16 / 68
わたくしは、誰なのでしょう?
なんなんだ? どうして熱が下がらない?……ちぃちゃん目線
しおりを挟む
あぁどうしてなんだ!
ルナの熱が下がらない。
それに、首の後ろがひどく腫れ上がり、それが次第に頭部や頬にまで腫れが広がっている。
発疹は少し減ったが、ベッドに寝かせても痛いのかぐずる……。
いや、それが嫌なのではなく、全く熱が下がらないのと、ベッドで声をかけても反応が鈍いのが怖くてたまらない。
心配で、抱き上げて優しくあやすように揺すって、背中を撫でると目を開けるけれど、目はこちらをちゃんと見ることがなく、視線は彷徨うばかりで合うことがない。
開いた目も充血している。
おかしい、これは風疹なのか?
いや、最初は風疹であっていたと思う。
千夏も同じような症状に……軽かったけれどなっていた。
でも、ルナの症状は、どう見てもかなり重い。
高い熱も続くし、息も苦しそうだ。
もっと重大な病じゃないのか?
でも、俺は医師じゃないから、勝手な判断はできない。
二日前から別の地域で仕事があって、来られなかったヴィク伯父上に頼み、急いで来てもらい診てもらう。
すると、険しい顔をして俺を振り返る。
「……今度は麻疹になってるみたい。しかも重症化してる」
「えっ……」
麻疹?
しかも重症?
青ざめる。
「ここまで重症化するのは、成人した大人が感染する場合の時が多いんだ。けれど、ルナは先に風疹にかかっていて、身体が弱っていたから……」
「伯父上! どうすれば……どうすればいいんですか? お願いします! どうか! ルナを助けてください!」
俺は頼み込む。
命だけでもいい、助けてほしい。
俺たちの娘になったばかりなんだ。
絶対に……俺たちが守るんだと、日向夏とも話しあったばかりなのに!
祖母の従兄弟であるヴィク伯父上は、術師であるだけでなく優秀な医者でもある。
きっと、きっと……。
目の前で考え込んだ伯父上は、顔をあげる。
「私はできる限り手を尽くすよ。でも、助かる方法として、もう一つ。国王陛下に使いを送って、そして王の主治医にきて欲しいと頼もう。ちぃは行けないよ。誰かに風疹や麻疹をうつしたらダメだからね」
「はい!」
「うーん、一番早いのは、エーナだね」
伯父上は、自分の兄の騎獣の名前を出す。
「手間はかかるけれど、しばらく待って。ずっと抱いているのも辛いと思うから、私がかわるよ。それに、ちゃんと寝ていないんだろう? 食事をとって少し休みなさい」
「ですが……」
「ちぃ。ルナが心配なのはわかる。でも、思い詰めて、無理をして、ちぃが倒れたらどうするの? 悲しむのはルナと家族だよ。私だって辛い……本当はこんなに重症化するなんて思いもしなかった。仕事なんて放置して、ついていればよかったと思ってるよ」
辛そうな顔をする伯父上。
「ただ祈るのは……命が助かることと後遺症がないこと……」
そうして俺は、一旦伯父にルナを預け、食事をとり、シャワーを浴びて数時間仮眠を取ることにした。
……でも、目を覚まし、来ていた王の主治医から、告げられた言葉に絶望することになるとは思いもしなかった。
ルナの熱が下がらない。
それに、首の後ろがひどく腫れ上がり、それが次第に頭部や頬にまで腫れが広がっている。
発疹は少し減ったが、ベッドに寝かせても痛いのかぐずる……。
いや、それが嫌なのではなく、全く熱が下がらないのと、ベッドで声をかけても反応が鈍いのが怖くてたまらない。
心配で、抱き上げて優しくあやすように揺すって、背中を撫でると目を開けるけれど、目はこちらをちゃんと見ることがなく、視線は彷徨うばかりで合うことがない。
開いた目も充血している。
おかしい、これは風疹なのか?
いや、最初は風疹であっていたと思う。
千夏も同じような症状に……軽かったけれどなっていた。
でも、ルナの症状は、どう見てもかなり重い。
高い熱も続くし、息も苦しそうだ。
もっと重大な病じゃないのか?
でも、俺は医師じゃないから、勝手な判断はできない。
二日前から別の地域で仕事があって、来られなかったヴィク伯父上に頼み、急いで来てもらい診てもらう。
すると、険しい顔をして俺を振り返る。
「……今度は麻疹になってるみたい。しかも重症化してる」
「えっ……」
麻疹?
しかも重症?
青ざめる。
「ここまで重症化するのは、成人した大人が感染する場合の時が多いんだ。けれど、ルナは先に風疹にかかっていて、身体が弱っていたから……」
「伯父上! どうすれば……どうすればいいんですか? お願いします! どうか! ルナを助けてください!」
俺は頼み込む。
命だけでもいい、助けてほしい。
俺たちの娘になったばかりなんだ。
絶対に……俺たちが守るんだと、日向夏とも話しあったばかりなのに!
祖母の従兄弟であるヴィク伯父上は、術師であるだけでなく優秀な医者でもある。
きっと、きっと……。
目の前で考え込んだ伯父上は、顔をあげる。
「私はできる限り手を尽くすよ。でも、助かる方法として、もう一つ。国王陛下に使いを送って、そして王の主治医にきて欲しいと頼もう。ちぃは行けないよ。誰かに風疹や麻疹をうつしたらダメだからね」
「はい!」
「うーん、一番早いのは、エーナだね」
伯父上は、自分の兄の騎獣の名前を出す。
「手間はかかるけれど、しばらく待って。ずっと抱いているのも辛いと思うから、私がかわるよ。それに、ちゃんと寝ていないんだろう? 食事をとって少し休みなさい」
「ですが……」
「ちぃ。ルナが心配なのはわかる。でも、思い詰めて、無理をして、ちぃが倒れたらどうするの? 悲しむのはルナと家族だよ。私だって辛い……本当はこんなに重症化するなんて思いもしなかった。仕事なんて放置して、ついていればよかったと思ってるよ」
辛そうな顔をする伯父上。
「ただ祈るのは……命が助かることと後遺症がないこと……」
そうして俺は、一旦伯父にルナを預け、食事をとり、シャワーを浴びて数時間仮眠を取ることにした。
……でも、目を覚まし、来ていた王の主治医から、告げられた言葉に絶望することになるとは思いもしなかった。
0
お気に入りに追加
179
あなたにおすすめの小説

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる