
「……凛音? メオお兄ちゃんが、リンちゃん、仲良くしてねって言ってくれたよ? ありがとうって言おうね?」
「メオにーに。んーと、メオにーには、リンちゃんでいいでしゅ!」
「うーん、もうちょっと可愛く、いいですよ~は?」
「最大限に努力しまちた! ほめてくらちゃい!」
「うんうん、偉いよ~。さすがは僕の孫」
「とうじぇんでしゅ! じーじとシェーラじーじの孫でしゅ! てにゅかりはありましぇん! パーフェクトでしゅ!」
胸を張るさまが本当に可愛いんだが、この子はツンデレ属性なのか?
「うんうん、偉いよ~? でも、もう少しその上から目線はやめようね?」
「だいじょうぶでしゅ! じーじにおろしてもりゃったりゃ、下かりゃでしゅ!」
「……知恵が回るね~? 誰に似たんだろう……」
首を傾げるフィア兄だが、そのツンデレ属性は絶対ティア似だよな……。
しかも、めちゃくちゃ可愛いよな。
彩映は全くぶれないツンツンというより、元両親より大人すぎた、賢い子だ。
我慢もしってるし、遠慮も強いし、あの歳でなんでそこまで精神年齢が高くなったのかを思うと痛々しい。
でも、この凛音は、打てば響く反応でも、周囲から異常に溺愛されていて素直にまっすぐ伸びている。
どちらもいい子だ、だから、
「そのまま大きくなってほしいですね。おっさんからの希望ですが」
「おっしゃん……『コード:子守竜。性別女性。髪にょいりょ、金、ひちょみは緑。左目の下にほくりょあり。スキル、保育士。一応騎士りゃしいが、見た目といい仕草といい、お人形。美少女。口はぶっきらぼうで一人称は俺。男装が基本装備だが、倒錯趣味の馬鹿に愛でたいと言われている。誘拐されることに注意』でしゅ。おっしゃんじゃなくて、まじゃーどりゃごんしゃんでしゅ」
「……どこでそんなもの見たのかな?」
「おっきいじーじの執務室のちゅくえのうえでしゅ。『コード:蜂蜜竜。性別女性。髪のいりょは金より深みのあるはちみちゅいりょ。瞳は青みがかったみじょり。スキル、破壊。騎士、学者の卵、無表情だが、笑うと男女問わず魅了する人外に近い。ちかじゅくちょ危険』一番懸賞金がかけられてるのは、ルードじーじとばーばれしゅ。むーちゃんばーばはあぶにゃいにょれしゅ」
どこでそんなものを見たというか、覚えるまで読んだのだろう。
「この子は、紙の文字を見ただけで記憶する子なの。兄さまの机汚れてるから……シュウ兄さまも毎日片付けるけど、多分散らばってたんだと思う」
「いちゅもの紙よりかしゃかしゃでしゅた! 気ににゃったのでひりょったのでしゅよ。ハニードリャゴンってじーじのことね? じゃぁ、わたくちは? ゴーリュデンれしゅか?」
ワクワクしてるよ……。
あれ手配書っていうか、裏組織のブラックリストなんだけど……賞金首なんだけど……。
俺はカズール領騎士団……通称白騎士団の団長である。
カズール領は、カズール伯爵の領地であり、領内には騎士の館という、騎士の卵が2年から5年勉強とマナー、訓練をこなして、卒業後、マガタ領、マルムスティーン領、ファルト領、ヴェンナード領と、カズール領の五つの騎士団の団長、もしくは幹部クラスの騎士について数年見習いとして過ごす。
もしくは、カズール伯爵直属の部隊に入り、潜入、情報収集、参謀役となり、マルムスティーン侯爵家が収集した情報を精査し、不法薬物密売組織、暗殺者集団、人身売買組織などを取り締まっている。
ちぃやレーヴェ兄上、俺の実父は違うが、今現在国王陛下の側近として後宮騎士団として詰める騎士の大半は、そう言ったカズール伯爵の直属部隊出身者が多い。
それだけ優秀者揃いだったことと、逆にいくつかの組織を壊滅させたため、裏組織で賞金首となり、さまざまなところから命を狙われている者もいる。
その一人が俺の父さんであったり、現在は次期カズール伯爵のリュシオン・フィルティリーア卿で、父さんもそこそこの額らしいが、フィア兄はかなり狙われているらしく、5回は死にかかったらしい。
余りにも危険だから部隊を抜けろ、やめろと、周囲は手を尽くしたらしいが、
「若かったんだよね~あの頃は。今じゃ出来ないことだよ。ほんと、若気の至りって恐ろしいねぇ……」
と、今は笑っているらしい。
だが、父さん曰く、情報収集を中心に直属として動いていた部隊を出し抜き突撃し、獣のように犯罪の匂いを嗅ぎつけ、次々と大小幾つもの組織を潰していったらしく、『蜂蜜の竜』が、フィア兄の通り名だという。
ちなみに『黄金の薔薇』というのが、父さんの裏組織での通り名だ。
