29 / 84
【番外編】最近わしは、ねーちゃんと言えという人間に振り回されてるのだ。
しおりを挟む
わしはユエと言う。
ユエは中国語の『#月_ゆえ__#』と、ねーちゃんの本名の一文字と、『由縁』から取ったのだ。
だから、ユウじゃないのだ。
ねーちゃんのお友達の悠くんとやらからも取ったらしいけど、違うのだ。
でも、最近はみんな、わしをユウと言うのだ。
やめるのだ!
気を付けないと、周囲には『ゆ』だらけになるのだ!
しかも、ねーちゃんの実家で新しく飼い始めた猫に、最初『ゆめ』とつけようとしたシスコン弟がいるのだ!
あの童顔を何とかしたいと無精髭を生やして、
「田中よりもリーチマイケルやろ!」
とか言ってる馬鹿は、どう見てもおっさんなのだ!
「田中史朗選手に土下座しろ!」
とねーちゃんは言ってたぞ。
はぁはぁはぁ……何故、わしが怒らんといかんのだ。
ねーちゃんはオタクで、マニアで変わり者なのだ。
わしは一応、ミニチュアプードルと言う犬種のキャラメル色らしい。
歳は不明だ。
内緒ではなく、わしは元々捨てられた犬で、保健所という場所に連れて行かれていた。
若かったならボランティア団体などに引き取られただろうね~と、言うのは一応主人……と書いて、下僕と読む、わしのねーちゃんである。
わしは左目が白内障で完全失明、右目は最近までまだ見えていたが、今の頼りはねーちゃんとねーちゃんのとーちゃんというおっちゃん、そして、ねーちゃんの弟。
わしはトイプードルでは無いので、体重は7キロ前後だ。
でも、最初来た時は痩せ細って、6キロなかったのだ。
太ったのではなく、がっしりしたのだ!
ところで、年末年始と言う時に、ねーちゃんが風邪をひいたり足を痛めたりしたので、実家にとーちゃんの車で行ったのだ。
車は好きなのだ。
遠いところにも歩かなくていいのだ。
ねーちゃんが最初引き取ってくれた時、爪が伸びすぎていて肉球に食い込んでいたのだ。
それに、耳は両方うみで爛れ、塞いでおった。
病院でどちらも治療してもらったのだ。
でも、散歩は好かないのだ。
目が見えないし、このあいだは排水溝とやらの穴に足を突っ込んでしまって、ねーちゃんが助けてくれたのだ。
足の下に何もないのは怖いのだ。
あれ以来、怖くて歩いて遠出は嫌なのだ。
あ、とーちゃんの車にフワフワのわし用の毛布を用意してくれていたのだ!
新しいのだ!嬉しいのだ!
もう腰も曲がってるし、丸くなってぬくぬくが一番なのだ。
そして、車から降りて、とーちゃんに言われながら歩く。
とーちゃんは元猟師で、特に猟犬のしつけが得意だったらしい。
で、うちとは違ううちに入ると、ここもぬくぬくだ!
でも目が見えないので、どこが一番ぬくぬくかじっと見ていたら、目の前にクゥがいたらしい。
クゥは、確か11歳のジャックラッセルと言う犬なのだ。
シスコン弟の飼い犬なのだ。
でも、落ち着きはないし、うるさいから無視なのだ。
一回あまりにも吠えるので何故吠えるのだ? と鼻すれすれならギリギリ顔が見えると思ってじっと見たら、後ずさって逃げたのだ。
弱っちぃのだ。
とーちゃんが、
「ユゥ、お前はこっち」
と言うから、外かと思ったら、二階にベッド……犬用……が置いてあって、温い風がずっと吹いてるところだったのだ!
嬉しいのだ!
しかも、カリカリも美味しいし、お水もある。
幸せなのだ~。
特にぬくぬくが。
仕方ないのだ。
クゥよりも年上と言われたわしは、暑いのも寒いのも苦手なのだ。
それにわしの毛は昔は太くてフワフワで暖かかったが、最近は細くなるし、もつれるし、ねーちゃんはハサミを持って襲ってくるのだ!
嫌なのだ!これ以上ハゲたらどうするのだ!
本当に……あぁ、ぬくぬくで最高なのだ。
ねーちゃんが体調良くなるまでここって言われたけど、わしはここがいいのだ……ZZZ……。
「おーい、ユウ。散歩。お前、トイレシーツにトイレしないだろ。それに服も嫌がるし」
シスコン弟の声だ。
それに、なぬっ?
せっかくぬくぬくなのに……。
「ほら、トイレ、行きたいやろ?」
ハーネスをつけられて、抱き上げられたわしは、暴風の中、震えながら散歩したのだ。
ねーちゃん……わしはぬくぬくの風の中散歩したいのだ……。
引っ張られながら、わしは寒い外をうらむのだった。
ユエは中国語の『#月_ゆえ__#』と、ねーちゃんの本名の一文字と、『由縁』から取ったのだ。
だから、ユウじゃないのだ。
ねーちゃんのお友達の悠くんとやらからも取ったらしいけど、違うのだ。
でも、最近はみんな、わしをユウと言うのだ。
やめるのだ!
