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第10章
変わった骸骨国王と可愛い子
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※ちょっとテンション高めとなっております。
玉座に腰を下ろす、胸に剣が突き立ったままの骸骨。
いや、骸骨だけならまだ怯えなかっただろう……多分。
しかし、身体や手足などは骨が見え隠れするが、頭部は生前の表情が分かる、シワだらけの老人のまま……。
目は見開かれたまま、じっと正面を見据えていたのだった。
「(木乃伊だよ? 一応条件さえあえば、肉体は朽ち果てずに残るんだ)」
「嘘! そんな信仰はないわ! 死んだら棺に納められて、土に埋めるか墓地に……残らないでしょ? ねぇ!」
半泣きになりながら、メイは双子の兄に抱きつく。
なんでこんなことになるの!
私たちなんでこんな目に遭うの!
あぁこんな目に遭うなら、グインやユールに押し付けたら良かったのに!
言葉にならない悲鳴を、力を込めてバロンの服を掴みブンブンとふりまくる。
首が締まるのを必死に抑えながら、
「(メ、メイ! 苦しいよ! それは教会は認めてないから。それに殺されて放置に困った殺害者が、ここに置き去りにしたんだよ)」
『賢いのう……』
声が響き、マゼンタだけでなくメイもビクッと怯える。
『おやおや、驚いたか? 悪かった。だがしかし、こうせぬと話ができぬゆえ……』
「(あ、あの……僕ともお話はできますか?)」
『わかるとも、可愛い子』
「(可愛い……僕は男です!)」
『わかっておるよ。ハハハハ……わしの息子も、よくそのように言うておったよ』
楽しげに、幸せそうに笑う。
しかしすぐに、
『あれは素直で優しい子。わしを害したのは、バルナバーシュではないのに……』
ギギギ……
と音がしそうな首振りに、二人……特にメイは、気絶しそうになりながら身を寄せて震えている。
「(貴方を殺したのは、バルナバーシュ様ではないのですか?)」
『そうとも! 当然じゃ。わしを害したのはクヌートよ。この剣を見よ。これは闇の力を帯びておる。バルナバーシュは闇の力を扱えぬし、あの子はわしを殺すどころか、わしを庇ってくれたのだよ。可愛い可愛い親思いの……』
「(そ、そうなんですね……)」
止まらなそうな親バカ骸骨の言葉に相槌を打つ。
『わかってくれたか! 可愛い子! そうなのだ! わしの子は心優しい子よ。わしが死んでしまってから、あの子がどうなったのか心配で心配で……』
手が顔を覆うさまに、どこかの誰かを重ねて、少々遠い目になりつつバロンは、
「(あのっ……インマヌエル陛下。バルナバーシュ様が心配で天国に行けないのですか?)」
『天国? そのようなものはない。死ねば生まれ変わるのみ。だが、わしはあの世とか生まれ変わりとか元々信じとらんし、考えるのはバルナバーシュのことでいっぱいじゃ。余計なこと考えるのは面倒くさいからの~』
「面倒ぅぅ?」
マゼンタは目を見開く。
元聖女候補としては、信仰の否定を気にするものだが、より気になったのは『あの世』や『生まれ変わり』を信じてない?
ついでに『余計なこと』?
最終的には『面倒くさい』ときた!
ずいぶん不謹慎な骸骨である。
「あ、の……普通自分の死体にずっといて飽きません? それに諦めてとっととあの世に行った方が……あっ!」
慌てて手を押さえるマゼンタに骸骨が笑う。
『よいよい。素直が一番』
「えっと……インマヌエル陛下。自分の遺体にずっと憑いていたんでしょうか?」
『いや、それでは本当に飽きるであろう? こんなじじいを見て楽しいか? わしは城内と街をうろうろとして、バルナバーシュを探しておった。あの子の死骸も見つからんし、気配もなかった……まぁ、わしは外に出たら戻ってくるの、時間かかったからのう……どこに行ったのだろう? 昔はよく城の中で泣いておったわ……成人しても変わらないのか、いまだに道に迷っておるのか? 心配だのう……』
「(そ、それは、方向音痴……)」
『それじゃ! バルナバーシュはそうなっておるのだろう! やはり手を引いてやらねば……』
何度も自分は正しいと言いたげに頷く。
聞いていた3人は、次第にこの骸骨国王が本気で言っているのか、冗談かわからなくなる。
バルナバーシュと言うのは、アルフィナの祖父のあの人物だとすると、方向音痴で泣いているような人物ではない。
だが……、
『一応、城の中は最近変わっておるし、次出たら戻って来れんのう……昔はもっと楽だったのに……最近はよく分からぬものも多くて……うん、やはり扉が重いのは困るの』
「幽霊だから、扉開けなくてもすり抜けるでしょ?」
『いや、わしは開けるのだ。そうすると玉座に座るふんぞりかえっている馬鹿の前に立ったら、毎回泣いて喜んでくれてなぁ……喜んでくれると張り切ってしまうぞ、わしは。今度行ったらもっと頑張っちゃおうと! ……あ、玉座の間はすぐそこ』
指を斜め上に示した。
メイは気が遠くなる。
なんてことだ……もし自分だったら気が狂う。
嬉々として骸骨は話し続ける。
『この上に玉座がある。それがのぉ……何故か、わしのこと心に悪心があるものはよく見えるが、見えぬものには見えぬのだ。そういえば、キランキランの娘がおったが、全く見えとらんかった』
「キランキラン?」
『稲穂色より明るい金色と青色の瞳の娘。よく似た息子もおったわ。代々の王はブッサイクや心がひねくれまくり、闇を抱えとった者ばかり嫁や愛人抱えとったが、あれは美しい光が溢れとった。あの娘が連れておる息子もよく似て全く闇がなかった。あれは』
「明るい金色……アマーリエ様ですか?」
骸骨は自分の指をあごに当てて首を傾ける。
『名前は覚えとらんのう……ほら、わしはミイラだけに脳なしじゃから』
年寄りの寒いギャグに汗をかく。
「えと、多分、先代王妃様です。今は城を出て、息子であるアルフレッド殿下の屋敷に住まわれています」
『……ふーん。見えんのはつまらん』
「(あ、あの……インマヌエル陛下。バルナバーシュ様にお会いになられたいですか?)」
『知っておるのか?』
バロンは頷く。
しばらく考えていた老王は、
『今はどこにおる?』
「(アルフレッド殿下の屋敷にお住まいです。結婚されてお子様もおられます)」
『そうであったか! 僥倖! 僥倖!』
声が明るくなる。
『……迷子ではなかったのだな。幸せならばそれでよい……心おきなく次の旅に迎えるというものよ』
「あ、あの、あの! 実はサーパルティータという……陛下がご存知ない国がございます」
旅立って行かれては困る!
マゼンタは気絶しそうになるのを堪え、声を出す。
「その国にクヌートが闇の指輪を贈りました。代々の国王やその周囲の悪意を増幅させたり、吸い取ったりして力を蓄え、この国だけでなく世界を壊そうと目論んでいるそうです。サーシャさまが、『この光の指輪をバルナバーシュが身につけることで倒すことができる。代わりにバルナバーシュの命はない』と……」
『なに?』
「バルナバーシュ様には3人の息子がおります。長男ご夫婦には2人の娘……今、この時に何故と……ひぃぃ!」
『……あの、バカ娘ぇぇぇ!』
「きゃぁぁ!」
充血した目が見開かれ、頭皮についていたらしい毛が何故か……信じたくないが逆立ち、そして全部抜け、さぁぁっと周囲に散っていった。
『あぁぁ! わしの大事な髪がぁぁ! それもこれもあのバカが! もう、毛根も死んでしまって生え変わらんのに……』
嘆きながら、指で器用に自分の骨の上に落ちた毛を大事そうに摘む。
『わしの毛……また、ストレスで抜けてしまった……息子の次に大事なものなのに……! その弔いにバカ娘を始末してくれる!』
「サーシャ様はすでに旅立たれました」
『言い逃げか! 余計許さん! あれのわがままにいつもいつも付き合わされる、バルナバーシュが可哀想で……死後も振り回されて……』
うっうっ……
奇跡的にあったネッカチーフを取り、鼻をかむ。
『よし! わしが行ってやろうではないか!』
「大丈夫ですか?」
『大丈夫とも。わしは戦場を渡り歩く元傭兵ぞ?』
立ち上がった骸骨だがすぐにガシャーンと崩れ落ちる。
「わぁぁ!」
後ずさった三人に、頭蓋骨が持ち上がり、
『すまぬ。全体の骨は難しいだろうから、この頭だけ連れて帰ってもらえると嬉しいのだが……』
と言ったのだった。
玉座に腰を下ろす、胸に剣が突き立ったままの骸骨。
いや、骸骨だけならまだ怯えなかっただろう……多分。
しかし、身体や手足などは骨が見え隠れするが、頭部は生前の表情が分かる、シワだらけの老人のまま……。
目は見開かれたまま、じっと正面を見据えていたのだった。
「(木乃伊だよ? 一応条件さえあえば、肉体は朽ち果てずに残るんだ)」
「嘘! そんな信仰はないわ! 死んだら棺に納められて、土に埋めるか墓地に……残らないでしょ? ねぇ!」
半泣きになりながら、メイは双子の兄に抱きつく。
なんでこんなことになるの!
