90 / 130
第2章〜承
朝からオロオロ
しおりを挟む
「やばい!寝過ごした!」
9月28日朝8時5分、目が覚めた。
目覚ましは持っていない。
つけるとパニックになるからだ。
今日は10時から頭痛外来と、帰りに外科治療。
慌ててパンを食べ薬を飲むと着替えをし、サングラスと帽子をかぶり出て行く。
すぐに出たと言っても準備と確認をして出ると、背筋を伸ばし、お腹に力を入れて歩き始める。
遅刻はしたくないので9時のバスに乗ろうと停留所に向かう。
そこまでは約1キロ歩き、10分前に到着し、ほっとベンチに座ろうとすると、足元に茶色のベンチに同化しているが、どう見てもスマホが落ちていた。
えっ?どうしよう?今から近くの警察署に行くのは歩いて5分。
でもバスは30分に一本。次だとギリギリである。
でも、放置はできない。
警察に電話をかけて拾得物の窓口に転送された。
「すみません!スマホ拾いました!でも、病院に行くので届けに行くのが遅くなるのですが……。それともおいておいて良いですか?」
「届けていただくのはいつでも良いです。どこで拾われました?」
「はい、〇〇停留所で、あ、私は刹那玻璃と申します。病院の帰りに届けます」
「では、お時間のよろしい時に、よろしくお願いします」
と話している最中にバスが来た。
「あ、バスが来ました。すみません失礼します」
と声を掛け電話を切ると走ってバスに飛び乗った。
バスで20分。
頭痛外来の病院に近い停留所で降りる。
それから100メートルほど歩く。
病院の待合室は眩しい……。
皮膚科の先生に言われた通り頭痛薬を飲んでいるが、頭がズキズキが続く。
吐き気もある。めまいがして待合室のベンチに座った。
さほどせず呼ばれると、ヘルペスと診断されたことを伝える。
すると、
「ヘルペスかぁ……ロブは何錠残ってる?それにこちらで処方した薬は?」
「ロブは9錠です。こちらの薬は全部飲みました」
「うーん、ロブの代わりにこっちから痛み止めを処方するから、ロブは飲まないように。それが朝晩1錠ずつ。ヘルペスは痛いからね……あ、いつもの薬は偏頭痛用の薬だから併用可能だよ。それも一緒に出しておきます。それと頭痛を和らげる漢方は絶対忘れないでね」
と言われた。
頭痛ダイアリーに記載していたのをコピーしていたので、早かった。
でも、朝ロブを飲んで来たのにもうすでに、鼻の奥から脳に細い針が刺さっているような脈打つ痛みが始まっていた。
薬局でも薬が増えたのを聞かれ、ヘルペスであることと、今も頭痛が続いていると伝えると、
「今回の処方されたお薬は、ちゃんと飲んでくださいね、お大事に」
と言われた。
次は歩いて、外科に移動。
そして同じようにヘルペスの診断が下ったことを伝える。
冷静な先生が眉を寄せた。
「ヘルペス……右側?」
「そうですね……頭痛が酷いのと、だるいのと吐き気が酷いです」
「まぁ治りつつあるんだろうけれど、まだしばらくかかるかもしれないね」
「はぁ……良くなって欲しいんですが。頭痛外来で、1日2回必ず痛み止めを飲むことになりました」
と言うと、注射をしてもらう。
看護師さんは、
「無理はダメよ?再発したらその一番痛い時の痛みが襲うから。でも頭部のヘルペスって一番痛いのよ」
とも言われ、やっぱりか……と思った。
その後、バスで最寄りの停留所に行き、警察署にスマホを届けに行く。
一応、家から病院に行く為には、いくつかのルートがあるが、遠回りの場所にある交番よりも警察署の方が近い。
停留所から帰る途中に少し入った場所である。
そして持って行くと書類を作ってもらったのだが、スマホは当然お金ではなく情報保存媒体であり、見つけた自分がスマホの価格の何割かを貰うことはできないと言われた。
自分自身はただ見つけたので本人の元に戻って欲しかったので、
「そんなのいりません」
と答えた。
すると、交通費などと言った警察署にとどける為にかかった費用は請求できると言われた。
差し出された書類にあるように自分の家から警察署まで歩いて10分弱。
散歩のついでに持っていける距離である。
しかし、拾った停留所は警察署を抜け、少し遠い場所にあった為、移動した距離の分、電車代を請求できるらしい。
でも自分が病院に行く時のついでだったので、それも遠慮した。
警察署から出ると大きくため息をついた。
キリキリと頭痛がする。
頭痛ともしかしたら一生の付き合いなのだろうなと思った。
でも、スマホをあずけると何か大きな荷物を降ろした……仕事を成し遂げた気がした。
家に帰り少し休んだ後、晩御飯は何を作ろうかと冷蔵庫を覗き込んだのだった。
来週月曜日から、病院に三つ行くことになっている。
楽しくゆっくり楽しく生きようと思った。
