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アルドリーの側近中の側近
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フィアは、アイドの乗獣レイ・ロ・ウとセディの乗獣のシーンを連れている。
「えっと、アイド。ワーズどのとナイアどのには乗獣のしつけもあるから、アイドがワーズどのと乗って。それと、荷馬車の準備を……」
「それは頼みます。実家に」
「ワーズどの。請求書を城に提出。馬車はけっこうな労働力だよ。それを使うんだから。それに御者にも賃金が必要になる。君の実家が商売をしているならギルドに依頼して護衛も雇う。で、それがますます雇用を生む。お金は循環する。それをむさぼるように使うか、もしくは国の為に分散するかで、君の国の価値が上がる」
「はい!」
フィアは童顔だが年上で、その上、シェールドでも有数の才能の持ち主である。
すると、軟禁されていたはずの王弟ジェームスが妻と共に現れ、
「あぁ、この獣はシェールドの! 先日の書簡が届きましたか? いつもいつも、兄やエレメンティアに握りつぶされ……あぁ、これが私の……」
「触れるな!」
レイ・ロ・ウに手を伸ばそうとする男の前に出た童顔の騎士が、
「この乗獣は、シェールドの3つある秘宝のひとつ。お前ごときが触れていいものではない! それに、王太子殿下の乗獣だ!」
鯉口は閉ざされているが、掴んだ刀で無造作に払いのける。
「なっ! 何をする! 私はこの国の王弟! 無礼であるぞ!」
「生憎、無礼な馬鹿に挨拶もしたくないもんで、さぁ、アイドたち、行こう」
「貴様! 無礼な! おい! お前は」
「黙れ! 身分を傘に来たやり方が嫌いなんだ!」
「おい、そこの下級役人! 私に従わないこいつらを捕まえろ!」
叫ぶ王弟に、鬱陶しげにナイアが、
「黙れ! この乗獣は貴様のものじゃない。この国もそうだ。また文句を言うなら、陛下に申し出る。シェールドの王太子殿下の乗獣を傷つけようとしたと!」
「誰かあるか!」
ワーズが声をあげ、集まってきた衛兵に、
「申し訳ない。客人のお二人を案内しているのだが、王弟殿下が邪魔をされる。連れていってくれないか? 私は、王太子殿下、エレメンティア殿下の財政補佐ワーズ。国王陛下には殿下より認証されている」
「……一応、農業工業担当補佐ナイア。この生き物はアシール大陸の乗獣。王弟殿下に贈られたものではない! 今日お越しになられたミューゼリック閣下の側近の方の乗獣。私が飛ぶ姿を見せて欲しいとお頼みした。自分の身をわきまえない王弟殿下を向こうに! お客人に失礼だ!」
おっとりとした雰囲気の青年が、きっとにらむ。
リールの国内でも端正なというか可愛い顔をしているナイアがきれているのは、ひとえに、自分の興味のあることの邪魔をされているからである。
先程アイドは、森に豊穣の土が眠っていると言っていた。
その土を早く持ってきたいし、その上、うまくいけば王宮だけでなく町にも温室が作られると言う。
その事にも胸が踊る。
それを邪魔されてなるものかとも思っている。
「何を! 下級貴族に官吏が黙れ!」
「……お前が黙れ」
一応フードを被っていたアイドが、めんどくさそうにそれを剥がし、微笑む。
「確か、リールの王弟。名前はジェームスだったかな?」
「何をぉぉ! この私の! 次の国王とも言われている私を呼び捨てに! 貴様ぁぁ!」
手を伸ばそうとする王弟とアイドの間に入ったフィアが、首筋に抜いた刀の刃を首に当てた。
「なっ!」
「……私の主に手を出さないで戴けませんか? 私は、隣のアシール大陸、シェールドのマルムスティーン侯爵子息、リュシオン」
