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第一章
【番外編】青銀大公ドミツィアーノの側室とその娘たちのその後。
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ところでこちらは、追い出された第一側室の実家……黒紫大公家。
馬車もなくほぼ着の身着のまま現れた妹とその子供達に、ベンヴェヌートは珍しく怒り狂った。
「どう言うことだ! その格好は! 黒紫大公家令嬢が、なぜ埃まみれなのだ! 汚らしい! 恥さらしが!」
「お兄様の息子のベニーニョと、兄上の愛人のダリラのせいではありませんか! ベニーニョが本邸に入り、アルカンジェロの物を盗み、壊し、ダリラはアンナマリアの貴金属を狙ってましたわ! ご自分が贈ればいい物を、なぜ盗ませるのですか? そう言う手癖の悪いしつけをこの家ではしているのかと旦那様が私を罵って、子供達とも縁を切ると追い出されたのですわ! そんな下賤な家の者と住んでいたら、いつかは寝首をかかれるであろう。それだけは困るとね!」
妹に逆ギレされ……いや、妹も気位が高く、影で正妻のアンナマリアに毒を盛ったり、子供達を暗殺しようとしたものの、逆にその暗殺者に娘を殺されたことがある……しかも自業自得だと言うのに、自分が死にたくないからと、赤ん坊だった娘の一人を盾にして助かった卑怯者である。
「お兄様が女王陛下の手綱をちゃんととらないからでしょう。私に言わないで下さい! それと、私達疲れましたの。お風呂の準備を。そして食事を準備して頂戴。それに今日でなくていいわ、明日、ドレスの仕立て屋と宝石商と、靴屋、化粧品を購入していたエビータを呼びなさい。こちらの化粧品は私には合わないわ」
「おい、何勝手に命令している。向こうに帰れ!」
「うるさい!」
ベニーニョと年の変わらない姪が、母親と同じ顔で怒鳴る。
「ベニーニョとダリラのせいで私の宝物も取り上げられたのよ! 返してくれるでしょ? お・じ・さ・ま?」
「じゃないと、お母様が言ってたわ?伯父様の愛人達のドレスや宝石、身包み剥がして追い出しましょうって!」
「そうね、そうすれば、伯父様のお陰で赤字続きだった黒紫大公家も平和になるわって。追い出しましょう?」
父親に似たら美しい青い目か、銀色に近い青い毛並みだが、3人は完全に母親に似たのだろう黒い毛並みと瞳は紫。
美人というより、ただ目つきが悪く、性格も悪そうにしか見えない。
「ねぇねぇ。部屋どこがいい?」
「本邸のアルカンジェロの部屋、羨ましかったわ。広いし、日当たりが良くて、中庭に降りれる階段のついたベランダよ?」
「私は、エラルドの部屋も良かったなぁ。角部屋だけど」
「フルディアみたいに可愛い部屋もいいよね。ここにあるかなぁ?」
「なくっても、伯父様に作ってもらいましょうよ!」
3人の娘が勝手なことを言っている。
「お母様! 私達、好きな部屋探すから、行ってきます!」
「お風呂に入ってからにしなさい」
「嫌よ。その間に誰かに取られちゃうわ!」
「でも、誰かの部屋でも奪っちゃえばいいのよ。私達の方が偉いんだもの」
きゃははは……
笑いながら走り去っていく。
マナーはどうしたと妹を睨むが、苛々としたように、
「お風呂に案内しなさいと言っているでしょう? 誰も動かないなんてどう言うことかしら? お兄様、10年の間にこの屋敷の者は馬鹿でグズばかりになったのかしら? さすがは女王陛下を操ってやると豪語しながら、実際は何も出来ず、愛人を隠れて作ろうとして見つかって鞭で叩かれて喜んでいる変態ですこと」
「うるさい! そんなに文句を言うなら出ていけ!」
「あら? お兄様。よく言えますね? お兄様は父上の愛人の子じゃありませんか。私は正妻の子ですわ。お兄様なんか、私の亡くなった本当の兄様の身代わり。ここに住まわせてあげていたのは私の一存。何でしたら追い出して差し上げてもいいのですよ?」
ニヤッ……
笑う妹から視線を背け、黒紫大公は拳を握り締めながら、
「勝手にしろ! だが、金はほとんど出さん!」
と言い放ち自分の部屋に入っていったのを、嗤いながら見ていたのだった。
ちなみに第二側室と二人の子供は、実家に置いておけないと、神殿に巫女見習いとして放り込まれたのだった。
黒紫大公は、自分もそうしておけば良かったと後悔したのだが、後の祭りとはこのことだった。
馬車もなくほぼ着の身着のまま現れた妹とその子供達に、ベンヴェヌートは珍しく怒り狂った。
「どう言うことだ! その格好は! 黒紫大公家令嬢が、なぜ埃まみれなのだ! 汚らしい! 恥さらしが!」
「お兄様の息子のベニーニョと、兄上の愛人のダリラのせいではありませんか! ベニーニョが本邸に入り、アルカンジェロの物を盗み、壊し、ダリラはアンナマリアの貴金属を狙ってましたわ! ご自分が贈ればいい物を、なぜ盗ませるのですか? そう言う手癖の悪いしつけをこの家ではしているのかと旦那様が私を罵って、子供達とも縁を切ると追い出されたのですわ! そんな下賤な家の者と住んでいたら、いつかは寝首をかかれるであろう。それだけは困るとね!」
妹に逆ギレされ……いや、妹も気位が高く、影で正妻のアンナマリアに毒を盛ったり、子供達を暗殺しようとしたものの、逆にその暗殺者に娘を殺されたことがある……しかも自業自得だと言うのに、自分が死にたくないからと、赤ん坊だった娘の一人を盾にして助かった卑怯者である。
「お兄様が女王陛下の手綱をちゃんととらないからでしょう。私に言わないで下さい! それと、私達疲れましたの。お風呂の準備を。そして食事を準備して頂戴。それに今日でなくていいわ、明日、ドレスの仕立て屋と宝石商と、靴屋、化粧品を購入していたエビータを呼びなさい。こちらの化粧品は私には合わないわ」
「おい、何勝手に命令している。向こうに帰れ!」
「うるさい!」
ベニーニョと年の変わらない姪が、母親と同じ顔で怒鳴る。
「ベニーニョとダリラのせいで私の宝物も取り上げられたのよ! 返してくれるでしょ? お・じ・さ・ま?」
「じゃないと、お母様が言ってたわ?伯父様の愛人達のドレスや宝石、身包み剥がして追い出しましょうって!」
「そうね、そうすれば、伯父様のお陰で赤字続きだった黒紫大公家も平和になるわって。追い出しましょう?」
父親に似たら美しい青い目か、銀色に近い青い毛並みだが、3人は完全に母親に似たのだろう黒い毛並みと瞳は紫。
美人というより、ただ目つきが悪く、性格も悪そうにしか見えない。
「ねぇねぇ。部屋どこがいい?」
「本邸のアルカンジェロの部屋、羨ましかったわ。広いし、日当たりが良くて、中庭に降りれる階段のついたベランダよ?」
「私は、エラルドの部屋も良かったなぁ。角部屋だけど」
「フルディアみたいに可愛い部屋もいいよね。ここにあるかなぁ?」
「なくっても、伯父様に作ってもらいましょうよ!」
3人の娘が勝手なことを言っている。
「お母様! 私達、好きな部屋探すから、行ってきます!」
「お風呂に入ってからにしなさい」
「嫌よ。その間に誰かに取られちゃうわ!」
「でも、誰かの部屋でも奪っちゃえばいいのよ。私達の方が偉いんだもの」
きゃははは……
笑いながら走り去っていく。
マナーはどうしたと妹を睨むが、苛々としたように、
「お風呂に案内しなさいと言っているでしょう? 誰も動かないなんてどう言うことかしら? お兄様、10年の間にこの屋敷の者は馬鹿でグズばかりになったのかしら? さすがは女王陛下を操ってやると豪語しながら、実際は何も出来ず、愛人を隠れて作ろうとして見つかって鞭で叩かれて喜んでいる変態ですこと」
「うるさい! そんなに文句を言うなら出ていけ!」
「あら? お兄様。よく言えますね? お兄様は父上の愛人の子じゃありませんか。私は正妻の子ですわ。お兄様なんか、私の亡くなった本当の兄様の身代わり。ここに住まわせてあげていたのは私の一存。何でしたら追い出して差し上げてもいいのですよ?」
ニヤッ……
笑う妹から視線を背け、黒紫大公は拳を握り締めながら、
「勝手にしろ! だが、金はほとんど出さん!」
と言い放ち自分の部屋に入っていったのを、嗤いながら見ていたのだった。
ちなみに第二側室と二人の子供は、実家に置いておけないと、神殿に巫女見習いとして放り込まれたのだった。
黒紫大公は、自分もそうしておけば良かったと後悔したのだが、後の祭りとはこのことだった。
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