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なんなのかな?
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お昼ご飯の後、セラスとボクは知慧先生に呼ばれた。
救護室に入っていくと、先生が手招きしている。
「ごめんなさいね? ユーザーさんの服を持ってきてもらったの」
「あっ! エリーゼ姉様」
「久しぶり~! セラくん」
炎のような明るい髪と緑の目のお姉さん。
「あ、知慧先生。この子ですか? あぁ……本当だ、小柄ですね」
「私は、こちらの服は仕立てられないからと思って」
「大丈夫ですよ。持ってきた服はこのサイズですけど、大丈夫だと思いますよ」
微笑むお姉さん。
「あ、はじめまして。私はセラくんの従姉のナオミ・エリーゼです」
「イトコ?」
「あ、僕のお父さんの兄弟の子供なの」
「そうなんだ~。エリーゼお姉さんとセラス似てるね」
「えっ? そう?」
首を傾げる二人に、
「髪の色とか違うけど、ぽかぽかでふわふわしてる」
「嬉しいな! 仲良しってことだもんね。ハグさせて~えっと、名前は……」
「はじめまして、ボクはユーザーです」
「おぉぉ! 可愛い」
ぎゅって抱きしめてくれた後に、バッグから想像以上に大きな箱を取り出すと、テーブルに置いてあった服を広げ、針と糸で縫い始める。
「うわぁ……」
「布を切ってもいいけど、それよりも今の間は詰めておくのがいいと思います」
「すごい! えっと早くて、すぐに縫ってる!」
「ありがとう! 裁縫のスキル持ちなんだよね。ほらできた! 袖が邪魔にならないようにしてるからね。それと……これもあげちゃおう」
バッグをごそごそしたエリーゼお姉さんは、ふかふかの何かを出して渡してくれた。
「抱っこして眠りやすいぬいぐるみ。これは寝つきの悪い子もよく眠れるってお墨付き。嫌な夢は食べてくれたり追い払ってくれるよ」
「ふわふわ? 面白い顔?」
「昔のお話に書かれている、伝説の生き物を想像しながら作ってみたの。時々、怖い夢を見るって言っていた子がいたからね……」
大きな口をしたちょっと面白い顔をした動物。
「またユーザーちゃんには、何枚か服を準備しておきますね。あ、ひゅうちゃんとつきちゃんの部屋着はこっちです」
「ありがとう! 日向夏も月歩も、エリーゼさんのお洋服が好きなの。よかったわ~」
「あ、そうだ! サイズ違いのが一枚あったのですよ。色柄を合わせるつもりではあったのですが……ユーザーちゃんどうかな?」
「ボクに?」
バッグから出した服を出してくれる。
「ズボンとシャツが一緒?」
「うん。上からはいて、前のボタンを止めるから大丈夫だよ」
「……姉様。もふもふ好きだね。うちの妹や弟たちにも作ってたよね?」
「だって、似合うと思って! パジャマだけじゃなく遊び着にもなります」
えっへん!
楽しげなエリーゼお姉さんに、セラスは首をすくめてる。
嫌いっていうより、またお姉さんはって思ってるのかな?
「……あ、ありがとう。エリーゼお姉さん」
「また作ったら持ってくるからね~。今度は動きやすい私服とか」
「えっ、あの……ボク、あ! お金!」
「いらないいらない。館の衣食住は無料って聞いてるし、この制服の提供は、元々《妖精たちの輪》で、私はそのブランドの代表に、繕いや修正を頼まれているだけなんだもの。で、この部屋着は余り布で作った、本来は練習で作っただけ。着てもらえるだけでも嬉しい! あっ! 今度、カズールの街の私の店に来てくれたら、こんなのでいいなら、たっくさんあるから貰って!」
バタバタと片付けをしたエリーゼお姉さんは、
「じゃぁ! それまでに仕舞い込んでる、あれこれを出しておこうということで! ひゅうちゃんとつきちゃんにも、リコリーネ姉様たちにも準備してるからね~!」
と楽しげに手を振りながら出ていった。
元気なお姉さん。
救護室に入っていくと、先生が手招きしている。
「ごめんなさいね? ユーザーさんの服を持ってきてもらったの」
「あっ! エリーゼ姉様」
「久しぶり~! セラくん」
炎のような明るい髪と緑の目のお姉さん。
「あ、知慧先生。この子ですか? あぁ……本当だ、小柄ですね」
「私は、こちらの服は仕立てられないからと思って」
「大丈夫ですよ。持ってきた服はこのサイズですけど、大丈夫だと思いますよ」
微笑むお姉さん。
「あ、はじめまして。私はセラくんの従姉のナオミ・エリーゼです」
「イトコ?」
「あ、僕のお父さんの兄弟の子供なの」
「そうなんだ~。エリーゼお姉さんとセラス似てるね」
「えっ? そう?」
首を傾げる二人に、
「髪の色とか違うけど、ぽかぽかでふわふわしてる」
「嬉しいな! 仲良しってことだもんね。ハグさせて~えっと、名前は……」
「はじめまして、ボクはユーザーです」
「おぉぉ! 可愛い」
ぎゅって抱きしめてくれた後に、バッグから想像以上に大きな箱を取り出すと、テーブルに置いてあった服を広げ、針と糸で縫い始める。
「うわぁ……」
「布を切ってもいいけど、それよりも今の間は詰めておくのがいいと思います」
「すごい! えっと早くて、すぐに縫ってる!」
「ありがとう! 裁縫のスキル持ちなんだよね。ほらできた! 袖が邪魔にならないようにしてるからね。それと……これもあげちゃおう」
バッグをごそごそしたエリーゼお姉さんは、ふかふかの何かを出して渡してくれた。
「抱っこして眠りやすいぬいぐるみ。これは寝つきの悪い子もよく眠れるってお墨付き。嫌な夢は食べてくれたり追い払ってくれるよ」
「ふわふわ? 面白い顔?」
「昔のお話に書かれている、伝説の生き物を想像しながら作ってみたの。時々、怖い夢を見るって言っていた子がいたからね……」
大きな口をしたちょっと面白い顔をした動物。
「またユーザーちゃんには、何枚か服を準備しておきますね。あ、ひゅうちゃんとつきちゃんの部屋着はこっちです」
「ありがとう! 日向夏も月歩も、エリーゼさんのお洋服が好きなの。よかったわ~」
「あ、そうだ! サイズ違いのが一枚あったのですよ。色柄を合わせるつもりではあったのですが……ユーザーちゃんどうかな?」
「ボクに?」
バッグから出した服を出してくれる。
「ズボンとシャツが一緒?」
「うん。上からはいて、前のボタンを止めるから大丈夫だよ」
「……姉様。もふもふ好きだね。うちの妹や弟たちにも作ってたよね?」
「だって、似合うと思って! パジャマだけじゃなく遊び着にもなります」
えっへん!
楽しげなエリーゼお姉さんに、セラスは首をすくめてる。
嫌いっていうより、またお姉さんはって思ってるのかな?
「……あ、ありがとう。エリーゼお姉さん」
「また作ったら持ってくるからね~。今度は動きやすい私服とか」
「えっ、あの……ボク、あ! お金!」
「いらないいらない。館の衣食住は無料って聞いてるし、この制服の提供は、元々《妖精たちの輪》で、私はそのブランドの代表に、繕いや修正を頼まれているだけなんだもの。で、この部屋着は余り布で作った、本来は練習で作っただけ。着てもらえるだけでも嬉しい! あっ! 今度、カズールの街の私の店に来てくれたら、こんなのでいいなら、たっくさんあるから貰って!」
バタバタと片付けをしたエリーゼお姉さんは、
「じゃぁ! それまでに仕舞い込んでる、あれこれを出しておこうということで! ひゅうちゃんとつきちゃんにも、リコリーネ姉様たちにも準備してるからね~!」
と楽しげに手を振りながら出ていった。
元気なお姉さん。
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