ニッコリと、ナイア以上に可愛らしい美少女が微笑むが、すぐに、
「実は、シェールド国王より、私の主は直々に命を受けたのですよ?」
「私達の国に、その男から書状が届くんです。国王が鬱陶しいと焼却していたのですが、先日届いた書状が余りにも無礼だと怒りましてね? 代わりに来たんです。一度も会ったことのない我が国の国王に対して、この文章は余りにも失礼ではありませんか?」
ビラッと広げる。
「確か、こちらのジェラルド国王陛下と、ルーズリア王国のリスティル国王陛下がご友人であり、お二人は我が国に留学経験があり、我が国とも友好はありますが、貴方とジェラルド国王陛下とは違いますし、ジェラルド国王陛下に我が国王陛下は兄弟のように可愛がっていただいたことは感謝しておりますが、貴方は全く関わりないでしょう? それなのに書状を送りつけて来て、シェールドの3つの秘宝をくれとは、礼儀に欠けていませんか? それに、秘宝はよほどのことがない限り、国内でも出すことのないものですが? どうして、縁もゆかりもないそちらに譲れと命令されなければならない?」
「あ、兄が、欲しいと言ったのだ!」
「それはありませんね」
刀を突きつけたままフィアは嘲笑する。
「何だと!」
「私の父マルムスティーン侯爵と叔父のクルス侯爵は、個人的にリスティル陛下とジェラルド陛下とやり取りをされている。時々送られてくる便りには『自分の宝は国の安寧と国民の平穏、そして親バカになるが、エレメンティア殿下の幸福のみ。余分は要らない。何かあったら、リスティル陛下を通じてエレメンティアと国民を逃がす。その時にはどうぞよろしくお願い致します』といつも最後にはそう締め括られていた。それに、ジェラルド陛下はシェールドで元々騎士を志し、乗獣を与えられていた。先代陛下に特別に乗獣を連れて帰っても構わないと言われていたが、ご本人が断られた」
「なっ!」
「『私にとっては兄弟のように共にいた親友。しかし一頭のみでは可哀想。私のわがままで縛りたくない』そう言われて父に預けて帰国されたと伺っている。それなのに今更くれはないだろう? それに陛下直々に書くなら兎も角、あんたに書かせることもない! あんたは自分の兄をどんな人間か解らないんだな。陛下もお可哀想に……こんな愚弟があの賢王の弟か……」
「お、お前の国王アレクサンダーも同じではないか!」
視線を移したアイドは、
「お前程度に、不本意だが、俺の父の悪口を口にされたくないんだがな?」
「私程度とはどういう意味だ!」
「そのままだが?」
そっけない口調で言うと、一度見ていた王弟夫人の似合わない程ゴテゴテの装飾を見て、
「その趣味の悪い装飾を一つ売るごとに、国民の税収は軽くなり、町は活気づくだろうに……夫もくずだが妻は浪費家とはな」
「なっ! 何ですって! お前は先からわたくしや王弟殿下を侮辱し、愚弄して! 誰か! 捕らえなさい!」
「捕らえてみろ。その前に俺が命じ、即、この夫の首が飛ぶぞ」
アイドはフィアを見、フィアは刃を押し当てる。
「動かないでくれますよね? 血を見たいですか? まぁ、見せてもいいですが」
「それに衛兵? 俺とフィア兄さんに敵うと思うなら抜いてみろ。命はないぞ。まぁ、俺は今は柄に手を当ててないけど?」
にやっと笑うアイドの背後から、
「どわぁぁ! 何してるんですか! フィア先輩! アイド!」
書類を運んでいたカイルは叫ぶ。
「お、おい! お前! この者を捕らえろ!」
「何でですか~?」
カイルは近くにいた衛兵の一人に書類を預け、近づくと、王弟夫人の手をとり指輪を外し始める。
「な、何をするの! この無礼者!」
「無礼? 国王陛下から、王弟殿下と妃殿下には浪費をやめろと何度もいわれ、最終的には支出を止められたのに、次々に買い込んで請求書を国庫に持ち込んだのはお二人とサラでしたっけ? お子さんもですよね? 請求書を簡単に暗算すると、この国の財政が傾いている一因でしたよ。もう一つは全く仕事しない大うつけの、昨晩一斉に解任した騎士団! その次は賄賂を懐に入れていた、サラの嫁の父親以下腐った政務官ですね~? それに」
カイルは王弟夫妻の回りについて歩く、きらびやかな一団を睨み付ける。
「王弟殿下夫妻は、一旦状況が落ち着くまで謹慎のはず。出したのは誰です? 国王の命令に背く、その意味が解らないのですか?」
「えっ! そ……それは……」
「王太子殿下側近、カイルの命にて、国庫を食い荒らし豪遊し、その上、シェールドに無礼な便りを送り、その事を確認したいとお越しになられたシェールドの王太子殿下に暴言を吐いた罪にて、謹慎ではなく監禁を申し渡します。その際には、部屋は別室。着るもの、食べるものは一般の兵士や侍女と同じものを食していただきます。ここにいた者……王弟夫妻の警護、侍女は別の場所にて謹慎! 場合によっては王命を違えたと言うことで、王宮から退去、家の家名取り潰しもあると思え。連れていけ!」
「なっ! ただの下級貴族が! この私に!」
「ならば、私が貴方を斬りましょう! 王太子殿下の命令に背き、客人に手をかけようとしたと! 失礼します」
アイドに頭を下げ、隠し持っていた武器を出したカイルは、王弟夫人に見せる。
「さぁ、命と装飾とどちらが大事ですか?」
「ひ、ヒィィ! やめなさい! 貴方!」
「誰か助けよ!」
「王命とどちらをとる!」
カイルのりんとした声に、震え上がり数歩下がった者たちを見、嘲笑う。
「では、王弟殿下。妃殿下。参りましょうか? お子さんのサラの行かれた、一生出られない離宮よりもましな牢獄に……フィア先輩。ワーズ、ナイア……よろしくお願いします」
カイルは集まってきたスートたちの部下とともに王弟夫妻とその周囲を取り囲み、送り込んだのだった。
「えっと、アイド。ワーズどのとナイアどのには乗獣のしつけもあるから、アイドがワーズどのと乗って。それと、荷馬車の準備を……」
「それは頼みます。実家に」
「ワーズどの。請求書を城に提出。馬車はけっこうな労働力だよ。それを使うんだから。それに御者にも賃金が必要になる。君の実家が商売をしているならギルドに依頼して護衛も雇う。で、それがますます雇用を生む。お金は循環する。それをむさぼるように使うか、もしくは国の為に分散するかで、君の国の価値が上がる」
「はい!」
フィアは童顔だが年上で、その上、シェールドでも有数の才能の持ち主である。
すると、軟禁されていたはずの王弟ジェームスが妻と共に現れ、
「あぁ、この獣はシェールドの! 先日の書簡が届きましたか? いつもいつも、兄やエレメンティアに握りつぶされ……あぁ、これが私の……」
「触れるな!」
レイ・ロ・ウに手を伸ばそうとする男の前に出た童顔の騎士が、
「この乗獣は、シェールドの3つある秘宝のひとつ。お前ごときが触れていいものではない! それに、王太子殿下の乗獣だ!」
鯉口は閉ざされているが、掴んだ刀で無造作に払いのける。
「なっ! 何をする! 私はこの国の王弟! 無礼であるぞ!」
「生憎、無礼な馬鹿に挨拶もしたくないもんで、さぁ、アイドたち、行こう」
「貴様! 無礼な! おい! お前は」
「黙れ! 身分を傘に来たやり方が嫌いなんだ!」
「おい、そこの下級役人! 私に従わないこいつらを捕まえろ!」
叫ぶ王弟に、鬱陶しげにナイアが、
「黙れ! この乗獣は貴様のものじゃない。この国もそうだ。また文句を言うなら、陛下に申し出る。シェールドの王太子殿下の乗獣を傷つけようとしたと!」
「誰かあるか!」
