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始まりは多分お別れという意味なのですわ。
あぁ……本気であいつらの人生は終わった……ちぃちゃん目線
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レクについていき、ルナをベッドに寝かせる。
すでに準備をしていたヴィク伯父上は、毛布をはだけ、服を緩めると診察をし、
「……風疹だね。それに調べてみたら、ルナリアは一歳接種していなかったよ。おたふくかぜ、麻疹、水疱瘡にもかかるかもしれない。かかる前にとも思うけど、今は弱ってるからできないし」
「えぇぇ! うちの子たちですら、ヴィク伯父上に遠方のスティアナにまで来てもらって受けていたのに? 他の二人は?」
レクはショックを受けたのか、呆然とする。
いや、レク。
普通の親……レクのような子供に愛情を注ぐ父親なら当たり前のことなのだが、それをあの夫婦に求めてはいけない。
テキパキとカルテを作成しつつ、ヴィク伯父上は吐き捨てるように告げる。
「二人にはアンディール自身が接種していた。完全に忘れているんだ。ルナリアの存在を。完全にね!」
嫌悪感丸出しだ……自分のひ孫であるアンディールだからこそ、余計に許せないらしい。
「ところで、知っていると思うけど、風疹は効果的な治療法はこれといってない。熱が下がるのと関節の痛みがなくなること、発疹が薄くなるまで安静にすることだね。かゆみよりも、熱に関節の痛みの方が強いから、解熱鎮痛剤を処方する。かゆがった場合の湿疹の塗り薬も出すけれど、痛みは激しいと思うから、かなりぐずったりするかもしれない」
「大丈夫です! 千夏と風深もしましたから、慣れています」
「……これから特別な用事で来れない時以外、毎日くるからね。それに、うちのアルベルトも来たいと言っていた。外交の重要な職務がないようなら交代でつくから」
アルベルト……ベルはヴィク伯父上の末子で、俺とレクの親友。
普段は何を考えているのかわからない、ぼんやりとした奴だが、普段は彗兄の片腕として外交を担い辣腕を振るっている。
あぁ、ベルはまだ未婚だっけ……。
少しだけ逃避した自分を許して欲しい。
もう疲れ切っているのだ、が……。
「そう言えば、二人はルナリアのアレルギー知ってる?」
「うぇ?」
俺はレクと顔を見合わせた。
アレルギー……聞いたことがない。
「ちょ、ちょっと待ってください。俺は知りません。ルナ付きの……」
「あぁ、大丈夫。アレルギー抗体検査をこの間受けさせているんだ。結果を見せておこうかと思って。厨房やルナリアの周囲には伝えているよ」
渡された紙を見た俺は、絶句した。
「えっ……食べ物だけで、こんなにアレルギーがあるんですか? 今日は偶然ですが飲ませていませんがミルクに、えぇぇ! くるみ、ナッツ……リンゴに肉? 魚は大丈夫だけど、貝? エビ、カニ……」
「それに当然、蕎麦に、わずかだけど麦、大豆にまで数値が出てる! あぁ! アルコールに、花粉にもアレルギーがあるよ?」
「あっ! 昼寝の前食べたクッキーとマフィンには当然、麦にミルクが入ってる!」
ざっと青ざめる。
今まで知らずにおやつとジュースを与えていた。
もしかして……、
「伯父上。今回の発疹は、アレルギーのせいじゃ……俺、全然知らなくて、普通にジュースとお菓子を……」
「違う違う。今回のは本当に風疹だから。処方するのは解熱剤と栄養剤。むむ~食事も考えないと。弱ってる時に口にして、吐いたり体調悪化なんてあったら困るから……」
うーん……
眉間に皺を寄せ、何かをサラサラと紙に書く。
「食事も一回の量を減らして、回数を増やすようにすること。こまめに着替えもね。毎日診察に来るから」
「お願いします」
「それに、もしかしたら薬も効きすぎたりするかもしれないから、何かあったらすぐに連絡して。すぐ駆けつけるよ」
「ありがとうございます。伯父上」
深々と頭を下げる。
ありがたいとしか言いようがない。
「……ちぃに愚痴るのは間違っているけど、あの馬鹿たちは、どうしてこんなに可愛い子を大事にできなかったんだろうね? 馬鹿だよ」
そう言い残して去っていった。
「……ちぃ。どうするんだ? このアレルギーの数々!」
「アルコールがダメなら、幸矢兄や六槻姉様の食べる玄米ご飯や、みりんの使われていない調味料……魚も厳選して、粗食……いや、健康食しかない! これは……フィア兄にお願いしてレシピを……」
何度確認しても、アレルギーの数に数値が高すぎる。
もしかしたら、今は大丈夫なものでも、体調を崩したりするとアナフィラキシーショックを起こす可能性すら……。
「こんな……身体の弱いルナを、放置し続けたのか……あいつら……」
俺は呟く。
「許せない! 絶対に!」
「うぅぅ……僕に何ができるだろう。うちの地域にはこれと言った産業もなくて……食べ物も、最近、蕎麦とかそう言ったものが入って、食料事情も上昇したのに……」
「あ、そういえば、熱を出す前に、ルナがじい様たちに相談があるって言ってた。レクのスティアナの地域に、水車や風車を建てられないかって」
「えっ?」
目を丸くする幼馴染に、俺はなぜか泣きたくなった。
「レク……俺は、レクや兄貴や幸矢兄みたいに、国を守るとか人を導くとかわかんないからさ……お前が領地の改革とか食糧事情、水のことも聞いてるだけで、そっかぁ、大変だなぁ……としかいえなかったし、それ以上聞けなかったわけだ……俺は一応日向夏の家の婿養子とは言え、騎士をしてもいいって言われてたし……」
「それはそうでしょ? えっ? ちぃ、何で泣いてるの?」
「俺は関係ないって思ってたんだ。でも、ルナは、『レクちゃんやふぅちゃんのために、考えるのです!』って。『風車と水車を、わたくしのお小遣いで作るのです。壊れないようにお金をかけて。そして大好きなレクちゃんやふぅちゃんのスティアナのために』って。6歳だぞ? ルナは! なのに、俺よりずっと優しくて賢い。こんなにいい子に、あいつらは!」
ぐいっと袖で顔を拭う。
「あいつらを訴えてでも、俺がルナの親権を取って、ルナの父親になる。ルナリアって名前は、二人を思い出すだろうから、新しい名前を考えて。俺と日向夏の娘として、溺愛しまくってやる!」
「えぇぇ~、僕も立候補したかったなぁ。だって、ルナって、ふぅとそっくりじゃない? うちの子は3人とも、僕や父さまに似てるからね」
「ん? そうか? アンディールに似てるのかと」
「違うよ。ルナはアンディールみたいに彫りが深くない。グランディアの血が強い童顔なんだよ。あぁ、ちぃは、ふぅとルナを一緒にじっくり見たことなかったっけ? ルナはちょっと痩せ気味で、小さいのに目が大きいからきつく見えるんじゃないの? それ以外は目鼻立ち、ふぅにそっくりなんだ。多分さぁ、ナナは無意識に、ふぅに似てるルナが嫌だったんでしょ?」
レクが珍しく凶悪な顔になる。
「自分の方が可愛い! みんなに愛されてる! そう言ってたもんね? だからちぃを独り占めしたがってた。ちぃがいないところで、ふぅに嫌がらせしてたんだ」
「えっと、レクさんや? 俺はふぅちゃん、嫌いじゃないぞ? ナナより好きだぞ? 昔からだからな?」
「それはわかってるよ? ふぅは可愛くて優しくて気立てが良い、僕の妻だからね。でも、ナナは許せないよね? こっちに戻ってきても、マウント取ってたよ? しかも僕のいない時に! 自分は、こんなお金持ちのアンディールと結婚した。アンディールに宝石買ってもらった。ドレスも新調した。素敵でしょう? でも、ふぅちゃんは可哀想ね? 国から追い出された亡命者の妻だものってね!」
「そ、それ、どこで知ったんだ?」
「ルナが作ってくれた、盗聴録音機に決まってるじゃない! ピアスになってて、あいつが耳元で囁いたのも、全部残ってるとも! 父さまや兄さまに提出済みさ!」
ふふふ……
仄暗い目で笑う幼馴染に、俺は青ざめる。
温厚そうで常識人のようなレクだが、実際心が狭く、かなり根に持つ。
それに蛇蝎のようにしつこく、ねちっこいのだ!
「あたしの服着る? 少し古いけどあげるわね? って、押し付けがましく色褪せて、しみのついた流行遅れの服をメイドに持ってこさせて、恩売ってきやがった! あぁ、悪かったね! ろくに服も買えない、辺鄙なところの公主で! ごめんね! 僕は不甲斐ない夫だよ! でもね、そんな汚い服を着せるほど、落ちぶれちゃいないとも! ちゃんとちぃに聞いてた方法で僕が染め直して、胸がキツくて、ウエストがゆるゆるのそれを、ふぅがサイズ調整して着てたよ! 子供たちの遊び着にも仕立て直したさ! あぁ、なんてけなげで優しい、できた僕の妻!」
「うわぁぁ! レク! レクさん! レクシアさま! 頼む! そこでキレるな! ルナが寝てる!」
「……あ、ルナは悪くないよ! いい子だもん。小さい頃のふぅに似てて可愛い……ふぅって、ちぃたちに比べて小さかったもんね? すっごく可愛かったなぁ! ツインテールで、エプロンドレスのふぅ……あ、そうだ。今度、ルナ、ツインテールにしようよ! そして、ピンクの可愛い膝丈のワンピースに、エプロンドレスどう? 絶対似合うから! 昔のふぅみたいで!」
「……」
あぁ、レクがふぅちゃん第一主義で良かった。
レクが本気になったら、家が壊れる。
文字通り破壊するのだ。
トントン……
扉が叩かれ姿を見せたのは、父さんと兄貴、そして師匠でもある全騎士団の総帥のカズール伯爵シエラシール卿。
「ルナは?」
「は、はい。先までヴィク伯父上に診ていただいていて、風疹だそうです」
「はぁぁ? 風疹?」
師匠は目を見開き、唖然とする。
あぁ、わかる。
普通はそうだ。
「実は、確認したところ、ルナは一才児の予防接種を受けていなかったそうです。多分、馬鹿親がお互いがしてるだろうと思っていたか、完全に考えてなかったかと」
「……どっちでも、悪いのは馬鹿だね」
近づき、苦しそうなルナの顔を覗き込む。
「風疹かぁ……厄介だね。効果のある薬って、解熱鎮痛剤くらいでしょう?」
「そうですね。あの……これを見てください」
アレルギー検査の結果を3人に見せる。
3人……特に父さんが真っ青になり、よろめいた。
ヤバイ! 本気で精神的に参ってる!
俺が支え、レクが椅子を持ってきたので、座らせると、ぐったりと背もたれにもたれた。
「……あいつは、何を言っても理解しなかった……怒っている意味も、言葉も聞き入れない。アンディールは俺が怖いのか、ブルブル震えるだけで、全然……」
「……」
「サディはサディで、じっとしてろと言ってもすぐに走り出して、物は投げるし、暴言、命令だ。ミリアは自分がねだれば、それが叶うと思っているのか、あれが欲しい、あれちょうだいと叫ぶだけだ」
膝に肘をつき、手のひらで顔を覆う。
「あの化け物どもは、本当に俺の娘で、孫なのか? 俺は育て方を間違ったのか? 話してもこちらの言葉が全く伝わらない。異星人にしか思えない……あぁ、もう、あいつを殺して俺も……」
「それは許さないよ、シュウ」
「兄貴……」
「あんな異物、切り捨てな。あれは愚者、異分子。シュウが背負うものじゃない。あれは大人で、もう手を離れてる。勝手な行動の責任は自分がとるべきだ。手を貸す必要はないよ」
師匠は淡々と告げる。
「それに、シュウには優しくて強くて自慢のセイとちぃに、可愛くて大事なふぅがいる。他はいらないでしょ? 最愛の瑞波ちゃんもいるでしょ? それに、目に入れても痛くないって公言する、このルナだって。まぁ、可愛いセイとふぅとちぃの子供や孫たちまでは責任あると思うけど、あのバカたちは戸籍上も縁を切ったんだから、見捨てていいんだよ」
「でもこの後、また何かしでかしたら……」
「だから、そこまで責任とらなくていいんだって。あいつらはもう成人で、その上一回縁を切るって宣言してるし、それでも何とも思わず好き放題してるんだ。今回簡易とはいえ裁判官をよんで、縁を切ることを宣言したんだし、後日正式な判決が出るとはいえ、裁判官だって『ここまでバカにつける薬はないですね。完全に虐待です。最も厳しい判決を出したいくらいです。楽しみにしてください』って言ってくれたんだよ? 見限っていい。それにシュウは、私の世話で忙しいんでしょ?」
ニコニコと笑う。
……父さんも、実は師匠大好き人間だ。
叔父甥だが兄弟のように育ち、少しどころかかなり不器用でそそっかしい師匠を溺愛……いや、敬愛しており……うん、俺の兄貴が上司の世話をするのと似ている。
その言葉に、父さんは照れ臭そうな表情になる。
「あぁ、そうだった……兄貴の世話があるんだった。兄貴ももう次に位譲れよ。ひ孫もいるんだろう? そうすれば俺もセイに譲れるから」
「あぁ無理~! 私は、一生仕事に生きるの! 譲ったら多分すぐにボケるよ。だって、趣味もないし、王宮地下の書庫も全部読破したし、術も使えるものは全部覚えたし……覚えてないのが最終……特別詠唱の長いルーディンだけ。あれ、詠唱部分を覚えて一回使って、10日寝込んだもんね。使ってもピンピンしてるヴィク兄様を尊敬するよ」
「……ちなみにいくつの時だ? 兄貴」
「うーん……5歳……より1ヶ月前だったかなぁ? 練習してるの聞いて、覚えて、唱えて、思いっきり暴発したんだよね? 若気の至りだよ、あはは……」
「若気の至りで、そんな術を全力で使うんじゃない! 5歳前なんて、まだ小さいんだ! 力を加減して使うこと! 反省しろ!」
……いや、父さん、その説教は方向性が違う。
ルーディンは、うちのおおじい様の暴発時に飛び交う隕石が降り注いだり、大地の陥没、竜巻、暴風雨を全て合わせても勝てない究極の術と聞いている。
確か、時空を歪め、空間を無に帰すとも言われる術だぞ?
危険だからって、地下の奥深くに作られた訓練場……その周囲には術をある程度吸収し、外に漏らさないようにする巨大な、厚みのある魔石で覆われている……そりゃ、全てが無になるんだ、魔石の壁が必要だろう……その場所でしか訓練できないと言われている。
もし、外で使うとすれば最終兵器そのものだ!
それが暴発した?
恐ろしすぎる!
「それに、時々現場に行って、遊ぶのも楽しいでしょ? ほら、私は見た目お子様だから~?」
「あぁ、それは認める! 万年お子様の兄貴は、無邪気でいいな?」
「でしょう? だからシュウは万年私のお世話係!」
いや、父さん、それは褒めてない!
師匠も何で嬉しそうなんだ?
あぁ、これが二人の普通なんだな。
「う、うぅ……」
ベッドの中で小さい声がした。
目を薄くあける。
「ルナ? 大丈夫か?」
駆け寄り、顔を覗き込むのは父さん。
目を見開いたルナは、クシャクシャと顔を歪め、
「じーじ……うわぁぁん……」
泣き出した。
あぁ、ルナは祖父である父さんが大好きなのだ。
父さんもデレデレになって、ルナをそっと、優しく抱き上げる。
「しんどいなぁ……ルナ。大丈夫だぞ。じーじがいるからな?」
「じーじ、頭痛いの……それにね? ここと、ここ……痛い~」
まるで幼児の……いや、実際まだ幼児だ。
ルナは珍しく甘えるような口調で、関節の痛みを訴える。
「あぁ、痛いよな……辛いな……じゃぁ、お薬を飲もう。痛いのが楽になるから」
「うん。うん……」
「その後には、ジュースも飲もう」
俺は用意されていた薬を袋を開け、手渡す。
それを少し躊躇うものの口に入れ、ごくごくと急いで水で飲んだルナ……その様子に、師匠は眉を寄せる。
ジュースを時間をかけて飲ませた父さんが、ゆっくりと揺すり、寝かしつける。
「あのさぁ、ルナって薬も嫌がらないの? 苦いよね?」
「あの……」
そばで氷枕を用意していたルナ付きのメイドが、恐る恐る声をかける。
「じ、実は、私の同僚が、お嬢様が熱を出した時についていたところ、苦い薬を飲みたくないと泣いていたお嬢様を怒って、粉薬を口に入れて、そのまま手で口を塞いだのを見たのだそうです」
「……誰が、ルナにそんなことをしたの? 当然、君の同僚じゃないよね?」
「は、はい! その者は、お嬢様のそばに不眠不休でついておりました!」
「じゃぁ、誰かな?」
「ア、アンディールさまでございます。同僚がどうか水をと、そのままでは苦すぎますから、それに乱暴はと申し上げたところ、怒鳴りつけられ、突き飛ばされたのです。そして、わたくしたちが甘やかすから、わがままでいうことを聞かないんだ。口を挟むのならやめさせるぞと」
師匠が悪い笑みを浮かべる。
「よっぽど同じことしてもらいたいようだね。本当に苦いだけ、エグいだけの粉を毎日三回水無しで飲ませてやろうか? どれほど苦しいか、思い知らせてやろう!」
「あ、シエラおじさん。俺からの提案です!」
兄貴が手をあげる。
「さっき、上司と話していたのですが、ここの南にあるスティアナ公国は、今現在復興途中かと。公主のレクも努力していますが、こちらでの仕事もあり、長男のマルセルも現在消息不明ですが、婿養子に行くことになっていますし、何でしたらその嫌がらせだけでなく、公国の公主代行として家族揃って移住をしてもらい、公国の大地に風車と水車を整え水を引き、田畑を耕すようにしてもらうのはいかがでしょうか?」
「よっし! それはいい意見だね! あいつらは判決後、スティアナ公国に公主代行ということで送り込もう! 水も少なく、田畑も痩せ、風で砂埃が舞うところでの生活を送らせて、どれだけ自分たちが恩恵を受けて、ぬくぬくと生きてきたのか理解させるとしようか」
……それは文字通り、悪魔の囁きだった。
すでに準備をしていたヴィク伯父上は、毛布をはだけ、服を緩めると診察をし、
「……風疹だね。それに調べてみたら、ルナリアは一歳接種していなかったよ。おたふくかぜ、麻疹、水疱瘡にもかかるかもしれない。かかる前にとも思うけど、今は弱ってるからできないし」
「えぇぇ! うちの子たちですら、ヴィク伯父上に遠方のスティアナにまで来てもらって受けていたのに? 他の二人は?」
レクはショックを受けたのか、呆然とする。
いや、レク。
普通の親……レクのような子供に愛情を注ぐ父親なら当たり前のことなのだが、それをあの夫婦に求めてはいけない。
テキパキとカルテを作成しつつ、ヴィク伯父上は吐き捨てるように告げる。
「二人にはアンディール自身が接種していた。完全に忘れているんだ。ルナリアの存在を。完全にね!」
嫌悪感丸出しだ……自分のひ孫であるアンディールだからこそ、余計に許せないらしい。
「ところで、知っていると思うけど、風疹は効果的な治療法はこれといってない。熱が下がるのと関節の痛みがなくなること、発疹が薄くなるまで安静にすることだね。かゆみよりも、熱に関節の痛みの方が強いから、解熱鎮痛剤を処方する。かゆがった場合の湿疹の塗り薬も出すけれど、痛みは激しいと思うから、かなりぐずったりするかもしれない」
「大丈夫です! 千夏と風深もしましたから、慣れています」
「……これから特別な用事で来れない時以外、毎日くるからね。それに、うちのアルベルトも来たいと言っていた。外交の重要な職務がないようなら交代でつくから」
アルベルト……ベルはヴィク伯父上の末子で、俺とレクの親友。
普段は何を考えているのかわからない、ぼんやりとした奴だが、普段は彗兄の片腕として外交を担い辣腕を振るっている。
あぁ、ベルはまだ未婚だっけ……。
少しだけ逃避した自分を許して欲しい。
もう疲れ切っているのだ、が……。
「そう言えば、二人はルナリアのアレルギー知ってる?」
「うぇ?」
俺はレクと顔を見合わせた。
アレルギー……聞いたことがない。
「ちょ、ちょっと待ってください。俺は知りません。ルナ付きの……」
「あぁ、大丈夫。アレルギー抗体検査をこの間受けさせているんだ。結果を見せておこうかと思って。厨房やルナリアの周囲には伝えているよ」
渡された紙を見た俺は、絶句した。
「えっ……食べ物だけで、こんなにアレルギーがあるんですか? 今日は偶然ですが飲ませていませんがミルクに、えぇぇ! くるみ、ナッツ……リンゴに肉? 魚は大丈夫だけど、貝? エビ、カニ……」
「それに当然、蕎麦に、わずかだけど麦、大豆にまで数値が出てる! あぁ! アルコールに、花粉にもアレルギーがあるよ?」
「あっ! 昼寝の前食べたクッキーとマフィンには当然、麦にミルクが入ってる!」
ざっと青ざめる。
今まで知らずにおやつとジュースを与えていた。
もしかして……、
「伯父上。今回の発疹は、アレルギーのせいじゃ……俺、全然知らなくて、普通にジュースとお菓子を……」
「違う違う。今回のは本当に風疹だから。処方するのは解熱剤と栄養剤。むむ~食事も考えないと。弱ってる時に口にして、吐いたり体調悪化なんてあったら困るから……」
うーん……
眉間に皺を寄せ、何かをサラサラと紙に書く。
「食事も一回の量を減らして、回数を増やすようにすること。こまめに着替えもね。毎日診察に来るから」
「お願いします」
「それに、もしかしたら薬も効きすぎたりするかもしれないから、何かあったらすぐに連絡して。すぐ駆けつけるよ」
「ありがとうございます。伯父上」
深々と頭を下げる。
ありがたいとしか言いようがない。
「……ちぃに愚痴るのは間違っているけど、あの馬鹿たちは、どうしてこんなに可愛い子を大事にできなかったんだろうね? 馬鹿だよ」
そう言い残して去っていった。
「……ちぃ。どうするんだ? このアレルギーの数々!」
「アルコールがダメなら、幸矢兄や六槻姉様の食べる玄米ご飯や、みりんの使われていない調味料……魚も厳選して、粗食……いや、健康食しかない! これは……フィア兄にお願いしてレシピを……」
何度確認しても、アレルギーの数に数値が高すぎる。
もしかしたら、今は大丈夫なものでも、体調を崩したりするとアナフィラキシーショックを起こす可能性すら……。
「こんな……身体の弱いルナを、放置し続けたのか……あいつら……」
俺は呟く。
「許せない! 絶対に!」
「うぅぅ……僕に何ができるだろう。うちの地域にはこれと言った産業もなくて……食べ物も、最近、蕎麦とかそう言ったものが入って、食料事情も上昇したのに……」
「あ、そういえば、熱を出す前に、ルナがじい様たちに相談があるって言ってた。レクのスティアナの地域に、水車や風車を建てられないかって」
「えっ?」
目を丸くする幼馴染に、俺はなぜか泣きたくなった。
「レク……俺は、レクや兄貴や幸矢兄みたいに、国を守るとか人を導くとかわかんないからさ……お前が領地の改革とか食糧事情、水のことも聞いてるだけで、そっかぁ、大変だなぁ……としかいえなかったし、それ以上聞けなかったわけだ……俺は一応日向夏の家の婿養子とは言え、騎士をしてもいいって言われてたし……」
「それはそうでしょ? えっ? ちぃ、何で泣いてるの?」
「俺は関係ないって思ってたんだ。でも、ルナは、『レクちゃんやふぅちゃんのために、考えるのです!』って。『風車と水車を、わたくしのお小遣いで作るのです。壊れないようにお金をかけて。そして大好きなレクちゃんやふぅちゃんのスティアナのために』って。6歳だぞ? ルナは! なのに、俺よりずっと優しくて賢い。こんなにいい子に、あいつらは!」
ぐいっと袖で顔を拭う。
「あいつらを訴えてでも、俺がルナの親権を取って、ルナの父親になる。ルナリアって名前は、二人を思い出すだろうから、新しい名前を考えて。俺と日向夏の娘として、溺愛しまくってやる!」
「えぇぇ~、僕も立候補したかったなぁ。だって、ルナって、ふぅとそっくりじゃない? うちの子は3人とも、僕や父さまに似てるからね」
「ん? そうか? アンディールに似てるのかと」
「違うよ。ルナはアンディールみたいに彫りが深くない。グランディアの血が強い童顔なんだよ。あぁ、ちぃは、ふぅとルナを一緒にじっくり見たことなかったっけ? ルナはちょっと痩せ気味で、小さいのに目が大きいからきつく見えるんじゃないの? それ以外は目鼻立ち、ふぅにそっくりなんだ。多分さぁ、ナナは無意識に、ふぅに似てるルナが嫌だったんでしょ?」
レクが珍しく凶悪な顔になる。
「自分の方が可愛い! みんなに愛されてる! そう言ってたもんね? だからちぃを独り占めしたがってた。ちぃがいないところで、ふぅに嫌がらせしてたんだ」
「えっと、レクさんや? 俺はふぅちゃん、嫌いじゃないぞ? ナナより好きだぞ? 昔からだからな?」
「それはわかってるよ? ふぅは可愛くて優しくて気立てが良い、僕の妻だからね。でも、ナナは許せないよね? こっちに戻ってきても、マウント取ってたよ? しかも僕のいない時に! 自分は、こんなお金持ちのアンディールと結婚した。アンディールに宝石買ってもらった。ドレスも新調した。素敵でしょう? でも、ふぅちゃんは可哀想ね? 国から追い出された亡命者の妻だものってね!」
「そ、それ、どこで知ったんだ?」
「ルナが作ってくれた、盗聴録音機に決まってるじゃない! ピアスになってて、あいつが耳元で囁いたのも、全部残ってるとも! 父さまや兄さまに提出済みさ!」
ふふふ……
仄暗い目で笑う幼馴染に、俺は青ざめる。
温厚そうで常識人のようなレクだが、実際心が狭く、かなり根に持つ。
それに蛇蝎のようにしつこく、ねちっこいのだ!
「あたしの服着る? 少し古いけどあげるわね? って、押し付けがましく色褪せて、しみのついた流行遅れの服をメイドに持ってこさせて、恩売ってきやがった! あぁ、悪かったね! ろくに服も買えない、辺鄙なところの公主で! ごめんね! 僕は不甲斐ない夫だよ! でもね、そんな汚い服を着せるほど、落ちぶれちゃいないとも! ちゃんとちぃに聞いてた方法で僕が染め直して、胸がキツくて、ウエストがゆるゆるのそれを、ふぅがサイズ調整して着てたよ! 子供たちの遊び着にも仕立て直したさ! あぁ、なんてけなげで優しい、できた僕の妻!」
「うわぁぁ! レク! レクさん! レクシアさま! 頼む! そこでキレるな! ルナが寝てる!」
「……あ、ルナは悪くないよ! いい子だもん。小さい頃のふぅに似てて可愛い……ふぅって、ちぃたちに比べて小さかったもんね? すっごく可愛かったなぁ! ツインテールで、エプロンドレスのふぅ……あ、そうだ。今度、ルナ、ツインテールにしようよ! そして、ピンクの可愛い膝丈のワンピースに、エプロンドレスどう? 絶対似合うから! 昔のふぅみたいで!」
「……」
あぁ、レクがふぅちゃん第一主義で良かった。
レクが本気になったら、家が壊れる。
文字通り破壊するのだ。
トントン……
扉が叩かれ姿を見せたのは、父さんと兄貴、そして師匠でもある全騎士団の総帥のカズール伯爵シエラシール卿。
「ルナは?」
「は、はい。先までヴィク伯父上に診ていただいていて、風疹だそうです」
「はぁぁ? 風疹?」
師匠は目を見開き、唖然とする。
あぁ、わかる。
普通はそうだ。
「実は、確認したところ、ルナは一才児の予防接種を受けていなかったそうです。多分、馬鹿親がお互いがしてるだろうと思っていたか、完全に考えてなかったかと」
「……どっちでも、悪いのは馬鹿だね」
近づき、苦しそうなルナの顔を覗き込む。
「風疹かぁ……厄介だね。効果のある薬って、解熱鎮痛剤くらいでしょう?」
「そうですね。あの……これを見てください」
アレルギー検査の結果を3人に見せる。
3人……特に父さんが真っ青になり、よろめいた。
ヤバイ! 本気で精神的に参ってる!
俺が支え、レクが椅子を持ってきたので、座らせると、ぐったりと背もたれにもたれた。
「……あいつは、何を言っても理解しなかった……怒っている意味も、言葉も聞き入れない。アンディールは俺が怖いのか、ブルブル震えるだけで、全然……」
「……」
「サディはサディで、じっとしてろと言ってもすぐに走り出して、物は投げるし、暴言、命令だ。ミリアは自分がねだれば、それが叶うと思っているのか、あれが欲しい、あれちょうだいと叫ぶだけだ」
膝に肘をつき、手のひらで顔を覆う。
「あの化け物どもは、本当に俺の娘で、孫なのか? 俺は育て方を間違ったのか? 話してもこちらの言葉が全く伝わらない。異星人にしか思えない……あぁ、もう、あいつを殺して俺も……」
「それは許さないよ、シュウ」
「兄貴……」
「あんな異物、切り捨てな。あれは愚者、異分子。シュウが背負うものじゃない。あれは大人で、もう手を離れてる。勝手な行動の責任は自分がとるべきだ。手を貸す必要はないよ」
師匠は淡々と告げる。
「それに、シュウには優しくて強くて自慢のセイとちぃに、可愛くて大事なふぅがいる。他はいらないでしょ? 最愛の瑞波ちゃんもいるでしょ? それに、目に入れても痛くないって公言する、このルナだって。まぁ、可愛いセイとふぅとちぃの子供や孫たちまでは責任あると思うけど、あのバカたちは戸籍上も縁を切ったんだから、見捨てていいんだよ」
「でもこの後、また何かしでかしたら……」
「だから、そこまで責任とらなくていいんだって。あいつらはもう成人で、その上一回縁を切るって宣言してるし、それでも何とも思わず好き放題してるんだ。今回簡易とはいえ裁判官をよんで、縁を切ることを宣言したんだし、後日正式な判決が出るとはいえ、裁判官だって『ここまでバカにつける薬はないですね。完全に虐待です。最も厳しい判決を出したいくらいです。楽しみにしてください』って言ってくれたんだよ? 見限っていい。それにシュウは、私の世話で忙しいんでしょ?」
ニコニコと笑う。
……父さんも、実は師匠大好き人間だ。
叔父甥だが兄弟のように育ち、少しどころかかなり不器用でそそっかしい師匠を溺愛……いや、敬愛しており……うん、俺の兄貴が上司の世話をするのと似ている。
その言葉に、父さんは照れ臭そうな表情になる。
「あぁ、そうだった……兄貴の世話があるんだった。兄貴ももう次に位譲れよ。ひ孫もいるんだろう? そうすれば俺もセイに譲れるから」
「あぁ無理~! 私は、一生仕事に生きるの! 譲ったら多分すぐにボケるよ。だって、趣味もないし、王宮地下の書庫も全部読破したし、術も使えるものは全部覚えたし……覚えてないのが最終……特別詠唱の長いルーディンだけ。あれ、詠唱部分を覚えて一回使って、10日寝込んだもんね。使ってもピンピンしてるヴィク兄様を尊敬するよ」
「……ちなみにいくつの時だ? 兄貴」
「うーん……5歳……より1ヶ月前だったかなぁ? 練習してるの聞いて、覚えて、唱えて、思いっきり暴発したんだよね? 若気の至りだよ、あはは……」
「若気の至りで、そんな術を全力で使うんじゃない! 5歳前なんて、まだ小さいんだ! 力を加減して使うこと! 反省しろ!」
……いや、父さん、その説教は方向性が違う。
ルーディンは、うちのおおじい様の暴発時に飛び交う隕石が降り注いだり、大地の陥没、竜巻、暴風雨を全て合わせても勝てない究極の術と聞いている。
確か、時空を歪め、空間を無に帰すとも言われる術だぞ?
