最近、私は振り回されてる。

最近私は、猫の恋の恐ろしさを思い知り、猫の爪に怯えてる。

　『猫の恋』……俳句では初春の季語。
　しかし、猫の個体によって違い、日本の猫は基本１～８月ごろまでに数回とされる。

　引き取った時期は11月で、２キロだったつばきは最近、よく鳴き、身体を壁などに擦り付ける仕草をするようになったらしい。
　数日前からよく鳴くようになったというので、獣医師でもなんでもない私が何故か様子を見に来いと言われたが、多分というか、はっきり言えばわからない。

　私は猫より犬派だし、知ってる猫は父の実家……田舎にいた近所を自由に行き来する地域猫。
　そして、友人の家の猫。
　友人の猫はオスだったし、メスは怪我が原因で避妊手術をした。

　怪我というのは、家族で買い物に行っている雨の日に道路にダンボールが落ちていて、車に引かれたのか潰れていた。
　気になって中を覗き込むと、中には生まれてすぐの子猫がいて、その中には車に引かれ、寒さで凍死、友人の家族は当時飼っていた猫の主治医に連絡をして駆け込むと、２匹は何とか命を取り留めた。
　しかしそのうち一頭は、車に引かれたので足が一本潰れ、切断。
　男の子だったので去勢手術を、兄妹は避妊手術をした。
　調べてみると避妊手術は大体15000～30000円と言う。
　つばきを外に出さなかったら、この手術は構わないのだが、お転婆で好奇心の強いこの子は一回逃げ出そうとしたことがあり、一回成功したことは覚えて繰り返す。
　弟の部屋の扉の開け方はとっくの昔に覚えてしまい、前は数分だったのに、今では10秒もあれば脱出してしまう。
　ハーネスとロープをつけているから捕まえやすいが、外れたらと思うとドキドキする。

　それに、どうして私が、つばきの避妊治療費やあれこれを調べるのか……。
　それよりも、弟や妹の恋の話を聞きたいものである。

　しかし、実家の弟の部屋の扉の周囲はつばきの爪でガジガジである。
　たった２ヶ月で家が破壊されていく、と父は半泣きだったりする。
　宝くじでも当たればいいのにと思う毎日である。