私たちなんでこんな目に遭うの!
あぁこんな目に遭うなら、グインやユールに押し付けたら良かったのに!
言葉にならない悲鳴を、力を込めてバロンの服を掴みブンブンとふりまくる。
首が締まるのを必死に抑えながら、
「(メ、メイ! 苦しいよ! それは教会は認めてないから。それに殺されて放置に困った殺害者が、ここに置き去りにしたんだよ)」
『賢いのう……』
声が響き、マゼンタだけでなくメイもビクッと怯える。
『おやおや、驚いたか? 悪かった。だがしかし、こうせぬと話ができぬゆえ……』
「(あ、あの……僕ともお話はできますか?)」
『わかるとも、可愛い子』
「(可愛い……僕は男です!)」
『わかっておるよ。ハハハハ……わしの息子も、よくそのように言うておったよ』
楽しげに、幸せそうに笑う。
しかしすぐに、
『あれは素直で優しい子。わしを害したのは、バルナバーシュではないのに……』
ギギギ……
と音がしそうな首振りに、二人……特にメイは、気絶しそうになりながら身を寄せて震えている。
「(貴方を殺したのは、バルナバーシュ様ではないのですか?)」
『そうとも! 当然じゃ。わしを害したのはクヌートよ。この剣を見よ。これは闇の力を帯びておる。バルナバーシュは闇の力を扱えぬし、あの子はわしを殺すどころか、わしを庇ってくれたのだよ。可愛い可愛い親思いの……』
「(そ、そうなんですね……)」
止まらなそうな親バカ骸骨の言葉に相槌を打つ。
『わかってくれたか! 可愛い子! そうなのだ! わしの子は心優しい子よ。わしが死んでしまってから、あの子がどうなったのか心配で心配で……』
手が顔を覆うさまに、どこかの誰かを重ねて、少々遠い目になりつつバロンは、
「(あのっ……インマヌエル陛下。バルナバーシュ様が心配で天国に行けないのですか?)」
『天国? そのようなものはない。死ねば生まれ変わるのみ。だが、わしはあの世とか生まれ変わりとか元々信じとらんし、考えるのはバルナバーシュのことでいっぱいじゃ。余計なこと考えるのは面倒くさいからの~』
「面倒ぅぅ?」
マゼンタは目を見開く。
元聖女候補としては、信仰の否定を気にするものだが、より気になったのは『あの世』や『生まれ変わり』を信じてない?
ついでに『余計なこと』?
最終的には『面倒くさい』ときた!
ずいぶん不謹慎な骸骨である。
「あ、の……普通自分の死体にずっといて飽きません? それに諦めてとっととあの世に行った方が……あっ!」
慌てて手を押さえるマゼンタに骸骨が笑う。
『よいよい。素直が一番』
「えっと……インマヌエル陛下。自分の遺体にずっと憑いていたんでしょうか?」
『いや、それでは本当に飽きるであろう? こんなじじいを見て楽しいか? わしは城内と街をうろうろとして、バルナバーシュを探しておった。あの子の死骸も見つからんし、気配もなかった……まぁ、わしは外に出たら戻ってくるの、時間かかったからのう……どこに行ったのだろう? 昔はよく城の中で泣いておったわ……成人しても変わらないのか、いまだに道に迷っておるのか? 心配だのう……』
「(そ、それは、方向音痴……)」
『それじゃ! バルナバーシュはそうなっておるのだろう! やはり手を引いてやらねば……』
何度も自分は正しいと言いたげに頷く。
聞いていた3人は、次第にこの骸骨国王が本気で言っているのか、冗談かわからなくなる。
バルナバーシュと言うのは、アルフィナの祖父のあの人物だとすると、方向音痴で泣いているような人物ではない。
だが……、
『一応、城の中は最近変わっておるし、次出たら戻って来れんのう……昔はもっと楽だったのに……最近はよく分からぬものも多くて……うん、やはり扉が重いのは困るの』
「幽霊だから、扉開けなくてもすり抜けるでしょ?」
『いや、わしは開けるのだ。そうすると玉座に座るふんぞりかえっている馬鹿の前に立ったら、毎回泣いて喜んでくれてなぁ……喜んでくれると張り切ってしまうぞ、わしは。今度行ったらもっと頑張っちゃおうと! ……あ、玉座の間はすぐそこ』
指を斜め上に示した。
メイは気が遠くなる。
なんてことだ……もし自分だったら気が狂う。
嬉々として骸骨は話し続ける。
『この上に玉座がある。それがのぉ……何故か、わしのこと心に悪心があるものはよく見えるが、見えぬものには見えぬのだ。そういえば、キランキランの娘がおったが、全く見えとらんかった』
「キランキラン?」
『稲穂色より明るい金色と青色の瞳の娘。よく似た息子もおったわ。代々の王はブッサイクや心がひねくれまくり、闇を抱えとった者ばかり嫁や愛人抱えとったが、あれは美しい光が溢れとった。あの娘が連れておる息子もよく似て全く闇がなかった。あれは』
「明るい金色……アマーリエ様ですか?」
骸骨は自分の指をあごに当てて首を傾ける。
『名前は覚えとらんのう……ほら、わしはミイラだけに脳なしじゃから』
年寄りの寒いギャグに汗をかく。
「えと、多分、先代王妃様です。今は城を出て、息子であるアルフレッド殿下の屋敷に住まわれています」
『……ふーん。見えんのはつまらん』
「(あ、あの……インマヌエル陛下。バルナバーシュ様にお会いになられたいですか?)」
『知っておるのか?』
バロンは頷く。
しばらく考えていた老王は、
『今はどこにおる?』
「(アルフレッド殿下の屋敷にお住まいです。結婚されてお子様もおられます)」
『そうであったか! 僥倖! 僥倖!』
声が明るくなる。
『……迷子ではなかったのだな。幸せならばそれでよい……心おきなく次の旅に迎えるというものよ』
「あ、あの、あの! 実はサーパルティータという……陛下がご存知ない国がございます」
旅立って行かれては困る!
マゼンタは気絶しそうになるのを堪え、声を出す。
「その国にクヌートが闇の指輪を贈りました。代々の国王やその周囲の悪意を増幅させたり、吸い取ったりして力を蓄え、この国だけでなく世界を壊そうと目論んでいるそうです。サーシャさまが、『この光の指輪をバルナバーシュが身につけることで倒すことができる。代わりにバルナバーシュの命はない』と……」
『なに?』
「バルナバーシュ様には3人の息子がおります。長男ご夫婦には2人の娘……今、この時に何故と……ひぃぃ!」
『……あの、バカ娘ぇぇぇ!』
「きゃぁぁ!」
充血した目が見開かれ、頭皮についていたらしい毛が何故か……信じたくないが逆立ち、そして全部抜け、さぁぁっと周囲に散っていった。
『あぁぁ! わしの大事な髪がぁぁ! それもこれもあのバカが! もう、毛根も死んでしまって生え変わらんのに……』
嘆きながら、指で器用に自分の骨の上に落ちた毛を大事そうに摘む。
『わしの毛……また、ストレスで抜けてしまった……息子の次に大事なものなのに……! その弔いにバカ娘を始末してくれる!』
「サーシャ様はすでに旅立たれました」
『言い逃げか! 余計許さん! あれのわがままにいつもいつも付き合わされる、バルナバーシュが可哀想で……死後も振り回されて……』
うっうっ……
奇跡的にあったネッカチーフを取り、鼻をかむ。
『よし! わしが行ってやろうではないか!』
「大丈夫ですか?」
『大丈夫とも。わしは戦場を渡り歩く元傭兵ぞ?』
立ち上がった骸骨だがすぐにガシャーンと崩れ落ちる。
「わぁぁ!」
後ずさった三人に、頭蓋骨が持ち上がり、
『すまぬ。全体の骨は難しいだろうから、この頭だけ連れて帰ってもらえると嬉しいのだが……』
と言ったのだった。
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