危険だからって、地下の奥深くに作られた訓練場……その周囲には術をある程度吸収し、外に漏らさないようにする巨大な、厚みのある魔石で覆われている……そりゃ、全てが無になるんだ、魔石の壁が必要だろう……その場所でしか訓練できないと言われている。
もし、外で使うとすれば最終兵器そのものだ!
それが暴発した?
恐ろしすぎる!
「それに、時々現場に行って、遊ぶのも楽しいでしょ? ほら、私は見た目お子様だから~?」
「あぁ、それは認める! 万年お子様の兄貴は、無邪気でいいな?」
「でしょう? だからシュウは万年私のお世話係!」
いや、父さん、それは褒めてない!
師匠も何で嬉しそうなんだ?
あぁ、これが二人の普通なんだな。
「う、うぅ……」
ベッドの中で小さい声がした。
目を薄くあける。
「ルナ? 大丈夫か?」
駆け寄り、顔を覗き込むのは父さん。
目を見開いたルナは、クシャクシャと顔を歪め、
「じーじ……うわぁぁん……」
泣き出した。
あぁ、ルナは祖父である父さんが大好きなのだ。
父さんもデレデレになって、ルナをそっと、優しく抱き上げる。
「しんどいなぁ……ルナ。大丈夫だぞ。じーじがいるからな?」
「じーじ、頭痛いの……それにね? ここと、ここ……痛い~」
まるで幼児の……いや、実際まだ幼児だ。
ルナは珍しく甘えるような口調で、関節の痛みを訴える。
「あぁ、痛いよな……辛いな……じゃぁ、お薬を飲もう。痛いのが楽になるから」
「うん。うん……」
「その後には、ジュースも飲もう」
俺は用意されていた薬を袋を開け、手渡す。
それを少し躊躇うものの口に入れ、ごくごくと急いで水で飲んだルナ……その様子に、師匠は眉を寄せる。
ジュースを時間をかけて飲ませた父さんが、ゆっくりと揺すり、寝かしつける。
「あのさぁ、ルナって薬も嫌がらないの? 苦いよね?」
「あの……」
そばで氷枕を用意していたルナ付きのメイドが、恐る恐る声をかける。
「じ、実は、私の同僚が、お嬢様が熱を出した時についていたところ、苦い薬を飲みたくないと泣いていたお嬢様を怒って、粉薬を口に入れて、そのまま手で口を塞いだのを見たのだそうです」
「……誰が、ルナにそんなことをしたの? 当然、君の同僚じゃないよね?」
「は、はい! その者は、お嬢様のそばに不眠不休でついておりました!」
「じゃぁ、誰かな?」
「ア、アンディールさまでございます。同僚がどうか水をと、そのままでは苦すぎますから、それに乱暴はと申し上げたところ、怒鳴りつけられ、突き飛ばされたのです。そして、わたくしたちが甘やかすから、わがままでいうことを聞かないんだ。口を挟むのならやめさせるぞと」
師匠が悪い笑みを浮かべる。
「よっぽど同じことしてもらいたいようだね。本当に苦いだけ、エグいだけの粉を毎日三回水無しで飲ませてやろうか? どれほど苦しいか、思い知らせてやろう!」
「あ、シエラおじさん。俺からの提案です!」
兄貴が手をあげる。
「さっき、上司と話していたのですが、ここの南にあるスティアナ公国は、今現在復興途中かと。公主のレクも努力していますが、こちらでの仕事もあり、長男のマルセルも現在消息不明ですが、婿養子に行くことになっていますし、何でしたらその嫌がらせだけでなく、公国の公主代行として家族揃って移住をしてもらい、公国の大地に風車と水車を整え水を引き、田畑を耕すようにしてもらうのはいかがでしょうか?」
「よっし! それはいい意見だね! あいつらは判決後、スティアナ公国に公主代行ということで送り込もう! 水も少なく、田畑も痩せ、風で砂埃が舞うところでの生活を送らせて、どれだけ自分たちが恩恵を受けて、ぬくぬくと生きてきたのか理解させるとしようか」
……それは文字通り、悪魔の囁きだった。
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