気を付けないと、周囲には『ゆ』だらけになるのだ!
しかも、ねーちゃんの実家で新しく飼い始めた猫に、最初『ゆめ』とつけようとしたシスコン弟がいるのだ!
あの童顔を何とかしたいと無精髭を生やして、
「田中よりもリーチマイケルやろ!」
とか言ってる馬鹿は、どう見てもおっさんなのだ!
「田中史朗選手に土下座しろ!」
とねーちゃんは言ってたぞ。
はぁはぁはぁ……何故、わしが怒らんといかんのだ。
ねーちゃんはオタクで、マニアで変わり者なのだ。
わしは一応、ミニチュアプードルと言う犬種のキャラメル色らしい。
歳は不明だ。
内緒ではなく、わしは元々捨てられた犬で、保健所という場所に連れて行かれていた。
若かったならボランティア団体などに引き取られただろうね~と、言うのは一応主人……と書いて、下僕と読む、わしのねーちゃんである。
わしは左目が白内障で完全失明、右目は最近までまだ見えていたが、今の頼りはねーちゃんとねーちゃんのとーちゃんというおっちゃん、そして、ねーちゃんの弟。
わしはトイプードルでは無いので、体重は7キロ前後だ。
でも、最初来た時は痩せ細って、6キロなかったのだ。
太ったのではなく、がっしりしたのだ!
ところで、年末年始と言う時に、ねーちゃんが風邪をひいたり足を痛めたりしたので、実家にとーちゃんの車で行ったのだ。
車は好きなのだ。
遠いところにも歩かなくていいのだ。
ねーちゃんが最初引き取ってくれた時、爪が伸びすぎていて肉球に食い込んでいたのだ。
それに、耳は両方うみで爛れ、塞いでおった。
病院でどちらも治療してもらったのだ。
でも、散歩は好かないのだ。
目が見えないし、このあいだは排水溝とやらの穴に足を突っ込んでしまって、ねーちゃんが助けてくれたのだ。
足の下に何もないのは怖いのだ。
あれ以来、怖くて歩いて遠出は嫌なのだ。
あ、とーちゃんの車にフワフワのわし用の毛布を用意してくれていたのだ!
新しいのだ!嬉しいのだ!
もう腰も曲がってるし、丸くなってぬくぬくが一番なのだ。
そして、車から降りて、とーちゃんに言われながら歩く。
とーちゃんは元猟師で、特に猟犬のしつけが得意だったらしい。
で、うちとは違ううちに入ると、ここもぬくぬくだ!
でも目が見えないので、どこが一番ぬくぬくかじっと見ていたら、目の前にクゥがいたらしい。
クゥは、確か11歳のジャックラッセルと言う犬なのだ。
シスコン弟の飼い犬なのだ。
でも、落ち着きはないし、うるさいから無視なのだ。
一回あまりにも吠えるので何故吠えるのだ? と鼻すれすれならギリギリ顔が見えると思ってじっと見たら、後ずさって逃げたのだ。
弱っちぃのだ。
とーちゃんが、
「ユゥ、お前はこっち」
と言うから、外かと思ったら、二階にベッド……犬用……が置いてあって、温い風がずっと吹いてるところだったのだ!
嬉しいのだ!
しかも、カリカリも美味しいし、お水もある。
幸せなのだ~。
特にぬくぬくが。
仕方ないのだ。
クゥよりも年上と言われたわしは、暑いのも寒いのも苦手なのだ。
それにわしの毛は昔は太くてフワフワで暖かかったが、最近は細くなるし、もつれるし、ねーちゃんはハサミを持って襲ってくるのだ!
嫌なのだ!これ以上ハゲたらどうするのだ!
本当に……あぁ、ぬくぬくで最高なのだ。
ねーちゃんが体調良くなるまでここって言われたけど、わしはここがいいのだ……ZZZ……。
「おーい、ユウ。散歩。お前、トイレシーツにトイレしないだろ。それに服も嫌がるし」
シスコン弟の声だ。
それに、なぬっ?
せっかくぬくぬくなのに……。
「ほら、トイレ、行きたいやろ?」
ハーネスをつけられて、抱き上げられたわしは、暴風の中、震えながら散歩したのだ。
ねーちゃん……わしはぬくぬくの風の中散歩したいのだ……。
引っ張られながら、わしは寒い外をうらむのだった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう
白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。
ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。
微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男
湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。
何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。
家に帰ると夫が不倫していたので、両家の家族を呼んで大復讐をしたいと思います。
春木ハル
恋愛
私は夫と共働きで生活している人間なのですが、出張から帰ると夫が不倫の痕跡を残したまま寝ていました。
それに腹が立った私は法律で定められている罰なんかじゃ物足りず、自分自身でも復讐をすることにしました。その結果、思っていた通りの修羅場に…。その時のお話を聞いてください。
にちゃんねる風創作小説をお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる