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神聖な閉鎖空間から、現実世界へ帰還です。
後宮騎士団の面々も絶句するほどの美貌の持ち主が多いんです。一応。
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整列し、国王アレクサンダーがセイラの手を引き現れた時には、
「あぁ、変わってないな……セイラは」
とルーが呟き、エリオットが突っ込む。
「おーい、ルー兄。一応、正妃殿下だろ? でかい声で言うなよな。可哀想な程普通だって!」
「お前も言ってるだろうが! しかも、暑苦しい! ウェイトのところに行け!」
ちなみに、ルーとエリオットは従兄弟同士。
エリオットの父が、セインティアである。
ルーは女顔の美男子、エリオットは両親の良いところを貰った美男。
しかし、縁戚であるウェイトが嘆く程単細胞に、無駄に暑苦しい性格をしている。
並んでいるのは、ウェイトとルー、エリオットにウェイトの妹でエリオットの妻のウィンディア。
そして、カズール伯爵ルーンの兄のリオンとその親友であるカイ。
緊急で特に稀有な才能を持つ重要な面々が揃い踏みの中、一人戸惑いがちに立っているのは年少の少女。
彼女……ブリジットは気後れした様子で、
「あ、あの……本当に、私がここにいても宜しいのでしょうか?」
とこそっと、一番近いカイに問いかける。
深い緑色の瞳と、本人はネズミ色と信じ込んでいるが、ダークシルバーの豊かな髪の16才の少女である。
「大丈夫。リジーはフィアが特に信頼して、王女殿下の傍にって、エージャ様にお願いしたって聞いたよ? それよりも、私の方がいて良いのかなぁ?」
輝く金色のワンレングスの髪を後で軽く結んだだけのカイは、身なりに厳しいウェイトが、
「絶対に、顔は隠しとけ! お前の顔は、周囲のレディの心臓に悪い!」
と叫んだ。
本人は、
「あ、そんなに自分は不細工なんだ~。それに、嫌いな瞳を隠せるからいっかぁ~」
と気楽に考えたのだが、ウェイトは、
「……あの、あの顔! 絶対に、あの家の後継者争いに巻き込まれる! あいつは悪い子じゃない……これ以上巻き込まれては、あの悪運呼び込み体質が悪化する!」
と、人見知りがひどく激しいが、子犬のように懐いてくれるようになった後輩の将来を心配していた。
それは全く知らず、カイは隣の親友を見る。
「ね? リオン。フィアは本当にそう言ってたんだよね?」
「そうそう。リジー? 姫は、まだ全くこちらのことをご存じないし、お友だちも兼ねてだよ。王子がお二人にエドワード殿下も男の子でしょ? ウィンディア一人では大変でしょう? 兄さまたちは男だからね?」
リオンは、エドアルド・フェリオスが正式名称だが、幼名のリオンがそのまま愛称である。
温厚なといえば良いのだが、繊細な性格で、一つ下だが同期のカイは災難受難者、カイと同じ年で一期下の幼馴染みのエリオットが破壊倍増者の為、かなり胃痛持ちだったりする。
ちなみに、従弟のフィアはフィアで、最近は大人しいが、15才から17才にかけて、勝手に特務部隊に入っていて、特攻、突撃、暴走の数々を成し遂げ、最後には大怪我を負わされた上に縛られて、王都の北の大河アンブロシアスに浮かんでいたのをカイに発見され、シェールダムの屋敷にかつぎ込まれ、目を覚ました時には、17才までの記憶がすっぽり抜け落ち、5才に返っていた。
それから3年間は騎士団を休んだ形にして、東のマガタ領で静養し、記憶を取り戻したフィアを父のシルベスターが、
「もう、フィアは、暴れるのならカズールに行きなさい! ちゃんと仕事しないと、婚約は向こうに伝えて破棄して貰うよ!」
「エェェェ! や、やぁだぁ~! 父さま! 僕、良い子にするから、それだけはやだぁ!」
「騎士もやめちゃって良いんでしょ?」
「それもダメ! シエラ兄さまと、ちゃんと約束したんだもん! 騎士になって、大学通って、術もそれなりに使えるようになって、称号も貰って……シエラ兄さまのお家に婿入りするのが、僕の夢なんだもん!」
わぁぁん!
