28 / 42
まゆらの恋……
趙雲さん……あんたもか……?
しおりを挟む
一応階層は違うが、世界中の神や中国で言う神に近い超人のいる空間……。
生きていた世界とほぼ同じような地図の形を持っているのだが、如何せん、中国には神ではないが仙人と言う存在があり、父のような存在があり、方や真侑良の生まれた日本は、八百万の神と呼ばれる程、神が多い。
「おや? こんにちは。紫蘭どの」
顔を覗かせたのは、同じ時を生き、もう少し長生きをした人物……諸葛孔明である。
彼は、伝説では仙人となり、この空間で生きている。
脇侍と言うのは知られていないが、彼の片腕として知られていた趙子龍と、奥方の黄月英夫人。
そして、奥方に瓜二つのこちらも仙女となった諸葛果と言う娘がいる。
「あ、孔明さま、子龍将軍、夫人……それに、果もお久しぶりです」
「お久しぶりです。所で、何かをされていらしたのですか?」
「あ、えと……」
「あぁ~! 紫蘭兄さまが、女人の手を握ってる~!」
果の一言に、関平は、
「果! この方は眠ったばかりだ! 起こすな!」
「そうだよ? 果。騒々しいことはせずに率直に、『紫蘭どの。六礼はいつですか?』にしなさい」
孔明の一言で、関平はぐったりし、虚ろな目で、
「さすがは親子……」
と呟く。
すると、低く暖かい声が響き、
「孔明どの……お嬢様も悪ふざけは止めなさい。関平どの……この女人は、特例でヴァルキュリアになった、辛い輪廻を繰り返すと言う方ですかな?」
「……そうです。子龍将軍。北欧の階層の小野篁殿の元よりお預かりした方です。西王母さまに願い出て仙桃を戴きました」
「と言う事は、この女人は西王母さまが預かられていると言う訳ですな。この方の名前は……たま……」
「いえ、桃子どのと言われます。桃の子供です」
「ほぉ……それは美しい名であられるな」
言葉遣いはじじ臭く堅苦しいが、目の前の彼は、自分の外見よりも10才程年上の青年の姿で、顔立ちは絶世の美貌である。
ちなみに、三国時代の人間で抜きん出て美しいと正史などにも記載されていたり伝説などでも伝わっているのは、魏の荀彧、呉の周瑜、蜀の趙雲と呼ばれていた。
目鼻立ちは整い、髪の色は濡れたような艶のある漆黒、瞳も潤んだような黒目が大きいが、少したれ目。
しかしその瞳の動きと微笑みで、人の心を鷲掴みにする。
その上声も深みがあり、色気が入った声で、
「申し訳ござらぬが……」
と問いかけただけで、女官が腰を砕けさせたと言う実話がある。
「で、関平どのは、この方を?」
「この屋敷で……」
「それはなりませんの。私は反対致す」
「桃子殿は!」
趙雲は首を振る。
「この桃子殿は何も悪くはござらん。悪いのは、この屋敷には女官以外は主以下皆男であろう? 女人の彼女が元気になり、そのままここでと言うのはまたおかしな噂が流れますぞ? 宜しいのですかな?」
「それは困ります! ではどうすれば……」
「孔明どのの屋敷でお預かりすれば大丈夫かと。奥方に姫様もおいでですし」
「じゃ、じゃぁ、お伺いしても……」
言いかけたが、趙雲は、
「それは様子を見てからと、髭が来なければ結構ですぞ? 髭が来たらうるそうて、鬱陶しい。恋路は邪魔をすれば馬に蹴られるが、紫蘭どのの父親が来るならワシの愛馬の白竜駒で蹴り飛ばしますので。ご安堵下され」
「……あの、わ、私は……?」
「構いませぬが、髭以上でも以下でも、女人に不埒な真似をするようであれば……」
にっこり……
と微笑む、昔は矛だったが、最近は奉納された槍槍と言う武器を愛用している武人に、
「そんなことは致しません!」
老獪な武人に必死に宣言をする関平だった。
生きていた世界とほぼ同じような地図の形を持っているのだが、如何せん、中国には神ではないが仙人と言う存在があり、父のような存在があり、方や真侑良の生まれた日本は、八百万の神と呼ばれる程、神が多い。
