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尊
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壱也は先に目を覚ましていたが、自分に抱きついている妹を起こすのも忍びなく、そのまま横になっていた。
すると、身動きをして目を開けると、うんしょうんしょと魅音は布団を畳もうとしている。
「こらこら、魅音。まだ寝てなきゃダメだよ」
「おはようごじゃいましゅ。壱也お兄ちゃんは、何をしてるのでしゅか?」
「ん? 先輩のジャズシンガーの方と今度セッションがあってね、楽譜確認だよ」
「お兄ちゃんの先輩……」
「うん、志摩高飛さん」
志摩高飛は、若手でも有望なジャズトランペッターでシンガー、キーボードなどを扱う。
そして家族全員が、音楽関係の名家の出である。
「ジャズ……えっと、お兄ちゃん。魅音、勉強不足で、余り分からないでしゅ。えっと「虹の彼方に」……とか「Tonight」とかでしゅか? あ、ひゃ「百万本のバラ」。「アントワマミー」「愛の讃歌」!」
「あぁ、シャンソンだね。ジャズは「sing sing sing」とか「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」もあるね。こんな曲」
スマホに取り込んでいる曲を流す。
「あ、聞いたことがありましゅ。この曲好き!」
「それに、ナット・キング・コールの「LOVE」は短い曲だけど暖かくて、お兄ちゃんは大好きなんだ。でも、魅音もよく知っているね。「Tonight」はロミオとジュリエットをモチーフにした、アメリカの「ウェストサイドストーリー」の中の曲だよ」
「え、英語が苦手で……歌なら覚えられるかなって……こ、黒人霊歌の『テネシーワルツ』とか『アメイジンググレイス』とか……好きでしゅ」
「……勉強家だねぇ……でも、お兄ちゃん……『愛の讃歌』だけは、まだ詳しく勉強して欲しくないなぁ……」
「おーい。壱!」
姿を見せたのは、片腕に小さい少女を抱いた端正な青年である。
「先輩! よくここに来れましたね?」
「母さんとお前んとこの美雨さんが友人だから。ほーら、里鶴夢」
人見知りの時期なのか、もじもじする少女に、
「久しぶり。リズちゃん。壱也だよ」
「こ、こにちは……」
「リズちゃん。この子はね。お兄ちゃんの妹の魅音。魅音もちょっと緊張する子でね。仲良くしてね」
こちらも、ひしっと兄に抱っこちゃん状態の魅音の頭を撫でる。
「魅音?同じ音楽仲間の高飛さんと、高飛さんの妹のリズちゃんだよ。怖くないよ」
「は、はじめましゅて。魅音でしゅ」
「よろしくね。魅音ちゃん。そういえばよく曲を知っているんだね」
「図書館のDVDやCD聞いていたので……家には8時過ぎないと入れて貰えなかったので……」
高飛は友人を見るが、声を出さずに、
『後で』
と答える。
「えと『トゥナイト』なら英語で歌えましゅ。オズの魔法使いの『虹の彼方に』は日本語でしゅが」
「へぇ……聞かせてくれる?」
高飛の言葉に、恥ずかしげに歌い始める。
すると、ハイトーンの少々舌足らずの声で、歌う。
英語の発音は完璧で、高飛も母や姉たち、そして天才的な才能の妹とも違うコロコロした声に、終わると手を叩く。
「Brava! 魅音ちゃん!」
「素晴らしい」
「凄いよ! 魅音!」
3人はそれぞれ、褒め称える。
「あ、ありがとうございましゅ。ほ、褒められたこと、なかった……」
「魅音ちゃん、凄いの! お兄ちゃんもリズも、魅音ちゃんのお歌大好き!」
「ありがとう、リズちゃん」
頰を赤くしはにかむ。
トントンと扉が叩かれ、
「おはよう、あっ! 高飛さん!」
継実と尊、天音がびっくりしている。
「よっ! 久しぶり」
「って、うわぁぁ! びっくりしたぁぁ」
「兄さんと魅音の、朝ごはん持ってきたんだけど、高飛さんたちもいる?」
「ん? 俺達は飲み物貰えるかな」
「じゃぁ、天音。行ってきて」
壱也が妹を戻し、テーブルを準備し、その上に並べていく。
「わぁぁ……綺麗! あ、冷奴にしらす、それに……?」
「じゃこ天だよ。雑魚のことをじゃこって言うんだ。それをスリつぶして油で揚げてあるんだよ。ほら、火で炙って暖かいのを食べると美味しいよ。すり大根と花かつおで、お醤油をちょっと垂らすと美味しいんだ」
尊が説明する。
「卵かけご飯とお味噌汁。漬物に……おばさんが欲しいならだし巻き卵作るよって」
目はじっと並べられたご飯に向かっている。
「……ご飯に意識集中。魅音。卵かけご飯食べようね」
壱也が卵を準備する。
温かいご飯の上に、卵は余り混ぜずにかける。
そして、継実がお箸ではなくスプーンで食べさせる。
頰を押さえ、
「お、美味しいでしゅ……」
「だろ~? 魅音もう一口」
「あいっ」
昨日解ったのだが、魅音は余り言葉を教わっていなかったのと、緊張したり甘えたりすると舌ったらずになる。
壱也がじゃこ天を食べさせると、
「美味しい!」
「もぐもぐするんだぞ?」
「うんっ。ベアちゃんももぐもぐ……」
「こらこら、ベアは食べないぞ。お兄ちゃんにスプーン返して。今度は味噌汁。はい、アーンだよ」
「あーい!」
えへへ、
継実が食べさせると、目を輝かせる。
「あったかい! お豆腐美味しい!」
「だろう? お出汁も良くきいてるだろう?」
「美味しい、美味しい……パパも美味しい?」
「それはベアだろう? パパは向こうのお部屋。パパは食べてるから魅音も食べようね」
「あいっ……」
うまうまと美味しそうに食べた魅音は、デザートのみかんに目を輝かせる。
「みかん~!」
「それ、紅まどんなだよ」
「……い、一個千円以上……」
みぃぃ……瞳をウルウルさせる。
最高級の柑橘をじっと見つめる姿に、天音が手を伸ばし皮をむくと、
「はい、魅音。父さんの知り合いから贈られてくるんだよ。産地の産直市で購入してるから、一個千円もしないよ。はい。食べよう。皆食べるよ?」
「お兄ちゃん達も?」
「食べる食べる。魅音。ほら食べろ。薬飲まないとな」
ひとふさを口に入れ、頰を押さえ、幸せそうに笑う。
尊はつい写真に撮る。
「あ、めちゃくちゃ可愛い」
「ん?見せろ見せろ……可愛い! 魅音」
「本当だ。尊、メールで送ってくれ!」
「……お兄ちゃん達、魅音、リスさんみたいなの」
「可愛いよ?」
尊が笑うと、少し拗ねたように、
「魅音、リスさんじゃないもん……」
「……可愛い! でも、魅音はやっぱりにっこりがいいなぁ。魅音。兄ちゃん達と一緒にニコしようか?」
継実は天音に頼み、4人で写真を撮る。
「可愛い! 兄弟で分けないと」
「あ、魅音のスマホを頼んどくべきだな。何色がいい? ピンクかブルーとか……ほら、キャラクターのがあるだろう?」
継実の言葉に、
「お姫様の?」
「じゃぁ、ピンクだな。柄違いの、ほらネズミのは、実は尊使ってるんだよな?」
「母さんはブルーだよ。母さんが買ったんだ、いいじゃないか」
尊は頰を膨らませる。
「それよりも、魅音、美味しい?」
「うんっ! 美味しいでしゅ! あまーい。お菓子食べてるみたいでしゅ」
みかんを食べ終わると、兄たちと手を合わせて、ご馳走さまをしている。
その様子に、高飛は微笑む。
「ふふふっ……壱も継も尊も俺の家、家族をシスコン、親バカ、兄馬鹿って言ってたけど、お前達も俺達と一緒だな」
「そうですか? はい、魅音。お薬飲むよ?」
「あい」
薬を飲むと、壱也と尊が交代し、
「壱也お兄ちゃんは、高飛さんとお話しするから、尊お兄ちゃんとお話ししてるんだよ?」
と出て行った。
「あ、そうだ。天音、魅音。尊が勉強教えてくれるから、判らないことは聞くといい」
「宿題!」
「あ、私も……」
「魅音は転校。転入試験だ。苦手なところはないか?」
継実は妹を見る。
「まぁ、兄ちゃんは成績そんなに良くなかったけどな。あはは!」
「……お兄ちゃんは幾つですか? み、魅音、今度来年17歳です。同じ年の天音くんで、尊お兄ちゃん……大学院って……」
「魅音と天音より一つ上だな。18。兄ちゃんは21、壱兄は24」
「お兄ちゃん、若い! カッコいい!」
「だろ?」
妹の頭を撫でる。
「誕生日は……」
「えっと、2月10日でしゅ」
「……盛大に、誕生日パーティだな! 何が欲しい? うーん、パンダは無理だし、躾がしっかりした犬なら良いかも」
「は、はりねずみ飼いたいでしゅ!」
「は、はりねずみ?」
ウンウン。
目をキラキラさせる妹に、ダメとも言えず、
「今度、ペットショップに行ってみようか?」
「良いんですか? あのね。金魚しゅくいも、めだかしゅくいも捨てられたでしゅ。ヨーヨー貰ったら……お、お姉ちゃんだから、あげなさいって……」
ベソっとする妹を尊は抱きしめ、
「誕生日プレゼント、楽しみにしててね? 魅音」
と囁いたのだった。
すると、身動きをして目を開けると、うんしょうんしょと魅音は布団を畳もうとしている。
「こらこら、魅音。まだ寝てなきゃダメだよ」
「おはようごじゃいましゅ。壱也お兄ちゃんは、何をしてるのでしゅか?」
「ん? 先輩のジャズシンガーの方と今度セッションがあってね、楽譜確認だよ」
「お兄ちゃんの先輩……」
「うん、志摩高飛さん」
志摩高飛は、若手でも有望なジャズトランペッターでシンガー、キーボードなどを扱う。
そして家族全員が、音楽関係の名家の出である。
「ジャズ……えっと、お兄ちゃん。魅音、勉強不足で、余り分からないでしゅ。えっと「虹の彼方に」……とか「Tonight」とかでしゅか? あ、ひゃ「百万本のバラ」。「アントワマミー」「愛の讃歌」!」
「あぁ、シャンソンだね。ジャズは「sing sing sing」とか「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」もあるね。こんな曲」
スマホに取り込んでいる曲を流す。
「あ、聞いたことがありましゅ。この曲好き!」
「それに、ナット・キング・コールの「LOVE」は短い曲だけど暖かくて、お兄ちゃんは大好きなんだ。でも、魅音もよく知っているね。「Tonight」はロミオとジュリエットをモチーフにした、アメリカの「ウェストサイドストーリー」の中の曲だよ」
「え、英語が苦手で……歌なら覚えられるかなって……こ、黒人霊歌の『テネシーワルツ』とか『アメイジンググレイス』とか……好きでしゅ」
「……勉強家だねぇ……でも、お兄ちゃん……『愛の讃歌』だけは、まだ詳しく勉強して欲しくないなぁ……」
「おーい。壱!」
姿を見せたのは、片腕に小さい少女を抱いた端正な青年である。
「先輩! よくここに来れましたね?」
「母さんとお前んとこの美雨さんが友人だから。ほーら、里鶴夢」
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「久しぶり。リズちゃん。壱也だよ」
「こ、こにちは……」
「リズちゃん。この子はね。お兄ちゃんの妹の魅音。魅音もちょっと緊張する子でね。仲良くしてね」
こちらも、ひしっと兄に抱っこちゃん状態の魅音の頭を撫でる。
「魅音?同じ音楽仲間の高飛さんと、高飛さんの妹のリズちゃんだよ。怖くないよ」
「は、はじめましゅて。魅音でしゅ」
「よろしくね。魅音ちゃん。そういえばよく曲を知っているんだね」
「図書館のDVDやCD聞いていたので……家には8時過ぎないと入れて貰えなかったので……」
高飛は友人を見るが、声を出さずに、
『後で』
と答える。
「えと『トゥナイト』なら英語で歌えましゅ。オズの魔法使いの『虹の彼方に』は日本語でしゅが」
「へぇ……聞かせてくれる?」
高飛の言葉に、恥ずかしげに歌い始める。
すると、ハイトーンの少々舌足らずの声で、歌う。
英語の発音は完璧で、高飛も母や姉たち、そして天才的な才能の妹とも違うコロコロした声に、終わると手を叩く。
「Brava! 魅音ちゃん!」
「素晴らしい」
「凄いよ! 魅音!」
3人はそれぞれ、褒め称える。
「あ、ありがとうございましゅ。ほ、褒められたこと、なかった……」
「魅音ちゃん、凄いの! お兄ちゃんもリズも、魅音ちゃんのお歌大好き!」
「ありがとう、リズちゃん」
頰を赤くしはにかむ。
トントンと扉が叩かれ、
「おはよう、あっ! 高飛さん!」
継実と尊、天音がびっくりしている。
「よっ! 久しぶり」
「って、うわぁぁ! びっくりしたぁぁ」
「兄さんと魅音の、朝ごはん持ってきたんだけど、高飛さんたちもいる?」
「ん? 俺達は飲み物貰えるかな」
「じゃぁ、天音。行ってきて」
壱也が妹を戻し、テーブルを準備し、その上に並べていく。
「わぁぁ……綺麗! あ、冷奴にしらす、それに……?」
「じゃこ天だよ。雑魚のことをじゃこって言うんだ。それをスリつぶして油で揚げてあるんだよ。ほら、火で炙って暖かいのを食べると美味しいよ。すり大根と花かつおで、お醤油をちょっと垂らすと美味しいんだ」
尊が説明する。
「卵かけご飯とお味噌汁。漬物に……おばさんが欲しいならだし巻き卵作るよって」
目はじっと並べられたご飯に向かっている。
「……ご飯に意識集中。魅音。卵かけご飯食べようね」
壱也が卵を準備する。
温かいご飯の上に、卵は余り混ぜずにかける。
そして、継実がお箸ではなくスプーンで食べさせる。
頰を押さえ、
「お、美味しいでしゅ……」
「だろ~? 魅音もう一口」
「あいっ」
昨日解ったのだが、魅音は余り言葉を教わっていなかったのと、緊張したり甘えたりすると舌ったらずになる。
壱也がじゃこ天を食べさせると、
「美味しい!」
「もぐもぐするんだぞ?」
「うんっ。ベアちゃんももぐもぐ……」
「こらこら、ベアは食べないぞ。お兄ちゃんにスプーン返して。今度は味噌汁。はい、アーンだよ」
「あーい!」
えへへ、
継実が食べさせると、目を輝かせる。
「あったかい! お豆腐美味しい!」
「だろう? お出汁も良くきいてるだろう?」
「美味しい、美味しい……パパも美味しい?」
「それはベアだろう? パパは向こうのお部屋。パパは食べてるから魅音も食べようね」
「あいっ……」
うまうまと美味しそうに食べた魅音は、デザートのみかんに目を輝かせる。
「みかん~!」
「それ、紅まどんなだよ」
「……い、一個千円以上……」
みぃぃ……瞳をウルウルさせる。
最高級の柑橘をじっと見つめる姿に、天音が手を伸ばし皮をむくと、
「はい、魅音。父さんの知り合いから贈られてくるんだよ。産地の産直市で購入してるから、一個千円もしないよ。はい。食べよう。皆食べるよ?」
「お兄ちゃん達も?」
「食べる食べる。魅音。ほら食べろ。薬飲まないとな」
ひとふさを口に入れ、頰を押さえ、幸せそうに笑う。
尊はつい写真に撮る。
「あ、めちゃくちゃ可愛い」
「ん?見せろ見せろ……可愛い! 魅音」
「本当だ。尊、メールで送ってくれ!」
「……お兄ちゃん達、魅音、リスさんみたいなの」
「可愛いよ?」
尊が笑うと、少し拗ねたように、
「魅音、リスさんじゃないもん……」
「……可愛い! でも、魅音はやっぱりにっこりがいいなぁ。魅音。兄ちゃん達と一緒にニコしようか?」
継実は天音に頼み、4人で写真を撮る。
「可愛い! 兄弟で分けないと」
「あ、魅音のスマホを頼んどくべきだな。何色がいい? ピンクかブルーとか……ほら、キャラクターのがあるだろう?」
継実の言葉に、
「お姫様の?」
「じゃぁ、ピンクだな。柄違いの、ほらネズミのは、実は尊使ってるんだよな?」
「母さんはブルーだよ。母さんが買ったんだ、いいじゃないか」
尊は頰を膨らませる。
「それよりも、魅音、美味しい?」
「うんっ! 美味しいでしゅ! あまーい。お菓子食べてるみたいでしゅ」
みかんを食べ終わると、兄たちと手を合わせて、ご馳走さまをしている。
その様子に、高飛は微笑む。
「ふふふっ……壱も継も尊も俺の家、家族をシスコン、親バカ、兄馬鹿って言ってたけど、お前達も俺達と一緒だな」
「そうですか? はい、魅音。お薬飲むよ?」
「あい」
薬を飲むと、壱也と尊が交代し、
「壱也お兄ちゃんは、高飛さんとお話しするから、尊お兄ちゃんとお話ししてるんだよ?」
と出て行った。
「あ、そうだ。天音、魅音。尊が勉強教えてくれるから、判らないことは聞くといい」
「宿題!」
「あ、私も……」
「魅音は転校。転入試験だ。苦手なところはないか?」
継実は妹を見る。
「まぁ、兄ちゃんは成績そんなに良くなかったけどな。あはは!」
「……お兄ちゃんは幾つですか? み、魅音、今度来年17歳です。同じ年の天音くんで、尊お兄ちゃん……大学院って……」
「魅音と天音より一つ上だな。18。兄ちゃんは21、壱兄は24」
「お兄ちゃん、若い! カッコいい!」
「だろ?」
妹の頭を撫でる。
「誕生日は……」
「えっと、2月10日でしゅ」
「……盛大に、誕生日パーティだな! 何が欲しい? うーん、パンダは無理だし、躾がしっかりした犬なら良いかも」
「は、はりねずみ飼いたいでしゅ!」
「は、はりねずみ?」
ウンウン。
目をキラキラさせる妹に、ダメとも言えず、
「今度、ペットショップに行ってみようか?」
「良いんですか? あのね。金魚しゅくいも、めだかしゅくいも捨てられたでしゅ。ヨーヨー貰ったら……お、お姉ちゃんだから、あげなさいって……」
ベソっとする妹を尊は抱きしめ、
「誕生日プレゼント、楽しみにしててね? 魅音」
と囁いたのだった。
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