泣き出した20才の従弟を見て、顔をひきつらせたのはリオンだけではない。
特務部隊に所属していた事のあるウェイトもルーも、
「……あんだけやっといて、シエラの家の婿養子……?」
「有り得ん! アイツ、幾つ犯罪組織壊滅させたんだ? 15から3年も経たないうちに、お前が探っていたほとんど潰したんだろ?」
「あぁ、しかも、この私でも見つけられなかったアジトも、数ヶ所あった!」
「お前……それを探り当てたフィアに衝撃受けてたのに、その理由が、カズール家の分家にも多分なれない……爵位のない家に婿養子!」
騎士になれば、男爵に自動的になれるが一代限り。
シエラは一応6才で騎士になっており、男爵ではある。
しかし、その令嬢には爵位はないのだ。
それなのに……。
「と言うか、シルゥ叔父上も、フィアは可愛いから、そこら辺の侯爵とかの爵位位、渡せるけどな」
「でもな? 生まれてない子供と婚約ってありかよ?」
ルーの声に、フィアとシルゥは愕然とした顔で振り返る。
「アリシア? 知らないの? シエラには、王太子殿下と一つ違いの娘がいるんだよ!」
「ルー兄さま! シエラ兄さまの側近になるセイン叔父様には娘がいないから、リジーが遊び相手になるって決まってるのに! それすら聞いてないの?」
瓜二つの親子は顔を見合わせた後、心底不憫そうに、
「「信頼されてないんだね? 家族に! 可哀想……」」
と言う二重奏が直撃したのは4年前である。
リオンは思いだし、
「そう言えば、リジー? シエラ……兄さんたちの幼馴染みで、私の叔父になるシエラシールには女の子がいるんだけど、王女様同様、仲良くしてあげてね? うーん……あのシエラの、娘……想像がつかないよ」
「シエラシール卿と言うと、先代伯爵の弟君だよね? 先代伯爵に似ていらっしゃるの?」
カイの問いかけに、ウェイトが首を振る。
「先代伯爵は母上に似ていらして、シエラは先代クルス侯爵でいらした父上似だ。あ、出てこられた……」
姿を見せたのは、華奢な女性を抱いた長身の……。
呆然とリオンは、
「父上……」
呟く。
リオンは長身だが細く、体格が違うことにコンプレックスを持っていた。
実の息子ではないことも……。
目の前に現れたのは……父、先代カズール伯爵、リュシオンの正装である。
しかも金髪の……。
「いや、違う。瞳が」
ウェイトの指摘で気がつく。
顔立ちは整っているが優しげで、瞳はグリーンである。
情報通のウェイトが素早く、
「セイラの兄上! 本名は清秀様! 通称シュウ様だ! 確か、奥方は瑞波様。あのセイラの幼馴染みのグランディアの令嬢」
その言葉にカイとリジーは、
「すごく高貴な方なんだ!」
としか思わなかったのだが、他は、
「あのセイラの兄で! あのシエラの甥! どんな化け物だ!」
と慄然としていたが、振り返った清秀は穏やかに微笑み、
「後でご挨拶させて頂くが、私は清秀。そして、眠っているけれど妻の瑞波。よろしくお願いする」
という暖かく優しい声にホッとした。
その後、ちなみに面々……特に繊細なリオンを息子のように気にかけ、その上、
「あの、さーこと兄貴はやらせとけ。皆、特にリオンは気にするな。あんなのいつもだいつも! その上、家の母上も構っていたら、父のようになるぞ?」
の一言に、あー、ホントだ~と、その次出てきた夫婦を見てそう思ったのだった。
「あぁ、変わってないな……セイラは」
とルーが呟き、エリオットが突っ込む。
「おーい、ルー兄。一応、正妃殿下だろ? でかい声で言うなよな。可哀想な程普通だって!」
「お前も言ってるだろうが! しかも、暑苦しい! ウェイトのところに行け!」
ちなみに、ルーとエリオットは従兄弟同士。
エリオットの父が、セインティアである。
ルーは女顔の美男子、エリオットは両親の良いところを貰った美男。
しかし、縁戚であるウェイトが嘆く程単細胞に、無駄に暑苦しい性格をしている。
並んでいるのは、ウェイトとルー、エリオットにウェイトの妹でエリオットの妻のウィンディア。
そして、カズール伯爵ルーンの兄のリオンとその親友であるカイ。
緊急で特に稀有な才能を持つ重要な面々が揃い踏みの中、一人戸惑いがちに立っているのは年少の少女。
彼女……ブリジットは気後れした様子で、
「あ、あの……本当に、私がここにいても宜しいのでしょうか?」
とこそっと、一番近いカイに問いかける。
深い緑色の瞳と、本人はネズミ色と信じ込んでいるが、ダークシルバーの豊かな髪の16才の少女である。
「大丈夫。リジーはフィアが特に信頼して、王女殿下の傍にって、エージャ様にお願いしたって聞いたよ? それよりも、私の方がいて良いのかなぁ?」
輝く金色のワンレングスの髪を後で軽く結んだだけのカイは、身なりに厳しいウェイトが、
「絶対に、顔は隠しとけ! お前の顔は、周囲のレディの心臓に悪い!」
と叫んだ。
本人は、
「あ、そんなに自分は不細工なんだ~。それに、嫌いな瞳を隠せるからいっかぁ~」
と気楽に考えたのだが、ウェイトは、
「……あの、あの顔! 絶対に、あの家の後継者争いに巻き込まれる! あいつは悪い子じゃない……これ以上巻き込まれては、あの悪運呼び込み体質が悪化する!」