「おや? こんにちは。紫蘭どの」
顔を覗かせたのは、同じ時を生き、もう少し長生きをした人物……諸葛孔明である。
彼は、伝説では仙人となり、この空間で生きている。
脇侍と言うのは知られていないが、彼の片腕として知られていた趙子龍と、奥方の黄月英夫人。
そして、奥方に瓜二つのこちらも仙女となった諸葛果と言う娘がいる。
「あ、孔明さま、子龍将軍、夫人……それに、果もお久しぶりです」
「お久しぶりです。所で、何かをされていらしたのですか?」
「あ、えと……」
「あぁ~! 紫蘭兄さまが、女人の手を握ってる~!」
果の一言に、関平は、
「果! この方は眠ったばかりだ! 起こすな!」
「そうだよ? 果。騒々しいことはせずに率直に、『紫蘭どの。六礼はいつですか?』にしなさい」
孔明の一言で、関平はぐったりし、虚ろな目で、
「さすがは親子……」
と呟く。
すると、低く暖かい声が響き、
「孔明どの……お嬢様も悪ふざけは止めなさい。関平どの……この女人は、特例でヴァルキュリアになった、辛い輪廻を繰り返すと言う方ですかな?」
「……そうです。子龍将軍。北欧の階層の小野篁殿の元よりお預かりした方です。西王母さまに願い出て仙桃を戴きました」
「と言う事は、この女人は西王母さまが預かられていると言う訳ですな。この方の名前は……たま……」
「いえ、桃子どのと言われます。桃の子供です」
「ほぉ……それは美しい名であられるな」
言葉遣いはじじ臭く堅苦しいが、目の前の彼は、自分の外見よりも10才程年上の青年の姿で、顔立ちは絶世の美貌である。
ちなみに、三国時代の人間で抜きん出て美しいと正史などにも記載されていたり伝説などでも伝わっているのは、魏の荀彧、呉の周瑜、蜀の趙雲と呼ばれていた。
目鼻立ちは整い、髪の色は濡れたような艶のある漆黒、瞳も潤んだような黒目が大きいが、少したれ目。
しかしその瞳の動きと微笑みで、人の心を鷲掴みにする。
その上声も深みがあり、色気が入った声で、
「申し訳ござらぬが……」
と問いかけただけで、女官が腰を砕けさせたと言う実話がある。
「で、関平どのは、この方を?」
「この屋敷で……」
「それはなりませんの。私は反対致す」
「桃子殿は!」
趙雲は首を振る。
「この桃子殿は何も悪くはござらん。悪いのは、この屋敷には女官以外は主以下皆男であろう? 女人の彼女が元気になり、そのままここでと言うのはまたおかしな噂が流れますぞ? 宜しいのですかな?」
「それは困ります! ではどうすれば……」
「孔明どのの屋敷でお預かりすれば大丈夫かと。奥方に姫様もおいでですし」
「じゃ、じゃぁ、お伺いしても……」
言いかけたが、趙雲は、
「それは様子を見てからと、髭が来なければ結構ですぞ? 髭が来たらうるそうて、鬱陶しい。恋路は邪魔をすれば馬に蹴られるが、紫蘭どのの父親が来るならワシの愛馬の白竜駒で蹴り飛ばしますので。ご安堵下され」
「……あの、わ、私は……?」
「構いませぬが、髭以上でも以下でも、女人に不埒な真似をするようであれば……」
にっこり……
と微笑む、昔は矛だったが、最近は奉納された槍槍と言う武器を愛用している武人に、
「そんなことは致しません!」
老獪な武人に必死に宣言をする関平だった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


シチュボ(女性向け)
身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。
アドリブ、改変、なんでもOKです。
他人を害することだけはお止め下さい。
使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。
Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる