わたくしは親も兄弟もおりません!自由にさせていただきます!……はぁぁ?今更何をおっしゃいますの?

刹那玻璃

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わたくしは、誰なのでしょう?

えっと……ここはどこなのでしょう?

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 首や頭がすごく痛いのですわ。
 膝と肘とかもです。
 それにとっても、かゆいのです。
 ベッドはふかふかで気持ちがいいのですが、どうしても触れているところが暑くて、苦しくて……涙が出るのです。
 怖いのです。
 いなくなってしまう……呼びかけても、その人たちはわたくしから顔を背けて遠くなって行くのです。
 悲しくて寂しくて……たまらないのです。

「どうしたんだ? また熱が上がったのか……」

 遠く、声が聞こえます。
 大好きな声……あの人たちと違う、わたくしを無条件に、**ちゃんたちと分け隔てなく見てくれる優しい人の声。

 あれ?
 **ちゃん?
 誰でしょう?

 怖いです。
 なんで?
 急に不安になって、手を差し伸べます。
 ふわっと抱き上げられ、そっと背中を撫でてくれました。

「あぁ、苦しいんだな……しんどいな……大丈夫。パパが抱っこしてあげるから」

 嬉しくて、ぎゅっと服を握り締めました。

「大丈夫だ。このまま抱っこしているから、おやすみ……」

 耳元に温かい声が、今度ははっきり聞こえます。

 抱っこしてくれるの?
 このままいてくれるの?
 置いていかない?
 冷たい目で……わたくしをいらないって言わない?

 どうか……どうか……パパがわたくしを置いていきませんように……。
 嫌わないでいてくれますように……。
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