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奥方様の愛は重すぎます!〜乳兄弟は疲れてる〜4
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黙り込む公爵の横で、夫人はなぜかドレスのデザインが描かれた画帳を広げていた。
「見てちょうだい。これがわたくしたちの懇意にしているデザイナーのドレスです。色はこれから選んでいくのだけれど、どうかしら?」
「そうですね……お母さんは青……淡いブルー、ご令嬢は淡いピンクは如何でしょうか?」
「まぁ! わたくしのことをお母さんと呼ぶのだから、あの子のことはケイトリンかケイトでいいのよ?」
「あ、ありがとうございます……でも、恥ずかしいので練習してからでもいいですか?」
ジークヴァルトは頬を赤くする。
……これは計算ではないと信じたい!
その様子に、夫人はコロコロと笑った。
「まぁ! ケイトは素敵な旦那様で幸せね。二人で並んだら本当にとてもお似合いだわ」
「お母さんもとてもお美しいです。この画帳には、いろいろなデザインがあるのですね?」
「そうね。ここでは最初、わたくしがデザインを選んで、それに被らないものを侯爵家以下の夫人が選んでいくの。でも、少し飽きてきたわ」
「……少し子供っぽい……いえ、無駄なものが多いですね。お母さんはもっと品のあるレースとか、この、多すぎるリボンを一つを除いて、一気になくしてしまうといいのではないでしょうか?」
大きく丸を描いて示す。
「ジークヴァルトさん! そうね!」
「それに、ケイトリンさまにもこのドレスはリボンが多すぎますし、形は未婚者には似合いません。僕はデザイナーではないですし、この手なので描けませんが、もう少しふわっとした柔らかいラインを出して、リボンの数を減らし、でも、地味にならないように可愛いパステル色が似合うのではないでしょうか?」
「はっきりした色はダメかしら?」
「まだお若いですから、今着られる色を。落ち着いた色はいつでも着られます」
夫人は嬉しそうに微笑む。
「ジークヴァルトさんはケイトをよく見ているのね。こんな風に考えてくださる優しい旦那様ができるなんて、ケイトは幸せだわ」
「僕の方こそ、僕のような者の意見を聞いてくださるお母さんが出来て嬉しいです。これはお世辞じゃありません」
「うふふ……ジークヴァルトさんとわたくしはうまくいきそうだわ。ケイトも、不器用だけれどとてもいい子なのよ?」
「大事にします!」
二人は共闘体制をとるらしい。
公爵は諦めているのか口を開いた。
「カール。国王から内々にヴェルダン家に、伯爵位と領地を与えることになった。領地はここから南。先日潰れた家のあった土地だ。すでに元住人は屋敷を引き払い、南の鉱山で働かされている。愛人だった者は牢獄にいる。そして、エリク=ハインツ家は長年の功績で、子爵位を与えることになっている」
「……分かりました」
「そして、私の次はジークヴァルトが継ぐことになる。だが、新しく位の上がった伯爵家と子爵家では後見役として心許ない。そうすると、義父殿が君を養子に迎え入れたいと言う申し出があった」
硬直する。
ちょっと待て。
一般人がなぜ大公殿下の養子なのか?
大丈夫か?
「心配するな。大公の位は一代限り。つまり、娘である妻も義父殿の持つ公爵の位を持っているが、君には義父殿が持つ伯爵位を譲るとのことだ。土地はほとんどないが、毎年ある程度の収入が見込めるそうだ。そして、妻の弟として、この家に来て欲しい。なぁに、娶りたい女性がいればここに呼ぶといい」
「……まだおりません。ですが……今、私もここにと……」
「あぁ、そうだとも。部屋や身の回りのものは不自由はさせない。息子同様に扱うことにする」
「いえ、普通にお願いします」
なぜか握り拳を作る公爵に、告げる。
「私は、ジークヴァルトのように表に立てる人物ではありません。無骨な人間ですし……です
が認めていただいたもの以上の成果が出るよう、努力させて頂きます」
「よろしく頼むよ」
この裏で、
『どうか、自分を助けてくれ』
と言われているような気がしたのは言うまでもない。
「見てちょうだい。これがわたくしたちの懇意にしているデザイナーのドレスです。色はこれから選んでいくのだけれど、どうかしら?」
「そうですね……お母さんは青……淡いブルー、ご令嬢は淡いピンクは如何でしょうか?」
「まぁ! わたくしのことをお母さんと呼ぶのだから、あの子のことはケイトリンかケイトでいいのよ?」
「あ、ありがとうございます……でも、恥ずかしいので練習してからでもいいですか?」
ジークヴァルトは頬を赤くする。
……これは計算ではないと信じたい!
その様子に、夫人はコロコロと笑った。
「まぁ! ケイトは素敵な旦那様で幸せね。二人で並んだら本当にとてもお似合いだわ」
「お母さんもとてもお美しいです。この画帳には、いろいろなデザインがあるのですね?」
「そうね。ここでは最初、わたくしがデザインを選んで、それに被らないものを侯爵家以下の夫人が選んでいくの。でも、少し飽きてきたわ」
「……少し子供っぽい……いえ、無駄なものが多いですね。お母さんはもっと品のあるレースとか、この、多すぎるリボンを一つを除いて、一気になくしてしまうといいのではないでしょうか?」
大きく丸を描いて示す。
「ジークヴァルトさん! そうね!」
「それに、ケイトリンさまにもこのドレスはリボンが多すぎますし、形は未婚者には似合いません。僕はデザイナーではないですし、この手なので描けませんが、もう少しふわっとした柔らかいラインを出して、リボンの数を減らし、でも、地味にならないように可愛いパステル色が似合うのではないでしょうか?」
「はっきりした色はダメかしら?」
「まだお若いですから、今着られる色を。落ち着いた色はいつでも着られます」
夫人は嬉しそうに微笑む。
「ジークヴァルトさんはケイトをよく見ているのね。こんな風に考えてくださる優しい旦那様ができるなんて、ケイトは幸せだわ」
「僕の方こそ、僕のような者の意見を聞いてくださるお母さんが出来て嬉しいです。これはお世辞じゃありません」
「うふふ……ジークヴァルトさんとわたくしはうまくいきそうだわ。ケイトも、不器用だけれどとてもいい子なのよ?」
「大事にします!」
二人は共闘体制をとるらしい。
公爵は諦めているのか口を開いた。
「カール。国王から内々にヴェルダン家に、伯爵位と領地を与えることになった。領地はここから南。先日潰れた家のあった土地だ。すでに元住人は屋敷を引き払い、南の鉱山で働かされている。愛人だった者は牢獄にいる。そして、エリク=ハインツ家は長年の功績で、子爵位を与えることになっている」
「……分かりました」
「そして、私の次はジークヴァルトが継ぐことになる。だが、新しく位の上がった伯爵家と子爵家では後見役として心許ない。そうすると、義父殿が君を養子に迎え入れたいと言う申し出があった」
硬直する。
ちょっと待て。
一般人がなぜ大公殿下の養子なのか?
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「……まだおりません。ですが……今、私もここにと……」
「あぁ、そうだとも。部屋や身の回りのものは不自由はさせない。息子同様に扱うことにする」
「いえ、普通にお願いします」
なぜか握り拳を作る公爵に、告げる。
「私は、ジークヴァルトのように表に立てる人物ではありません。無骨な人間ですし……です
が認めていただいたもの以上の成果が出るよう、努力させて頂きます」
「よろしく頼むよ」
この裏で、
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と言われているような気がしたのは言うまでもない。
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