と、人見知りがひどく激しいが、子犬のように懐いてくれるようになった後輩の将来を心配していた。
それは全く知らず、カイは隣の親友を見る。
「ね? リオン。フィアは本当にそう言ってたんだよね?」
「そうそう。リジー? 姫は、まだ全くこちらのことをご存じないし、お友だちも兼ねてだよ。王子がお二人にエドワード殿下も男の子でしょ? ウィンディア一人では大変でしょう? 兄さまたちは男だからね?」
リオンは、エドアルド・フェリオスが正式名称だが、幼名のリオンがそのまま愛称である。
温厚なといえば良いのだが、繊細な性格で、一つ下だが同期のカイは災難受難者、カイと同じ年で一期下の幼馴染みのエリオットが破壊倍増者の為、かなり胃痛持ちだったりする。
ちなみに、従弟のフィアはフィアで、最近は大人しいが、15才から17才にかけて、勝手に特務部隊に入っていて、特攻、突撃、暴走の数々を成し遂げ、最後には大怪我を負わされた上に縛られて、王都の北の大河アンブロシアスに浮かんでいたのをカイに発見され、シェールダムの屋敷にかつぎ込まれ、目を覚ました時には、17才までの記憶がすっぽり抜け落ち、5才に返っていた。
それから3年間は騎士団を休んだ形にして、東のマガタ領で静養し、記憶を取り戻したフィアを父のシルベスターが、
「もう、フィアは、暴れるのならカズールに行きなさい! ちゃんと仕事しないと、婚約は向こうに伝えて破棄して貰うよ!」
「エェェェ! や、やぁだぁ~! 父さま! 僕、良い子にするから、それだけはやだぁ!」
「騎士もやめちゃって良いんでしょ?」
「それもダメ! シエラ兄さまと、ちゃんと約束したんだもん! 騎士になって、大学通って、術もそれなりに使えるようになって、称号も貰って……シエラ兄さまのお家に婿入りするのが、僕の夢なんだもん!」
わぁぁん!
泣き出した20才の従弟を見て、顔をひきつらせたのはリオンだけではない。
特務部隊に所属していた事のあるウェイトもルーも、
「……あんだけやっといて、シエラの家の婿養子……?」
「有り得ん! アイツ、幾つ犯罪組織壊滅させたんだ? 15から3年も経たないうちに、お前が探っていたほとんど潰したんだろ?」
「あぁ、しかも、この私でも見つけられなかったアジトも、数ヶ所あった!」
「お前……それを探り当てたフィアに衝撃受けてたのに、その理由が、カズール家の分家にも多分なれない……爵位のない家に婿養子!」
騎士になれば、男爵に自動的になれるが一代限り。
シエラは一応6才で騎士になっており、男爵ではある。
しかし、その令嬢には爵位はないのだ。
それなのに……。
「と言うか、シルゥ叔父上も、フィアは可愛いから、そこら辺の侯爵とかの爵位位、渡せるけどな」
「でもな? 生まれてない子供と婚約ってありかよ?」
ルーの声に、フィアとシルゥは愕然とした顔で振り返る。
「アリシア? 知らないの? シエラには、王太子殿下と一つ違いの娘がいるんだよ!」
「ルー兄さま! シエラ兄さまの側近になるセイン叔父様には娘がいないから、リジーが遊び相手になるって決まってるのに! それすら聞いてないの?」
瓜二つの親子は顔を見合わせた後、心底不憫そうに、
「「信頼されてないんだね? 家族に! 可哀想……」」
と言う二重奏が直撃したのは4年前である。
リオンは思いだし、
「そう言えば、リジー? シエラ……兄さんたちの幼馴染みで、私の叔父になるシエラシールには女の子がいるんだけど、王女様同様、仲良くしてあげてね? うーん……あのシエラの、娘……想像がつかないよ」
「シエラシール卿と言うと、先代伯爵の弟君だよね? 先代伯爵に似ていらっしゃるの?」
カイの問いかけに、ウェイトが首を振る。
「先代伯爵は母上に似ていらして、シエラは先代クルス侯爵でいらした父上似だ。あ、出てこられた……」
姿を見せたのは、華奢な女性を抱いた長身の……。
呆然とリオンは、
「父上……」
呟く。
リオンは長身だが細く、体格が違うことにコンプレックスを持っていた。
実の息子ではないことも……。
目の前に現れたのは……父、先代カズール伯爵、リュシオンの正装である。
しかも金髪の……。
「いや、違う。瞳が」
ウェイトの指摘で気がつく。
顔立ちは整っているが優しげで、瞳はグリーンである。
情報通のウェイトが素早く、
「セイラの兄上! 本名は清秀様! 通称シュウ様だ! 確か、奥方は瑞波様。あのセイラの幼馴染みのグランディアの令嬢」
その言葉にカイとリジーは、
「すごく高貴な方なんだ!」
としか思わなかったのだが、他は、
「あのセイラの兄で! あのシエラの甥! どんな化け物だ!」
と慄然としていたが、振り返った清秀は穏やかに微笑み、
「後でご挨拶させて頂くが、私は清秀。そして、眠っているけれど妻の瑞波。よろしくお願いする」
という暖かく優しい声にホッとした。
その後、ちなみに面々……特に繊細なリオンを息子のように気にかけ、その上、
「あの、さーこと兄貴はやらせとけ。皆、特にリオンは気にするな。あんなのいつもだいつも! その上、家の母上も構っていたら、父のようになるぞ?」
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