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はじめはぷろろーぐ。
あちゃくちはおにゃかしゅいたでしゅ。
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次に目を覚ました時には、誰もいなかった。
「ちぇんがいにゃのね」
ベッドの上の薄く白い布は、ベッドを覆う天蓋……カーテンといった感じか。
ベッドだけで多分マリアンジェラどころか、お父様もフィードやルイーシャも十分眠れる。
部屋がとても明るいため、布を広げるらしい。
「フィーしゃんもルーしゃん……かえっちゃの」
がっかりする。
マリアンジェラは2歳だが、フィードは14歳、ルイーシャは13歳だ。
王宮の奥に生活するマリアンジェラにとって歳の近い幼なじみは二人くらいである。
「……むぅぅ……こんじょこしょ、おちゃんぽ!」
四つんばいで移動して、布をかき分けキョロキョロと周囲を見回し、今度はそろそろと床におり、転ばないようにゆっくりと扉に向かって歩いていった。
一度よろけたものの立ち直り、そして扉に行き着くと扉を押した。
「ありぇ? あいちぇにゃい」
ノブがしっかりとかかっており、揺すっても開かない。
手を必死に伸ばすが、ギリギリで届かず、そのままポテッと座り込む。
「にゃんれ? おしょといけにゃい。困っちゃにょ」
「こらこら、何してるんですか~? 姫さま」
「うにゃぁぁ?」
背後から顔を覗き込む影にびっくりする。
「……あ、きししゃん!」
「嫌だなぁ……クローディアですよって」
「くりょーりあしゃん?」
「あはは! かーわいいなぁ」
こちらはプラチナブロンドの髪と深い湖に映える新緑の色。
まだ12歳の若き騎士団総帥のクローディア。
女の子の名前だが、見た目も美少女のように愛らしいが性別は男とのこと。
「姫さま? どこに行くんですか? おやすみになってくださいよ」
腰を下ろし、視線を合わせてくれるクローディアに近づき服を掴み訴える。
「おきちゃっちゃの」
「あー中途半端に寝ちゃったんですね?」
「じゅーちゅにょむ!」
「うーん、飲んでいいのか聞いてませんので、聞きに行きますか?」
抱き上げられ、そして最大の障害の扉を難なくクリアする。
「うーん。あちゃくち、おちょとれてにゃい」
「あぁ、姫さまは出ないほうがいいですよ。出る時はフィードか俺と一緒に。あとは、あ、いたわ」
「……姫さま」
フードをかぶった少年が、お盆を手にしゆっくりと近づいてくる。
「持ってきました……」
「おい、ほとんどこぼれてんじゃん」
「これでも頑張った!」
「最初からお盆じゃなく、グラス持ってこいよ」
「途中で全部ひっくり返すの」
真顔で言うのは術師長の孫、ランベルト。
こちらは珍しい赤色の髪に、瞳が金色をしている9歳。
見た目は華やかだがぼーっとした印象である。
「不器用め」
「……姫さま。いる?」
「いりゅ!」
手を伸ばし、グラスを掴むと、そのままグイッと飲もうとして、
「うわぁ!」
「姫さま! かぶってる!」
「うっ、うえぇぇ! じゅーちゅ!」
慌てる二人に、マリアンジェラの泣き声が響き、すぐに女官長が現れ、マリアンジェラを抱いてお風呂に連れて行き、ランベルトを連れてきていた術師長が二人に説教をしたのだった。
「ちぇんがいにゃのね」
ベッドの上の薄く白い布は、ベッドを覆う天蓋……カーテンといった感じか。
ベッドだけで多分マリアンジェラどころか、お父様もフィードやルイーシャも十分眠れる。
部屋がとても明るいため、布を広げるらしい。
「フィーしゃんもルーしゃん……かえっちゃの」
がっかりする。
マリアンジェラは2歳だが、フィードは14歳、ルイーシャは13歳だ。
王宮の奥に生活するマリアンジェラにとって歳の近い幼なじみは二人くらいである。
「……むぅぅ……こんじょこしょ、おちゃんぽ!」
四つんばいで移動して、布をかき分けキョロキョロと周囲を見回し、今度はそろそろと床におり、転ばないようにゆっくりと扉に向かって歩いていった。
一度よろけたものの立ち直り、そして扉に行き着くと扉を押した。
「ありぇ? あいちぇにゃい」
ノブがしっかりとかかっており、揺すっても開かない。
手を必死に伸ばすが、ギリギリで届かず、そのままポテッと座り込む。
「にゃんれ? おしょといけにゃい。困っちゃにょ」
「こらこら、何してるんですか~? 姫さま」
「うにゃぁぁ?」
背後から顔を覗き込む影にびっくりする。
「……あ、きししゃん!」
「嫌だなぁ……クローディアですよって」
「くりょーりあしゃん?」
「あはは! かーわいいなぁ」
こちらはプラチナブロンドの髪と深い湖に映える新緑の色。
まだ12歳の若き騎士団総帥のクローディア。
女の子の名前だが、見た目も美少女のように愛らしいが性別は男とのこと。
「姫さま? どこに行くんですか? おやすみになってくださいよ」
腰を下ろし、視線を合わせてくれるクローディアに近づき服を掴み訴える。
「おきちゃっちゃの」
「あー中途半端に寝ちゃったんですね?」
「じゅーちゅにょむ!」
「うーん、飲んでいいのか聞いてませんので、聞きに行きますか?」
抱き上げられ、そして最大の障害の扉を難なくクリアする。
「うーん。あちゃくち、おちょとれてにゃい」
「あぁ、姫さまは出ないほうがいいですよ。出る時はフィードか俺と一緒に。あとは、あ、いたわ」
「……姫さま」
フードをかぶった少年が、お盆を手にしゆっくりと近づいてくる。
「持ってきました……」
「おい、ほとんどこぼれてんじゃん」
「これでも頑張った!」
「最初からお盆じゃなく、グラス持ってこいよ」
「途中で全部ひっくり返すの」
真顔で言うのは術師長の孫、ランベルト。
こちらは珍しい赤色の髪に、瞳が金色をしている9歳。
見た目は華やかだがぼーっとした印象である。
「不器用め」
「……姫さま。いる?」
「いりゅ!」
手を伸ばし、グラスを掴むと、そのままグイッと飲もうとして、
「うわぁ!」
「姫さま! かぶってる!」
「うっ、うえぇぇ! じゅーちゅ!」
慌てる二人に、マリアンジェラの泣き声が響き、すぐに女官長が現れ、マリアンジェラを抱いてお風呂に連れて行き、ランベルトを連れてきていた術師長が二人に説教をしたのだった。
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