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第3章〜転

蛍狩り

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 去年の西日本豪雨でやられた地域……そこが私の祖先のお墓のある田舎である。
 母方も父方もここ出身である。



 今年も例年通り、この時期にホタル祭りが開催されると聞いたが、私は体調を崩し、その上父が、伯父に連絡すると、その地域に行く一番街から近い道が、昨年の豪雨で道路が寸断され、まだ完全復旧していないと言う。
 隣町から、峠を越え細いくねくねとした道を遠回りして行くか、もしくは海沿いから入るしか方法がないらしい。



 中心部の街はまず復旧される。
 しかし、田舎の地域は二の次になる……一年経ってもまだ難儀している地域の人がいるのを改めて思い知った。



 私は、多分車に酔うのと、今日はひどいめまいと吐き気もあったので行かなかったが、父が、兄家族と行ったと聞き、どうだったか尋ねると、

「例年乱舞していた地域も、ほとんどホタルがおらんかった」

と父がぼやいていた。

「やっぱり、上流から荒れた山から木々が川を埋め、水を濁し、ホタルの幼虫が流されてしまったんやろう」

とのことだった。

 昨年の災害が、一年経っても道路や地域の復旧だけでなく、生態系にも影響を与えているのだと、改めて思い知った。
 来年こそ、道路が綺麗になり、川もホタルが戻るように祈りたい。
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