ワーズが声をあげ、集まってきた衛兵に、
「申し訳ない。客人のお二人を案内しているのだが、王弟殿下が邪魔をされる。連れていってくれないか? 私は、王太子殿下、エレメンティア殿下の財政補佐ワーズ。国王陛下には殿下より認証されている」
「……一応、農業工業担当補佐ナイア。この生き物はアシール大陸の乗獣。王弟殿下に贈られたものではない! 今日お越しになられたミューゼリック閣下の側近の方の乗獣。私が飛ぶ姿を見せて欲しいとお頼みした。自分の身をわきまえない王弟殿下を向こうに! お客人に失礼だ!」
おっとりとした雰囲気の青年が、きっとにらむ。
リールの国内でも端正なというか可愛い顔をしているナイアがきれているのは、ひとえに、自分の興味のあることの邪魔をされているからである。
先程アイドは、森に豊穣の土が眠っていると言っていた。
その土を早く持ってきたいし、その上、うまくいけば王宮だけでなく町にも温室が作られると言う。
その事にも胸が踊る。
それを邪魔されてなるものかとも思っている。
「何を! 下級貴族に官吏が黙れ!」
「……お前が黙れ」
一応フードを被っていたアイドが、めんどくさそうにそれを剥がし、微笑む。
「確か、リールの王弟。名前はジェームスだったかな?」
「何をぉぉ! この私の! 次の国王とも言われている私を呼び捨てに! 貴様ぁぁ!」
手を伸ばそうとする王弟とアイドの間に入ったフィアが、首筋に抜いた刀の刃を首に当てた。
「なっ!」
「……私の主に手を出さないで戴けませんか? 私は、隣のアシール大陸、シェールドのマルムスティーン侯爵子息、リュシオン」
ニッコリと、ナイア以上に可愛らしい美少女が微笑むが、すぐに、
「実は、シェールド国王より、私の主は直々に命を受けたのですよ?」
「私達の国に、その男から書状が届くんです。国王が鬱陶しいと焼却していたのですが、先日届いた書状が余りにも無礼だと怒りましてね? 代わりに来たんです。一度も会ったことのない我が国の国王に対して、この文章は余りにも失礼ではありませんか?」
ビラッと広げる。
「確か、こちらのジェラルド国王陛下と、ルーズリア王国のリスティル国王陛下がご友人であり、お二人は我が国に留学経験があり、我が国とも友好はありますが、貴方とジェラルド国王陛下とは違いますし、ジェラルド国王陛下に我が国王陛下は兄弟のように可愛がっていただいたことは感謝しておりますが、貴方は全く関わりないでしょう? それなのに書状を送りつけて来て、シェールドの3つの秘宝をくれとは、礼儀に欠けていませんか? それに、秘宝はよほどのことがない限り、国内でも出すことのないものですが? どうして、縁もゆかりもないそちらに譲れと命令されなければならない?」
「あ、兄が、欲しいと言ったのだ!」
「それはありませんね」
刀を突きつけたままフィアは嘲笑する。
「何だと!」
「私の父マルムスティーン侯爵と叔父のクルス侯爵は、個人的にリスティル陛下とジェラルド陛下とやり取りをされている。時々送られてくる便りには『自分の宝は国の安寧と国民の平穏、そして親バカになるが、エレメンティア殿下の幸福のみ。余分は要らない。何かあったら、リスティル陛下を通じてエレメンティアと国民を逃がす。その時にはどうぞよろしくお願い致します』といつも最後にはそう締め括られていた。それに、ジェラルド陛下はシェールドで元々騎士を志し、乗獣を与えられていた。先代陛下に特別に乗獣を連れて帰っても構わないと言われていたが、ご本人が断られた」
「なっ!」
「『私にとっては兄弟のように共にいた親友。しかし一頭のみでは可哀想。私のわがままで縛りたくない』そう言われて父に預けて帰国されたと伺っている。それなのに今更くれはないだろう? それに陛下直々に書くなら兎も角、あんたに書かせることもない! あんたは自分の兄をどんな人間か解らないんだな。陛下もお可哀想に……こんな愚弟があの賢王の弟か……」
「お、お前の国王アレクサンダーも同じではないか!」
視線を移したアイドは、
「お前程度に、不本意だが、俺の父の悪口を口にされたくないんだがな?」
「私程度とはどういう意味だ!」
「そのままだが?」
そっけない口調で言うと、一度見ていた王弟夫人の似合わない程ゴテゴテの装飾を見て、
「その趣味の悪い装飾を一つ売るごとに、国民の税収は軽くなり、町は活気づくだろうに……夫もくずだが妻は浪費家とはな」
「なっ! 何ですって! お前は先からわたくしや王弟殿下を侮辱し、愚弄して! 誰か! 捕らえなさい!」
「捕らえてみろ。その前に俺が命じ、即、この夫の首が飛ぶぞ」
アイドはフィアを見、フィアは刃を押し当てる。
「動かないでくれますよね? 血を見たいですか? まぁ、見せてもいいですが」
「それに衛兵? 俺とフィア兄さんに敵うと思うなら抜いてみろ。命はないぞ。まぁ、俺は今は柄に手を当ててないけど?」
にやっと笑うアイドの背後から、
「どわぁぁ! 何してるんですか! フィア先輩! アイド!」
書類を運んでいたカイルは叫ぶ。
「お、おい! お前! この者を捕らえろ!」
「何でですか~?」
カイルは近くにいた衛兵の一人に書類を預け、近づくと、王弟夫人の手をとり指輪を外し始める。
「な、何をするの! この無礼者!」
「無礼? 国王陛下から、王弟殿下と妃殿下には浪費をやめろと何度もいわれ、最終的には支出を止められたのに、次々に買い込んで請求書を国庫に持ち込んだのはお二人とサラでしたっけ? お子さんもですよね? 請求書を簡単に暗算すると、この国の財政が傾いている一因でしたよ。もう一つは全く仕事しない大うつけの、昨晩一斉に解任した騎士団! その次は賄賂を懐に入れていた、サラの嫁の父親以下腐った政務官ですね~? それに」
カイルは王弟夫妻の回りについて歩く、きらびやかな一団を睨み付ける。
「王弟殿下夫妻は、一旦状況が落ち着くまで謹慎のはず。出したのは誰です? 国王の命令に背く、その意味が解らないのですか?」
「えっ! そ……それは……」
「王太子殿下側近、カイルの命にて、国庫を食い荒らし豪遊し、その上、シェールドに無礼な便りを送り、その事を確認したいとお越しになられたシェールドの王太子殿下に暴言を吐いた罪にて、謹慎ではなく監禁を申し渡します。その際には、部屋は別室。着るもの、食べるものは一般の兵士や侍女と同じものを食していただきます。ここにいた者……王弟夫妻の警護、侍女は別の場所にて謹慎! 場合によっては王命を違えたと言うことで、王宮から退去、家の家名取り潰しもあると思え。連れていけ!」
「なっ! ただの下級貴族が! この私に!」
「ならば、私が貴方を斬りましょう! 王太子殿下の命令に背き、客人に手をかけようとしたと! 失礼します」
アイドに頭を下げ、隠し持っていた武器を出したカイルは、王弟夫人に見せる。
「さぁ、命と装飾とどちらが大事ですか?」
「ひ、ヒィィ! やめなさい! 貴方!」
「誰か助けよ!」
「王命とどちらをとる!」
カイルのりんとした声に、震え上がり数歩下がった者たちを見、嘲笑う。
「では、王弟殿下。妃殿下。参りましょうか? お子さんのサラの行かれた、一生出られない離宮よりもましな牢獄に……フィア先輩。ワーズ、ナイア……よろしくお願いします」
カイルは集まってきたスートたちの部下とともに王弟夫妻とその周囲を取り囲み、送り込んだのだった。
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