9月28日朝8時5分、目が覚めた。
目覚ましは持っていない。
つけるとパニックになるからだ。
今日は10時から頭痛外来と、帰りに外科治療。
慌ててパンを食べ薬を飲むと着替えをし、サングラスと帽子をかぶり出て行く。
すぐに出たと言っても準備と確認をして出ると、背筋を伸ばし、お腹に力を入れて歩き始める。
遅刻はしたくないので9時のバスに乗ろうと停留所に向かう。
そこまでは約1キロ歩き、10分前に到着し、ほっとベンチに座ろうとすると、足元に茶色のベンチに同化しているが、どう見てもスマホが落ちていた。
えっ?どうしよう?今から近くの警察署に行くのは歩いて5分。
でもバスは30分に一本。次だとギリギリである。
でも、放置はできない。
警察に電話をかけて拾得物の窓口に転送された。
「すみません!スマホ拾いました!でも、病院に行くので届けに行くのが遅くなるのですが……。それともおいておいて良いですか?」
「届けていただくのはいつでも良いです。どこで拾われました?」
「はい、〇〇停留所で、あ、私は刹那玻璃と申します。病院の帰りに届けます」
「では、お時間のよろしい時に、よろしくお願いします」
と話している最中にバスが来た。
「あ、バスが来ました。すみません失礼します」
と声を掛け電話を切ると走ってバスに飛び乗った。
バスで20分。
頭痛外来の病院に近い停留所で降りる。
それから100メートルほど歩く。
病院の待合室は眩しい……。
皮膚科の先生に言われた通り頭痛薬を飲んでいるが、頭がズキズキが続く。
吐き気もある。めまいがして待合室のベンチに座った。
さほどせず呼ばれると、ヘルペスと診断されたことを伝える。
すると、
「ヘルペスかぁ……ロブは何錠残ってる?それにこちらで処方した薬は?」
「ロブは9錠です。こちらの薬は全部飲みました」
「うーん、ロブの代わりにこっちから痛み止めを処方するから、ロブは飲まないように。それが朝晩1錠ずつ。ヘルペスは痛いからね……あ、いつもの薬は偏頭痛用の薬だから併用可能だよ。それも一緒に出しておきます。それと頭痛を和らげる漢方は絶対忘れないでね」
と言われた。
頭痛ダイアリーに記載していたのをコピーしていたので、早かった。
でも、朝ロブを飲んで来たのにもうすでに、鼻の奥から脳に細い針が刺さっているような脈打つ痛みが始まっていた。
薬局でも薬が増えたのを聞かれ、ヘルペスであることと、今も頭痛が続いていると伝えると、
「今回の処方されたお薬は、ちゃんと飲んでくださいね、お大事に」
と言われた。
次は歩いて、外科に移動。
そして同じようにヘルペスの診断が下ったことを伝える。
冷静な先生が眉を寄せた。
「ヘルペス……右側?」
「そうですね……頭痛が酷いのと、だるいのと吐き気が酷いです」
「まぁ治りつつあるんだろうけれど、まだしばらくかかるかもしれないね」
「はぁ……良くなって欲しいんですが。頭痛外来で、1日2回必ず痛み止めを飲むことになりました」
と言うと、注射をしてもらう。
看護師さんは、
「無理はダメよ?再発したらその一番痛い時の痛みが襲うから。でも頭部のヘルペスって一番痛いのよ」
とも言われ、やっぱりか……と思った。
その後、バスで最寄りの停留所に行き、警察署にスマホを届けに行く。
一応、家から病院に行く為には、いくつかのルートがあるが、遠回りの場所にある交番よりも警察署の方が近い。
停留所から帰る途中に少し入った場所である。
そして持って行くと書類を作ってもらったのだが、スマホは当然お金ではなく情報保存媒体であり、見つけた自分がスマホの価格の何割かを貰うことはできないと言われた。
自分自身はただ見つけたので本人の元に戻って欲しかったので、
「そんなのいりません」
と答えた。
すると、交通費などと言った警察署にとどける為にかかった費用は請求できると言われた。
差し出された書類にあるように自分の家から警察署まで歩いて10分弱。
散歩のついでに持っていける距離である。
しかし、拾った停留所は警察署を抜け、少し遠い場所にあった為、移動した距離の分、電車代を請求できるらしい。
でも自分が病院に行く時のついでだったので、それも遠慮した。
警察署から出ると大きくため息をついた。
キリキリと頭痛がする。
頭痛ともしかしたら一生の付き合いなのだろうなと思った。
でも、スマホをあずけると何か大きな荷物を降ろした……仕事を成し遂げた気がした。
家に帰り少し休んだ後、晩御飯は何を作ろうかと冷蔵庫を覗き込んだのだった。
来週月曜日から、病院に三つ行くことになっている。
楽しくゆっくり楽しく生きようと思った。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる