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転生者の少女の章

大叔母様に会う前に、可愛い従兄弟に会いました!

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 その後、伯父さまには心配されまくりましたが……

「父様、姉様はお疲れだと思います。それに、かぁ様が待ってますよ?」

 はわわっ!

 可愛いボーイソプラノの声に振り返ると、10歳くらいの可愛い子が立っています。
 紫色のお目目がクリンクリンで、ブロンドのふわふわな髪の男の子です!

 一応、白金プラチナブロンドシルバーゴールドは色が違います。
 ちなみに、アーサー殿下は青っぽい銀で、エドワード殿下はゴージャスな金です。
 他には珍しい色として銀緑メタリックグリーンをお持ちなのはマガタ公爵スティファン卿です。
 前世、結構流行りましたね、メタリックインクのペン。
 メタリックイエローとか、ピンクとか……あれはラメ入りだったのかな?
 ミルキーカラーのペンも収集してましたとも。
 構造さえわかれば作りたいです。



 はっ、話を戻して。

「あぁ、セラ。来たのか? ちょうどいい」

 おいでおいで~と伯父さまに手招きされ、近づいてきた少年はテーブルの横に立つと、丁寧に騎士としての挨拶をし、頭を下げた。
 騎士の挨拶は公式礼と略式がある。
 今回は略式。
 左胸に手を当て、首を倒す会釈。
 貴方に敬意を持っていますって言うことらしい。
 
「急に挨拶もなく声をかけてしまい、申し訳ありません。僕は、エッシェンドルフ家長男セラス・ルーキスと申します。歳は10歳です。どうぞよろしくお願い致します」
「はじめまして、私はナオミ・エリーゼです……セラス君は、お母様に似ていらっしゃるんですね?」

 まつ毛も長くて黒目がち……いえ、前世はそう言っていましたが、潤んだ淡いラベンダー色の瞳は、イケメンですが騎士らしく隙のない雰囲気を放つ伯父様より、たおやかで雰囲気が柔らかいです。
 真っ赤な顔になったセラス君。

「えっと……はい。僕はかぁ様に似ているそうです。もうちょっとしっかりしたいです」
「しっかりしていると思いますよ? あ、似ているのかなぁって思ったのは、その瞳がとっても素敵な色だからです。確かリューココリーネ……ですか?」

 そう、リューココリーネは、前世で紫色の花の名前だった。
 確か《貴婦人》っていう花言葉があったはず。
 綺麗な名前だから、印象に残ってたんだよね。
 ラベンダーも紫色で好きです。

「そう。その名前からもじって、嫁の名前はリコリーネって言うんだ。リリって呼んでる」
「素敵なお名前です……って、奥様って……生まれた時から狙ってたんですか?」
「……それも聞いてないのか……どんだけだよ! あのバカ!」

 はぁぁ……頭を抱える伯父様。

 申し訳ありません……こちらの親子関係で、ご迷惑をおかけ致しております。

 少し逡巡する素振りを見せていた伯父様は、深くため息をついて、私を見た。

「……急に重いことを言うが、この国に闇の部分があるっていうのは知っているかな?」
「闇……犯罪ですか?」

 まぁ、前世にも当然あった……。

「うーん、はっきりいうが、人身売買組織、臓器売買組織、暗殺者ギルドと言った犯罪組織があるのは知ってるかな?」
「はい。確か、外国に売られていく子供たちを保護し、大きな組織を捕らえたという青騎士団の当時の団長が伯父様だったとか……他に、その前にどこかの騎士団で、行方不明になっていた王家の縁戚に当たる公女様が保護されたとか?」
「うんうん、よく覚えているな……実は、それは紅騎士団のことで、私はその直前まで陣頭指揮執っていたんだ。で、リコリーネは小さい頃誘拐されて奴隷として売られ、物心ついた頃には働かされてた」
「……!」

 えっ……
 ちょっと待って!
 どういうこと?
 そんな近くにそんなことが当たり前にあるの?

 ショックだ……そして申し訳ない。
 知らないまま、この歳までいた。

「まぁ、リリは大怪我はしたが、命は無事で、その後先代マガタ公爵家の子供になった。そういえばセラをはじめとする子供たちは、おじいさまになる義父が大好きで……本当に騎士になるのか? セラ。父様は後5年は、うちにいて欲しいんだが……」
「僕は騎士になりたいです。そういえば、ジェロームおじさんのおうちのマデリーンも騎士の館に行きたいんだって! それに、カルス伯爵家の男の子も、今度の試験受けるって聞きましたよ? お友達になりたいです」
「ん? カルスの子って、下の子って女の子でしょ? 私は会ったことないけど、さーこ……セイラから聞いたよ?」

 首を傾げるシエラ様。

「いや、うちのセラと同じ歳の末っ子がいるんだ。ギディアンって言ってたかな? 確か、カルス伯爵に瓜二つの」
「へぇ~上はバカ息子で、真ん中が顔だけシルフィン姉様似だっていうのは聞いてるけど。末っ子はわがままじゃないといいね」
「あぁ、確か、上はフィアの部下だけど、役立たずって言ってた。仕事より趣味の発掘地層巡りのために休暇使いまくりで、巡回すれば地層やちょっとした石を見て時間を食い、書類整理もできない……らしいぞ」
「即、辞職に追い込む!」
「まぁ、本人も自分は騎士に向いてないと自覚してるらしいが、いかんせん、あの母親だ……アイツは家を出た方がいいだろう」

 やれやれと言いたげなお二人。
 どんな親なのかなっていうか……。



~*~~*~~*~

《ペン騒動》別話と重なっていますが、目線がナオミ・エリーゼなのでここに一旦^ - ^



 ……後年、いつのまにか私の姪が、万年筆タイプのインクカートリッジなし、永年インク使い続けられるペンを作ってくれた時は、感動したよ。
 うん、着ぐるみロンパースとか着ぐるみパジャマを作ったり、コスプレイベントを開催する私にと、考えてネコ柄のペンを贈ってくれた。
 しかも、

「あにょね? ペンの上を一回押したら、ニャンコさんが両手を離して、ぱっちりお目目がひらきましゅ」

と自分の目を隠した手を離して見せる。

「インクは黒でしゅ。もう一回押したら、右目隠して赤になりましゅ」

 今度は、左手をおろし、右目を隠したままで右に首を傾ける。

 くぁぁぁ!
 一つ一つの仕草が可愛すぎる!

「もう一回押すと反対になって青でしゅ」

 反対に手を入れ替え、こてんと反対側に首を傾げるポーズ。

 やばい!
 映像撮っててよかった!
 今度、家族集まって上映会しよう!
 その時は、旦那にお菓子作ってもらおう!
 それとも、お茶淹れてもらおうかな?
 あぁ楽しみ!

とヤバイ私の思いをよそに、可愛い姪は、

「しゃいごは両方お目目を隠して、ペンとニャンコさんお休みしましゅ」

なんて言いながら両目を隠した後に、

「ぐーぐー……にゃのでしゅ。おしまいでしゅ」

とモジモジしながら説明してくれた。

 悶えた!

『おしまいでしゅ』

だって!
 可愛い!
 うちの姪最高!



 そのあと、試してみたら、一回押すたびに、

《ニャァ》
《ニャニャァ》
《ニャン》

とネコの鳴き声を真似た姪の声が聞こえると言う、マニア垂涎のブツだと判明した。
 上映会ついでにその超可愛いペンを自慢したら、後日、旦那の親族が姪にどうしても欲しいと頼み込んだ。

「かっこいいのとニャンコさん、どっちがいいでしゅか?」

 当然全員がネコ柄希望だったので、姪は色違いの柄のペンを作ってくれた。
 なんて優しい。
 お宝だよ!

 ちなみに私が白、旦那が黒、義父母がそれぞれミケ、トビミケ、義理の祖父、曽祖父がそれぞれ茶トラ、サバトラ。
 義弟たちにはサビ、赤毛、ハチワレ、ブチなど色々入り乱れ、一人一人の柄が違うのはご愛嬌というか、よくこんな柄を知ってるなぁと感心させられた。

 旦那にパンケーキを作ってもらいながら、

「ネコブームは永遠なり!」

と言ったら、

「そろそろ別ブーム探せよ! 嫁は!」

とパンケーキに生クリームとメープルシロップ、バター、ベリーを飾り付けていた旦那に返された。

 私たちの関係は喧嘩もできないほどマンネリ気味らしい。
 仕事に疲れてるのね?
 じゃぁ、次はカピバラかパンダか、コアラブームにして着ぐるみパジャマを旦那に着せて、リラックスしてもらおうと思った私は悪くないと思う。



《旦那とその従弟の会話》

「あぁぁ! 全く! 仕事に集中すると、ご飯もろくに食べない。掃除もしない。お風呂も忘れる」
「昔からだね」
「そうなんだ! しかも、一回どっぷりハマったら抜けない! その割に、『膨らんだふわふわパンケーキ!』とか、『キャラメルマキアート!』とか注文多いし!」
「さっきは『カフェラテにラテアート!』とか言ってたね?」
「あぁ! 練習して葉っぱの模様、作ってやったとも!」
「……そういうとこが、ナオミが甘えちゃうんじゃないのかな?」
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