父さんが女装した時に、名乗る名前がローズだからなのだが、父さんの女装は完璧すぎる……。
そして『黄金』や『蜂蜜』は髪の毛の色らしいが、やたらキラキラした通り名だと父さんの悪友のルー叔父が笑っていたらしいが、ルー叔父は『破壊姫の子』と呼ばれているのだと知っているのだろうか……。
俺は小さい頃から、今のカズール伯爵シエラシール卿に師事していたので、騎士の館を出た後はすぐ、師匠の側で色々学ばせてもらった。
あぁ……騎士だけでなく、領主、術師、参謀、宰相、外交官としても、ある程度やっていけるくらいにはなった。
そこまで学ぶつもりはなかったんだが……必死になると何でもできるんだなと今更だが思う。
それと共に小さい頃から弟妹の面倒も見ていたし、父さんに国内のいろいろな地域、他国の状況なんかも教わっていたから、お小遣いを貯めてはファルト領やスティアナ公国領にボランティアに行ったり、物資、水を送ったりしていた。
焼け石に水とはわかっていても、孤児院や病院、幼児施設にも……。
バイト先は保育園とか学童保育の保育士見習い、病院の介護士見習い、荷物運び、大工とかもした。
保育園のバイトの時に、那智と星蘭に会ったのはいい思い出である……俺は潜入捜査はしていないのに、『子守竜』の通り名がついているのは何故だろうか?
「メオ~?」
今日、メオは俺たち夫婦の部屋に、お泊まりの日だ。
この間、彩映にもらったくまさんを抱っこしている。
くまさんの服の胸ポケットには、《ちはや》と言う名札が付いている。
自分のグランディアの名前を、くまさんにつけたらしい。
くまさんのことをそれほど気に入ったようだ。
「パパ~! ちはや、おしょろい!」
「本当だな、似合う似合う」
ちはやと同じ格好がしたいと珍しく言い、那智がそっくりな服を用意して着替えをさせたらしい。
メオはセーラーカラーのシャツにショートパンツ、子供用の革靴。
パタパタ走ってきたメオは、俺の腕に飛び込んでくる。
「パパ、あのね、あのね?」
「なんだ? メオ」
「あのね? メオ、きしににゃる。ちなちゃんとおとこのやくしょくしたの。騎士ににゃって、パパとママまもるの」
「そうなのか……嬉しいな。じゃぁ、もう少し元気になってから、パパが剣の持ち方教えてあげるからね」
「うん!」
抱き上げて、高い高いをし、抱きしめる。
俺はちぃほど長身ではないが、メオを抱き上げるくらい苦じゃない。
それに、那智と俺の息子だ。
溺愛しないでどうする。
「高い高い~!」
「もっかいするか?」
「ううん! 抱っこがいい」
あぁ、最近ちゃんと自分のことを言えるようになって、可愛すぎる。
「ラファパパ、デレデレだね~」
その声にあれっと振り返った。
「フィア兄? どうしてここに? 久しぶりですね?」
那智に案内され姿を見せたのは、俺の兄弟子の一人……俺の師匠は、俺の父さんを始めとして10人ほど弟子にしている。
その中でも最も強いのが、目の前にいるフィア兄。
騎士にしては俺よりも小柄という点が不利と言われているが、その点を瞬発力、判断力に優れ、舞台上でまさしく飛び回る。
ハニードラゴンというだけあり、強さは段違いである。
すると、
「うーん。僕は来るの億劫だったんだよ? でも、うちの孫がね~? 彩映に会いたいって」
「じーじ? きたくないって、言っちゃダメでしゅよ? ちゅぎのかじゅーる伯爵なんでしゅ、当主としてちゃんとしゅるのでしゅ!」
「うえーん。凛音に言われちゃった。じゃぁ、凛音が伯爵になる?」
「いやでしゅよ。しょれに、おとうしゃまでしゅ。戻ってきたら、じーじが教育でしゅ!」
「うーん。じーじはマルセルの教育は嫌です。六槻と凛音と遊びます!」
孫にデレデレの顔で、宣言するフィア兄……。
オイオイ、昔の面影ないぞ。
「……パパ?」
「あ、そうだ。メオは初めてだった。紹介……ご挨拶だな。このお兄さんが、メオのおじいさまの幼なじみのリュシオン・フィルティリーア様。次のカズール伯爵。そして、お孫さんの凛音。えっと……歳は幾つだっけ?」
「しゃんしゃいでしゅ!」
小さな指を三本出す。
おぉ……賢い。
「しょれと、凛音はグランディアのおにゃまえで、しぇいしきにはラインハルトでしゅ!」
「違う違う! ラインローズです! リンネ・ラインローズ!」
「いやでしゅ! ママとおにゃじ~! ラインは、カッコいいおにゃまえがいいのでしゅ!」
「カッコよくなくていいんです! もうこのまま可愛く育ってください!」
フィア兄は、最愛の六槻姉様そっくりな孫を溺愛している。
あ、腕の中の凛音にほおずりしている。
あんたはマジで子育て中の竜か?
「えっと……フィア兄。こっちも紹介したいんだけど。息子のメオ……メテオール。歳は4歳。メオ、はじめましてって言えるかな?」
「は、はじめまして……メオでしゅ。この子は、ちはやでしゅ」
くまさんも見せてる……うん、うちの子は……。
「可愛い~。昔のラファそっくり!」
「もっと生意気でしたよ? 俺」
「いや、似てる似てる。それに、ウェイト兄様は、ラファをいつもそんなふうに抱っこしてた。休暇中だけじゃなく、忙しいウィン姉様のところから短期で預かって、いつも連れ歩いてたもん。そっくりそっくり」
ニコニコ笑う。
「よろしくね? メオ」
「フィアしゃま、リン……リン……リンちゃん! よりょしくおにぇがいでしゅ!」
メオが、真っ赤な顔で一所懸命挨拶をした後、べそをかき、俺の服にしがみついた。
まだしたったらずで、凛音の《ネ》が言えなかったのが、恥ずかしかったらしい。
いや、俺は、人見知りのメオが、よくぞここまで頑張ったと褒めたいぞ、パパは!
「……凛音? メオお兄ちゃんが、リンちゃん、仲良くしてねって言ってくれたよ? ありがとうって言おうね?」
「メオにーに。んーと、メオにーには、リンちゃんでいいでしゅ!」
「うーん、もうちょっと可愛く、いいですよ~は?」
「最大限に努力しまちた! ほめてくらちゃい!」
「うんうん、偉いよ~。さすがは僕の孫」
「とうじぇんでしゅ! じーじとシェーラじーじの孫でしゅ! てにゅかりはありましぇん! パーフェクトでしゅ!」
胸を張るさまが本当に可愛いんだが、この子はツンデレ属性なのか?
「うんうん、偉いよ~? でも、もう少しその上から目線はやめようね?」
「だいじょうぶでしゅ! じーじにおろしてもりゃったりゃ、下かりゃでしゅ!」
「……知恵が回るね~? 誰に似たんだろう……」
首を傾げるフィア兄だが、そのツンデレ属性は絶対ティア似だよな……。
しかも、めちゃくちゃ可愛いよな。
彩映は全くぶれないツンツンというより、元両親より大人すぎた、賢い子だ。
我慢もしってるし、遠慮も強いし、あの歳でなんでそこまで精神年齢が高くなったのかを思うと痛々しい。
でも、この凛音は、打てば響く反応でも、周囲から異常に溺愛されていて素直にまっすぐ伸びている。
どちらもいい子だ、だから、
「そのまま大きくなってほしいですね。おっさんからの希望ですが」
「おっしゃん……『コード:子守竜。性別女性。髪にょいりょ、金、ひちょみは緑。左目の下にほくりょあり。スキル、保育士。一応騎士りゃしいが、見た目といい仕草といい、お人形。美少女。口はぶっきらぼうで一人称は俺。男装が基本装備だが、倒錯趣味の馬鹿に愛でたいと言われている。誘拐されることに注意』でしゅ。おっしゃんじゃなくて、まじゃーどりゃごんしゃんでしゅ」
「……どこでそんなもの見たのかな?」
「おっきいじーじの執務室のちゅくえのうえでしゅ。『コード:蜂蜜竜。性別女性。髪のいりょは金より深みのあるはちみちゅいりょ。瞳は青みがかったみじょり。スキル、破壊。騎士、学者の卵、無表情だが、笑うと男女問わず魅了する人外に近い。ちかじゅくちょ危険』一番懸賞金がかけられてるのは、ルードじーじとばーばれしゅ。むーちゃんばーばはあぶにゃいにょれしゅ」
どこでそんなものを見たというか、覚えるまで読んだのだろう。
「この子は、紙の文字を見ただけで記憶する子なの。兄さまの机汚れてるから……シュウ兄さまも毎日片付けるけど、多分散らばってたんだと思う」
「いちゅもの紙よりかしゃかしゃでしゅた! 気ににゃったのでひりょったのでしゅよ。ハニードリャゴンってじーじのことね? じゃぁ、わたくちは? ゴーリュデンれしゅか?」
ワクワクしてるよ……。
あれ手配書っていうか、裏組織のブラックリストなんだけど……賞金首なんだけど……。
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