生まれ変わったら幸せになりたいと願った不運な女は、何故か猫の王子様のペットになっていた。

刹那玻璃

文字の大きさ
上 下
7 / 16
第一章

【番外編】青銀大公ドミツィアーノの姉は女王陛下です。

しおりを挟む
 元々青銀大公ドミツィアーノは一人だけ……アンナマリアを妻を迎える予定だった。

 しかし、王族に近い貴族として、戦争で夫を亡くした寡婦かふや、婚約者を亡くした令嬢、家族を失った女性を側室や屋敷に迎えること、その人数は最大5人までと姉である女王に命じられた為、納得はいかなかったが迎えることになった。

 そして、身分の差で第三側室となったのだ。



 ちなみに、女王である姉のアダルジーザの夫である黒紫大公ベンヴェヌートは、正妻になる女王以外7人も側室を迎えていた。
 黒紫大公は元々浮気性で、それに頭を悩ませていたアダルジーザは夫に、



「側室を認めてやる。だが、その者等以外と浮気をしたら、そなたと即離婚じゃ! 跡取りはお主の子供? お主と我の間には子供がおらぬ! 誰が浮気者のそなたの息子を王位を譲るか! それなら我は、ドミツィアーノの息子のアルカンジェロに譲るわ!」
「な、何だと! 俺は……」
「ふんっ! 父上の命令で結婚しただけではないか。アルカンジェロはまだ子供……だがの?そなたのように下半身がだらしない男ではないわ! さすがは我が甥」



フラフラと仕事もせず、側室に名前の変わる愛人宅を転々として遊んでいた黒紫大公に、弟によく似た吊り目のアダルジーザは、ニヤッと唇を歪める。



「良いか? この瞬間以降、我が弟ドミツィアーノ夫婦とその子供達に手を出してみよ……そなたの息子だけではなく、黒紫大公家の者共を殺し尽くしてくれるわ!」
「なっ!」
「ベニーニョと言ったのぉぉ? そなたの息子は。毎日ドミツィアーノの屋敷に行き、アルカンジェロの邪魔をし、物を盗み、壊し、我の名前を勝手に用い、好き勝手しているそうではないか。それに昨日、アルカンジェロが席を離したすきに、アルカンジェロが見つけて可愛がっている翼猫の子の翼を掴み壁に叩きつけ、骨折させたそうだのぅ?」
「た、ただの翼猫ではないか!」



 シュッ……バシーン!



 その言葉に、アダルジーザは持っていた鞭で床を叩きつけた。
 その音と、アダルジーザの顔の恐ろしさにベンヴェヌートは青ざめる。


「ひぃぃ!」
「馬鹿者! 当たってもおらぬ鞭など痛くもないわ! それより、まだ目が開いていない子猫に虐待させておいて怯えるな! 虐待も許せぬが、聞くが良い! アルカンジェロはその翼猫を、治癒師のエマヌエーレさまに診て戴いたのだ。エマヌエーレさまは我ら一族の中でも知恵者で長老であり、位は息子に譲りはしたが先代朱金大公。そなたより位は上じゃ。あの方が、アルカンジェロの子猫は虹の女神の愛猫アルコバレーノ様の生まれ変わりのようじゃと言うておったわ」
「アルコバレーノ様……!」
「そうじゃ。我らの救いの女神、虹の女神の愛猫、アルコバレーノ様じゃ。良かったのぅ? そなたの息子はアルコバレーノ様の生まれ変わりを殺そうとした。そなたの愛人のダリラもアルコバレーノ様に手を出し、まだ乳しか飲めぬ赤子に、肉の塊を押し込もうとしたらしいのぅ? アルカンジェロの侍女頭と言いつつ、主人を蔑ろにし、部屋を荒らし、宝石をくすねておるそうではないか。……ん? そのネクタイピンはおかしいのぅ? 我が可愛い甥に贈ったものとそっくりなのじゃが……」
「ひぃぃ! アダルジーザ!」



 慌てて隠そうとするベンヴェヌートを鞭で捕らえ、ピンを奪い取るとぐるぐる巻きにして吊るす。



「何度も言うたよのう? 浮気や盗みは許さぬ……と。あのダリラは、窃盗の容疑とアルカンジェロに手を上げた罪で牢獄行きじゃ。そなたの軽い頭のせいで、そなたの子供ベニーニョは、黒紫大公家の嫡子にすらなれぬようになったな。良いことじゃ」
「な、何が良いのだ! 俺はお前の……」
「はっ! 我の夫と言いたいのか? そなたはお飾りじゃ。ドミツィアーノとエマヌエーレさまの息子で現在の朱金大公がこの国の中心で働いておる。そなたが働く方が邪魔じゃ。それ以上に盗みや弱い者に虐待、我の弟妹に手を出すのもじゃ。今回は1週間塔に閉じ込める。反省するが良い。誰か、この馬鹿を塔の最上階に閉じ込めよ! そして、ドミツィアーノの屋敷に謝罪の使いを送るように。アルカンジェロやアルコバレーノさまに何か……そうよのう……アルカンジェロには欲しがっておった魔法書と、アルコバレーノさまには可愛らしいリボンなどはどうであろ? それに二人にお付きの者を。アルカンジェロに仕えたがっておったウリッセならば、気もつくし良いであろう」



 グラマラスなドレス姿の女王は、衛兵に連れられて行こうとする夫に言い放った。



「良いか! もう一度言うぞ! そなたの愛人は7人までじゃ。王家では金は出さぬ! 黒紫大公家で金を出せ。良いな? この城に置くでないわ。追い出す故、1週間そなたが塔で反省したら、女と共に城を出よ。後日請求書を送るゆえ、全額一括で払って貰うぞ。一応行事の時は我の夫としてエスコートさせるが、三年経てば離婚して、アルカンジェロを次期王として我をエスコートさせる。ではな」
「むーむむー」
「ふんっ、慰謝料を準備しておくがいい」



 言い放った女王は優雅に歩きながら、横につく数人の従者にそれぞれ仕事を与えながら歩き去っていったのだった……夫には一瞥もせず。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた

菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…? ※他サイトでも掲載中しております。

邪魔しないので、ほっておいてください。

りまり
恋愛
お父さまが再婚しました。 お母さまが亡くなり早5年です。そろそろかと思っておりましたがとうとう良い人をゲットしてきました。 義母となられる方はそれはそれは美しい人で、その方にもお子様がいるのですがとても愛らしい方で、お父様がメロメロなんです。 実の娘よりもかわいがっているぐらいです。 幾分寂しさを感じましたが、お父様の幸せをと思いがまんしていました。 でも私は義妹に階段から落とされてしまったのです。 階段から落ちたことで私は前世の記憶を取り戻し、この世界がゲームの世界で私が悪役令嬢として義妹をいじめる役なのだと知りました。 悪役令嬢なんて勘弁です。そんなにやりたいなら勝手にやってください。 それなのに私を巻き込まないで~~!!!!!!

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

竜王の花嫁は番じゃない。

豆狸
恋愛
「……だから申し上げましたのに。私は貴方の番(つがい)などではないと。私はなんの衝動も感じていないと。私には……愛する婚約者がいるのだと……」 シンシアの瞳に涙はない。もう涸れ果ててしまっているのだ。 ──番じゃないと叫んでも聞いてもらえなかった花嫁の話です。

嫁ぎ先(予定)で虐げられている前世持ちの小国王女はやり返すことにした

基本二度寝
恋愛
小国王女のベスフェエラには前世の記憶があった。 その記憶が役立つ事はなかったけれど、考え方は王族としてはかなり柔軟であった。 身分の低い者を見下すこともしない。 母国では国民に人気のあった王女だった。 しかし、嫁ぎ先のこの国に嫁入りの準備期間としてやって来てから散々嫌がらせを受けた。 小国からやってきた王女を見下していた。 極めつけが、周辺諸国の要人を招待した夜会の日。 ベスフィエラに用意されたドレスはなかった。 いや、侍女は『そこにある』のだという。 なにもかけられていないハンガーを指差して。 ニヤニヤと笑う侍女を見て、ベスフィエラはカチンと来た。 「へぇ、あぁそう」 夜会に出席させたくない、王妃の嫌がらせだ。 今までなら大人しくしていたが、もう我慢を止めることにした。

最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。

ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。 ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も…… ※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。 また、一応転生者も出ます。

処理中です...